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大阪物語 おおさかものがたり
監督 吉村公三郎
公開年 1957年
評点[B]
感想
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大阪物語
大阪物語

 昨日は、吉村公三郎監督の『大阪物語』を観た。昭和三十二年(1957)の作品。

 近江の百姓・仁兵衛(中村鴈治郎)一家は、年貢を払えずに大阪へ夜逃げ。一家心中さえ考えたが、大名の蔵屋敷の周りに落ちている米を掃き集めて売ることを思いつく。10年経って茶屋兼両替屋の立派な店を構えたが、共に苦労してきた妻(浪花千栄子)・息子(林成年)・娘(香川京子)の顰蹙も顧みず、仁兵衛の吝嗇の度は増す一方で……。

 昭和三十一年に亡くなった溝口健二が撮る予定だった作品。溝口健二が“原作”名義でクレジットされている。原案は井原西鶴のいくつかの作品(脚本:依田義賢)。
 溝口健二は喜劇として構想していて、実際に音楽や台詞など喜劇的なものもあり、作中の各エピソードも小話のような面白いものもある。ただ、もう少し雁治郎のユーモラスな味を生かせなかったものだろうか、という感じがする。特に終盤が暗すぎるような。
 仁兵衛の娘の許婚で息子に遊びを教える他家の放蕩息子役を勝新太郎が演じていて、これがとても良い。さすがに三味線や唄はプロだ。(2003/09/07)

オオ!市民諸君(シミキンのオオ!市民諸君) おおしみんしょくん
監督 川島雄三
公開年 1948年
評点[C]
感想
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シミキンのオオ市民諸君
シミキンの
オオ市民諸君

 今日は、川島雄三監督の『シミキンのオオ!市民諸君』を観た。昭和二十三年(1948)の作品。

 骨董マニアの成金・丸屋銀造(高屋朗)は、茶碗の沼津島とカン違いしてナマズ島という無人島を買ってしまった。転んでもタダでは起きない彼は、そこに歓楽街を作ろうとするが、島には三村金八(清水金一)以下5人の漂流者たちが住みついていた。金八を籠絡して彼らを追い出そうとする銀造一味と島の住人たちが引き起こす大騒ぎ。

 川島監督の、短編も含めると8作目の作品。題名にもあるように、主人公が5人しかいない島の住人に対して「市民諸君」と呼びかけたり、なんでも投票して決めるなど、当時の戦後社会を諷刺した作品らしい。
 しかし、後の川島作品に見られるような毒が無く、ギャグも古典的なドタバタで、当時ならともかく今観ると古臭い喜劇という感じ。まだ、川島監督らしさはあまりないと思う。ラスト近くだけ少し面白く感じたが。あと、金八の彼女のアン子を演じた勅使河原幸子は今から観ても可愛い。(2001/05/19)

おかあさん おかあさん
監督 成瀬巳喜男
公開年 1952年
評点[A’]
感想  『おかあさん』は昭和二十七年(1952)の作品。香川京子と田中絹代の主演。

 福原年子(香川京子)は、クリーニング屋の両親(三島雅夫&田中絹代)・兄(片山明彦)・妹(榎並啓子)、そして甥(伊東隆)と共に暮らしている。兄は奉公先で病気になって帰って来て、父もしばらくして過労で倒れるなど、生活は厳しい。そんな家族を見守り続ける“おかあさん”の姿。

 戦前からおこなわれていた児童作文指導の、『綴り方教室』の一編を基にした作品(脚本:水木洋子)。終戦直後の貧しい庶民の暮らしが克明に描かれていて、小綺麗な小津作品とは全く異なる世界が繰り広げられている。
 香川京子は長身で顔が小さくスタイルが良すぎて、貧しい下町の中ではちょっと浮いて見え、文字通り“掃きだめに鶴”って感じ(笑)。でも、美しい。“おかあさん”の田中絹代はまさにハマり役。彼女は実際に母になったことはないのに、不思議。
 ジャンルとしては“母もの”で、湿っぽい話ではあるが、所々に笑いがあるので娯楽性は保っている。これが、今井正作品とは異なるところかも。成瀬監督に、これほどユーモアの感覚があるとは思わなかった。
 特に、ヒロインに惚れている近所の平井ベーカリーの息子・信二郎を演じた岡田英次の三枚目っぷりは爆笑もの。岡田英次に、こんな面があったとは…。また、途中で観客の誰もがアッと驚く1カットがある。ネタバレになるので説明しようがないが、これは必見かも。
 成瀬作品の中では特に名作とはされていないが、意外な掘り出し物だったかも。(2001/06/11)

お吟さま おぎんさま
監督 田中絹代
公開年 1962年
評点[A’]
感想  今日は、田中絹代監督の『お吟さま』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 千利休(二世中村鴈治郎)の娘・吟(有馬稲子)は、父の弟子であったキリシタン大名・高山右近(仲代達也)に思いを寄せる。しかし、既に妻のいる右近は愛を受け入れず、吟は万代屋宗安(伊藤久哉)のもとに嫁ぐ。その後、豊臣秀吉(滝沢修)のキリシタン弾圧により、右近や吟、そして利休の立場は微妙になる。

