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永遠の人 えいえんのひと
監督 木下恵介
公開年 1961年
評点[C]
感想  今日は、木下恵介監督の『永遠の人』を観た。昭和三十六年(1961)の作品。

 昭和七年、さだ子(高峰秀子)には上海事変に出征中の川南隆(佐田啓二)という思い合っている相手がいた。しかし、先に負傷して帰還してきた小清水平兵衛(仲代達也)は地主の子である権力を傘に着て、さだ子を手ごめにして妻に迎えてしまう。その時から二人の憎悪に満ちた日々が始まった。

 おなじみ木下・高峰・佐田トリオの顔合わせで、木下監督が高峰秀子のためにオリジナル脚本を書き下ろしたという。
 とにかく平兵衛とさだ子二人の憎しみ合いが凄いのだが、特にさだ子は二十四時間ぶすっとした不機嫌な顔をして平兵衛を罵っているような感じ。確かに最初は被害者ではあるが、被害者の立場にあぐらをかいているように見え、平兵衛が気の毒になってしまう。それ以前に、本当に相手を憎悪しているなら四六時中相手に辛く当たるのではなく、面従腹背して、いざという時に相手を裏切るような行動に出るのではないだろうか。
 不寛容は相手だけではなく自分も不幸にしてしまうということがテーマらしいが、さだ子のキャラクターが非現実的で素直に受け取れなかった。時折、なんと熊本弁の歌詞のフラメンコが流れるのもビックリ(作曲:木下忠司/フラメンコギター:ホセ勝田/歌:宇井あきら)。
 木下恵介監督が音楽担当の木下忠司に、音楽はシャンソンかフラメンコでいきたいとの意向を示し、木下忠司はどちらともダメだと言ったものの押し切られてしまったらしいが。(2005/03/27)

映画女優 えいがじょゆう
監督 市川崑
公開年 1986年
評点[C]
感想  今日は、NHK衛星で放映された市川崑監督の『映画女優』を観た。昭和六十一年(1986)の作品。吉永小百合の主演99本目の映画。

 大正末期から半世紀以上にわたって映画界で活躍し、“映画女優”の代名詞となった女優・田中絹代(1909-1977)の半生。

 いやぁ、驚いた。噂には聞いていたけれども、別の意味でこれほど凄い作品だとは思わなかった。登場人物たちが感情も状況も台詞で全て説明してしまい、会話のシーンは妙なカット割りで話がかみ合っておらず、各々勝手にしゃべくりまくっているように見えるし。
 田中絹代と運命的な関係にあった溝口健二……いや、彼をモデルとした溝“内”健二役に菅原文太。文太兄ィとは……まぁ、頑固そうな感じはよく出ていた。実在した人物の多くが仮名になっている。田中絹代の若い頃の一時期“事実婚”状態にあった清水宏は清光宏(渡辺徹)、彼女の初主演作品を監督した五所平之助は五生平之助(中井貴一)、松竹大船撮影所長の城戸四郎は城都四郎(石坂浩二)……というように。
 吉永小百合も、頑張ったんだろうけどねぇ……田中絹代と比べてしまうと……。それに、あのラストはなんだろう。まさしく尻切れトンボ。
 でもまぁ、観るべき所を映像に見つけられなくもない。昭和初期の撮影所の風景や、古い日本家屋の暗い室内に陽光が差し込んでくる様子が、よく再現されている。(2000/12/10)

エースをねらえ! ええすをねらえ
監督 出崎統
公開年 1979年
評点[A’]
感想
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劇場版 エースをねらえ!
劇場版
エースをねらえ!

 『エースをねらえ!』の劇場版を観た。監督は出崎統で、昭和五十四年(1979)の作品。

 全国レベルの西高のテニス部に所属する一年生部員・岡ひろみ(声:高崎真)は、新任の宗方コーチ(声:野沢那智)によって突然、正選手に選ばれる。プレッシャーの中、ひろみは宗方やお蝶婦人(声:池田昌子)・藤堂貴之(声:森功至)らの励ましを受けて成長していく。

 言わずと知れた、山本鈴美香原作の少女マンガの映画化(脚本:藤川圭介)。監督と作画監督の杉野昭夫は昭和四十八年のアニメ『エースをねらえ!』旧シリーズのスタッフで、藤川圭介は昭和五十三年の『新エースをねらえ!』の脚本家の一人。
 この劇場版はテレビ版の再編集ものではない新作。範囲としては『新』と同じく原作の第一部までで、わずか90分弱にするため岡ひろみが部員にいじめられるエピソードや試合のシーンなど、ほとんど省かれている。しかし、宗方が岡を見出す過程などオリジナルの要素も加わっており、切り詰めてギクシャクしたところは無く、一本の映画として巧みに成立している。
 ただ、終盤に宗方が語る、彼が岡ひろみを選んだ理由については「?」だった。あれはどうか……。最後の台詞もちょっと首をかしげた。
 絵柄的にはテレビアニメの旧シリーズと後に製作される『エースをねらえ!2』の中間といった感じ。個人的には、『エースをねらえ!』のアニメシリーズ(旧・新・劇場版・2・ファイナル)の中では、この劇場版の絵柄が一番好みだ。(2002/11/02)

