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WXIII 機動警察パトレイバー うぇいすてっどさあてぃいんぱとれいばあ
監督 遠藤卓司(総監督:高山文彦)
公開年 2002年
評点[C]
感想
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WXIII 機動警察パトレイバー
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WXIII 機動警察パトレイバー SPECIAL EDITION
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 今日はアニメ映画『WXIII 機動警察パトレイバー』を観た。監督は遠藤卓司で(総監督:高山文彦)、平成十四年(2002)の作品。

 2000年、東京湾臨海地区で謎の生物によってレイバーなどが襲われる事件が多発し、多くの犠牲者が出る。警視庁城南署の若い久住武史(声:綿引勝彦)とベテランの秦真一郎(声:平田広明)の捜査によって、東都生物医学研究所という研究機関が浮かび上がる。そこの主任研究員の岬冴子(声:田中敦子)は、偶然にも久住が惹かれていた女性だった。

 ゆうきまさみによるコミック版の「廃棄物13号」というエピソードが原案で、とり・みきが脚本を担当して早くから企画されていたが、延期続きの末にようやく今年(2002年)になって一般公開された作品。原案は謎の人工生物が主題だったが、この映画では二人の刑事と女性の人間ドラマももう一つの柱になっている。
 二人の刑事による捜査シーンなど、映画『砂の器』や『張込み』などの刑事ものを強く意識しているようで、二人の私生活など大変にディテールが細かく描写されているけれども、かえって作りこめば作りこむほど作り物っぽくなってしまうジレンマに陥ってしまっているような感がある。大変に作画レベルが高く演出も細かいのだが、かえって「よくできたアニメ」に見えてしまうというか。言い方は悪いが、そろそろアニメで映画ごっこする段階を卒業しても良いのでは…と思う。
 人間ドラマの方は、あんな行動をする割りには女性の印象が薄いと思う。それと、あのオチは少々安易だと思った。オチに関して言えば、その後を想像させてくれる劇場版第2作の方が良かった。また、人物がかなりリアルタッチになっていて、顔の部品の大きさも実際の比率に近いので、表情が乏しくなってしまっているようだ(岬冴子は無表情な女性だとしても)。いわゆるアニメ絵の目が巨大なのは、それなりの必然性があるということなのだろうか。

 全体にかなり批判的になってしまったが、映像の完成度は非常に高い作品。それだけに、“惜しい作品”という気がする。(2002/12/23)

ウォーターボーイズ うぉおたあぼおいず
監督 矢口史靖
公開年 2001年
評点[B]
感想
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ウォーターボーイズ スタンダード・エディション
ウォーターボーイズ
スタンダード・
エディション

 今日は、矢口史靖監督の『ウォーターボーイズ』を観た。平成十三年(2001)の作品。

 ある男子高校のただ一人の水泳部員だった鈴木(妻夫木聡)は、妙なきっかけで四人の仲間とともに文化祭でシンクロナイズドスイミングをすることになり、特訓を続ける。

 製作・公開時にはかなり話題になった作品。実在の高校でおこなわれている男子シンクロをヒントとしたオリジナルストーリーで、周囲から馬鹿にされていたプロジェクトが見事成功するまでを描く『ライトスタッフ』もの(あるいは『王立宇宙軍』もの)の一種でストーリーにひねりは無いが、若い出演者たちの生きの良さとスピーディーな展開で、最後まで飽きずに観ることができた。
 登場人物たちは、実際の高校生のような自然なところと、いかにも演技しているところ(特に恋愛話がからんでくるところ)の差が気になるところもあったが、全員新人のような出演者としては好演だろう。彼らを見守る役として登場する、竹中直人・柄本明・杉本哲太といった個性派俳優が一緒に登場すると、そちらに目が行ってしまうのは仕方が無いところか。
 脚本も矢口監督によるもので、ちょっとやりすぎなくらいマンガ的な表現やお約束の展開も用いられていて、テンポも早いことから、正直言って映画というよりも実写版マンガ、という雰囲気だった。テレビ時代としては、それも良いのかもしれないけど。(2002/08/31)

浮草 うきくさ
監督 小津安二郎
公開年 1959年
評点[超A]
感想
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浮草
浮草

 今日は、小津安二郎監督の『浮草』を観た。昭和三十四年(1959)の作品。主演は先代の中村雁治郎。

 ストーリーは、旅回りの嵐駒十郎(中村雁治郎)一座が、瀬戸内のある街(補注:正しくは南紀の志摩半島)に巡業でやって来た。公演中、なぜか駒十郎は小さな食堂に足しげく通う。実はそこに、昔の女(杉村春子)がいて、彼らの息子の清(川口浩)に叔父と称して会っていたのだ。たちまち駒十郎の今の女房(京マチ子)が勘づいて、嫉妬の炎を燃やす…といった感じ。小津作品にしてはドラマティックな展開で、溝口健二の作品みたい(笑)。戦前の『浮草物語』(1934)のリメイクだからかもしれない。

