Return to年代順邦画備忘録Top pageHOME PAGE
昭和三十九年(1964)

[1] [2]

眠狂四郎円月斬り ねむりきょうしろうえんげつぎり
監督 安田公義
公開年 1964年
評点[B]
感想
Amazon
眠狂四郎円月斬り
眠狂四郎円月斬り

 今日は、市川雷蔵主演の『眠狂四郎円月斬り』を観た。昭和三十九年(1964)の作品。

 ある時、眠狂四郎(市川雷蔵)は、将軍・家済の庶子・片桐高之(成田純一郎)が刀の試し斬りのため辻斬りをしたのを目撃する。狂四郎は高之と辻斬りの犠牲者の息子・太十(丸井太郎)の双方から狙われるが、狂四郎は、母と共に将軍の座を狙う高之を倒そうとする。

 市川雷蔵の『眠狂四郎』シリーズ第三作。いよいよこの作品で、クールで虚無的な狂四郎のイメージが定着したようだ。絵作りも、少々人工的ではあるが光と影を強調した映像になっている(撮影:牧浦地志/照明:岡本健一)。その映像の中に立つ狂四郎や女性キャラが大変美しい。
 ストーリーも、女性や権力者に対しては冷酷で弱者に対しては暖かい狂四郎というキャラクターができあがったようだ。狂四郎は魅力のあるキャラだが、今から観ると女性の描き方にちょっと首を傾げる部分があるかもしれない。また、剣客の寄居勘兵衛(植村謙二郎)というキャラも、登場する必然性がわからなかった。(2002/09/23)

暗殺 あんさつ
監督 篠田正浩
公開年 1964年
評点[B]
感想
Amazon
暗殺
暗殺

 今日は、篠田正浩監督の『暗殺』を観た。昭和三十九年(1964)年の作品。主演の清河八郎は丹波哲郎。坂本龍馬役は佐田啓二。清河の妾役として岩下志麻。

 幕末に活躍した奇才・清河八郎の物語。“奇妙なり八郎”と言われたように、彼の行動は二転三転する。彼の行動を真に理解できる者は無く、勤王の志士と幕府の双方から狙われる。浪人どもを扇動して浪士組を結成しちゃうカリスマの魅力を持つ教祖的人物。それを演じられるのは、もちろん丹波哲郎先生しかいない(笑)。まさしくハマリ役。
 映像は非常に凝っている。エピソードを積み重ねて清河八郎という謎の人物像を描き出そうとしているのだが、回想シーンが多く構成が複雑すぎてストーリーがよくわからない。劇終も唐突に見える。武満徹の音楽もなんだかうるさい。(2000/10/06)

 まんじ
監督 増村保造
公開年 1964年
評点[A’]
感想
Amazon
卍

 今日は、増村保造監督の『卍』を観た。昭和三十九年(1964)の作品。

 ある大作家(三津田健)のもとを訪れた園子(岸田今日子)は、彼女と徳光光子(若尾文子)、その愛人・綿貫(川津祐介)、園子の夫・孝太郎(船越英二)の四人が陥った卍のような異様な関係を語りだす。

 谷崎潤一郎の小説を映画化した作品(脚本:新藤兼人)。原作からして倒錯した世界を描いているのだろうが、いやはや、岸田今日子が凄すぎ。もの凄い変態映画!(笑)
 若尾文子も船越英二も役にハマっていて良いが、岸田今日子が作品を支配している。90分の作品だが、全てが濃いので長く感じて、ちとしんどかった。出来が悪くて観つづけるのが辛い、というのとは違うが。(2002/10/06)

さすらいの賭博師 さすらいのぎゃんぶらあ
監督 牛原陽一
公開年 1964年
評点[A’]
感想  今日は、小林旭主演の『さすらいの賭博師(ギャンブラー)』を観た。監督は牛原陽一で、昭和三十九年(1964)の作品。

 ダイスの腕は天下一品のギャンブラー氷室(小林旭)はイカサマを見破った相手に兄と恋人(松尾嘉代)を殺されたため、さすらいの旅に出た。横浜に流れた彼はダイスを捨て、バーテンになって一つ所に住み着きたいと願ったが、街を二分する浅野(山形勲)と河村(小池朝雄)の抗争に巻き込まれてしまう。

 小林旭主演の“ギャンブラー”シリーズ第一作となった作品(原作:野村敏雄/脚本:山崎巌)。監督の牛原陽一はサイレント時代の大監督だった牛原虚彦の子。
 シリーズ終盤の中平康監督『黒い賭博師』が奇想天外でコミカルな作品になったのとは異なり、第一作はシリアスで題名どおり“渡り鳥”的イメージの作品。ただし、渡り鳥シリーズとも異なり、いかにも荒唐無稽な設定ではなくシリアスなムードで通している。加えて、モノクロ作品になっているためか映像がシャープで作品の雰囲気を締めている(撮影: 岩佐一泉)。
 小林旭のアクションやダイスさばきは実にスピーディで鋭い。演技もシリアスで一貫している。アキラ映画に付き物の歌を唐突に唄い始めるところは非現実的だが。
 ストーリーは流れ者を主人公とした作品の類型に沿っていて目新しさはないが、シャープな絵作りと小林旭のシリアス演技によって『黒い賭博師』以降とはまた違う魅力を持つ一本。(2005/10/17)