ESCAFLOWNE(エスカフローネ) えすかふろおね
監督 赤根和樹
公開年 2000年
評点[B]
感想
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エスカフローネ
エスカフローネ
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エスカフローネ dts limited edition
エスカフローネ
dts limited edition
 アニメ映画『ESCAFLOWNE』を観た。監督は赤根和樹で、平成十二年(2000)の作品。

 高校生ひとみ(声:坂本真綾)は、日常に飽き孤独感を覚えていた。しかし突然、異世界に飛ばされて“翼の神”として迎えられ、龍族のバァン(声:関智一)とフォルケン(声:中田譲治)の争いに巻き込まれる。

 1996年に放映されたテレビアニメ『天空のエスカフローネ』の劇場版。テレビ版の総集編ではなく、ストーリーの最初からリメイクされている。
 私は、テレビ版の全話を観ておらず記憶もちょっと薄れているが、主人公ひとみはテレビ版のちょっと能天気で異世界に突然飛ばされたという巻き込まれ型ヒロインから、平和に日常に退屈した屈折のある少女として描かれている。
 劇場版は上映時間(100分弱)の都合で大幅に縮められてしまったそうで、駆け足な展開でストーリーの骨格は要するに「白馬の王子様が私を迎えに来てくれる」になってしまっているけれども、もの凄く大げさな映像表現と音楽が凄い。ジャンルとしてはファンタジーのためか一般的にあまり評価されていないようだが、アニメーションのクオリティは非常に高いと思う。(2002/12/31)

江戸群盗伝 えどぐんとうでん
監督 福田晴一
公開年 1958年
評点[C]
感想  今日は、近衛十四郎主演の『江戸群盗伝』を観た。監督は福田晴一で、昭和三十三年(1958)の作品。

 剣の腕は確かだが世をすねている小身の旗本・梅津長門(近衛十四郎)は、気まぐれな侠気を発揮したことがきっかけで将軍の御落胤だという雪姫(嵯峨三智子)と出会い、互いを忘れられなくなる。また一方では、たまたま知り合った喜三郎(名和宏)が数年前に別れて以来ずっと探していた、おとよ(福田公子)を見つけてやったが、その再会は二人にとって悲劇であった。

 柴田練三郎の原作の映画化(脚本:鈴木兵吾)。江戸後期の暗い世の中を再現することを狙ったのか闇を意識した絵作りだが、ストーリーの方も暗い。暗いのはまだしも、今から見ると女性の描き方にちょっと違和感を覚える。梅津が無理矢理ヤっちゃった女が梅津のことを忘れられなくなるなんて……。また、女性が二人とも不幸すぎるような。梅津自身にも魅力が感じられないが、原作ではどうだったのだろう。
 ストーリーの面は古い小説だから仕方ないにしても、殺陣に定評のあった近衛十四郎の主演映画としては、チャンバラが物足りなさ過ぎ。あっけ無く終わってしまう。(2002/10/03)

江戸っ子肌 えどっこはだ
監督 マキノ雅弘
公開年 1961年
評点[C]
感想  今日は、マキノ雅弘監督の『江戸っ子肌』を観た。昭和三十六年(1961)の作品。

 加賀鳶と呼ばれる加賀前田家の江戸屋敷お抱えの火消しの小頭・吉五郎(大川橋蔵)は、あるとき前田家の家臣・向井にかどわかされそうになっていた娘おもん(桜町弘子)を助けた。おもんは加賀鳶と犬猿の仲の町火消しの組頭・吉次郎(黒川弥太郎)の妹で、おもんは吉五郎に惹かれてしまい、吉次郎も打ち解けぬまでも吉五郎という男を認めるようになる。しかし、先々代からの加賀鳶と町火消しの対立と向井の魔の手は、吉五郎やおもんたちに平坦な道を与えない。

 邦枝完二の時代小説『喧嘩鳶』の映画化(脚本:結束信二)で、歌舞伎などの加賀鳶ネタ。原作がそうなのかもしれないが、マキノ作品にしては雰囲気が明るくない。また、おもんや芸者こいな(淡島千景)といった主な女性の登場人物が、男に媚びているような雰囲気があるのが、今の目で観るとちょっと気になる。現在の視点で批判しても意味ないのだろうが。こいなの兄である御家人を演じている山形勲は、かなり良い。
 火事のシーンと、火事とケンカが同時に起こるラスト近くは、さすがに盛り上がる。(2003/01/30)

江戸の白鷺 えどのしらさぎ
監督 石橋清一
公開年 1937年
評点[C]
感想  今日は、石橋清一監督の『江戸の白鷺』を観た。昭和十二年(1937)の作品。

 薩摩藩の江戸屋敷で南蛮渡来の“金龍の鍔”が盗まれると、島津家は面目にかけて犯人を捕らえるため三百両の賞金を懸けた。腕は良いが仕事が嫌いで植木職人の真似事をしている町方同心・不動重四郎(小林重四郎)は我関せずだったが、植木屋の親方が容疑者として捕らえられると事件の究明に乗り出した。