 これは小津が松竹ではなく大映に出かけて撮った作品。昭和三十一年に没した溝口健二が生前「今度うちでも撮ってくれないか」と頼んでいた約束を死後果たしたことになる。
 そのため、大映の京マチ子や若尾文子、川口浩などが顔を出す豪華キャストとなった。京マチ子と若尾文子は綺麗っす。演技では、やはり中村雁治郎と杉村春子がピカイチやね。でも、2人の息子が川口浩ってのは無理があるのでは。顔は似てないし、体型だって川口浩はずっと長身だし(笑)。
 また、大映の宮川一夫が撮影を担当して、小津流のローポジションの中でも切れを見せている。色彩の面では、松竹のカラー作品よりも色が良いような気がした。少々黄色味がかっていて少しだけ変色しているような感じはするけど、松竹のものよりも褪色は少ないようだ。大映の作品は保存が良いのかな。

 とにかく、充実した作品で大満足。やはり私はこのくらいドラマティックな方が好みかな。小津作品としては、私の中で『東京物語』に次ぐ作品となったかも。(2000/08/24)

浮草物語 うきくさものがたり
監督 小津安二郎
公開年 1934年
評点[A’]
感想
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小津安二郎 DVD-BOX 第三集
小津安二郎
DVD-BOX
第三集

 今日は、小津安二郎監督の『浮草物語』を観た。昭和九年(1934)の作品。

 喜八(坂本武)率いる旅回りの劇団“市川喜八一座”が信州の町にやってきた。彼は、なぜかある小料理屋にしげしげと通った、実は、そこの息子の信吉(三井秀男)は店の“かあやん”(飯田蝶子)と喜八との間の子だったのだ。喜八の今の女房で、一座の看板女優の おたか(八雲理恵子)は、それに感づいてしまう。

 小津監督のサイレント作の中でも完成度が高く、昭和三十四年に『浮草』としてリメイクされた。このオリジナルの『浮草物語』の方が完成度が高い、とする説もあるが、個人的には『浮草』の中村鴈治郎と京マチ子の迫力や、宮川一夫撮影の鮮やかなカラー映像が忘れがたい。しかし、主人公が通う小料理屋の親子は、飯田蝶子と三井秀男の方が『浮草』の杉村春子と川口浩よりも朴訥な感じがして良かったと思う。(2001/09/17)

浮雲 うきぐも
監督 成瀬巳喜男
公開年 1955年
評点[A]
感想
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成瀬巳喜男 THE MASTERWORKS 1
成瀬巳喜男
THE MASTERWORKS 1
『めし』
『浮雲』
『娘・妻・母』
『乱れる』
『女の中にいる他人』
「愛蔵写真集」

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浮雲
浮雲

 成瀬巳喜男監督の『浮雲』を観た。昭和三十年(1955)の作品。

 戦時中、仏印(仏領インドシナ=現在のベトナム)で知り合って深い仲になった富岡兼吉(森雅之)と幸田ゆき子(高峰秀子)。戦後の激動が彼らを襲い、富岡の周りには女の姿が絶えないが、二人は別れることができず、共に流れていく。

 成瀬監督の最高傑作とされている作品。同年の『キネマ旬報』ベストテン第一位で、小津安二郎監督も、『浮雲』を溝口健二の『祇園の姉妹』と並ぶ邦画の傑作として認めていたという。
 高峰秀子と森雅之、二人の主演俳優が素晴らしい。現状が良いとは思っていないが腐れ縁で離れることのできない男と女の、けだるい雰囲気を上手く出している。実際、終戦直後の人間のやつれた感じを出すために、撮影中は極端な食事制限をおこなっていたそうだが(笑)。映像も、奇をてらったところは無いが、モノクロ画像の安定した美しさがある。登場人物の視線に意味をもたせた演出が面白い。ストーリー(原作:林芙美子/脚本:水木洋子)も、主人公二人の関係を中心として、各々にからむ男女が巧みに散りばめられている。
 ただ、今から観ると、かなり重い感じがするかもしれない。これは私の嗜好のせいでもあるが、通しで観ると少々へヴィだった。「成瀬巳喜男初心者には向かない」という意味の意見をどこかで見かけたことがあるが、一理あるかも。(2001/07/01)

鶯(鴬) うぐいす
監督 豊田四郎
公開年 1938年
評点[A’]
感想  今日は、豊田四郎監督の『鶯』を観た。昭和十三年(1938)の作品。

 駅に急行も止まらぬ小さな町の警察署。一見すると平和なようで、そこには生き別れた娘を探す老婆(藤間房子)や母(清川虹子)の金を盗んだ娘(霧立のぼる)や鶏泥棒(藤輪欣司)や無免許の産婆(杉村春子)や鶯売り(堤真佐子)など様々な人々が集い、署長(勝見庸太郎)以下の警察官たちの仕事は充分にあった。

