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赤穂義士 あこうぎし
監督 伊賀山正光(正徳)
公開年 1957年
評点[A’]
感想  今日は、伊賀山正光監督の『赤穂義士』を観た。昭和三十二年(1957)の作品。

 浅野内匠頭(尾上鯉之助)の刃傷による赤穂浅野家の断絶後、浅野家御用商人だった天野屋利兵衛(月形龍之介)はあらゆる艱難辛苦を乗り越えて、元浅野家家老の大石内蔵助(大河内傳次郎)以下の同志たちのために働こうとするのだった。

 浪曲師(春日井梅鴬・天津羽衣・春野百合子・松平国十郎)たちの語りが入る(浪曲構成:木村正一/作詞:吉野夫二郎)忠臣蔵ものの一本。
 この作品の三年前の大映作品と題名どころか浪曲映画という企画までそっくり。ただし、こちらは大石内蔵助以下の赤穂藩士ではなく、義商と言われる天野屋利兵衛(芝居などでは天河屋義兵衛とも)が主人公であるのが珍しい。
 天野屋の月形龍之介は思慮深い中に情熱を秘めた男を好演。彼の浅野家への忠義と家族への愛情は感動的で(脚本:尾形十三雄)、白黒の90分強で忠臣蔵映画としては小品だが、忠臣蔵外伝ものの佳作と言ってもいいかもしれない。
 また、モノクロ画面が美しく(撮影:杉田正二)、登場人物にあまり語らせたり大げさに表情を動かさせたりせず、押さえた演出も効果的になっている。(2005/12/24)

赤穂浪士 あこうろうし
監督 松田定次
公開年 1956年
評点[B]
感想
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赤穂浪士 天の巻・地の巻
赤穂浪士
天の巻・地の巻

 今日は、松田定次監督の『赤穂浪士』を観た。昭和三十一年(1956)の作品。

 元禄十四年、勅旨接待役に任ぜられた浅野内匠頭(東千代之助)は指南役の吉良上野介(月形龍之介)に刃傷に及び、即日切腹を言い渡される。その報を受けた大石内蔵助(市川右太衛門)は、主君の仇を打つため、密かに同志たちと準備を始める。それを予測した上杉家家老の千坂兵部(小杉勇)は、世をすねた浪人の堀田隼人(大友柳太郎)・大泥棒の蜘蛛の陣十郎(進藤英太郎)・元上杉家の家臣の娘さち(田代百合子)を密偵として大石のもとへ放った。

 原作は大佛次郎の小説(脚色:新藤兼人)。何度目かの映画化らしい。オリジナルキャラを加えて赤穂義士と呼ばれていた四十七士を“浪士”とした原作だが、この映画全体の演出や俳優の演技は旧来の忠臣蔵ものに似た雰囲気。それはそれで良いのだが。
 大友柳太郎の堀田隼人は、外見や殺陣は実にいい感じ。ただ、彼の冷めた考え方があまり表現されていなくて、あまり虚無的な雰囲気が出ていなかったと思う。映画では台詞やモノローグが大幅に削られざるを得ないから、登場人物の思想を表現するのは難しいのだとは思うが。大盗賊を演じた新藤英太郎は、善人と悪役の中間のようなキャラを上手く演じていた。月形龍之介の吉良は実にハマリ役。
 この作品では赤穂浪人の脱落者の中から小山田庄左衛門にスポットが当てられ、中村錦之助(のちの萬屋錦之介)が演じている。内蔵助が東下りの際に名を騙る立花左近役に、片岡千恵蔵。(2002/12/08)

憧れのハワイ航路 あこがれのはわいこうろ
監督 斎藤寅次郎
公開年 1950年
評点[C]
感想
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栄光の新東宝映画傑作選「憧れのハワイ航路/金語楼の子宝騒動」
新東宝映画傑作選
「憧れのハワイ航路/
金語楼の子宝騒動」

 今日は、斎藤寅次郎監督の『憧れのハワイ航路』を観た。昭和二十五年(1950)の作品。

 夜間中学に勤めるハワイ生まれの英語教師・岡田(岡晴夫)は、街で花売り娘の少女(美空ひばり)を助けた。彼女を下宿に連れて帰ると、下宿のおばさん(清川玉枝)は少女の顔に見覚えがあると言い…。

 『憧れのハワイ航路』などで当時人気の高かった歌手・岡晴夫と美空ひばりの歌がたっぷりのアイドル映画。離れ離れになっていた親子の再会が主なテーマで、全体に古〜い映画って感じがする。美空ひばりは前年の『ラッキー百万円娘』より成長していて、歌唱力も進歩している。しかし、なぜか『百万円娘』よりも画質・音質共に状態が良くない。
 主人公の同居人に古川ロッパ。下宿のおじさん役に花菱アチャコ。(2001/06/15)

浅草の灯(淺草の灯) あさくさのひ
監督 島津保次郎
公開年 1937年
評点[A’]
感想  今日は、島津保次郎監督の『浅草の灯』を観た。昭和十二年(1937)の作品。

