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平成十三年(2001)
BROTHER ぶらざあ
監督 北野武
公開年 2001年
評点[B]
感想
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BROTHER
BROTHER

 今日は北野武監督の『BROTHER』を観た。平成十三年(2001)の作品。

 自分の組を失ったヤクザの山本(北野武)が弟のケン(真木蔵人)を頼って渡米する。堅気だと思っていたケンが麻薬の売人をやっていることを知った山本は、弟の仲間のダニー(オマー・エプス)たちを舎弟にして組織を作り、既存のマフィアと対立する。

 北野監督が、かつて出演した『戦場のメリークリスマス』のプロデューサーだったジェレミー・トーマスと組んで、初めて海外で撮影した作品。
 海外向けも意識した作品のためか、よく言われているように、これまでの北野映画の集大成的な感じもある。銃撃戦などはスケールアップされていたが、いつものヤクザ物、という感もあったことは事実。酷評されているほどには悪い作品だとは思わなかったが……。“アニキ”という言葉がキーワードになっているように、これまでのヤクザを主人公にした作品群には無かったウェットな面も加味されていたのが、目新しいところかも。
 テレビ(地上波)でのノーカット放映だということだったが、最後のエンドロール部分がカットされていたのは、余韻が無くなって損したかもしれない。(2001/11/04)

メトロポリス(METROPOLIS) めとろぽりす
監督 りんたろう
公開年 2001年
評点[C]
感想
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メトロポリス
メトロポリス
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メトロポリス メモリアルボックス
メトロポリス
メモリアルボックス

 今日は、劇場用アニメの『メトロポリス』を観た。監督はりんたろうで、平成十三年(2001)の作品。

 世界一の大都市メトロポリスの支配者レッド公(声:石田太郎)は世界征服を企んで秘密兵器を隠した超高層ビル“ジグラット”を建て、その頭脳となる少女型ロボット・ティマ(声:井元由香)をロートン博士(声:滝口順平)に作らせていた。国際手配されているロートンを追って日本から来た探偵(声:冨田耕生)と甥のケンイチ(声:小林桂)は、ティマを破壊しようとする少年ロック(声:緒方浩暉)の暴走や都市下層民の反乱に巻き込まれてしまう。

 手塚治虫初期の作品をりんたろうと大友克洋が組んで現代のCG技術を駆使してアニメ化したことで話題となった作品(脚本:大友克洋/キャラクターデザイン・総作画監督:名倉靖博)。
 古典的洋画『METROPOLIS』へのオマージュだった原作のレトロフューチャー的世界観を再現するため、3D CGを駆使して未来都市の高層ビル群が作られている。ただし、キャラクターは手塚治虫の絵柄通りに2Dで描かれ、最近のテレビアニメ『巌窟王』に似た雰囲気。
 キャラと背景のなじみに違和感を覚えるのはいたし方ないとしても、巨額の予算をかけた背景を見せるためなのか、アニメにしては引きの画面が多くてアップが少なく、加えて背景の情報量にキャラの絵が圧倒され、登場人物の感情が観客にあまり伝わってこない。線も細く、シンプルな描線でも感情表現が豊富だった手塚キャラの魅力が薄れてしまっている。また、各キャラクターの描写が浅く、各々の行動の理由が了解しづらい。監督がCG製作スタッフ・脚本・音楽などの各分野をコントロールすることに失敗したように見えてしまう。
 フェードアウト/フェードインやアイリスイン/アイリスアウトそしてワイプなどの画面効果を多用したシーンの繋ぎ方にも少々違和感があり、音楽もクライマックスで流れるあの歌には驚かされた。3D CG映像だけは凄いが、どうにも監督の存在感が希薄に感じられる作品。(2005/06/24)

千と千尋の神隠し せんとちひろのかみかくし
監督 宮崎駿
公開年 2001年
評点[A]
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千と千尋の神隠し (通常版)
千と千尋の神隠し
(通常版)

 今日は、宮崎駿監督のアニメ映画『千と千尋の神隠し』を観た。平成十三年(2001)の作品。

 家族で八百万の神々の世界に迷い込んだ千尋(声:柊瑠美)は、豚にされてしまった両親を助けるため、湯屋“油屋”を支配する湯婆婆(声:夏木マリ)の下で働き始める。そこでは釜たきの釜爺(声:菅原文太)や同僚のリン(声:玉井夕海)、美少年のハク(声:入野自由)らが千尋を助けてくれ、カオナシや巨大な赤ん坊“坊”(声:神木隆之介)などとの不思議な出会いもあった。

