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昭和四十二年(1967)
ある殺し屋 あるころしや
監督 森一生
公開年 1967年
評点[A]
感想
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ある殺し屋
ある殺し屋

 今日は、市川雷蔵主演の『ある殺し屋』を観た。監督は森一生で、昭和四十二年(1967)の作品。

 小料理屋を営む塩沢(市川雷蔵)は、実は凄腕の殺し屋だった。一匹狼を通していた彼だが、前田(成田三樹夫)と圭子(野川由美子)という男女がつきまといはじめる。

 市川雷蔵が珍しく戦後の人物を演じた作品。『ぼんち』とこのシリーズくらいではないだろうか。ほとんど彼の地の姿のような七三分けが実に似合う。
 雷蔵の演ずる殺し屋像は、態度はクールでありながら冷酷非道に徹するというのでもないところが、眠狂四郎をちょっと連想させる。しかし雷蔵も良いが、成田三樹夫の演技の三下っぷりが見事。ラスト近くのギャグ(なのかマジなのか不明だがギャグのような気がする)は最高で、最後に美味しいところを全部もっていってしまった感じ。続編も機会があったら観てみたい。
 一時間半弱の上映時間ながら脚本の構成が凝っている(原作:藤原審爾/脚本:増村保造・石松愛弘)。展開の仕方が複雑で、観ていて時系列が一瞬混乱するところもあったが。映像が隅々までシャープで鮮度が高いのは大映の作品の保存状態が良いのと、撮影が宮川一夫であるためとの双方によるものだろう。(2004/03/29)

殺しの烙印 ころしのらくいん
監督 鈴木清順
公開年 1967年
評点[A’]
感想
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殺しの烙印
殺しの烙印

 今日は、鈴木清順監督の『殺しの烙印』を観た。昭和四十二年(1967)の作品

 殺し屋ランキングNo.3の花田(宍戸錠)は組織の依頼で、ある男を護送する。元ランカーの相棒・春日(南廣)は死んだが、花田は仕事をやりとげた。だが、謎の女・美沙子(真理アンヌ)の魅力にとりつかれた花田は自分を見失い、正体不明の伝説の殺し屋No.1に狙われるようになる。

 鈴木清順監督の日活最後の作品(脚本:具流八郎)。この作品のために清順監督は経営陣の怒りを買って日活を追われ、10年の雌伏を余儀なくされたと言われているが……。
 実際観てみると、監督が思いついたケレン味あふれる絵面を繋いでいって作られたような作品で、テンポはバラバラでストーリーの脈絡は不明。粗筋の論理を追っていくと、わけがわからなくなるだろう。しかしながら各シーンを個々に観てみると、非常に奇抜でユーモアを感じさせるところもあって楽しめると思う。『東京流れ者』でも見せていたような清順監督のユーモア、私は嫌いではない。好きでない人は白けるかもしれないが。
 宍戸錠は一人芝居的なシーンが多いが、よく演じきっている。たいした役者だ。真理アンヌも癖のある顔だが(鼻が大きい……)、独特の魅力がある。南原宏治も、怖さとユーモアを感じさせる部分を両立させて好演。
 モノクロ映像は非常にシャープでテクニックも駆使され、監督の意図をよく反映していると思う(撮影:永塚一栄)。

 主人公がタクシーに乗って会話する冒頭部分から、あの押井守監督の『紅い眼鏡』を思い出した。タクシーの他にも“見つめる謎の女”(『紅い眼鏡』では兵藤まこ)などこの作品から強い影響を受けているようだ。
 しかし、同じくわけわからない作品といっても洗練されたものを感じられる『殺しの烙印』と明らかに“安い”作品の『紅い眼鏡』との差は……。演出者の資質の違いか、撮影所子飼いのスタッフ・俳優がいた時代と映画会社の撮影所が崩壊して遥か後の時代との差か……?(2004/12/31)

切腹 せっぷく
監督 小林正樹
公開年 1967年
評点[A’]
感想
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切腹
切腹

 今日は、小林正樹監督の『切腹』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 泰平の世が定まった寛永年間。譜代大名・井伊家の玄関に初老の浪人・津雲半四郎(仲代達也)が現れ、ここで切腹させてくれと乞うた。井伊家の家老・斎藤勘解由(三國連太郎)は当家ではそのようなゆすりたかりは通用しないと言い、先日ここで見苦しい切腹をした若い浪人(石浜朗)の話をしたが、津雲は強く切腹を願う。ついに切腹の用意が整うと、津雲は介錯人を三人まで指名したが、なぜか全員いなかった。

 小林正樹監督の代表作で、武士道・封建制度を批判した作品として有名な一本。
 登場する武士・浪人たちは皆能面のように表情を崩さず重々しく喋る。全体に硬質な演技と演出。徳川封建制の冷厳さを表しているのだろうか。その中で、津雲の回想シーンでは仲代達也の持つ、どことなくひょうきんな面が現れていて印象に残る。終盤の殺陣は様式的ではなく、かなりリアル。
 演技・演出と同じく硬質な映像美も印象的(撮影:宮島義勇)。出演した丹波哲郎の証言によると、仲代達也VS丹波哲郎の対決シーンは空に雲が出るまで宮島義勇が撮ろうとせず15日間待ち続けたという……。時々用いられるダッチアングル(斜め構図)も効果的だった。
 この作品で描かれている武士像は少々図式的で、いかにも後世の人間が考えたもののように見える点に疑問が残るが、戦後に作られた一連の武士道批判映画の中でも完成度の高さで頂点に立つものだろう。橋本忍の脚本の構成も巧み(原作:滝口康彦)。(2004/05/25))