 主演の小林重四郎という俳優の名は初耳だったのでちょっと調べたら、戦前から戦後まで出演作はかなり多いようだ。主演級の役を務めた期間は短いようだが。監督も知らなかったが、監督作は数本のみのようだ。
 小林重四郎は小柄だが鋭い良い雰囲気を持っているし、小唄の師匠役の清川玉枝もちょっと裏のありそうな女をよく演じていて、俳優陣の演技はまずまず良かった。三島雅夫も出演しているが、まだ純然たる脇役。また、映像も江戸時代の家屋の雰囲気を出しているし、切れ味鋭いカットもあり、戦前の作品としては夜の場面もリアル。さすがに山の中では擬似夜景というのがバレバレだが。
 しかし、全体にテンポが一様で謎解きも特に眼を見張るものはなく、ほとんどアクションシーンがないのも物足りない。同心が主役なのに捕物がないのは……。演技と映像が良く脚本と演出がイマイチという珍しい映画。
 観終わってから気づいたのだが、撮影は『切腹』などの宮島義男(宮嶋義勇)なのか。(2004/06/13)

江戸の春 遠山桜(江戸の春 遠山櫻) えどのはるとおやまざくら
監督 荒井良平
公開年 1936年
評点[B]
感想  今日は、荒井良平監督の『江戸の春 遠山桜』を観た。昭和十年(1935)の作品。

 町奉行(鬼頭善一郎)の息子である遠山金四郎(尾上菊太郎)は父の心配をよそに、家を飛び出して遊び人のような暮らしをしていた。そんな折、金四郎の親友の流しの艶歌師・紋次(小林重四郎)が旧悪をネタに、昔の知り合いから再び仲間になるよう脅迫されていた。

 稲垣浩・山中貞雄・滝沢英輔・萩原遼・八尋不二などがメンバーの脚本グループ“梶原金八”による原作・脚本。
 おなじみ遠山の金さんものだが、梶原金八の脚本だけあって立ち回りやお白州がメインではなく“若き日の金さん”が活躍する人情噺的な作品になっている。金四郎と紋次の友情の描写や脇役で登場する“極楽コンビ”の高勢実乗と鳥羽陽之助の使い方が面白い。
 しかし、ひねったテーマだが金四郎を演ずる尾上菊太郎に今ひとつ華がないので、主人公が周囲から一目置かれる魅力的なキャラクターには見えづらく話を引っ張っていくパワーに欠け、加えて脚本も演出もオーソドックスで観客の興味を惹く意外性が乏しい。この辺、演出者の責任だろうか? 映像も戦前の日活作品としては保存状態が良く美しいが、こちらもオーソドックスすぎてメリハリに欠けるような気がする(撮影:谷本精史)。(2005/05/05)

江戸の名物男 一心太助 えどのめいぶつおとこいっしんたすけ
監督 沢島忠
公開年 1958年
評点[A’]
感想  今日は、中村錦之助主演の『江戸の名物男 一心太助』を観た。監督は沢島忠で、昭和三十三年(1958)の作品。

 三代将軍家光(中村錦之助、のち萬屋錦之介)の行列を乱した母子をかばった一心太助(錦之助の二役)。大久保彦左衛門(月形龍之介)が機転で彼を助け、二人は親分子分の関係になる。それ以来太助は一人前の男になるため、彦左衛門は旗本の意地を通すため、老中・松平伊豆守(山形勲)らの渋面をよそに暴れまわる。

 講談ネタでおなじみの一心太助の物語の映画化(脚本:田辺虎男)。前半から中盤にかけては、定番エピソードを順番に並べたような雰囲気で、ちょっとテンポに欠ける。しかし、彦左衛門と家光の話が中心になる後半からは流れが変わり、将軍と臣下というよりも父と子のような二人の関係と、彦左衛門の真意を訴える太助の姿に感動させられた。目一杯な演技に好みが分かれるところがあるかもしれないが、錦之助が懸命に訴える姿は実に良かった。
 オチはなんだか中途半端な感があるが、後に続編が控えているシリーズ作品のためらしい。(2003/04/16)

江戸は青空 えどはあおぞら
監督 西山正輝
公開年 1958年
評点[B]
感想  今日は、西山正輝監督の『江戸は青空』を観た。昭和三十三年(1958)の作品。

 江戸時代も末期に近い天保年間、江戸の庶民の暮らしは一層苦しくなっていた。ある日、一家五人が働きづめで金を貯めこんでいるという噂のある、おかつ(沢村貞子)一家に忍び込んだ勇吉(林成年)は、あっさり見つかってしまう。しかし、おかつは静かに金を出し、一家が金を貯めている理由を語るのだった。

 山本周五郎の小説を映画化した作品(脚本:九里子亭)。近年、市川崑監督によって原題の『かあちゃん』でリメイクされた。
 沢村貞子はまさに“かあちゃん”そのものに見えるハマリ役。長屋暮らしの貧乏っぷりもリアル。ただ、やはり一家が皆お人よしすぎる理由がよくわからない。もとが短編小説だからだろうが、かあちゃんをもっと描き込んでほしい気がする。(2003/02/02)

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