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昭和三十九年(1964)

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飢餓海峡 きがかいきょう
監督 内田吐夢
公開年 1964年
評点[A]
感想
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飢餓海峡
飢餓海峡

 今日は、内田吐夢監督の『飢餓海峡』を観た!!昭和三十九年(1964)の作品であった!(←なにリキんでんだ)

 リキみたくもなるかも。長いよ〜!暗いよ〜!重いよ〜!の三重苦(?)で、面胴終太郎なら裸足で逃げ出すかも?(笑)でも、名作ではあると思うっす。
 昭和二十二年、青函連絡船の沈没事故で引き上げられた死体は、乗客名簿の数よりも二体多かった。そこに謎の“大男”が浮かび上がる。足取りは途切れるが、1人の娼婦が繋ぐ因縁が、十年後に、ある大実業家と大男を結びつける…。
 大男は三国連太郎。娼婦は左幸子で、これがちょっと凄かった。大男を追う刑事は伴淳三郎で、内田吐夢の厳しい演技指導を受けて「内田監督は俳優に多くを求めすぎる」と後々まで根に持っていたそうだけど、これ一作で映画俳優として名を残したようなもんだから、以て瞑すべしでは?(笑)

 内田吐夢監督も大男だったとか。なぜか“巨匠”は文字通り大きい人が多いなぁ。この作品、今は亡き映画評論家の荻昌弘は「題名には『長すぎて腹のへる映画』の意味もあるようだ」と書いてた。確かに(爆)。(2000/05/06)

宮本武蔵 一乗寺の決闘 みやもとむさしいちじょうじのけっとう
監督 内田吐夢
公開年 1964年
評点[A]
感想
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宮本武蔵 一乗寺の決斗
宮本武蔵
一乗寺の決斗
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宮本武蔵 愛蔵BOX
宮本武蔵
愛蔵BOX

 今日は、内田吐夢監督の『宮本武蔵 一乗寺の決闘』を観た。昭和三十九年(1964)の作品。

 吉岡清十郎(江原真二郎)を倒した宮本武蔵(中村錦之助、のち萬屋錦之介)は、風流人である京の豪商・本阿弥光悦(千田是也)と偶会し、彼と彼の友人たち、そして遊郭の吉野大夫(岩崎加根子)から自分に足りなかったものを教えられる。清十郎の弟・伝七郎(平幹二朗)をも斃した武蔵は、ついに一乗寺下がり松の野で吉岡一門との最終決戦を迎えた。

 吉川英治原作(脚本:鈴木尚也・内田吐夢)の映画化第四弾。四作目ともなると、さすがに山場という印象がある。
 武蔵を演ずる錦之介が素晴らしい。ここまで来ると、まさにその人のように見える。カメラワーク(撮影:吉田貞次)も素晴らしく、伝七郎との決闘に出かける前の武蔵が夜闇を背にした絵柄は、息を飲むほど。ただ、現在ならアップにして説明的にした方がわかりやすいかな、という部分も数箇所あった(吉野大夫が琵琶を割るところなど)。
 光悦や吉野大夫が武蔵の知らなかった世界を見せる過程が非常に印象的。原作にある部分だが、俳優たちの演技が良い。そして、一乗寺下がり松の大殺陣! 今から見ると、展開のテンポがかなり遅めに見えるけれども、大変に充実した一本で、シリーズ中のピークと言ってもいいかも知れない。(2003/01/25)

地獄命令 じごくめいれい
監督 小沢茂弘
公開年 1964年
評点[B]
感想  片岡千恵蔵主演の『地獄命令』を観た。監督は小沢茂弘で、昭和三十九年(1964)の作品。

 大松会の会長・大松正道(片岡千恵蔵)は組織を守るため、手段を選ばず金を稼いできた。ニュータウン建設の際にも娘婿である根津(南原宏治)の縄張りを侵食し、大松の敵である中丸(安部徹)は二人の間に隙を生じさせようとする。

 『地獄』シリーズの一つ。『裏切者は地獄だぜ』と違ってシリアス……というか、むしろ『裏切者』がシリーズ中で毛色が違うのかな?
 千恵蔵が演じているのは、いつもソフト帽をかぶっているようなクラシカルな“ギャングのボス”で、その辺で時代を感じさせはするし、ロクに狙わずに拳銃を撃っても相手に百発百中でアクションのリアリティはない。
 ただし、千恵蔵の貫禄や弟分を演じる進藤英太郎など、見どころはあるし、展開のテンポは良いので退屈はしない。演出の腕だろうか。千恵蔵の娘として佐久間良子、息子として千葉真一が出演。(2002/02/06)

眠狂四郎 勝負 ねむりきょうしろうしょうぶ
監督 三隅研次
公開年 1964年
評点[B]
感想
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眠狂四郎勝負
眠狂四郎勝負

