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昭和五十六年(1981)
泥の河 どろのかわ
監督 小栗康平
公開年 1981年
評点[超A]
感想
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小栗康平監督作品集 DVD-BOX
小栗康平監督作品集
DVD-BOX(5枚組)
『泥の河』
『伽倻子のために』
『死の棘』
『眠る男』
特典ディスク


 今日は、小栗康平監督の『泥の河』を観た。昭和五十六年(1981)の作品。

 昭和三十一年。大阪は安治川の脇に立つ食堂の子・信雄(朝原靖貴)は、対岸に水上生活者の宿舟がもやったのに気づいた。そこの子きっちゃん(桜井稔)は信雄と同じ9歳で、二人はたちまち仲良くなった。きっちゃんには姉(柴田真生子)と美しい母(加賀まり子)がいて、信雄の両親(田村高広&藤田弓子)は、きっちゃんとなぜか遠慮がちな姉を息子の友として暖かく迎えた。

 篠田正浩・浦山桐郎・大林宣彦などの助監督を長く務めたという小栗監督の第一作。原作は宮本輝(脚本:重森孝子)。
 「もはや戦後ではない」という言葉が生まれた昭和三十一年、復興を終え高度成長へと向かいつつある日本で、それとは関係ないように社会の片隅で生きる人々。いまだ戦争の残した傷を忘れられない中年の父親。年が離れた夫婦である両親の結婚のいきさつ。信雄が見た水上生活者の暮らし。知ってしまったきっちゃん一家の秘密。等々を語り過ぎず、かつ克明に正攻法で描いた作品。
 皆それぞれ哀しみを抱いて生きる人たちの中で、最後に信雄が知る悲しみの大きさは、どれほどのものだったろうか。語る言葉もない。
 息子とその友を見守る父親・おとなしくあまり表情を動かさない信雄・表情豊かなきっちゃん・信雄に舟にはあまり来ない方が良いと言うきっちゃんの母親など、全て良い。
 1981年に昭和三十一年の風景を撮るための都合もあったろうが、白黒画面が効果的(撮影:安藤庄平)。

 『泥の河』は、もう十数年前になるだろうか、NHK総合で放映されたのを観て、物忘れの良い私としては割りに内容を覚えていて、長いこと再見したいと思っていた作品だった。NHK BSに感謝。(2004/07/27)

機動戦士ガンダム きどうせんしがんだむ
監督 富野喜幸(由悠季)・藤原良二
公開年 1981年
評点[A]
感想
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機動戦士ガンダム I 特別版 【劇場版】
劇場版
機動戦士ガンダムI
特別版

※注:↑“評点”はシリーズ全3作を通しての評価)

 今日は、劇場版のアニメ映画『機動戦士ガンダム』を観た。昭和五十六年(1981)の作品。1979年から1980年にかけてテレビ放映されたアニメの総集編第一弾。あの富野喜幸(現・富野由悠季)は総監督という名義になっていて、別に監督として藤原良二という人の名がクレジットされている。

 宇宙世紀0079年、ジオン公国と地球連邦との戦いが続く中、モビルスーツ“ガンダム”に乗った少年アムロ・レイ(声:古谷徹)は、他の少年少女たちと共に戦争に巻き込まれていく。

 いや、おなつかしゅうございます。フラウ・ボゥ(声:鵜飼るみ子)やセイラ(声:井上瑤)、シャア(声:池田秀一)といったキャラたちも、ただただ懐かしい。
 だが、今観ても面白い。絵は、かなり古さを感じさせるが、安彦良和の眉間にシワを寄せたキャラクターデザインと大河原邦男のメカデザインが良い。特に、ドクロと甲冑をイメージしたザクのデザインは最高だ。いつまで経っても通用すると思う。
 ストーリー自体もアニメでリアルな“戦争”が描かれたのは、ほとんど初めてで画期的な作品だった。富野流の人間ドラマも効果的。また、ガンダムが立ち上がる場面や、ザクのライフルの薬莢が落ちるシーン、ラストシーンのギレン・ザビの演説を聞いたセイラが顔を伏せるところなど、演出も冴えている。

 しかし、この頃から日本映画は、アニメが質・観客動員数共に実写を凌駕していくんだよな…。(2000/12/15)

じゃりン子チエ じゃりんこちえ
監督 高畑勲
公開年 1981年
評点[B]
感想
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じゃりン子チエ 劇場版
じゃりン子チエ
劇場版

 今日は、劇場用アニメの『じゃりン子チエ』を観た。監督は高畑勲で、昭和五十六年(1981)の作品。

 大阪は通天閣の見える街に住むチエ(声:中山千夏)は極道な父テツ(声:西川のりお)に代わってホルモン焼き屋を切り盛りして、たくましく生きていた。チエはお好み焼き屋の社長(声:芦屋雁之助)など街の人々の助けを借りながら、なんとかして別居中の母(声:三林京子)を呼び戻してまともな家庭を作ろうとする。

