Return to年代順邦画備忘録Top pageHOME PAGE
昭和三十三年(1958)

[1] [2] [3]

おしどり駕篭 おしどりかご
監督 マキノ雅弘
公開年 1958年
評点[C]
感想  今日は、中村錦之助&美空ひばり主演の『おしどり駕篭』を観た。監督はマキノ雅弘で、昭和三十三年(1958)の作品。

 江戸の左官職人・源太(中村錦之助、のち萬屋錦之介)は矢場の女主人・小蝶(美空ひばり)と顔を合わせればケンカばかりしているが、互いに惚れ合っている仲。実は、源太は某大名の跡継ぎで、父が亡くなって藩内が紛糾しているのを知り、一時帰郷することにした。それを追う小蝶。

 錦之助&ひばりのスーパースター映画。個人的に、美空ひばりの相手役は大川橋蔵というイメージが強かったが、錦之助と組んだ映画もあるんだ。
 さすがのマキノ監督も、ひばりと錦之助双方の顔を立てるのに気を使ったのか、全てを無難に収めたという感じで展開が観客の予想にたがわず進むため、ちょっと退屈した。二人が痴話喧嘩する場面も長すぎるような。二人の熱狂的なファンにとっては、そこが見せ場なのかもしれないが。ただし、オペレッタ的に歌と踊りが繰り広げられるシーンではマキノ監督らしさが出る。
 錦之助の弟分役に中村賀津雄(現・中村嘉葎雄)、錦之助の実弟役に伏見扇太郎。(2003/07/10)

女であること おんなであること
監督 川島雄三
公開年 1958年
評点[B]
感想  今日は、川島雄三監督の『女であること』を観た。昭和三十三年(1958)の作品。

 弁護士の佐山貞次(森雅之)と市子(原節子)の夫婦は、結婚から十数年経っても仲むつまじい。子供がいないので、貞次が弁護している死刑囚の子・寺木妙子(香川京子)を引き取って育てていた。そんな中、市子の親戚である娘・三浦さかえ(久我美子)が家出して転がり込んできたことから家族の中に波風が立つ。

 前年に日活で『幕末太陽傳』を撮った川島監督の、東京映画での移籍第一作。最初、オープニングで丸山明宏(現・美輪明宏)が「♪女、それは〜」とテーマ曲を歌ったのには驚いた。しかし、原作が川端康成であるためか(脚本:田中澄江・井手俊郎・川島雄三)、奇抜さはあまり無く、成瀬巳喜男作品に少し似た雰囲気を感じた。
 ヒロインの市子には清野吾郎(三橋達也)という結婚前に付き合っていた男がいたりして、原節子の女臭さを前面に出したような役作りで、小津作品などよりも自然な演技に見えた。久我美子の演ずる娘の奔放さはちょっと凄い。観客も辟易するほど。香川京子演ずる死刑囚の娘は暗〜い感じ。
 多少類型化された女性像という気もするが、キャラクターの対照が面白い作品。ただし、オチは少々とってつけたような感もある。原作がそうなのかもしれないが。(2001/11/23)

張込み はりこみ
監督 野村芳太郎
公開年 1958年
評点[B]
感想
Amazon
張込み
張込み

 野村芳太郎監督の『張込み』を観た。昭和三十三年(1958)の作品。

 ある年の夏、警視庁の捜査第一課刑事の柚木隆男(大木実)と下岡雄次(宮口精二)は、強盗殺人犯(田村高広)を追って九州の佐賀へ行き、彼の元情婦で現在は人妻となっている横川さだ子(高峰秀子)の家の前で張り込みを続ける。

 のちの『砂の器』同様、原作:松本清張・脚本:橋本忍で、二人組の刑事の捜査を描いた作品。ただし、『砂の器』では犯人の方に比重が置かれているのに対し、この作品は柚木刑事が主人公となっている。
 前半、急行列車での旅の風景や全く冷房の無い列車・警察署・旅館の風景や車掌のいるバスの内部が描かれ、昔の日本の風景が見られて興味深い。刑事たちが張り込みを続ける中盤は、時々柚木の回想などを交えるものの、ちょっとダレる感もあるように思った。終盤は、またドラマが急展開するが。(20002/07/28)

緋ざくら大名 ひざくらだいみょう
監督 加藤泰
公開年 1958年
評点[B]
感想  今日は、大川橋蔵主演の『緋ざくら大名』を観た。監督は加藤泰で、昭和三十三年(1958)の作品。