 時は大正、浅草オペラの華やかなりし頃。可憐なコーラスガール麗子(高峰三枝子)は、世話になっている夫婦や師匠から、浅草の実力者の妾になるよう強いられていた。ペラゴロ(オペラ+ゴロツキ=浅草オペラマニアの意)のボカ長(夏川大二郎)や劇団の二枚目・山上七郎(上原謙)ら仲間たちは彼女を救おうとする。

 関東大震災で大打撃を受けるまで隆盛していた浅草オペラを舞台とした作品(原作:浜本浩/脚本:池田忠雄)。
 高峰三枝子は美人タイプなので少女と呼ぶにはどうしても大人っぽいが、その他ちょっとやくざっぽい二枚目の上原謙・のんきなオペラファンの夏川大二郎・山上を密かに慕う射的場の女を演じた吉川満子など個性豊かでユニークなキャラクターが揃い、俳優たちも巧みに演じている。笠智衆がインテリ風の演劇青年を演じているのが印象的。しかし中でも、弟子の麗子にきつく当たるプリマ女優を演じた杉村春子の迫力が凄い。昭和十二年ではまだ28歳かそこらなのに……この頃からこういう役をやっていたんだ(笑)。
 主人公の境遇やラストの決着のつけ方はちょっと古典的だけれども、堅気の世界からはみ出した極道者だが仲間のためには一肌脱ごうという演劇人たちの心意気が主題で、観ていて気持ちの良い作品だった。
 古き良き時代の浅草がよく再現されていて(撮影:生方敏夫 /美術考証:金須孝・浜田辰雄)、エノケン(榎本健一)や清水金一・左卜全など後の映画界の人材を産んだ浅草オペラの世界の雰囲気を知ることができて大変興味深かった。

 残念なのは音声状態が悪いのと、現存版は公開当時のプリントよりかなり短くなってしまっていること。欠落はあまり気にはならないが、ちょっと急に展開するような感じのところがある。(2005/02/12)

朝日は輝く あさひはかがやく
監督 溝口健二・伊奈精一
公開年 1929年
評点[評点なし]
感想
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雪夫人絵図/朝日は輝く(短縮版)
雪夫人絵図/
朝日は輝く(短縮版)

 今日は、溝口健二監督の『朝日は輝く』を観た。共同監督は伊奈精一で、昭和四年(1929)の作品。

 創業五十周年という文字が電光ニュースに輝く大阪朝日新聞社。今日も記者たちが忙しく働く中、客船オーロラ号の火災事故発生の報が飛び込んでくる。大阪朝日の記者や救護班の面々は飛行機やモーターボートを駆使して事故現場へ向う。

 創業50周年を迎えた大阪朝日新聞社が日活に製作を委嘱した宣伝映画。原版はとうに失われていたが、ロシアのゴスフィルモフォンドで発見され里帰りした作品の一本。『雪婦人絵図』のDVDに併録されているので観ることができた。
 といっても、このフィルムはオリジナル版の約四分の一の“再編集版”で、作品のドラマ部分が削ぎ落とされ新聞社のPRとなる部分のみ残されているものらしい。入江たか子主演と伝えられているものの彼女の姿は全くないほどで(もう一人の主演の中野英治の姿はあるのかな? よくわからない)、この再編集版を映画作品として評価することはできない。
 ただし、当時としては最先端の飛行機や伝書鳩を駆使した原稿輸送や植字工が鉛活字を拾って作る当時の新聞印刷のやり方など、資料的価値は高いと思う。完全版が朝日新聞社に残っていないものだろうか?(2006/09/10)

朝やけ血戦場(朝やけ血戰場) あさやけけっせんじょう
監督 マキノ雅弘
公開年 1956年
評点[C]
感想  今日は、マキノ雅弘監督の『朝やけ血戦場』を観た。昭和三十一年(1956)の作品。

 明治維新の頃。官軍に抗している長岡藩の藩士・魚住孫次郎(大坂志郎)は身重の妻お次(北原三枝)と共に会津へ落ちのびる途中に休もうとして、隊長(河津清三郎)以下十数人の官軍の偵察隊が潜む廃屋へ入り込んでしまう。

 村上元三の原作の映画化(脚本:関喜誉仁・内田一作)。
 見ず知らずの人間たち一堂に会する、しかもそのうち一人が身重の女という設定の話はどこかで見たことがあるような気がするが、何が元ネタなのだろう。この作品(原作)なのかな……? 公開当時では新鮮なネタだったのかもしれないが、現在の目で観ると予想通りの展開で新鮮さがない。屈折したキャラクターが一人いたりするのも定石というか。 また、戦の最中の武士にしては全員が全員センチメンタルすぎてリアリティがない。反戦のメッセージ性が強すぎると思う。それに、上映時間が1時間16分の中篇だが、舞台がほぼ廃屋の中に限られるので変化がなくちょっと退屈。
 デビュー2年目の宍戸錠が出演しているそうだが全然わからなかった。(2005/09/21)

