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赤い手の娘達 あかいてのむすめたち
監督 小田基義
公開年 1941年
評点[B]
感想  今日は、小田基義監督の『赤い手の娘達』を観た。昭和十六年(1941)の作品。

 ある漁師町の娘お浜(櫻町公子)は家族を漁の事故で失ったため、紹介されて東京の槇博士(汐見洋)の家に女中奉公に出た。田舎者丸出しのお浜は周囲との摩擦が絶えないが、画家の島田(月田一郎)や女中の同僚など、彼女の真価を認める者たちもいた。

 山出し(この作品は海だが)の娘が都会のブルジョアの家に奉公して、その純朴さに周囲が戸惑い、やがて感化されるという女中もの(お手伝いさんもの)の一作。展開は予想通りで目新しいものはないが、主人公の演技がわざとらしくなく、また田舎者をことさら滑稽に描いているわけでもないため、抵抗なく観ることができた。櫻町公子という人は出演作は少ないが、この一作を見た限りでは結構いい女優だと思う。上映時間が1時間強で、小品の佳作といった印象。
 太平洋戦争直前の作品だが、それらしい匂いは一度だけ「時局」という台詞が出てきたのと、子供たちが合唱する歌にそれを感じたくらい。(2003/08/26)

紅い眼鏡 あかいめがね
監督 押井守
公開年 1987年
評点[C]
感想
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押井守シネマ・トリロジー 初期実写作品集
押井守
シネマ・トリロジー
初期実写作品集
『紅い眼鏡』
『ケルベロス』
『Talking Head』

 今日は、押井守監督の『紅い眼鏡』を観た。昭和六十二年(1987)の作品。

 20世紀末、対凶悪犯罪特殊武装機動特捜班“ケルベロス”の隊員だった都々目紅一(千葉繁)・鷲尾みどり(鷲尾真知子)・烏部蒼一郎(田中秀幸)の三人は当局からの解隊命令を拒み、防弾装備のプロテクトギアと武器を持ったまま海外逃亡を図る。しかし、都々目紅一以外の二人は重傷を負い、彼は一人で旅立つ。そして三年後、都々目は街に帰って来た…。

 押井監督の実写第一作。政治っぽいのが好きな監督の全共闘趣味を前面に押し出して作られた作品。近作の『人狼』(押井守は脚本を担当)まで連なる“ケルベロスもの”の第一弾でもある。
 かなり久しぶりに再見したのだが…やっぱりねぇ…。古い邦画慣れした目で観ると…昔と今の作品を比べても詮無いことなのだが。なんと言うか、無茶苦茶(笑)。アングラ演劇みたいな演出が鼻につく。映像的にも目を見張るものがあるわけでもないし…。アニメでは鮮烈な印象の映像を作れても、実写となると簡単にはいかないのだろうか。まぁ、バカ映画(←ある種の誉め言葉)…と言って悪ければ、ドタバタアクション映画として観られる部分はあるかも。
 主演の三人は声優として有名で、その他のキャストも多くは声優。特に印象に残る演技は無いが、元々舞台畑の女優だった鷲尾真知子の演技が一番巧みだっただろうか。
 それと、これで116分というのは長すぎる。90分もあれば良かったのでは。“赤い少女”を演じた兵藤まこの美しさだけが妙に印象に残った。(2000/12/26)

赤垣源蔵 あかがきげんぞう
監督 池田富保
公開年 1938年
評点[B]
感想 『忠臣蔵 赤垣源蔵 討入り前夜』(ちゅうしんぐらあかがきげんぞううちいりぜんや)を参照

赤線地帯 あかせんちたい
監督 溝口健二
公開年 1956年
評点[A]
感想
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溝口健二 大映作品集Vol.2 1954-1956
溝口健二
大映作品集Vol.2
『近松物語』
『楊貴妃』
『新・平家物語』
『赤線地帯』
「時代を越える溝口健二」
(NHKドキュメンタリー長尺版)

 溝口健二監督の遺作『赤線地帯』(1956年)を観る。いや〜なんつーか、辛口とゆいますか、男がこれ観たらフーゾクとか行く気が萎えるかも(笑)。この映画に対する評にあるように、確かに娼婦たちは多少類型化されている感じもするが、この切り方は紅灯の巷に親しんだ溝口ならではだろう。作品中くり返されているように、国会で売春防止法が審議されている中で斜陽を迎えつつある赤線地帯に捧げた彼なりの挽歌だろうか。
 京マチ子演ずるケバい娼婦役は、楊貴妃よりもハマっていた(笑)。元々派手な顔立ちだし。若い頃の若尾文子は綺麗やね。それにしても、昭和三十一年の日本の貧乏くさいこと。溝口健二が随分と昔に死んだことがわかる。(2000/02/09)