 今日は、市川雷蔵主演の『眠狂四郎 勝負』を観た。監督は三隅研次で、昭和三十九年(1964)の作品。

 眠狂四郎(市川雷蔵)は、ひょんなことから風変わりな老人と知り合いになる。彼は、実は勘定奉行の朝比奈伊織(加藤嘉)だった。幕府の財政改革を推し進める朝比奈には、将軍の娘・高姫(久保菜穂子)一派をはじめとして敵が多く、朝比奈の意気に感じた狂四郎は彼を守るため剣を振るう。

 市川雷蔵主演の『眠狂四郎』シリーズ第2作。第1作と比べると狂四郎の周りの女の影が消え、より孤独になって虚無感が強調されている。
 全体に映像美にあふれているが、狂四郎の敵の一人である采女(藤村志保)と茶室で対峙するシーンの映像が非常に美しい。朝比奈との奇妙な友情は面白いが、加藤嘉はちょっと演技しすぎのように見えた。(2002/06/20)

士魂魔道 大龍巻 しこんまどうだいたつまき
監督 稲垣浩
公開年 1964年
評点[B]
感想  今日は、稲垣浩監督の『士魂魔道 大龍巻』を観た。昭和三十九年(1964)の作品。

 大阪夏の陣の最後の日、豊臣方の深見重兵衛(市川染五郎、のち松本幸四郎)・草薙修理(佐藤允)・奥野久之助(夏木陽介)の三人の若武者はそれぞれの道を行くことを決めて別れた。重兵衛は秀頼の遺児・国松を守って腰元の小里(星由里子)と共に逃れたが、国松を徳川方に奪われ、小里とも離れてしまう。やがて、三人は豊臣再興を大義名分とする欲望の渦に巻き込まれていく。

 南條範夫の小説を基にした時代劇だが(脚本:木村武・稲垣浩)、特技監督に円谷英二を迎えた特撮映画でもある。縮小模型で撮ったと思われる城の炎上や爆発シーンはかなりリアルで、最近の大河ドラマのしょぼいCGよりずっと良い。かけられた費用も時間もケタ違いだろうから、単純な比較は無意味かもしれないが。題名の竜巻も、当時としては非常にリアルだと思う。
 内容的には、若武者たちの三者三様の生き方や、小里とその姉・菊江(久我美子)ら女たち、そして豊臣再興を名目として欲望に走った武藤満太(戸上城太郎)・鷲尾九十郎(稲葉義男)といったキャラたちを平行して描いていて、巧みに映画的に構成された脚本だと思う。そのためか、まとまりに欠ける感もあり、一応主人公の重兵衛の陰が薄くなったのはちょっと惜しい。
 市川染五郎の演技は若い感じがするが、歌舞伎の人にしてはかなりナチュラルで映画向き。殺陣もまぁまぁ。ただし、まだ線が細く存在感は今ひとつな感じ。演技陣の中では、悪役の稲葉義男と戸上城太郎のセコさとふてぶてしさを併せ持った存在感が目立った。(2003/05/03)

乱れる みだれる
監督 成瀬巳喜男
公開年 1964年
評点[B]
感想
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成瀬巳喜男 THE MASTERWORKS 1
成瀬巳喜男
THE MASTERWORKS 1
『めし』
『浮雲』
『娘・妻・母』
『乱れる』
『女の中にいる他人』
「愛蔵写真集」

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乱れる
乱れる

 今日は、成瀬巳喜男監督の『乱れる』を観た。昭和三十九年(1964)の作品。

 夫を戦争で失った礼子(高峰秀子)は、十八年間ほとんど一人で嫁ぎ先の酒屋を切り盛りしてきた。苦労の絶えなかった礼子だが、最近は義弟の幸司(加山雄三)の放蕩とスーパーマーケットの進出で一層悩みの種が増えていた。

 加山雄三の成瀬作品初出演作。テストのたびに演技が変わって困った、というような意味のことを高峰秀子が語っていたのをチラッと読んだことがあるが、やや硬めながらもさほど悪くない演技に見えた。むしろ一本調子気味に見えたが、同じような印象を与える演技をしたところを切り取った演出者の手腕か。
 未亡人と義弟の心の葛藤を中心とした作品で、これが成瀬作品の最高傑作とする人もいるようだが、その良さを理解するためには、私はもっと大人にならなければならないようだ。淡々とした展開の中で、唐突なラストシークエンスにはビックリ。蛇足では? なんとなく、脚本(松本善三)の第一稿にはなく監督の意向で付け加えられたような気がするが……。(2004/03/21)

こんにちわ20才 こんにちはにじゅっさい
監督 森永健次郎
公開年 1964年
評点[B]
感想  今日は、吉永小百合主演の『こんにちわ20才』を観た。監督は森永健次郎で、昭和三十九年(1964)の作品。

 石沢カナ子(吉永小百合)は母(轟夕起子)と妹(田代みどり)と、女ばかりの三人暮らし。女ばかりでは物騒だし寂しいので、二階に下宿人を入れようという話になる。だが、カナ子は反対する。実は、彼女の姉は三人とも下宿人と結婚していたのだ。そんな中、新しい下宿人の川崎豊(高橋英樹)がやってくる。

