Return to年代順邦画備忘録Top pageHOME PAGE
昭和三十七年(1962)

[1] [2] [3] [4]

椿三十郎 つばきさんじゅうろう
監督 黒澤明
公開年 1962年
評点[A’]
感想
Amazon
椿三十郎
椿三十郎
Amazon
黒澤明
黒澤明 :
DVD BOXSET 2

 今日は、黒澤明監督の『椿三十郎』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 某藩の城代家老・睦田(伊藤雄之助)の甥である井坂伊織(加山雄三)を筆頭とする9人の若者たちは、次席家老の黒藤(志村喬)以下の奸物を除こうと談合していた。偶然その場に居合わせた浪人(三船敏郎)は椿三十郎と自称して、彼らを助けることになる。

 『用心棒』の続編で、同じく思いつきの姓を名乗る風来坊の浪人が大活躍する。前作の乾いたニヒルな雰囲気は薄れた感じで、ユーモラスなシーンが増えている。前作同様、奸物の一人の懐刀である室戸半兵衛を演じた仲代達也と三船敏郎との対決が見物(みもの)。
 9人の若侍の一人に田中KUNIE、もとい、邦衛がいる。睦田夫人に入江たか子、睦田の娘に団令子。(2001/05/12)

女と三悪人 おんなとさんあくにん
監督 井上梅次
公開年 1962年
評点[A’]
感想  今日は、井上梅次監督の『女と三悪人』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 江戸も末期に近い天保・嘉永の頃、女役者の瀬川喜久之助(山本富士子)に惚れた、破戒僧で土地の顔役の竜運和尚(勝新太郎)・浪人の鶴木勘十郎(大木実)・そして流れ者の芳之助(市川雷蔵)の三人の男たち。彼らは、金のために豪商・但馬屋(三島雅夫)の妾になっている喜久之助を解放しようと奮闘する。

 石原裕次郎主演の日活映画で有名な井上梅次監督の時代劇。脚本もオリジナル。舞台設定は江戸時代だが、姫を悪魔や怪物から救い出すために戦う騎士、というテーマは西洋風で、そのためか明るいストーリーでもないのにあまりジメジメせず、どこかカラッとした雰囲気がある。井上監督には時代劇のイメージはないが、意外な佳作。
 俳優たちの柄に合わせた配役と脚本が良い。その中ではやはり勝新太郎と市川雷蔵が光る。山本富士子には、運命を甘受し時には運命に逆らおうとする女性の強さがもう少し欲しい。(2003/05/22)

ひばり・チエミの弥次喜多道中 ひばりちえみのやじきたどうちゅう
監督 沢島忠
公開年 1962年
評点[A’]
感想
Amazon
弥次喜多道中
ひばり・チエミの
弥次喜多道中

 今日は、沢島忠監督の『ひばり・チエミの弥次喜多道中』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 華やかな舞台を夢見る芝居小屋の下足番・お君(美空ひばり)&おとし(江利チエミ)は、奈落に落ちて法海坊(東千代之介)・地獄の熊吉(加賀邦男)ら麻薬密売団と鉢合わせして大騒ぎし、一緒に捕われて牢屋にぶち込まれる。お構いなしとなって出獄したが、芝居小屋を首になった上に入牢したことがあるのでは嫁にも行けぬと、男装して旅に出て珍道中を繰り広げる。

 ひばり・チエミコンビの一本で、お正月公開の時代劇ミュージカル映画。それも、芝居の合間に時々歌を唄ったり踊ったりする程度ではなく、全体が音楽的で自然に歌に繋がる作りになっており、時代劇としてはかなり本格的なミュージカル作品になっている。(音楽:米山正夫/脚本:鷹沢和善・高島貞治)
 ひばりとチエミが歌が上手いのはもちろんだが、二人のリズム感の良さにも感心。唄っていないときでも動きがリズミカルで非常にテンポが良い。二人の動きの良さがスピーディーな展開で一層生かされている。演出の歯切れのよさもあるし、群舞やアクションシーンの迫力と楽しさは巧みな撮影と編集のおかげでもあるだろう(撮影:山岸長樹/編集:宮本信太郎)。
 生き生きした若い二人と沢島監督の才気ある演出を楽しめる一本。(2004/12/19)

