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昭和三十七年(1962)

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まぼろし天狗 まぼろしてんぐ
監督 中川信夫
公開年 1962年
評点[B]
感想  今日は、大川橋蔵主演の『まぼろし天狗』を観た。監督は中川信夫で、昭和三十七年(1962)の作品。

 田沼意次(山形勲)が御政道を牛耳っていた時代、世の中は賄賂が横行し乱れきっていた。若い町奉行所与力・守屋周馬(大川橋蔵)は麻薬がらみの事件を追うが、銃撃されて負傷する。彼を助けた無役の旗本・浅川喬之助(大川橋蔵)はなぜか周馬と顔が瓜二つで、彼に成り代わって悪を追う。

 キャラクターが善悪はっきり分かれていて、実にわかりやすい展開。まさに娯楽時代劇以外の何物でもない。“闇の御前”と称する悪の黒幕役は月形龍之介(やっぱり)。悪の手下の一人で周馬に惚れていた、お艶(桜町弘子)ちゅう女が「私は……これでも生まれたままの体なんですよ」なんて言うが、嘘つけ! と思ってしまう(笑)。(2002/11/22)

若くて悪くて凄いこいつら わかくてわるくてすごいこいつら
監督 中平康
公開年 1962年
評点[B]
感想  今日は、中平康監督の『若くて悪くて凄いこいつら』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 大学生の納屋浩(高橋英樹)・松村俊夫(和田浩治)・寺田新子(和泉雅子)らは、ひょんなことから歴代疑獄事件の秘密を握る佐倉総一郎(清水将夫)と知り合う。浩たちは“佐倉ノート”を狙う黒幕たちを相手に回して戦うことにする。

 柴田錬三郎による原作の映画化(脚本:池田一朗)。この『眠狂四郎』で知られる時代小説作家が現代ものも書いていたとは寡聞にして知らなかった。
 冒頭から自動車の中で俊夫が新子の服を剥いで一枚ずつ投げ出したり、浩たちの友人の伯母や黒幕の手下のやくざが奇矯なキャラクターだったり、中平監督らしい遊びがある。テンポ良い演出や歯切れの良い映像(撮影:姫田真佐久)も中平監督らしい。しかし中盤以降は失速し、題名の割りにおとなしい展開になってしまい、やや竜頭蛇尾の感がある。原作がそういうストーリーなのだと思うが。
 高橋英樹は声も姿も若々しく活きが良い印象。現代劇だとかなり長身に見える(実際、公称181cmだが)。彼が歌う谷川俊太郎作詞の主題歌が面白い。(2005/10/14)

殺陣師段平 たてしだんぺい
監督 瑞穂春海
公開年 1962年
評点[B]
感想
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黒澤明 脚本作品:殺陣師段平
黒澤明 脚本作品:
殺陣師段平

 今日は中村鴈治郎・市川雷蔵主演の『殺陣師段平』を観た。監督は瑞穂春海で、昭和三十七年(1962)の作品。

 新国劇の頭取(役者の世話係)の市川段平(中村鴈治郎)、元は歌舞伎の殺陣師だった。座頭の沢田正二郎(市川雷蔵)のために役に立ちたいと願うが、リアリズムを重んずる沢田は型の決まった殺陣を受け入れない。ようやく髷物の『国定忠治』などで活躍を与えられたものの、沢田は殺陣を客寄せの道具としかとらえず…。

 脚本として黒澤明が名を連ねている作品(原作:長谷川幸延)。芸一筋の夫のために髪結いをして生活を支えている妻お春 (田中絹代)が苦労するところなどは“芸道物”の型をなぞっている。だが、中村鴈治郎も田中絹代も演技が良いので観るべきものがある。字も読めず芸しか知らない市川段平と大学出のインテリの沢田正二郎の対比も、こちらも少々類型的だが、殺陣に対する思い入れに絞られているので面白い。
 ただ、やはり段平の妻の苦労や彼女の弟子おきく(高田美和)のエピソードが別物のようになってしまった感はある。高田美和は“新スター”とのことなので、ベテランの中に混じると演技が少々気になった。(2002/06/10)

忠臣蔵 花の巻 雪の巻 ちゅうしんぐらはなのまきゆきのまき
監督 稲垣浩
公開年 1962年
評点[B]
感想
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忠臣蔵 花の巻・雪の巻
忠臣蔵
花の巻・雪の巻

 稲垣浩監督の『忠臣蔵 花の巻 雪の巻』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 元禄十三年三月十四日、播州赤穂浅野家当主・浅野内匠頭(加山雄三)は江戸城松ノ廊下で吉良上野介(市川中車)相手に刃傷事件を起こし、その身は切腹、浅野家は断絶となった。浅野家筆頭家老・大石内蔵助(八世松本幸四郎、のち松本白鴎)は主君の仇を討つことを決意する。

