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 おんな
監督 木下恵介
公開年 1948年
評点[A’]
感想
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木下惠介 DVD-BOX 第2集
木下惠介 DVD-BOX 2
カルメン故郷に帰る

肖像
破戒
お嬢さん乾杯
四谷怪談(前後篇)
破れ太鼓
婚約指環

 今日は、木下恵介監督の『女』を観た。昭和二十三年(1948)の作品。

 ダンサーの敏子(水戸光子)はゴロツキの正(小澤英太郎)と別れたいと願いながらも腐れ縁が続いていた。この日も、妙にあわてて浜松に行こうという正からなんとか逃れようとするが、引きずられていく。

 メインキャストは水戸光子と小澤栄太郎の二人だけで、ほとんどロケーション撮影という“天才”木下恵介監督らしい異色作。
 ほとんど全て二人芝居で、クローズアップや超クローズアップが多く、ちょっと画面が暑苦しい感があるし、小澤英太郎は小悪党らしいものの女を惹きつけ続けるだけの魅力を出せているかどうか疑問だが、ユニークな作品。トンネルを使った演出が面白く、終盤は怒涛の展開。大物俳優が二人だけなのは、終盤に予算を使うためだったのか? と思うくらい(笑)。
 描かれている男女像は図式的だが、表現のユニークさで記憶に残る作品。(2004/04/13)

女殺し油地獄 おんなごろしあぶらじごく
監督 野淵昶
公開年 1949年
評点[B]
感想  今日は、野淵昶監督の『女殺し油地獄』を観た。昭和二十四年(1949)の作品。

 豊島屋(志村喬)の娘お吉(日高澄子)と好き合っていた大坂の商人・河内屋与兵衛(阪東好太郎)は、幕府の貨幣改鋳を批判して大坂から追放される。母おわさ(浦辺粂子)や義兄の和泉屋太兵衛(月形龍之介)は彼を案じて田舎でおとなしくしているよう諭すが、与兵衛はお吉を忘れられない。

 幾度も映画化されている近松門左衛門の『女殺油地獄』が原作ということになっている。しかし、題名とクライマックスのシーンを借りただけで、ほとんど野淵昶のオリジナル脚本に近い。
 宮川一夫の撮影はローキーと言うのだろうか、基調は暗くドキュメンタリータッチという感じ。特に夜間の室内は江戸時代の行燈やろうそくの明かりらしさを出しているが、時には大胆なシルエット処理をしていて面白い。監督の方針だろうか、映像に加えて演出や演技も様式的ではなく全体にリアルタッチになっている。
 近松ものという先入観をもって観始めると予想を裏切られるユニークな作品で一見の価値はあるかも。上田吉二郎や加東大介が演ずるオリジナルの脇役たちもいい味を出している。
 ただし、登場人物の何人かは江戸時代ではなく近代人のようだし、主人公の与兵衛の性格がどうにも魅力がない。その上、ラストシーンはいささかずっこける。同監督の『滝の白糸』もそうだったが、監督の意向なのか会社(大映)側の要請なのか……?(2006/01/19)

女殺し油地獄 おんなごろしあぶらじごく
監督 堀川弘通
公開年 1957年
評点[B]
感想  今日は、堀川弘通監督の『女殺し油地獄』を観た。昭和三十二年(1957)の作品。

 大阪の油屋・河内屋の総領である与兵衛(中村扇雀、のち中村鴈治郎)は父(二世中村鴈治郎)とは義理の間柄である家庭事情も一因で、ぐれ果てていた。そしてついに勘当。与兵衛は、彼を何かとかばっていた向かいの豊島屋の女房お吉(新珠三千代)に頼ろうとするが……。