暁の合唱 あかつきのがっしょう
監督 清水宏
公開年 1941年
評点[A’]
感想  今日は、清水宏監督の『暁の合唱』を観た。昭和十六年の作品(1941)。

 高等女学校を出た斎村朋子(木暮実千代)は女子専門学校への進学をやめ、なんと運転士志望でバス会社に就職する。しかし、まずは車掌をやらされ、そこで様々な小事件に遭遇したり、彼女を見守る会社の浮田兼輔 (佐分利信)や彼の友人の小出三郎(近衛敏明)などの人々と出会う。

 石坂洋次郎の原作(脚本:斎藤良輔)。戦後、同じ原作で2本作られているようだ。
 私が今まで観たことのある木暮実千代の出演作は全て戦後のものだったので、彼女はお色気たっぷりの年増女というイメージしかなかったが、さすがに戦前作だと若々しい少女。それでも、田舎の十代の少女にしては、どこか華やかな印象をのぞかせているような気がする。
 清水宏監督のバスものというと、代表作の一つ『有りがたうさん』が思い出される。バスの乗客の群像を描いている点ではそれに似た雰囲気があり、純朴そうに見せかけていながら小ずるい老婆(飯田蝶子)や花嫁さんなどのエピソードが面白い。
 しかし、バスの外のエピソードも多く、会社の中での人間関係や、主人公と浮田と小出たちとの微妙な関係も、極端さを避けた淡々とした筆致だが細やかに描かれていて、心に残る。観賞後の後味の良さは他の清水作品に共通するところ。(2004/02/05)

赤西蠣太 あかにしかきた
監督 伊丹万作
公開年 1936年
評点[A’]
感想  今日は、伊丹万作監督の『赤西蠣太』を観た。昭和十一年(1936)の作品。

 江戸初期、伊達家の重臣・伊達兵部の家に新たに召抱えられた赤西蠣太は、将棋だけが趣味の不粋もの。だが、実は伊達兵部と原田甲斐のお家乗っ取りの陰謀を探るため潜入した密偵だった。密書類を手に入れた彼は、伊達兵部家から逃げ出すために美人で評判の腰元・小波(毛利峯子)に恋文を出して自らスキャンダルを作り出そうとするが、うまくいかず……。

 現在では伊丹十三の父親として知られている伊丹万作の代表作。といっても、現存作品は少ないようだが。歌舞伎などで有名な“伊達騒動”を舞台にした原作は志賀直哉によるものだそうだ(脚本:伊丹万作)。
 冒頭の、雨と水溜りの波紋が美しい。山中貞雄の『人情紙風船』や黒澤明の『羅生門』など、日本映画の雨の描写は特徴的だが、そのハシリか? 演出は、冒頭の捨て猫を押し付けあうところからコミカルな小技が効いていて洒落ている。赤西が腰元の名を考えてやる場面で、池の水面を見て小波という名を発想したのは、黒澤明監督の『用心棒』と『椿三十郎』の主人公が自分の名を考えるシーンの元ネタらしい。『赤西蠣太』の助監督だった佐伯清監督がそう言っていた。音楽の使い方も面白い。

 立ち回りや殺人シーンを直截的に描かないところ省略を効果的に使うところなどは山中貞雄の『百万両の壺』を思わせる。ただ、テンポ・リズムは『壺』の方が良く、『赤西蠣太』は上映時間の割りにテンポがのろく感じられた。また、伊達騒動の粗筋だけでも知らないと、話の背景がちょっとわかりづらいかもしれない。とにかく、伊丹万作の他の作品も観てみたい。(2002/06/26)

赤ひげ あかひげ
監督 黒澤明
公開年 1965年
評点[A]
感想
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赤ひげ
赤ひげ
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黒澤明
黒澤明 :
DVD BOXSET 1

 今日は、黒澤明監督の『赤ひげ』を観た。昭和四十年(1965)年の作品。原作は、山本周五郎の『赤ひげ診療譚』。

 時は幕末近く、幕府の御典医への道を歩むべく長崎への遊学から帰った保本登(加山雄三)はなぜか、貧民への施療をおこなっている小石川養生所に配属される。彼は、そこの主“赤ひげ”こと新出去定(三船敏郎)に反発するが、赤ひげの人柄と養生所を訪れる人々に触れることによって成長していく。

 映画が斜陽になった時代、危機感を抱いた黒澤監督の意気込み充分に作られた作品。撮影に1年をかけ、完成まで足かけ2年を費やした大作。
 権威主義的だとかヒューマニズムを振り回しすぎだとかいう批判があったそうで、確かに黒澤的な説教臭さや台詞の多さはあるが、この作品では、さほど鼻につくほどではないと思う。かなり以前、原作を読んだことがあるけれども、その目で観ても、山本周五郎の描くシリアスなエピソードをパワフルな演出で、ほぼ完全に映像化することに成功している。各挿話ごとに感動の波に襲われる傑作。若い医学生を演じた加山雄三が好演。
 ちなみに、批判の対象となった「こんな乱暴はよくない。医師ともあるものがこういうことをしてはいけない」という台詞は、映画オリジナルではなく原作にもある。(2001/04/01)