 今東光の原作の映画化で(脚本:成沢昌茂)、田中絹代の全6本の監督作の最後の作品。主演の有馬稲子などが関わっていた独立プロダクションにんじんくらぶの製作作品でもある。
 舞台が昔の日本、しかも茶の湯の世界が描かれていることもあって、メインの登場人物たちは常に秘めたる思いを抱いているという感じで、映画にするのは難しいものがあったのではないだろうか。しかし、この作品では大掛かりなセットや登場人物の美しい桃山風の衣装がリアリティを生み出し、観ている観客の心理を当時へ導く助けになっていて、アクションの少なさは個人的にはあまり気にならなかった。最初、吟のメイクの眉毛が太いのが目についたが、桃山時代はあれが本当なのかしら。
 高山右近の仲代達也は若々しすぎてキリシタン大名っぽくなかったが、それはそれで吟の思いに応えたくとも応えることは許されない煩悩を垣間見せる点では良かったのかもしれない。有馬稲子は秘めたる思いを抱えているにしてもちょっと一本調子で、終盤に一気に思いを吐き出すにしても、それ以前にもう少し思いの激しさを見せても良いかな、と思った。演技と演出、両方の問題か。
 演者の中で最も光るのはやはり中村鴈治郎で、娘に対する慈愛と茶の宗匠としての威厳、双方とも充分に表現していた。滝沢修の秀吉も悪くない。ちょっと立派過ぎるかもしれないが。

 中盤にさしかかるあたりで吟と下女(富士真奈美)が引き回しの女(岸恵子)を観る場面や、終盤に思いがけない形で右近と吟が逢い引きする場面は溝口監督の『近松物語』を思わせるものがあった。原作にあったのかもしれないが、脚本の成沢昌茂と演出の田中絹代の両者によるオマージュのような気もする。
 撮影を担当しているのは宮嶋義勇(義男)。茶の湯の世界と千利休と吟・右近がたどった厳しい道を象徴するかのような硬質な美しさを持つ映像が印象に残る。(2004/02/03)

お國と五平(お国と五平) おくにとごへい
監督 成瀬巳喜男
公開年 1952年
評点[B]
感想  今日は、成瀬巳喜男監督の『お國と五平』を観た。昭和二十七年(1952)の作品

 ある街道を、行き交う人々の目を惹く美しい武家の妻女風の女と若い男の従者が歩いていた。その女お國(木暮実千代)は、夫の伊織(田崎潤)を彼女に想いを寄せる友之丞(山村聡)に闇討ちされ、若党の五平(大谷友右衛門、のち中村雀右衛門)を連れて仇討ちの旅に出たのだ。しかし、お國はそんな生活に疑問を感じはじめて……。

 成瀬監督には珍しい時代劇で、谷崎潤一郎原作の映画化(脚本:八住利雄)。時代劇とはいっても、もちろん殺陣が繰り広げられるわけではなく、男女の心理のせめぎあいの描写が続く。重苦しい展開が連続して正直結構きついものがあった。しかし、説明的な台詞は少なく演技と行動で揺れる男女の心理を表現するのは、演出の賜物というべきだろう。
 ただし、溝口作品のキャラクターのような内に秘めた情熱を暗示させるような面がないので少々物足りないような気がする。後味の悪い結末は原作のせいだろうから(未読)しかたないだろう。
 山村聡が情けない男の役をやっているのは珍しい。若者役というのも、ほとんどないのでは?(2004/07/07)

鴛鴦歌合戦 おしどりうたがっせん
監督 マキノ正博(雅弘)
公開年 1939年
評点[A]
感想
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 鴛鴦歌合戦 コレクターズ・エディション
鴛鴦歌合戦
コレクターズ・エディション



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鴛鴦歌合戦
鴛鴦歌合戦

 今日は、マキノ正博(雅弘)監督の『鴛鴦歌合戦』を観た。昭和十四年(1939)の作品。

 木刀を作って暮らしている浪人・浅井礼三郎(片岡千恵蔵)は、隣の日傘作りの浪人・志村狂斎(志村喬)の娘お春(市川春代)と仲がいい。しかし、礼三郎は近くに別邸がある大商人の娘おとみ(服部富子)や、かつての同僚の娘・藤尾(深水藤子)にも好かれていてモテモテ王国状態。そんな時、狂斎と同じく骨董品マニアの殿様・峰沢丹波守(ディック・ミネ)が、お富やお春に興味を示したことから騒動が持ち上がり……。

 チョンマゲつけた登場人物の演ずる喜劇をミュージカル仕立てで描いた“時代劇オペレッタ”として名高い作品。ディック・ミネはもちろん、志村喬や片岡千恵蔵まで唄ってくれるのだからたまらない。ただ、マキノ監督の証言によると千恵蔵はちゃんと歌を唄えず(唄おうとせず?)、彼の部分だけは吹き替えだったという。志村喬はかなり上手い。♪さーて さてさて この茶碗〜 ちゃんちゃん ちゃわんと音(ね)も響く〜♪
 脚本家として江戸川浩二という名が記されているが、架空の人物で、その場のノリで撮っていったものだという。昭和十四年という時代は俗に言われているほど暗黒時代ではなく、映画も溝口健二監督の『残菊物語』や吉村公三郎監督の『暖流』などの傑作を輩出した年なのだが、それにしても戦前にこんな楽しい作品が作られているとは感心する。
 映像的にも、日傘が効果的に使われていて楽しい。モノクロだが時には色を感じさせるほど。所々画質が劣化しているのが惜しいが。