あじさいの歌 あじさいのうた
監督 滝沢英輔
公開年 1960年
評点[B]
感想  今日は、石原裕次郎主演の『あじさいの歌』を見た。監督は滝沢英輔で、昭和三十五年(1960)の作品。

 若い建築デザイナーの河田藤助(石原裕次郎)は、道端で怪我をしていた倉田という老人(東野英治郎)を助け、彼に気に入られる。倉田の娘・けい子(芦川いずみ)は子供の頃から屋敷を一歩も出ない生活をしていたが、倉田は彼女を外に出そうと決意し、けい子は藤助やそのガールフレンドのり子(中原早苗)との交流、そして幼い頃に別れた母(轟夕起子)との再会を通して、世間を知っていく。

 原作は石坂洋次郎(脚本:池田一朗)。石坂作品だけあって、一人も悪人が出てくることのないプチブル〜ブルジョアの世界が描かれている。
 今から見ると、一歩も外に出ないお嬢さまという設定からして不自然に思えてしまう。そこを置いといても、芦川いずみ演ずるお嬢さまが影が無く明るいし、彼女が一般社会に出て戸惑う描写が皆無なので、深窓のお嬢様には到底見えない。 ただし、各キャラクターが少々類型的ながらも嫌味が無いので、その会話のやり取りを楽しむことは出来る。石原裕次郎は、やはりアクションものよりも、こういうお坊ちゃん役のほうが柄に合っているような。)2002/05/06)

あした来る人 あしたくるひと
監督 川島雄三
公開年 1955年
評点[C]
感想
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あした来る人
あした来る人

 今日は、川島雄三監督の『あした来る人』を観た。昭和三十年(1955)の作品。

 大阪の大実業家・梶大助(山村聰)は、洋品店を持たせて世話している女・山名杏子(新珠三千代)がいるが、仕事のことで忙しく彼女と深い付き合いをしているわけではない。そんな関係を物足りなく思い始めた杏子、そして梶の一人娘で夫(三橋達也)との結婚生活がうまくいっていない八千代(月丘夢路)は、各々偶然の出会いによって変わりはじめる。

 井上靖の原作の映画化(脚本:菊島隆三)。実に手堅い“文芸映画”という感じで、複雑な人間関係を巧みに映像化している川島監督の手腕はさすがだは思うが、川島監督らしい機知や皮肉、映像的な工夫はほとんど見られなかった。カジカ研究家を演じた三國連太郎だけは面白かったが。
 2時間弱だが、少々長めに感じられる作品だった。(2002/10/20)

あしたのジョー あしたのじょお
監督 長谷部安春
公開年 1970年
評点[C]
感想  今日は、実写版の『あしたのジョー』を観た。監督は長谷部安春で、昭和四十五年(1970)の作品。

 ドヤ街に流れてきた少年、矢吹ジョー(石橋正次)。無頼な生活を続けるが、彼のボクシングの才能を見抜いた丹下段平(辰巳柳太郎)やライバルとなる力石徹(亀石征一郎)らとの出会いによって、ボクシングの世界に生きていくことになる。

 いわずと知れた名作マンガ『あしたのジョー』(原作:高森朝雄/画:ちばてつや)の劇場版。先に新国劇で舞台劇化されていたので、新国劇映画が映画化したらしい。
 実写版『めぞん一刻』の苦い記憶(笑)があるので覚悟して観たが、思っていたよりは、マトモな作品だった。しかし、やはり有名なマンガのキャラを実際の人間が演ずるのには違和感があるし、石橋正次の演技はちょっとキツイ。
 致命傷なのは、ファイトシーンに迫力が無いこと。クロスカウンターやトリプル・クロスも威力が伝わってこない。それと、1時間半弱の間に話を詰め込みすぎてダイジェスト版のようになっているので、原作を読んだことの無い人には話が見えづらいかもしれない。(2001/08/07)

朝の並木路 あしたのなみきみち
監督 成瀬巳喜男
公開年 1936年
評点[B]
感想  今日は、成瀬巳喜男監督の『朝の並木路』を観た。昭和十一年(1936)の作品。

 田舎に住む千代(千葉早智子)は都会にあこがれ、就職のあても無いのに旧友の久子(赤木蘭子)だけを頼りに上京する。しかし、会社勤めをしているはずだった久子はカフェーの女給になっていた。

 脚本も成瀬監督自身によるオリジナル作品。カフェーの何人かの女給たちをも描いてはいるものの、特に独立したエピソードとして描いているわけではなく、かなりアッサリした展開。激しいドラマが無く、テンポも早くはないので、ちょうど一時間の上映時間の割りに長く感じた。ただ、場末のカフェーのけだるい雰囲気は表現されているのかもしれない。
 その中でも、終盤は話が動くが……あの展開は反則かも? 最後のオチは、割りといい感じ。(2002/09/20)

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