 2001年に公開された宮崎駿作品最大のヒット作にして、現在のところ日本で公開された映画として最大の観客動員数を誇る作品。アニメ技術の一つの到達点を示すような作品で、とにかく映像が凄い。3D CG的な絵もあるが、あまり違和感無く融和させることに成功していると思う。アニメは実写を模倣するよりも、やはりこの作品のようにアニメ独自の世界を作り出すことを目指すべきなのかもしれない。
 主要キャラや八百万の神々は神というより水木しげる的な妖怪っぽい。食い物屋の街並みなどの世界観は純和風ではなくかなり中国的でもあり、こういうのは西洋人にウケるかもしれない。海外公開されたので、それを狙っていたのだろう。

 内容的には、働かざるもの食うべからずというか、いわゆる3Kの仕事でも自分の任務はきちんと果たせというような、ちと説教っぽいものも臭ってきたり、いつもの自然保護的なメッセージもあるが、作品のテーマはそれにとどまらず、少女(人間)が成長するために必要なことを伝えようとしているようだ。また、空想の世界にとどまりつづけてはいけない、というアニメ作家としての観客(特に子供たち)への忠告もあるのかな? しかし、この作品は過去作と比べると表現が直接的ではなく、かなり象徴的な感じがする。それゆえ、難解という評もあるようだ。
 メッセージ性は強いような気がするけど、それはそれで置いといて絵や物の怪的なキャラクターを楽しんで観ても良いのかも。ただ、やはりかなり狙って作った作品だな、という気もする。日本映画史に残る作品であることは確かだが。(2003/01/24)

COWBOY BEBOP 天国の扉(カウボーイビバップ 天国の扉) かうぼおいびばっぷてんごくのとびら
監督 渡辺信一郎
公開年 2001年
評点[B]
感想
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COWBOY BEBOP 天国の扉
COWBOY BEBOP
天国の扉

 劇場版アニメ『COWBOY BEBOP 天国の扉』を観た。監督は渡辺信一郎で、平成十三年(2001)の作品。

 時は2071年。火星の都市でバイオテロ事件が発生して大量の犠牲者が出たが、その病原体は不明であった。賞金稼ぎのスパイク(声:山寺宏一)・ジェット(声:石塚運昇 )・フェイ(声:林原めぐみ )たちが事件を探り始めると、元特殊部隊隊員のヴィンセント(声:磯部勉)が容疑者として浮かび上がり、製薬会社チェリオスケミカルも影でうごめいていることがわかる。

 1998年にテレビ東京で初放映された(諸事情で打ち切られ全26話の初放映は衛星放送のWOWOW)アニメ『カウボーイビバップ』の劇場版。続編ではなく劇中の1エピソードという設定らしい(第22話と第23話の間に位置するという)。
 賞金が懸けられた犯罪者を追う賞金稼ぎたちが主人公だが、テレビ版同様に単純なアクションものではなく、その犯罪者や関係者たちは過去や背景を持っている。ストーリー以外にも、定評のあった映像面のクオリティの高さはもちろんテレビ版以上。レギュラー声優陣も好演。
 しかし、じっくりと作りこみすぎたのか、テレビ版での展開のテンポの良さは失せているような気がする。上映時間は1時間55分ほどだが、この脚本だったら100分程度に詰めたらもっと印象が強くなるだろう。作りこみすぎというのはマニア向けの日本製劇場版アニメにまま見られる欠点だが。ただし、ストーリーは完結しているので、テレビ版を観なければわからないような難解さは無い。