 近松門左衛門原作の映画化(脚本:橋本忍)。しかし黒澤監督の助監督だった堀川監督のためか橋本忍脚本のためか、歌舞伎のような様式的表現は全く無く、写実的表現で貫かれている。
 両親に対して甘えと反発の入り混じった与兵衛の荒れようは凄く、扇雀がグレ果てているが甘さが残る不良息子を好演している。なんでも、当時流行りの“太陽族”を意識したというが……。父親の雁治郎も良い。与兵衛の妹を演じた香川京子の狐憑き演技は凄いというかなんというか……。
 お吉のメイクも眉を落としてお歯黒を入れた写実だが、無気味にならないのは土台が良いためだろうか。与兵衛の演技が圧倒的なので、お吉にもう少し強い印象が欲しかった気もする。
 本編の前後につくプロローグとエピローグが効果的。(2004/04/17)

女であること おんなであること
監督 川島雄三
公開年 1958年
評点[B]
感想  今日は、川島雄三監督の『女であること』を観た。昭和三十三年(1958)の作品。

 弁護士の佐山貞次(森雅之)と市子(原節子)の夫婦は、結婚から十数年経っても仲むつまじい。子供がいないので、貞次が弁護している死刑囚の子・寺木妙子(香川京子)を引き取って育てていた。そんな中、市子の親戚である娘・三浦さかえ(久我美子)が家出して転がり込んできたことから家族の中に波風が立つ。

 前年に日活で『幕末太陽傳』を撮った川島監督の、東京映画での移籍第一作。最初、オープニングで丸山明宏(現・美輪明宏)が「♪女、それは〜」とテーマ曲を歌ったのには驚いた。しかし、原作が川端康成であるためか(脚本:田中澄江・井手俊郎・川島雄三)、奇抜さはあまり無く、成瀬巳喜男作品に少し似た雰囲気を感じた。
 ヒロインの市子には清野吾郎(三橋達也)という結婚前に付き合っていた男がいたりして、原節子の女臭さを前面に出したような役作りで、小津作品などよりも自然な演技に見えた。久我美子の演ずる娘の奔放さはちょっと凄い。観客も辟易するほど。香川京子演ずる死刑囚の娘は暗〜い感じ。
 多少類型化された女性像という気もするが、キャラクターの対照が面白い作品。ただし、オチは少々とってつけたような感もある。原作がそうなのかもしれないが。(2001/11/23)

女と海賊 おんなとかいぞく
監督 伊藤大輔
公開年 1959年
評点[B]
感想  伊藤大輔監督の『女と海賊』を観た。昭和三十四年(1959)年の作品。主演は長谷川一夫と京マチ子。

 襲った船から品物と一緒に奪った女を慰(なぐさ)みものにする海賊一味。しかし、部下には好きにさせても、その頭目(長谷川一夫)は女に指一本触れようとしない。彼は心に深い傷を抱いていた。
 頭目の回想シーンの処理がチョット唐突。それに、彼は妙に女々しく悩んでばかりいる。終わりも無理にハッピーエンドにした感じ。作品中の女性観も今から見ると首をかしげるようなもので、女性が観ると楽しめないかもしれない。
 ただし、展開のテンポが良いので退屈はしなかった。伊藤監督の腕だろうか。長谷川一夫や京マチ子のファンなら楽しめるかも。(2000/11/06)

女と三悪人 おんなとさんあくにん
監督 井上梅次
公開年 1962年
評点[A’]
感想  今日は、井上梅次監督の『女と三悪人』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 江戸も末期に近い天保・嘉永の頃、女役者の瀬川喜久之助(山本富士子)に惚れた、破戒僧で土地の顔役の竜運和尚(勝新太郎)・浪人の鶴木勘十郎(大木実)・そして流れ者の芳之助(市川雷蔵)の三人の男たち。彼らは、金のために豪商・但馬屋(三島雅夫)の妾になっている喜久之助を解放しようと奮闘する。

