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平成三年(1991)
ケルベロス 地獄の番犬 けるべろすじごくのばんけん
監督 押井守
公開年 1991年
評点[D]
感想
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押井守シネマ・トリロジー 初期実写作品集
押井守
シネマ・トリロジー
初期実写作品集
『紅い眼鏡』
『ケルベロス』
『Talking Head』

 今日は、『ケルベロス 地獄の番犬』を観た。監督・脚本は押井守。平成三年(1991)の作品。

 対凶悪犯罪特殊武装機動特捜班“ケルベロス”が解体された際に海外に逃れた都々目紅一(千葉繁)を追って、若い元隊員の乾(いぬい:藤木義勝)は異国に渡った。乾は、都々目と生活を共にしていた少女・唐密(タンミー:スーイーチン)と二人で彼を探し求める。

 押井監督の現在まで続く“ケルベロスもの”の一作。それにしても、噂には聞いてはいたが、予想以上に別の意味で凄い作品。押井ファンでさえ評価に窮した、というのがよくわかる。
 台湾の街や田舎の風景を延々と撮し続けて…96分の上映時間が異常に長く感じられた。予算が足りなかったのだろうか。あるいは、エキゾチズムに圧倒されたのか。戦闘シーンも戦争コントのような演出で真面目に撮っているようには見えず、不愉快にさえ感じた。それと、乾・都々目・そして“白服の男”(松山鷹志)の意図的に芝居がかった演技は、やはり不自然。
 実写版第一作の『紅い眼鏡』はお笑い映画として観られる部分もあったけれども、この作品はどこを評価して良いのか私にはわからない。(2001/02/20)

おもひでぽろぽろ おもいでぽろぽろ
監督 高畑勲
公開年 1991年
評点[B]
感想
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おもひでぽろぽろ
おもひでぽろぽろ

 アニメ映画『おもひでぽろぽろ』を観た。監督は高畑勲で平成三年(1991)の作品。

 27歳になる会社員の岡島タエ子(声:今井美樹)は、前年から夏休みには山形の遠い親戚で農作業の手伝いをすることにしていた。今年は、旅の途中になぜか小学校五年生の頃をしきりに思い出す。山形につくと、親類の一人である青年トシオ(声:柳葉敏郎)が迎えに来ていた。

 原作は岡本螢 ・刀根夕子の同名マンガ。ただし、山形へ行く部分は映画オリジナルらしい(脚本:高畑勲)。
 大ヒットを連発していた宮崎駿がプロデュースし、主役二人の声を有名俳優が担当することで話題になった。加えて、バブル崩壊直後にいわゆる“自分探し”と過去へのノスタルジー(回想部分は昭和四十一年)を描いたことも作用して平成三年度の邦画興行収入第一位の作品になったのだろうか。
 原作を生かした回想部分は、やや淡めの暖かい色彩で1960年代をノスタルジックに、そして10歳の子供の心境をリアルに描き出す。当時の流行歌やテレビ番組の主題歌を多用しているのは少々あざといとも感じたが、高畑監督の音楽的センスの鋭さを示すものだろう(エンディングテーマの訳詞は高畑監督による)。
 現代の部分は絵柄や色使いが異なり、グッとリアルになる。近藤喜文のキャラクターデザインなので人物がリアルタッチというわけではないが、表情や笑いじわの出るところなどリアリティを感じさせるし、人物の全体的な動きや“しぐさ”、そして背景が非常にリアル。ちょっと回想部分と違いすぎるように感じられなくもないが。
 また、現代部分のストーリーは、農業万歳(しかも有機農業)、都会人は農村へ回帰せよというメッセージが直球で描かれていて、ちとビックリする。現代の農業や農村が抱える問題がほのめかされているとはいえ、田舎をユートピアとして描きすぎなんじゃないか、という疑問はぬぐいきれない。別に嫌な人間を描くことがリアリズムだというわけではないが。(2004/09/19)

あの夏、いちばん静かな海。 あのなついちばんしずかなうみ
監督 北野武
公開年 1991年
評点[A]
感想
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あの夏、いちばん静かな海。
あの夏、
いちばん静かな海。

 今日は、北野武監督の『あの夏、いちばん静かな海。』を観た。平成三年(1991)の作品。

 廃棄物回収業者で働いている耳の聞こえない青年(真木蔵人)が、ゴミ集積場で壊れたサーフボードを見つけ、サーフィンを始める。海に行くときは同じく耳の不自由な少女(大島弘子)が、いつも一緒だった。

 主人公たちには台詞が皆無で、徹底して映像で語った作品。長編の映像詩とも言える。これは素晴らしい。淀川長治先生が激賞したのもうなづける。やはり北野武監督は絵心というか、映像のセンスがある。奇をてらった絵作りをしていないが、映像の切り取り方が巧みだ。
 話自体も、お涙ちょうだい的ではないのに、聴覚障害者の孤独を表現しきっている。障害者ネタのテレビドラマとは雲泥の差。ただ、最後のまとめ方はチョット疑問にも思った。しかし、エンディング間際の映像と音楽には妙に感動させられてしまった。

 やたら長台詞やモノローグを濫用したり、前衛的な映像表現ばかり使いたがるアニメ出身の監督たちは、北野作品をよく観て勉強すること(笑)。(2000/11/09)

平成三年(1991)
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