忍者狩り にんじゃがり
監督 山内鉄也
公開年 1964年
評点[A’]
感想  今日は、近衛十四郎主演の『忍者狩り』を観た。監督は山内鉄也で、昭和三十九年(1964)の作品。

 幕府が外様大名の取り潰しを図っていることを知った伊予松山二十万石・蒲生家の家老・会沢土佐(田村高廣)は、かつて幕府に主家を取り潰された浪人である和田倉五郎左衛門(近衛十四郎)・永長八右衛門(佐藤慶)・筧新蔵(山城新伍)・天野弥次郎(河原崎長一郎)を雇った。蒲生領に潜入した公儀隠密“闇の蔵人”(天津敏)一味と四人との死闘が始まる。

 ジャンルとしては忍者映画に入るかもしれないが、それに対抗する者たちの視点で描いていて、容易に正体を掴めない徹底的に不気味な存在として忍者を描いているのが面白い。彼らと戦う和田倉らも、容易ならぬ敵に対抗するため常軌を逸した手段をとって、蒲生家の家臣たちと観客は唖然とさせられる。大変よく練られた脚本(高田宏治)だと思う。コントラストの強い非常にシャープなモノクロ映像も効果的(撮影:赤塚滋)。
 隠密の首領の天津敏は非常に迫力があるが、ちょっとやりすぎで漫画的というか劇画的になってしまったのが惜しいような気がする。ラストも、もっとアッサリ終わらせても良かったのでは。(2004/02/25)

愛と死をみつめて あいとしをみつめて
監督 斎藤武市
公開年 1964年
評点[B]
感想
Amazon
愛と死をみつめて
愛と死をみつめて

 今日は、斎藤武市監督の『愛と死をみつめて』を観た。昭和三十九年(1964)の作品。

 顔を軟骨肉腫に冒されて入院している小島道子(吉永小百合)には、数年前から文通しているペンフレンドの高野誠(浜田光夫)がいた。道子の入院が長引くにつれ、思いをつのらせる二人だったが、道子の最期は確実に近づいてきていた。

 当時、満都の紅涙を絞った闘病記(原作:大島みち子・河野実)の映画化(脚本:八木保太郎)。吉永小百合&浜田光夫の“青春コンビ”は、まさにハマり役。その先には絶望しかない道子と、無限の未来が開けている誠の対比がよく表現されていた。若き日の吉永小百合が美しいだけに、顔を冒される病気の悲劇性が際立つ。
 しかし、やはり今の目で観ると感傷過多な部分もあるし、吉永小百合が最期まで美しすぎ、健康的すぎるだと思う。ただし、患者本人と周りの間の深まる溝は表現されていた。道子の父親役は笠智衆。(2001/12/27)

眠狂四郎女妖剣 ねむりきょうしろうじょようけん
監督 池広一夫
公開年 1964年
評点[C]
感想
Amazon
眠狂四郎女妖剣
眠狂四郎女妖剣

 今日は、市川雷蔵主演の『眠狂四郎女妖剣』を観た。監督は池広一夫で、昭和三十九年(1964)の作品。

 ある時、眠狂四郎(市川雷蔵)は川辺に打ち上げられた大奥の奥女中の死体を見る。それをきっかけとして将軍の娘・菊姫(毛利郁子)の乱行を利用した備前屋(稲葉義男)と御典医(浜村純)の悪事や隠れキリシタンの謎の女・びるぜん志摩(久保菜穂子)の存在を知った狂四郎は、自らの出生の謎をも知ってしまう。

 『眠狂四郎』シリーズの第四作目。この作品から、“円月殺法”に特殊効果が用いられるようになり、よりそれらしくなってくる。また、この作品では、人を斬ったときの血や女性の裸・濡れ場などが多くなっている(モロに見せるわけではないが)。柴田練三郎の原作に近くしたのかもしれないが(脚本:星川清司)、映像化されると少々エログロ趣味という感もある。公開当時は映画界が斜陽の一途をたどりつつある時代だったので、客ウケを狙った意味もあったのだろうか。
 菊姫の乱行や隠れキリシタンや狂四郎の出生の謎、そして第1作(殺法帖)で登場した少林寺拳法の使い手(若山富三郎)など要素が盛りだくさんだが、まとまりは今ひとつのように見えた。(2002/09/25)

[1] [2]

昭和三十九年(1964)
掲示板 Return to年代順邦画備忘録Top pageHOME PAGE