 石原裕次郎主演の日活映画で有名な井上梅次監督の時代劇。脚本もオリジナル。舞台設定は江戸時代だが、姫を悪魔や怪物から救い出すために戦う騎士、というテーマは西洋風で、そのためか明るいストーリーでもないのにあまりジメジメせず、どこかカラッとした雰囲気がある。井上監督には時代劇のイメージはないが、意外な佳作。
 俳優たちの柄に合わせた配役と脚本が良い。その中ではやはり勝新太郎と市川雷蔵が光る。山本富士子には、運命を甘受し時には運命に逆らおうとする女性の強さがもう少し欲しい。(2003/05/22)

女の園 おんなのその
監督 木下恵介
公開年 1954年
評点[A’]
感想
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木下惠介 DVD-BOX 第3集
木下惠介 DVD-BOX 3
野菊の如き君なりき
善魔
少年期
海の花火
カルメン純情す
日本の悲劇
女の園
遠い雲
夕やけ雲

 今日は、木下恵介監督の『女の園』を観た。昭和二十九年(1954)の作品。

 京都にある正倫女子大では戦前以来の厳しい良妻賢母教育がおこなわれ、学生たちの生活にも思想にも自由は無かった。それに対して、ついに反旗が翻される。

 国文学の教授にして舎監(寮長)であり、学生たちを容赦なく取り締まる五条真弓(高峰三枝子)・一度社会人を経験したため勉強についていけず苦しむ出石芳江(高峰秀子)・奔放に自由を求める滝岡富子(岸恵子)・財閥の娘で特別待遇を受けていながら学生の先頭に立つ村野明子(久我美子)などメインキャラは数多いが、それぞれの個性が巧みに描き出されている。
 しかし、今から観ると豪華なキャストだ。高峰三枝子は超悪役(笑)。ほとんど初めて根暗な役を演じた高峰秀子も、ちょっと重苦しい感じはしたものの、上手い。
 学園生活の自由を求めて立ち上がる学生、それを扇動する左翼、学生側の内通者や仲間割れ、そして真面目に勉学しようとする学生が一番の犠牲になることなど、少し後の時代の学生運動を完全に先取りしていて見事。原作(阿部知二『人工庭園』)を踏襲しているのかどうかは、未読なので知らないが。
 作中、男性陣は完全に脇役となっている。出石芳江の恋人役に田村高廣。滝岡富子のボーイフレンド役は、のちに小津作品に出演する田浦正巳。学生指導の教員は金子信雄。

 ただし、全体に重く深刻なので141分は長いように感じた。小津映画とはまた違った長さ。もう少し詰めても良いような…?(2001/03/03)

女は二度生まれる おんなはにどうまれる
監督 川島雄三
公開年 1961年
評点[C]
感想
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女は二度生まれる
女は二度生まれる

 今日は、川島雄三監督の『女は二度生まれる』を観た。昭和三十六年(1961)の作品。

 九段の芸者おえん(若尾文子)は、人は良いが男好き。そんな彼女は建築家・筒井(山村聡)、職業不祥の矢島(山茶花究)、寿司屋の板前・野崎(フランキー堺)、十代の工員・泉山(高見国一)など、様々な男たちと触れ合っていく。

 川島監督が初めて大映で監督した作品だという。ドラマティックなストーリーがあるわけではなく、各エピソードは、おえんという女の生活を淡々と描写した映像が続く。極論してしまうと、男出入りの激しいお馬鹿な女の観察記録、という感じで個人的には観続けるのに多少忍耐が要った。ただ、観終わってみると、不思議なエンディングとあいまって、なんとなく心に引っかかるものがあるような気もする。評価は高いようだが、私には難しい作品だと思った。若尾文子の魅力は出ているようなので、彼女に思い入れがあるか否かで評価が異なることもあるかもしれない。
 この、女の生き方を批判や男への露骨な告発も交えず描く川島監督のやり方と、女を描く際に自らのテーマを絶叫せずにはいられない溝口健二のやり方を比べると、溝口健二は心底から女が好きで川島監督は女……というよりも人間全体を醒めた目で見ていたのだなぁ、と思う。
 そんな川島監督も、靖国神社を批判的に描いてしまったのは、戦争経験者ゆえだろうか。(2002/08/26)