大江戸評判記 美男の顔役 おおえどひょうばんきびなんのかおやく
監督 沢島忠
公開年 1962年
評点[C]
感想  今日は、沢島忠監督の『大江戸評判記 美男の顔役』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 直次郎(里見浩太朗)は、息子の出世を信じている母おもん(浪花千栄子)が江戸に来るというので困っていた。金子市之丞(大川橋蔵)のアイデアで直次郎が御目付を演じ、市之丞・河内山宗俊(山形勲)・暗闇の丑松(渥美清)らが家臣に扮し、おもんを騙して帰すことにした。幕府の影の実力者である中野碩翁(月形龍之介)の空き屋敷を無断借用していると、なんと碩翁本人がやって来た。

 河内山宗俊ものの人物設定を借りたオリジナル作品(脚本:小国英雄)。題名が示すように、市之丞の大川橋蔵が主役あつかいになっている。
 中盤、月形龍之介の演ずる碩翁が無表情で河内音頭を踊るところはシュールといっていいほど面白く、コメディ作品なのかと思っていたら人情噺の要素も大きく、どっちつかず。また、市之丞を何人もの女が追いかけ回したりして、主人公をむやみにヨイショしすぎ。全てが過剰で“くどい”感じがした。ラストも中途半端。
 時代劇コメディに才を見せた沢島監督作品としては少々期待はずれだったが、脚本からしてイマイチだったか。(2005/03/22)

瞼の母 まぶたのはは
監督 加藤泰
公開年 1962年
評点[A’]
感想  今日は、加藤泰監督の『瞼の母』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。脚本も加藤泰で、原作は長谷川伸。

 股旅暮らしの渡世人、番場の忠太郎(中村錦之助、のちの萬屋錦之介)が幼い頃に離ればなれになった実の母を探し求める。サイレント時代から何度も映画化された有名な話っすね。

 加藤泰のシャープな映像が、関東の村や江戸の人々の暮らしを克明に映し出す。題材が題材だけに、演出はかなりウェットな感じ。しかし、浪花千栄子・夏川静江・沢村貞子・木暮実千代がそれぞれに演ずる母親像と、彼女たちに実の母親を求める忠太郎の姿が胸を打つ。ラスト、木暮実千代の「忠太郎!」の叫びが肺腑をえぐる。(2000/12/24)

雁の寺 がんのてら
監督 川島雄三
公開年 1962年
評点[B]
感想
Amazon
雁の寺
雁の寺

 今日は、川島雄三監督の『雁の寺』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 有名な雁の襖(ふすま)絵のある京都の禅寺。その住職・慈海(三島雅夫)は襖絵の作者・南嶽(中村鴈治郎)の妾であった里子(若尾文子)と共に暮らすようになる。里子は、慈海の弟子で家事一切をやらされ厳しくしつけられている若い僧・慈念(高見国一)に同情して情けをかけるが……。

 水上勉の原作(脚本:舟橋和郎・川島雄三)を映画化。文芸路線の作品では川島監督の個性はあまり表に出されないが、この作品では独特なねちっこさを感じさせられた。同じ寺ものでも市川崑監督の『炎上』とは異なる粘り気があるような気がする。モノクロ末期としてはあまりコントラストが強くない絵作りも作用しているだろうか(撮影:村井博)。 終盤近くの急展開と、ちょっと驚きの不思議なラストが見事。
 他の作品同様、和服姿の若尾文子の色気は凄い。慈然役の高見国一は、ちょっと怖さを強調されすぎた演出のような気がした。下からライトを当てたりして。(2003/01/11)

旗本退屈男 謎の珊瑚屋敷 はたもとたいくつおとこなぞのさんごやしき
監督 中川信夫
公開年 1962年
評点[C]
感想  今日は、中川信夫監督の『旗本退屈男 謎の珊瑚屋敷』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 飲み屋を開店したばかりの元売れっ子芸者お染が、江戸随一の回船問屋の平戸屋の主人と入水心中をしたという。しかし、その裏には子細があるらしい。旗本退屈男こと早乙女主水之介(市川右太衛門)は、なじみの船宿の娘お良(水谷良重のちの二代目水谷八重子)と共に、その謎を探ろうとする…。
 この話は大名のお家騒動とか天下を狙う悪人を退治するとかの話でないので、少々スケールが小さいように見えた。展開もタルくって、内容的にはテレビの一時間時代劇って感じ。ただ、カメラワークと最後の立ち回りの迫力は観るべきものもあった。
 監督の中川信夫は怪談映画の名作を撮って有名で、現在もカルト的人気があるが、この『旗本退屈男』だけは中川作品の特集上映会でも上映されないらしい(笑)。(2000/09/10)