 「♪日傘さす人作る人〜 とかくこの世はままならぬ〜」
(2002/06/22)

おしどり駕篭 おしどりかご
監督 マキノ雅弘
公開年 1958年
評点[C]
感想  今日は、中村錦之助&美空ひばり主演の『おしどり駕篭』を観た。監督はマキノ雅弘で、昭和三十三年(1958)の作品。

 江戸の左官職人・源太(中村錦之助、のち萬屋錦之介)は矢場の女主人・小蝶(美空ひばり)と顔を合わせればケンカばかりしているが、互いに惚れ合っている仲。実は、源太は某大名の跡継ぎで、父が亡くなって藩内が紛糾しているのを知り、一時帰郷することにした。それを追う小蝶。

 錦之助&ひばりのスーパースター映画。個人的に、美空ひばりの相手役は大川橋蔵というイメージが強かったが、錦之助と組んだ映画もあるんだ。
 さすがのマキノ監督も、ひばりと錦之助双方の顔を立てるのに気を使ったのか、全てを無難に収めたという感じで展開が観客の予想にたがわず進むため、ちょっと退屈した。二人が痴話喧嘩する場面も長すぎるような。二人の熱狂的なファンにとっては、そこが見せ場なのかもしれないが。ただし、オペレッタ的に歌と踊りが繰り広げられるシーンではマキノ監督らしさが出る。
 錦之助の弟分役に中村賀津雄(現・中村嘉葎雄)、錦之助の実弟役に伏見扇太郎。(2003/07/10)

おしどり囃子 おしどりばやし
監督 佐々木康
公開年 1956年
評点[B]
感想  で、今日は大川橋蔵と美空ひばり主演の『おしどり囃子』を観た。監督は佐々木康で、昭和三十一年(1956)の作品。

 問題を起こして師匠に破門され旅に出た宮神楽師の菊次(大川橋蔵)は、近所の料亭の一人娘おたね(美空ひばり)と喧嘩友達のような仲で、旗本・能見三之丞(明石潮)の庶子だった。おたねは、菊次の実父が詰め腹を切らされたことを知ると、菊次に知らせるため自分も旅立った。

 原作は村上元三(脚本:八尋不二)。橋蔵&ひばりコンビの時代劇映画の一作。筋は仇討ち話で、完全に先が読める……というか、お約束のストーリーの上に乗っかって安心してアイドル俳優&歌手を観るための作品だと思うが、途中からロードムービー風になるのはちょっと面白い。(2002/12/12)

お嬢さん社長(お孃さん社長) おじょうさんしゃちょう
監督 川島雄三
公開年 1953年
評点[B]
感想
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美空ひばり DVD-BOX 2
美空ひばり
DVD-BOX 2

『お嬢さん社長』
『陽気な渡り鳥』
『ひばりの陽気な天使』
『青春ロマンスシート
青草に坐す』

 今日は、川島雄三監督の『お嬢さん社長』を観た。昭和二十八年(1953)の作品。

 “日本一乳菓”のワンマン社長・小原重三郎(市川小太夫)が健康を害して会長に退き、孫娘マドカ(美空ひばり)が社長に就任することになった。歌手志望のマドカは社長になる前からたびたび浅草の稲荷横丁に行っていたが、そこにレビュー歌手だった亡き母の父・桜川一八(坂本武)が住んでいることはまだ知らなかった。一方、会社にも奸物の専務(多々良純)らが巣食っていた。

 美空ひばり主演映画の一本(脚本:富田義朗・柳沢類寿)。16歳という設定で、このころになるともう子供っぽくなく、のちのイメージに近くなっている。
 歌+恋愛+人情噺という美空ひばり映画のフォーマットに沿っていて、さすがに川島監督も奇をてらったようなところはほとんどなく、おとなしい作りで無難な映画になっている。
 ただし、幇間である一八の弟子として登場する桂小金治は、妙な踊りを見せたり、いいかげんだったり、浅草の連中がマドカをちやほやする中で一人だけマドカを金づるとして見ているような内心を暗示したりして、ちょっと薬味を添えている。川島監督お気に入りだった小金治は、この作品では、美空ひばりをちょっと皮肉っぽく見ていたであろう川島監督の分身といった役どころなのだろうか。
 また、マドカがテレビ番組に出演して大活躍したりして、テレビ放映が始まったばかりの時点で川島監督がテレビ時代を予見していたのもたいしたものかもしれない。(2005/07/15)

織田信長 おだのぶなが
監督 マキノ正博
公開年 1940年
評点[A’]
感想 『風雲児信長』(ふううんじのぶなが)を参照

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