女を忘れろ おんなをわすれろ
監督 舛田利雄
公開年 1959年
評点[A]
感想
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女を忘れろ
女を忘れろ

 今日は、小林旭主演の『女を忘れろ』を観た。監督は舛田利雄で、昭和三十四年(1959)の作品。

 試合で相手を失明させた田所修(小林旭)はボクシングを辞め、ホステスをしている年上の女・雪枝(南田洋子)と同棲しながらキャバレーのバンドでドラムを叩いて対戦相手の治療費を稼いでいた。そんな彼が、通勤バスの中で偶然出会った女学生の尚子(浅丘ルリ子)に惹かれてしまう。

 現在ではあまり語られないものの映画化作品の多い(『ある殺し屋』など)藤原審爾による原作の映画化(脚本:舛田利雄・山崎巌)
 小林旭が『渡り鳥』シリーズでブレイクする直前で、まだイメージが固まる前のためか、主人公の性格に陰影のある脚本になっており、小林旭もそれによく応えた演技をしている。雪枝や尚子そして悪役的なキャラクターも単純ではない。
 まだどことなく少年っぽさも時々匂う若き日の小林旭と可憐な浅丘ルリ子、大人の女の哀しさを見せる南田洋子などのキャラクターたちと巧みに練られた脚本が、青春の悔恨と愛するものとの別離とを存分に描き出す。公開当時の入りはそれほどでもなかったそうだが、現在観ると青春映画の傑作の一本といえると思う。
 舛田監督の映像のさばき方も巧みで、美しいモノクロ画面(撮影:姫田真佐久)や音楽の使い方も良い(音楽 :真鍋理一郎)。(2005/01/02)

怨霊佐倉大騒動 おんりょうさくらおおそうどう
監督 渡辺邦男
公開年 1956年
評点[A’]
感想  今日は、渡辺邦男監督の『怨霊佐倉大騒動』を観た。昭和三十一年(1956)の作品。

 江戸の初期、四代将軍の頃。佐倉の城主・堀田上野介正信(中山昭二)は領民に重税を科していた。さらに奸臣たちの不正によって民百姓が日々の暮らしにも困るようになると名主たちは直訴を考え、木内宗五郎(嵐寛寿郎)がその代表となる。

 歌舞伎などでも知られている『佐倉義民伝』の映画化。佐倉惣五郎(宗五郎)は江戸時代の“義民 ”の筆頭でかなり伝説化されていて、この作品の大筋はおおむね一般に流布している物語に拠っている。
 ただし、「甚兵衛渡し」や「子別れ」そして「駕籠訴」などおなじみの場面はあるものの、作品の雰囲気は様式的ではなくリアルな農民一揆物語になっていて、途中までは題名の怪談的な要素は皆無で、至極まっとうな堂々たる時代劇である。
 アラカン以下の出演者たちは全体に力が入った“熱演”だが、それが緊迫感を生み出し、渡し守の甚兵衛(横山運平)や妻(花井蘭子)子とのエピソードは胸を打つ。大名側にも良心的な家臣がいるのも好ましい。
 しかし、終盤に題名どおり幽霊話になると、いささかずっこける(笑)。昭和三十年に大蔵貢が新東宝の社長になって作品がエロ・グロ・怪談の類が中心になるまでの過渡期の作品という感じ。同時期の中川信夫監督の『怪異宇都宮釣天井』とちょっと似た雰囲気だ。今から観ると、終盤を普通に作っていれば、より佳作になっていたかもしれないので残念。

 しかし、伝説を基にしたほとんど創作のエピソードに基づく怪談映画の方が、のちにリアリズムで作られた『郡上一揆』よりも胸に迫ってくるものがあり、時にはこの『怨霊佐倉大騒動』の方がよりリアルに見える部分さえあるというのは、大変に不思議だ。(2005/09/14)

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