銭形平次 ぜにがたへいじ
監督 山内鉄也
公開年 1967年
評点[C]
感想  今日は、大川橋蔵主演の『銭形平次』を観た。監督は山内鉄也で、昭和四十二年(1967)の作品。

 博打好きな鳶職人の平次は、亡き父親の仕事の岡っ引きを嫌っていたが、何かと目をかけてくれた親方が殺されたことを知り、父親の跡を継ぐことを決意する。平次は、親方の死が材木問屋の上州屋を狙う“千里の虎”一味によるものであることを見抜き、謎を探る。

 昭和四十一年に始まったテレビ時代劇『銭形平次』の映画版。原作は野村胡堂(脚本:田坂啓・ 山内鉄也)。平次が岡っ引きになるきっかけの話だが、これはテレビ版では描かれなかったのだろうか。テレビの方は未見なのでわからない。
 主題歌を唄っている舟木一夫がなぜか橋蔵以上の良い役で出演したり、お約束的なストーリーやアップの多い絵作りなどテレビ的なところもあるが、展開のテンポが良く、、他の時代劇の主人公と異なり、強すぎない銭形平次のキャラが面白い。平次があまり強くないというのは、原作以来の設定らしいが、大川橋蔵は小柄な優男なので、まさにハマリ役だったと思う。
 平次の理解者である与力役に大友柳太朗。平次の幼なじみ役に小池朝雄。(2003/05/10)

ある殺し屋の鍵 あるころしやのかぎ
監督 森一生
公開年 1967年
評点[A’]
感想
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ある殺し屋の鍵
ある殺し屋の鍵

 今日は、市川雷蔵主演の『ある殺し屋の鍵』を観た。監督は森一生で、昭和四十二年(1972)の作品。

 表では日本舞踊の師匠をしている殺し屋・新田(市川雷蔵)と、彼に仕事を依頼しながら報酬を奪おうとするやくざ石野(中谷一郎)と荒木(金内吉男)、そして彼らを操る実業家・遠藤(西村晃)と政治家の北城(山形勲)。

 『ある殺し屋』シリーズ二作目。続編ではなく役名と設定が変わっている(原作:藤原審爾/構成:増村保造/脚本:小滝光郎)。ただ、主人公が名前と表の仕事を変えた……ということなのかもしれないが。
 前作と同様、普段は殺し屋らしくない飄々とした雰囲気で、いざとなると鋭さを見せる雷蔵が良い。しかし、彼につきまとうやくざの石野・荒木と女(佐藤友美)に、前作の相当する役を演じた内田朝雄・成田三樹夫・野川由美子ほどのユーモラスさがないので、主人公の新田の魅力もちょっと減ってしまったような気がする。前作と全く同じような設定にするわけにはいかなかったのだろうが。
 その代わり前作よりも全体にハードボイルドな雰囲気で、題名の“鍵”の使い方も面白い。宮川一郎の撮影は相変わらずシャープ。(2004/08/17)

男なら振りむくな おとこならふりむくな
監督 野村芳太郎
公開年 1967年
評点[C]
感想  あと、今日は野村芳太郎監督の『男なら振りむくな』を観た。昭和四十二年(1967)の作品。

 ある夜、浅間のオートバイレース場に向かう片倉(橋幸夫)と大貫(田村正和)は、軽井沢の一軒家で一夜の宿を乞うた。そこには若い島野杏子(加賀まり子)が一人暮らしで、彼女は近く莫大な財産を相続する身だった。やがて杏子は彼らのバイクレースにかける情熱に惹かれていく。

 石原慎太郎の原作を元にした作品(脚本:野村芳太郎・永井素夫)。登場人物が善悪はっきり分かれていて、悪いやつは喋り方や容姿で一見してわかる実にわかりやすい作品。また、八ヶ岳に向かって「好きだー!」と叫んだりして、もう凄い。また、若い頃の田村正和は現在の演技や台詞回しとは全く異なり、いかにも街のアンちゃんという感じでビックリした。これはちょっと見ものかも。
 野村監督は、自分の取りたい作品を撮るためにはプログラムピクチャー的な作品も作って会社を儲けさせてやらねばならない、という考えをもっていたそうで、これはその商業目的の娯楽作品といった感じの一本なのだろう。(2002/10/28)

座頭市血煙り街道 ざとういちちけむりかいどう
監督 三隅研次
公開年 1967年
評点[B]
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座頭市血煙り街道
座頭市血煙り街道

 今日は、勝新太郎主演の『座頭市血煙り街道』を観た。監督は三隅研次で、昭和四十二年(1967)の作品。

 たまたま旅館で相部屋になった瀕死の女から、息子を父親(伊藤孝雄)のところへ送り届けてくれるよう頼まれた座頭市(勝新太郎)は、前原の宿場へ向かう。その父親は、土地の代官(小池朝雄)に強制され、御禁制品の仕事をさせられていた。

 座頭市シリーズ第17弾。子供を送り届けるという話は王道パターンのようだ。
 ゲストキャラの赤塚多十郎を演じた近衛十四郎との殺陣が見どころ。刀の返しが速く、刀身が長く見えるような刀さばきは素晴らしい。もう少し観たかった。勝新太郎はいつも通りの演技で、いつも通りの展開という感じ。その他の見どころは、田園風景をとらえた映像か。
 しかし、雑魚キャラが「ボイン」と言ってたのには驚いた(笑)。これって日本語なのかな?(2003/03/02)

昭和四十二年(1967)
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