 忠臣蔵ものの一つ。3時間弱の大作で、展開のテンポもさほど早くはないが、ダラダラしている感も無い。松本幸四郎の大石内蔵助が素晴らしい。何回かある泣くシーンも、臭さを感じさせず本当に悲しそうに見えた。吉良は従来のイメージ通りの因業爺ィという感じ。この作品では寺坂吉右衛門(加東大介)にスポットが当てられていて、『仮名手本忠臣蔵』のように、お軽(団令子)が吉右衛門の妹という設定になっていた。
 岡野金右衛門(夏木陽介)の「恋の絵図面取り」など定番エピソードも含まれているけれども、松ノ廊下での吉良の服装(大紋ではなく狩衣が正しい)や四十六士(この作品では寺坂吉衛門脱落説を採っている)の討入り時の服装(黒小袖以外は各々まちまちの服装)など、かなりリアルに考証されているのが良かった。そのためか、講談ネタが元の完全に架空のキャラである俵星玄蕃(三船敏郎)のエピソードが浮いていたような気がする。(2002/12/21)

宮本武蔵 般若坂の決闘 みやもとむさしはんにゃざかのけっとう
監督 内田吐夢
公開年 1962年
評点[B]
感想
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宮本武蔵 般若坂の決斗
宮本武蔵
般若坂の決斗
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宮本武蔵 愛蔵BOX
宮本武蔵
愛蔵BOX

 今日は、内田吐夢監督の『宮本武蔵 般若坂の決闘』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 沢庵(三国連太郎)に捕らえられ、姫路城で3年の読書三昧の日々を送った武蔵(中村錦之助、のち萬屋錦之介)は、仕官の誘いを断って修行の旅に出る。いったん京に行った武蔵は、兵法(武術)で名高い吉岡家との試合を後日に期して奈良へ行き、槍術で有名な宝蔵院で立ち合いをする。

 吉川英二原作(脚本:鈴木尚也・内田吐夢)のシリーズ2作目。全体にゆったりと、原作どおりはしょらず描いているという雰囲気。この作品は、まさしく起承転結の承という感じで、終り方も「戦いはこれからだ!」風。京都のシーンもあるが、全体にロングショットで撮られた田園風景が多く、昔の日本ってこんなだったんだろーな、という気になる。
 宝蔵院の老師・日観役に月形龍之介。吉岡家の若当主・吉岡清十郎役に江原真二郎。第一作では気づかなかったが、お通(入江若葉)が世話になっている竹細工屋の主人は宮口精二だったんだ。(2003/01/13)

秋刀魚の味 さんまのあじ
監督 小津安二郎
公開年 1962年
評点[A]
感想
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秋刀魚の味
秋刀魚の味
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小津安二郎 DVD-BOX 第一集
小津安二郎
DVD-BOX
第一集

 今日は、小津安二郎監督の『秋刀魚の味』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。小津の遺作。

 例によって娘が嫁に行く話(爆)。でも、原節子が娘役だった昭和二十年代の作品は娘がかなり理想化されていたりして、どこか作り話めいた面があったのに対し、この作品では娘を嫁にやり損ねた恩師の落魄の姿が描かれていたり、岩下志麻が不機嫌な様子を見せてディテールのリアリティが附加されていた。
 カラー作品で、例によって赤が強調されている。画面構成は凄く整えられていて様式美の極みだが、ちょっと窮屈にも思える。やっぱり私は溝口作品の宮川一夫カメラマンによる絵の方が好きかなぁ…。(2000/08/22)

危いことなら銭になる やばいことならぜにになる
監督 中平康
公開年 1962年
評点[A]
感想  今日は、中平康監督の『危いことなら銭になる』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 紙幣用の透かし入り用紙10億8000万円分が強奪される大事件が発生した。金の匂いを嗅ぎつけた事件屋の“ガラスのジョー”(宍戸錠)と“計算尺の哲”(長門裕之)そして“ダンプの健”(草薙幸二郎)の三人は、偽札の原版作りの名人・坂本(左朴全)の身柄を奪い合って紙幣用紙強奪の黒幕に高く売りつけようとするが……。

 主演は宍戸錠のアクション映画だが、中平監督らしいおふざけたっぷりのアクション・コメディといった感じの作品になっている。
 “ガラスのジョー”はガラスをこする音を聞くと腑抜けになってしまい、“計算尺の哲”は片足が不自由、紅一点のヒロイン的存在のキャラは痩せて小柄な浅丘ルリ子なのに柔道と合気道の有段者でジョーより強い、と奇妙な登場人物がテンポ良く動き回る。左朴全の怪演も相変わらずで、その妻(武智豊子)も面白い。
 以上のようなヘンテコな人物ばかりが忙しく動き回るが、ストーリーの骨格はシンプルなためか、見ていて混乱することはない。様々な種類の拳銃に対するこだわりやジョーが乗っている二人乗り小型自動車(メッサーシュミット)など、しゃれたセンスも覗かせている。
 原作(都筑道夫)があるらしいが、かなり脚色しているのではないだろうか(脚本:池田一朗・山崎忠昭)。中平監督流の遊びと才気が良い方に出た快作だと思う。この作品、アニメの『ルパン三世』に影響を与えているらしい。『カリオストロの城』は偽札の話だし、男三人と紅一点というキャラの組み合わせが同じだ。設定は全然違うけど。(2005/08/19)