秋日和 あきびより
監督 小津安二郎
公開年 1960年
評点[A’]
感想
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秋日和
秋日和
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小津安二郎 DVD-BOX 第一集
小津安二郎
DVD-BOX
第一集

 今日は、小津安二郎監督の『秋日和』を観た。昭和三十五年(1960)の作品。

 母娘2人暮らしの三輪秋子(原節子)とアヤ子(司葉子)。娘が年頃だというので三輪の亡夫の旧友、間宮(佐分利信)・平山(北竜二)・田口(中村伸郎)の三人組が世話を焼こうとするが、アヤ子は母を残して嫁に行けないと乗り気でない。そこで、三人は秋子の方から話を進めようとして…。
 これは『晩春』のリメイク的な作品。かつては娘役だった原節子が母親になっている。さすがに四十になっていたのでオバサンっぽくなってはいるが美しいので、妙に美人の母娘というのも不自然にも見える(笑)。
 『晩春』よりは登場人物が増え、筋立ても多少複雑にはなっている。旧友三人組が面白い。やもめになっていた平山が秋子と結婚してはどうか、という話になって彼が有頂天になってしまう所など。それと、三人の間で交わされる猥談めいた話も。脚本を書いた野田高梧も小津も明治生まれの教養人だから上品な下ネタを書けたのかもしれない。戦後生まれの漫画家などが、エロマンガでないストーリーマンガの中で面白いと思って下ネタを使ったりしても悲惨なことになる。
 しかし、やはり“オリジナル”ほどの深みはないかなぁ。小津本人も自らあまり高い評価をしていなかったようだし…。それに、これで128分というのは長い。15分かそこらは切れそうだ。(2000/09/28)

悪名 あくみょう
監督 田中徳三
公開年 1961年
評点[A’]
感想
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悪名
悪名
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悪名 DVD-BOX・第一巻
悪名 DVD-BOX
第一巻
悪名
続・悪名
新・悪名
続・新悪名
第三の悪名

 今日は、勝新&田宮二郎主演『悪名』を観た。昭和三十六年(1961)の作品で、監督は田中徳三。

 河内の農家の放蕩息子だった朝吉(勝新太郎)は、ふとしたことから暴れん坊のヤクザ“モートルの貞”(田宮二郎)と義兄弟の契りを結び、無頼の世界に身を投ずることになる。

 有名なシリーズ物の第一作。思っていたよりも、破天荒な作品ではなかった。第一作のためでもあるだろうか。若い頃の勝新はまだ痩せていて二枚目風で、登場する女性たち(中田康子・水谷良重=二代目水谷八重子・中村玉緒・浪花千栄子)によって運命を導かれているような印象がある。朝吉アニィ、モテモテ王国状態(笑)。貞はカッコイイが、まだ作品中での影は薄めな感じ。
 脚本は依田義賢で、撮影は宮川一夫。溝口健二作品で有名な二人が参加しているだけあって、様式美を感じさせる正統派的な作品という感じ。特に、コントラストが強めのカラーのシネマスコープサイズの画面が美しい。(2001/05/25)

赤穂義士 あこうぎし
監督 荒井良平
公開年 1954年
評点[C]
感想  今日は、荒井良平監督の『赤穂義士』を観た。昭和二十九年(1954)の作品。

 時は元禄十四年。浅野内匠頭(黒川弥太郎)が吉良上野介(瀬川路三郎)へ刃傷に及び切腹、浅野家は断絶。浅野家筆頭家老・大石内蔵助(進藤英太郎)のもとに集まった浅野家家臣の不破数右衛門(杉山昌三九)・岡野金右衛門(南条新太郎)・赤垣源蔵(坂東好太郎)には、それぞれの数奇な運命が待ち受けているのであった。

 おなじみ忠臣蔵もので、多くの場面で四人の浪曲師(寿々木米若・梅中軒鶯童・富士月子・玉川勝太郎)の語りが流れる浪曲映画(原作:萩原四朗/脚本:池田菁穂)。
 主な内容は不破数右衛門と病妻(三条美紀)の話・岡野金右衛門恋の絵図面取り・赤垣源蔵徳利の別れといった創作性の強いエピソードで、まさにいわゆる“浪花節的”な感じ。演出も湿っぽいというか、ちょっと定番的過ぎて一工夫欲しいような気もした。
 この作品の一番の見所は悪役の多い進藤英太郎が大石役であることかもしれない。吉良上野介役さえやっているのに(この作品の後らしいが)。月形龍之介も同じく吉良と大石を演じていて、両者とも一般的な大石のイメージとは異なる底の知れなさを感じさせるので(観る方の先入観のせいだが)、実際の大石の雰囲気に近いのかも……なんて思ったりもする。(2005/12/18)

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