 大名の北条家の跡取りである鶴姫は、会ったこともない婿を迎えるのが嫌で、家出してしまう。一方、ある芝居小屋や長屋では“三(さぶ)さま”(大川橋蔵)と呼ばれる上品な若侍が楽しそうに遊んでいるが、その正体は……。

 原作は山手樹一郎の時代小説(脚本:斎木祝)。展開や“三さま”の正体は誰でもすぐ見当がついてしまうと思うが、お約束を楽しむ作品なのだろう。日本人がテレビを観るように毎週毎月映画館に通っていた時代の娯楽映画。まだ、加藤泰監督らしさが現れた作品ではないが、大川橋蔵の魅力は出ている。美男子というより、可愛いという感じ(笑)。(2002/10/09)

江戸の名物男 一心太助 えどのめいぶつおとこいっしんたすけ
監督 沢島忠
公開年 1958年
評点[A’]
感想  今日は、中村錦之助主演の『江戸の名物男 一心太助』を観た。監督は沢島忠で、昭和三十三年(1958)の作品。

 三代将軍家光(中村錦之助、のち萬屋錦之介)の行列を乱した母子をかばった一心太助(錦之助の二役)。大久保彦左衛門(月形龍之介)が機転で彼を助け、二人は親分子分の関係になる。それ以来太助は一人前の男になるため、彦左衛門は旗本の意地を通すため、老中・松平伊豆守(山形勲)らの渋面をよそに暴れまわる。

 講談ネタでおなじみの一心太助の物語の映画化(脚本:田辺虎男)。前半から中盤にかけては、定番エピソードを順番に並べたような雰囲気で、ちょっとテンポに欠ける。しかし、彦左衛門と家光の話が中心になる後半からは流れが変わり、将軍と臣下というよりも父と子のような二人の関係と、彦左衛門の真意を訴える太助の姿に感動させられた。目一杯な演技に好みが分かれるところがあるかもしれないが、錦之助が懸命に訴える姿は実に良かった。
 オチはなんだか中途半端な感があるが、後に続編が控えているシリーズ作品のためらしい。(2003/04/16)

毒婦高橋お伝 どくふたかはしおでん
監督 中川信夫
公開年 1958年
評点[B]
感想
Amazon
毒婦高橋お伝
毒婦高橋お伝

 今日は、中川信夫監督の『毒婦高橋お伝』を観た。昭和三十三年(1958)の作品。

 すりや万引きを稼業にしている高橋お伝(若杉嘉津子)は宝石店で捕まったが、若い巡査・並河和馬(明智十三郎)を色仕掛けでたぶらかして逃れた。その後、手口をすっかり見抜いていた宝石店の主人・大沢伊兵衛(丹波哲郎)の情婦にされ彼の悪事を手伝って金を得るが、お伝には金を稼がねばならない事情があった。

 明治時代初期の伝説的な悪女お伝を描いた作品。実際とはかなり異なり、ストーリーはほとんどオリジナルのようだ(脚本:仲津勝義・中沢信)。新東宝らしいエロ路線を狙った作品だが、もちろん中川監督だけに、それだけではない。
 明治時代の街並みをなかなか頑張って再現しているし、偶然が作用しすぎる脚本にちょっと無理があるが、お伝が単なる悪女ではなく悪事へと引き込まれていく運命が描かれている。また、鏡や窓を使った演出も面白い。
 “お伝をめぐる五人の男”といった感じの構成だが、一番重要な並河和馬にあまり魅力を感じられないのは、弱々しい“色男”にしてしまっている脚本のせいか、あるいは演技のせいか……。丹波センセイは若い頃から迫力がある。(2004/07/24)

江戸群盗伝 えどぐんとうでん
監督 福田晴一
公開年 1958年
評点[C]
感想  今日は、近衛十四郎主演の『江戸群盗伝』を観た。監督は福田晴一で、昭和三十三年(1958)の作品。

 剣の腕は確かだが世をすねている小身の旗本・梅津長門(近衛十四郎)は、気まぐれな侠気を発揮したことがきっかけで将軍の御落胤だという雪姫(嵯峨三智子)と出会い、互いを忘れられなくなる。また一方では、たまたま知り合った喜三郎(名和宏)が数年前に別れて以来ずっと探していた、おとよ(福田公子)を見つけてやったが、その再会は二人にとって悲劇であった。