天下の御意見番 てんかのごいけんばん
監督 松田定次
公開年 1962年
評点[A]
感想  今日は、月形龍之介主演の『天下の御意見番』を観た。監督は松田定次で、昭和三十七年(1962)の作品。

 徳川三代将軍・家光(北大路欣也)の時代、太平が長く続き無聊をかこつ旗本たちと外様大名との争いは日に日に激しくなっていた。そんな中、血気にはやる旗本たちと将軍との間に立って苦慮する“天下の御意見番”大久保彦左衛門(月形龍之介)は、思いきった行動に出る。

 最初は、いつもの講談ネタの大久保彦左ものか……と思いながら観ていたが、俳優たちの名演と巧みな脚本(小国英雄)によって、なかなか堂々たる一作に仕上がっていたのには驚いた。月形龍之介が単なるガンコ爺ィにはとどまらない彦左衛門像を作り出しているのが素晴らしい。また、脇の俳優たちも良い。
 松平伊豆守信綱役の片岡千恵蔵や水戸頼房役の市川右太衛門という大スターも出演しているが脇に徹し、水戸黄門シリーズ以外の戦後映画では珍しく月形龍之介が主演。押しかけ女房お遊役に丘さとみ。一心太助は松方弘樹。(2002/09/12)

さすらい さすらい
監督 野口博志
公開年 1962年
評点[B]
感想
Amazon
さすらい
さすらい

 今日は、小林旭主演の『さすらい』を観た。監督は野口博志で、昭和三十七年(1962)の作品。

 江崎サーカスの空中ブランコ乗り佐竹正二(小林旭)は事故で相方の塚田信吾(上野山功一)を失い、サーカスを辞めて各地を旅していた。たまたま流れ着いた町で笠松(二本柳寛)の用心棒となった正二は、借金の取り立て相手がサーカス団であり、塚田の恋人だった若原美也子(松原智恵子)がそこにいるのを知る。

 小林旭のヒット曲『さすらい』を題名とした作品(原案:西田一夫/脚本:小川英)。『さすらい』という歌自体はもっと前からあったらしい。
 今風のパフォーマンス(キダムとかサルティンバンコなど)ではなくジンタが奏でる『美しき天然』が流れているような古典的なサーカスで、アキラなどが演ずる空中ブランコ乗りの扮装も全身タイツなので、かっこいいかというと正直微妙(この言い回しは好きではないが)なところもある。全体のエピソードも、人情噺的でちょっとべったりしている。
 ただし保存状態が良いカラー画面が映し出す昭和三十年代の光景は郷愁を感じさせるし、空中ブランコのシーンもまずまず巧みに撮られている(撮影:松橋梅夫)。それに、やはりこの頃の小林旭のアクション・風貌・歌は魅力があるので、それなりに楽しめる作品になってはいると思う。(2005/12/05)

酔っぱらい天国 よっぱらいてんごく
監督 渋谷実
公開年 1962年
評点[B]
感想  今日は、渋谷実監督の『酔っぱらい天国』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 会社員の渥美耕三(笠智衆)は生真面目な会計課長だが、大の酒好きで酒が入るととたんにだらしなくなってしまう。息子の史郎(石浜朗)も酒に目がないが、妻を亡くしている耕三は一人息子を溺愛していた。ある日、史郎はキャバレーで友人とプロ野球投手の片岡(津川雅彦)との喧嘩を止めようとして片岡のバットで殴られ、危篤に陥ってしまう。

 “原案”も渋谷実名義で、脚本は松本善三。風刺的なところは渋谷監督の色で、社会派的なところは松本善三の色だろうか?
 酒によって引き起こされる不幸が中心のテーマで、酒(酔っぱらい)に寛容な日本社会を諷刺している。実際には酒が飲めなかった笠智衆による落魄の酔っぱらい爺さんの演技が巧みなだけに、あまりにも哀れで見ていられなかった。とにかく描き方がストレートなので、もう少し笑いが欲しいが……。下戸な私も日本人の酒の飲み方はだらしなさ過ぎると思うので、そのメッセージ性には賛成できるのだが……。
 それと、渋谷監督は野球嫌いだったのかなぁ。野球選手や監督(山村聡)の描き方もかなりきつい。あるいはアンチ巨人だったとか(片岡の所属チームは後楽園球場を本拠地にする“東京ファイターズ”という設定)。私は、渋谷実監督本人のことはほとんど知らないので、酒が好きだったかどうかを含めて興味が湧いてきた。(2004/09/24)

[1] [2] [3] [4]

昭和三十七年(1962)
掲示板 Return to年代順邦画備忘録Top pageHOME PAGE