 それと、個人的にちょっと引っかかったのは、作品全体に流れるアメリカ的な雰囲気。菅野よう子のジャズを中心とした音楽を始めとして、この作品がアメリカ的なのはテレビ版以来だが、それでも一応無国籍調にしていたテレビ版以上に劇場版では街を歩く人物の顔立ちや服装、街並みや建物の落書き、エピソードに絡む重要な要素のハロウィンに至るまでアメリカそのものの雰囲気がする。
 テレビ版が好評だったというアメリカの市場を意識したものだと思うし、別にコンプレックスなどは感じられないが、日本人がここまで無邪気なアメリカ讃歌を作らなくても? とも思う。
 そういえば、日本で公開された2001年9月にはアメリカで同時多発テロが発生したけど、この作品のアメリカでの売れ行きには影響しなかったかな?(補注:あとで知ったのだがアメリカでの公開は2003年5月だったという。この公開時期の遅れは政治的配慮だったのだろうか)(2004/11/17)

ウォーターボーイズ うぉおたあぼおいず
監督 矢口史靖
公開年 2001年
評点[B]
感想
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ウォーターボーイズ スタンダード・エディション
ウォーターボーイズ
スタンダード・
エディション

 今日は、矢口史靖監督の『ウォーターボーイズ』を観た。平成十三年(2001)の作品。

 ある男子高校のただ一人の水泳部員だった鈴木(妻夫木聡)は、妙なきっかけで四人の仲間とともに文化祭でシンクロナイズドスイミングをすることになり、特訓を続ける。

 製作・公開時にはかなり話題になった作品。実在の高校でおこなわれている男子シンクロをヒントとしたオリジナルストーリーで、周囲から馬鹿にされていたプロジェクトが見事成功するまでを描く『ライトスタッフ』もの(あるいは『王立宇宙軍』もの)の一種でストーリーにひねりは無いが、若い出演者たちの生きの良さとスピーディーな展開で、最後まで飽きずに観ることができた。
 登場人物たちは、実際の高校生のような自然なところと、いかにも演技しているところ(特に恋愛話がからんでくるところ)の差が気になるところもあったが、全員新人のような出演者としては好演だろう。彼らを見守る役として登場する、竹中直人・柄本明・杉本哲太といった個性派俳優が一緒に登場すると、そちらに目が行ってしまうのは仕方が無いところか。
 脚本も矢口監督によるもので、ちょっとやりすぎなくらいマンガ的な表現やお約束の展開も用いられていて、テンポも早いことから、正直言って映画というよりも実写版マンガ、という雰囲気だった。テレビ時代としては、それも良いのかもしれないけど。(2002/08/31)

伊能忠敬 子午線の夢 いのうただたかしごせんのゆめ
監督 小野田嘉幹
公開年 2001年
評点[A’]
感想  今日は、加藤剛主演の『伊能忠敬 −子午線の夢−』を観てきた。監督は小野田嘉幹で、平成十三年(2001)の作品。

 千葉の佐原の豪農に婿養子として入った伊能忠敬(加藤剛)は、長男に家督を譲ると学問を本格的に学び、地球の子午線1度の長さを実測によって割り出したいという夢を持つようになった。師匠である幕府の天文方の学者・高橋至時(榎木孝明)に、蝦夷地測量にかこつけて子午線の長さを割り出すよう示唆されると、忠敬は56歳にして旅立ち、それがきっかけで18年にわたって全国を歩くことになった。

 劇団俳優座創立55周年記念作品として1999年に企画され、二年越しで完成した作品。最初、『スターウォーズ』のように宇宙の彼方からタイトルが飛んできたときには、驚いたが(笑)、伊能忠敬の業績を堅実かつ退屈ではないようにまとめている良作。
 加藤剛主演作ということで堅苦しくなるかと思っていたけれども、単なる偉人伝説ではなくユーモラスな雰囲気が漂っているのが良い。特に、測量が数次にわたっているので、その間にある師匠の高橋至時とのやり取りが面白い。また、思いもかけないところで丹波哲郎センセイが登場したのには本当にビックリした。洪水の場面のCG合成もなかなかの出来。
 冒頭の愁嘆場はテレビドラマっぽいし、伊能忠敬の次男を演じた加藤大治郎(加藤剛の長男)の演技はナニだったが、高橋至時役の榎木孝明や間宮林蔵役の増沢望は好演している。忠敬を助ける女性お栄を演じた賀来千賀子と忠敬の娘イネ役の西田ひかるは、まぁ、いつもどおり。

 文部科学省選定作なので退屈な作品であることを覚悟して行ったが、予想以上の佳作だった。私は加藤剛ファンなので多少ひいき目があるかもしれないけれども。(2001/11/21)

平成十三年(2001)
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