裏切者は地獄だぜ うらぎりものはじごくだぜ
監督 小沢茂弘
公開年 1962年
評点[A’]
感想  今日は、片岡千恵蔵主演の『裏切者は地獄だぜ』を観た。監督は小沢茂弘で、昭和三十七年(1962)の作品。

 ヤクザの上前をはねて回る、本名も経歴も不祥の謎の男・海山千吉(片岡千恵蔵)。腕っ節自慢の寅次(新藤英太郎)や、その弟分の青野(高倉健)と小崎(江原真二郎)を子分にすると、暴力団の麻薬取引の場から金を奪おうとする。だが、その町のボスの失踪事件に巻きこまれて……。

 『多羅尾伴内』シリーズ同様、片岡千恵蔵主演の現代劇のシリーズものらしい。しかし、こちらは冒頭からコミカルなアクション・コメディとでも言うべき作品。冒頭から、新藤英太郎のボクシングコントが始まるので驚かされた。その後も何かというと新藤英太郎や高倉健が主題歌を歌いまくったり、新藤英太郎が助平親父っぷりを発揮する。さすがに千恵蔵はギャグはかまさないし一見大真面目だが、実はこの映画の性格がわかっているような演技に見えた。
 チンピラ風の高倉健やチョイ役の梅宮辰夫と丹波哲郎など、若き日の彼らの姿を見られるという意味でも貴重かもしれない。東映は時代劇のネタが尽きかけると、こんな珍妙な作品を作っていたのか……もっと早く観れば良かった。(2003/02/05)

陽気な殿様 ようきなとのさま
監督 森一生
公開年 1962年
評点[B]
感想  今日は、市川雷蔵主演の『陽気な殿様』を観た。監督は森一生で、昭和三十七年(1962)の作品。

 幕府の老中でもある姫路藩主・榊原忠次(南部彰三)の跡継ぎ隼之助(市川雷蔵)は襲封のため国元へ帰るよう父に命ぜられると、側用人(菅井一郎)たち共の者を置いて幼なじみの町人・八五郎(小林勝彦)と三次(佐々十郎)の二人と先に行ってしまう。旅路では、謎の浪人・挙手田多門(天知茂)に襲われたり浜松藩の家老(原聖四郎)には妙なことを頼まれるなど、いくつかの事件が起こる。

 五味康祐の原作の映画化(脚本:笠原良三)。題名通り、型破りな若様が主人公の明朗時代劇。
 大名の嫡子である主人公が勝手に江戸の街を出歩いている冒頭からして現実離れしているが、台詞にも時々現代語が出てきたりして、この作品がコメディであることを示す。コミカルな作品の雷蔵は大変に良く、のほほんとした表情が実によく似合う。
 ただ、コメディの割りにはテンポが今ひとつで間延びした感があった。いくつものエピソードがあるのだが、主人公をもっとコミカルにしても良かったと思うし、共の八五郎と三次というキャラも活躍させたかった。私は未読だが、どうも五味康祐の原作にはエロス的要素があったようなので(それを感じさせるエピソードがある)、それを映画では削り取った結果として間延びしてしまったのかもしれない。
 原作よりもコメディ色を強めた結果なのか、挙手田多門と伴角右ヱ門(千葉敏郎)の二人の浪人が関わるシリアスなエピソードがちょっと浮いているような気もする。終盤に登場する宇津井健は、生真面目さがかえってユーモアをかもし出しているような感じで良い。(2005/01/01)

しとやかな獣 しとやかなけだもの
監督 川島雄三
公開年 1962年
評点[A’]
感想
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しとやかな獣
しとやかな獣

 今日は、川島雄三監督の『しとやかな獣』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。脚本は新藤兼人。

 会社の金を使い込む息子(川畑愛光)と有名作家の愛人になって金をせびる娘(浜田ゆう子)。実は2人とも両親(伊藤雄之助&山岡久乃)公認の詐欺一家だったのだ。しかし、さらに一枚上の女(若尾文子)がいて…。
 やぁ、面白い。川島監督一流のアイロニーに富んだ作品。舞台は団地の一室から出ないのに、出演者全員が芸達者なので間が持つ。会話のテンポが早く、しゃべり方自体も早口なような気がしたが、映画もこの頃には既にテレビの影響を受けていたのだろうか。舞台が室内のみで台詞が多い脚本だと、ただうるさいだけになりそうだが、川島監督は上手く処理している。団地の階段を巧みに利用し、カメラワークも面白い。
 それにしても、山岡久乃って、こんな昔から母親役をやってたんだ(笑)。(2000/10/21)

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