 はるき悦巳の長期連載人気マンガ(1978-1997)の初アニメ化。この劇場版の好評を受けてテレビアニメ化されたそうだ。
 西川のりお・芦屋雁之助の他、桂三枝・笑福亭仁鶴・京唄子・鳳啓介・横山やすし・西川きよしら関西のベテラン芸人、そして当時は若手だったザ・ぼんち・島田紳助・松本竜介・オール阪神巨人など、関西芸人がほとんどのメインキャストを務めている。テツの西川のりおは少々硬さを感じてしまうが、その他はまずまず上手くこなしており、自然な関西弁が雰囲気を出している。
 ストーリーはチエによる家庭回復のための奮闘のエピソードが中心で、序盤はギャグ交じりにテツの駄目駄目な面を描き、中盤からはテツも彼なりに努力する姿も描かれ、いい感じのエピソードになっていく。チエが唯一楽しみにしていることに、ちょっとしんみり。
 しかし、終盤はなぜかチエの家にいる小鉄という猫とお好み焼き屋の社長の猫のエピソードで締めくくられて中盤までとはガラリと雰囲気が変わり、拍子抜けしてしまった。初期段階の脚本ではさらに親子のエピソードがあったらしいので、猫のエピソードを削ってでも親子の話で締めくくった方が一本の映画としてのまとまりは良くなったと思う。
 あるいは、“ちょっといい話”のオンパレードになって純然たる人情噺的作品になってしまうのを意図的に避けたのかもしれないが。ただし、高畑監督の劇場用作品の中では最も一般向けかも。
 作画監督は小田部羊一と大塚康生で、絵柄はおおむね原作を踏襲しているがチエの母親は美形になっているようだ。また、チエもごくたまに色気(?)のある目元になるときがあった。(2005/05/16)

機動戦士ガンダムII 哀・戦士編 きどうせんしがんだむつうあいせんしへん
監督 富野喜幸(由悠季)
公開年 1981年
評点[A]
感想
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機動戦士ガンダム II 哀・戦士編 / 特別版 【劇場版】
機動戦士ガンダムII
哀・戦士
特別版

※注:↑“評点”はシリーズ全3作を通しての評価)

 アニメ映画『機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』は昭和五十六年(1981)の作品。『機動戦士ガンダム』の劇場版シリーズ第二弾。総監督は富野喜幸(現・富野由悠季)で、監督というクレジットは無かった。

 モビルスーツ“ガンダム”を駆る少年アムロ・レイ(声:古谷徹)は“オデッサ作戦”を中心とした戦いの中、様々な人々との出会いと別れを通して成長する。また、それと同時に新たな人類の形とされる“ニュータイプ”としての素質も急速に開花していく。

 この劇場版第2作目は、ランバ・ラル(声:広瀬正志)、ハモン(声:中谷ゆみ)、マチルダ(声:戸田恵子)など、魅力的なキャラが大勢現れては消え、シリーズ中で富野節全開の人間ドラマが最も濃密に展開される作品となった。カイ・シデン(声:古川登志夫)とミハル(声:間嶋里美)のエピソードも忘れがたい。
 ストーリー的には、テレビ版の十数話分をまとめるために、この第2作ではエピソードの大幅な組み替えと要約がおこなわれている。“黒い三連星”がすぐ姿を消すなど多少忙しい感じがしないでもないが、上手くまとめられていると思う。
 しかし、この編に登場するキャラクターは、よく立っていて魅力的だ。特にランバ・ラルとリュウ・ホセイ(声:飯塚昭三)の漢気は最高。
 絵の方は、新作画部分が前作よりも増え、その部分はかなり綺麗になっている。

 この作品の挿入歌と主題歌を歌ったのは、先頃急逝した井上大輔。名曲で、当時ヒットしたそうだ。(2000/12/16)

野菊の墓 のぎくのはか
監督 澤井信一郎
公開年 1981年
評点[B]
感想
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野菊の墓
野菊の墓

 今日は、松田聖子主演の『野菊の墓』を観た。監督は澤井信一郎で、昭和五十六年(1981)の作品。

 時は明治時代、大きな商家の次男・正夫(桑原正)は、家に手伝いに来ている従姉(いとこ)の民子(松田聖子)ととても仲が良かった。だが、年頃になるにつれ口さがない噂を立てられ、民子が年上で従姉でもあることから二人の仲は遠いものになっていく。

 伊藤左千夫の小説を原作とした作品(脚本:宮内婦貴子)で、当時デビューから数年後の松田聖子の初主演映画(だったかな?)。まさしくアイドル映画だが、オーソドックスにきちんと撮られた日本映画という感じ。主演二人の若さを強調するためか、木々や農作物の緑を強調した絵作りが美しい(撮影:森田富士郎)。
 映像は美しいし、ストーリーも時代の違いを感じさせられるものの良いし、主演の二人も素朴さを感じさせる風貌が合っていると思うが、最大の問題は演技力。彼らが台詞を口にしてしまうと…。周りの役者が非常に上手く感じられる。(2002/05/11)

昭和五十六年(1981)
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