 柴田練三郎の原作の映画化(脚本:鈴木兵吾)。江戸後期の暗い世の中を再現することを狙ったのか闇を意識した絵作りだが、ストーリーの方も暗い。暗いのはまだしも、今から見ると女性の描き方にちょっと違和感を覚える。梅津が無理矢理ヤっちゃった女が梅津のことを忘れられなくなるなんて……。また、女性が二人とも不幸すぎるような。梅津自身にも魅力が感じられないが、原作ではどうだったのだろう。
 ストーリーの面は古い小説だから仕方ないにしても、殺陣に定評のあった近衛十四郎の主演映画としては、チャンバラが物足りなさ過ぎ。あっけ無く終わってしまう。(2002/10/03)

女体桟橋 にょたいさんばし
監督 石井輝男
公開年 1958年
評点[C]
感想  今日は、石井輝男監督の『女体桟橋』を観た。昭和三十三年(1958)の作品。

 華やかな銀座の裏通りには売春組織が跋扈している。ホテルでコールガールの死体が発見され、部屋から立ち去った吉岡圭三(宇津井健)という男が容疑者の一人になった。しかし、吉岡は犯人ではなく、売春組織のボスの情婦ルミ(三原葉子)と縁があった。一方、警察はベテラン大野(小倉繁)や若手の速水(浅見比呂志)らの刑事が組織を追う。


 石井輝男監督の初期作で、この次の『白線秘密地帯』に始まる“地帯〔ライン〕”シリーズにつながる雰囲気の一本。
 のちの石井監督らしい切れの良さやユニークな演出は見られず、ちょっと平凡なメロドラマ風の作品になっている。さすがにまだ慣れないところがあったのか、習作という感じ。脚本(佐川滉・石井輝男)も、刑事の速水とその恋人のエピソードが浮いていた。(2005/08/09)

無法松の一生 むほうまつのいっしょう
監督 稲垣浩
公開年 1958年
評点[A]
感想
Amazon
無法松の一生
無法松の一生

 今日は、稲垣浩監督の『無法松の一生』を観た。昭和三十三年(1958)のリメイク版。三船敏郎主演で、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞(グランプリ)受賞作品。

 夫(芥川比呂志)が急逝して、あとに遺された美しい未亡人(高峰秀子)と息子を見守る、人力車夫の無法松こと富島松五郎(三船敏郎)の純情。超有名な話ッスね。
 戦中戦後の二度の検閲によって大幅にカットされた部分のある昭和十八年の阪妻版の“完全版”としてリメイク。三船の松五郎は、やはり“ミフネ”という感じが残って少々粗暴な面が強調された感じがするが、それでも好演。特にラスト近くの“祇園太鼓の暴れ打ち”では筋骨たくましい三船の肉体が躍動して迫力がある。若い頃の三船敏郎って、ミドル級あたりの中量級ボクサーみたいな体つきだ。
 完璧に近い阪妻版には及ばないものの、これもまた傑作では。その後、三国連太郎と勝新太郎で二度リメイクされているそうだが…2人とも濃すぎて、チョット柄が違うんぢゃないかなぁ…(笑)。(2000/09/17)

明日は明日の風が吹く あしたはあしたのかぜがふく
監督 井上梅次
公開年 1958年
評点[C]
感想  今日は、石原裕次郎主演の『明日は明日の風が吹く』を観た。監督は井上梅次。昭和33年(1958)の作品。

 木場近くの博徒・松文字組の息子の松山健次(石原裕次郎)は、次男坊なので堅気のサラリーマンになっていたが、家の商売が原因で会社の同僚・啓子(北原三枝)との仲も裂かれて無頼の世界に身を投じることになり、敵対する難波田組との抗争に巻き込まれていく。

 日活製裕次郎映画の一本。戦後が舞台なので、登場するヤクザたちは背広姿だが、内容は義理人情を重んずる古風な感じ。北原三枝は意外と影が薄く、裕ちゃんの弟・三郎(青山恭二)の恋人の千鳥(浅丘ルリ子)の方がヒロイン的に見えた。裕ちゃんの兄の良太に金子信雄、着流しの古風なヤクザ役に大坂志郎。(2001/03/18)

[1] [2] [3]

昭和三十三年(1958)
掲示板 Return to年代順邦画備忘録Top pageHOME PAGE