 原作は石坂洋二郎の『若い娘』で(脚本:井出俊郎)、石坂作品らしい明朗作品。音楽の使い方や演出・映像など、映画というよりも昔のテレビドラマっぽい感じがする。例えば、コミカルな場面に流れる音楽は、いかにもって感じで。特筆すべきところは無いが、そこそこ楽しめるコメディ。(2001/07/15)

月曜日のユカ げつようびのゆか
監督 中平康
公開年 1964年
評点[B]
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月曜日のユカ
月曜日のユカ

 今日は、中平康監督の『月曜日のユカ』を観た。昭和三十九年(1964)年の作品。主演は加賀まり子。

 横浜のナイトクラブで働く18歳のユカ(加賀まり子)には“パパ”と呼ぶパトロン(加藤武)がいて、若い恋人のオサム(中尾彬)もいる。彼女は男を喜ばせることを自らの喜びとしてきたが、ふとしたことから自分の生き方に疑問を覚える。しかし、あくまで奔放に振る舞う彼女に周囲はついていけなくなっていく。

 中平監督の映像感覚が思う存分炸裂している。キザっぽくて鼻につくところもあるし、横浜という土地のエキゾチズムに頼りすぎるようなところもあったが、今でも新鮮。
 純真無垢な人間の持つ怖さというのは何度も描かれてきたテーマだし、ユカという人物にはどうにも共感を抱けない(共感する必要も無いのだが)。しかし、中平康の映像と若き日の加賀まり子のコケティッシュな美しさが作品に魅力を与えているのだろうか。(2000/10/19)

宿無し犬 やどなしいぬ
監督 田中徳三
公開年 1964年
評点[A’]
感想  今日は、田宮二郎主演の『宿無し犬』を観た。監督は田中徳三で、昭和三十九年(1964)の作品。

 拳銃と女が大好きな一匹狼の鴨井大介(田宮二郎)が久しぶりに故郷の高松に帰郷すると、母親の墓のある墓地がゴルフ場になっていて激怒する。その後、一目ぼれした麻子(江波杏子)という女が墓場をつぶした大興組と関係あることがわかり、大介は大興組と対立する沼野観光の社長(佐々木孝丸)に声をかけられる。

 田宮二郎主演の『犬』シリーズの第一作。この作品が好評でシリーズになったのか、最初からシリーズ化が計画されていたのか、どちらだろうか。
 主演の田宮二郎と脚本の藤本儀一そして監督の田中徳三、全員が関西出身だけあって、主人公の大介は歯切れ良い関西弁の台詞をポンポン飛ばし、『悪名』シリーズの清次が独立したようなキザでええかっこしいなキャラクターになっていて、田宮二郎の柄にぴったり合っている。
 大介以外のキャラクターも豊富でそれぞれ個性的な演技者がそろっていて魅力的。大介のライバル的な青井(水島道太郎)、大興組の組長(須賀不二男)、大興組の幹部・瓜生(成田三樹夫)、大介に付きまとう謎の男(天知茂)など。天知茂は無精ひげを生やしていて、天知茂だと思えなかった。
 脚本が工夫されていて演出もテンポ良いが、終盤になると湿っぽい雰囲気が増すのがちょっと惜しいと思った。最後までカラッとしていても良かったかも。(2005/09/10)

三匹の侍 さんびきのさむらい
監督 五社英雄
公開年 1964年
評点[A’]
感想
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三匹の侍
三匹の侍

 今日は、五社英雄監督の『三匹の侍』を観た。昭和三十九年(1964)の作品。

 素浪人の柴左近(丹波哲郎)が某藩の田舎道を歩いていると、百姓たちが代官の娘(桑野みゆき)を人質にして立てこもっている水車小屋に突き当たった。左近は彼らの事情を知ると、味方してやることにした。その頃、左近と同じく素浪人の桔梗鋭之助(平幹二朗)と桜京十郎(長門勇)は、前者は用心棒、後者は罪人として代官所にいた。

 同じキャストによる同題のテレビ時代劇を演出していた五社英雄の映画第一作。丹波哲郎が設立したプロダクションが企画・製作を担当したそうだ。
 出演者たちが各々、丹波の豪放・平のニヒル・長門のユーモラスさと見事に演じ分けていて、のちのちまで続く“三匹”もののキャラクターが既に確立している。その中でも丹波センセイが一番かっこよく見えるのは丹波哲郎製作の映画だから……というわけではないか(笑)。
 テレビで評判だったという殺陣は映画でも「ぶった斬る」という感じがする。丹波哲郎も平幹二郎も体格が良いので迫力がある。
 ストーリーは映画オリジナルのようで、江戸時代にああいう女性が存在したかは疑問だが、女性キャラクターも各々個性的で面白い。また、結末が意外だった。シニカルというかなんというか、美化しすぎていないのが良いのかもしれない。
 元ネタのテレビドラマも観てみたいが、当時は生放送だったので絶対に不可能。残念。(2004/05/27)

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