 豊田四郎の東京発声(J.O.)時代の代表作の一つ(原作:伊藤永之助/脚本:八田尚之)。
 グランド・ホテル形式というのか一箇所に集う人々の群像劇で、私は未見だが『警察日記』など戦後の警察署ものの元祖的作品になるのだろうか。一貫したストーリーはなく、多くのエピソードを順番に描いていく形だが、常に東北らしいしゃべり方の台詞が一つのリズムとなって、のどかな良い雰囲気を作っている。
 各エピソードもユーモアを感じさせる一方で、戦前の東北の農村の生活の厳しさをかすかにうかがわせるところもある。最後の締めのエピソードも、見事に幕引きしてくれて好ましい印象を残す。
 冒頭にフィルムセンター所蔵プリントという表示が出るが、状態は意外に良好。フィルムの傷や欠落はほとんどなく、解像度はあまり高くないもののコントラストのハッキリした画面。戦前の映画を同時代に観るとこういう感じだったのかな、という気がする。(2005/10/19)

雨月物語 うげつものがたり
監督 溝口健二
公開年 1953年
評点[超A]
感想
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溝口健二 大映作品集Vol.1 1951-1954
溝口健二
大映作品集Vol.1
『お遊さま』
『雨月物語』
『祇園囃子』
『山椒大夫』
『噂の女』

 今日は、溝口健二監督の『雨月物語』放映の日!この作品が産まれた昭和二十八年(1953)年には小津安二郎の『東京物語』も作られ、日本映画最良の年でありました。

 戦国時代に生きる、源十郎(森雅之)と宮木(田中絹代)・藤兵衛(小澤榮、のちの小沢栄太郎)と阿濱(水戸光子)たち二組の夫婦。陶器を焼いて金儲けを企む源十郎と侍になって出世することを夢見る藤兵衛。その二人と彼らの妻たちを待ち受ける運命。

 やはり見事としか言いようのない作品。森雅之と田中絹代は、さすが上手い。源十郎が家に帰ってくるシーンは最高だ。源十郎を惑わす魔性の美女・若狭を演じた京マチ子もハマリ役。
 ただ、個人的には最後のモノローグが少々くどいように思うのだが…。(2000/12/18改稿)

歌行燈 うたあんどん
監督 成瀬巳喜男
公開年 1943年
評点[A]
感想  今日は、成瀬巳喜男監督の『歌行燈』を観た。昭和十八年(1943)の作品。

 観世流の宗家の跡取り喜多八(花柳章太郎)は、たまたま寄った伊勢で謡曲指南・宗山(村田正雄)が当代随一と自称しているのが気に入らず、彼を大いにやり込めて立ち去る。すると、喜多八の意図せぬ事態になり、喜多八は父・源三郎(大矢市次郎)に破門・勘当されて放浪の旅に出た。門付けで世過ぎをしていると、思いがけないところで宗山の娘お袖と再会する。

 原作は泉鏡花で、脚本は久保田万太郎。1960年にも衣笠貞之助監督で映画化されている(脚本:衣笠貞之助・相良準)。
 喜多八の放浪時代の描き方が以前観た衣笠版とはかなり異なり、喜多八と組んで門付けする相棒のキャラ(瀬戸英一)が良い。原作は未読なので、衣笠版と成瀬版のどちらが脚色が強いのかはわからないが、人情の細やかな描き方、また喜多八の父と叔父(伊志井寛)の描写も含めて、成瀬版の方が人物描写の掘り下げ方が深い。芸道の奥深さの表現の点でも成瀬版の方が勝っているように感じた。衣笠版も観た時は感動したのだが、どうしても比較してしまうと……。
 今考えると、衣笠版は主役二人(喜多八&お袖)にスポットを当てられていて、市川雷蔵と山本富士子という二大スターのための映画という感じがする。
 戦中の作品で技術的限界と悪条件の制約はあるが、映像がなかなか良い(撮影:中井朝一)。(2004/02/27)

歌行燈 うたあんどん
監督 衣笠貞之助
公開年 1960年
評点[A’]
感想  今日は、市川雷蔵・山本富士子主演の『歌行燈』を観た。監督は衣笠貞之助で、昭和三十五年(1960)の作品。

 明治三十年代、伊勢に招かれた観世流家元・恩地源三郎(柳永二郎)の嫡子・喜多八(市川雷蔵)は、彼らの陰口を言いふらした地元の謡曲の師匠・宗山(荒木忍)を若気の至りからさんざん辱め、思わぬ重大な結果を引き起こしてしまう。その後、喜多八は宗山の娘お袖(山本富士子)と意外な形で再会する。

 雷蔵・富士子コンビの泉鏡花原作作品の第一作だという(脚本:衣笠貞之助・相良準)。
 衣笠監督の美意識を感じさせる美しい作品。“総天然色映画”が売りになっていた時代の作品らしく色彩感を強調した絵作りで、少々誇張しすぎているように感じられるところもあったが、実に美しい。明治時代を再現したセットもリアルで、明治時代に対する監督の思い入れが感じられる。また、横長すぎるネマスコープサイズを上手くトリミングしたような構図も良い(撮影:渡辺公夫)。
 演技陣も、山本富士子が実に美しい。この作品のテーマも、芸の道の厳しさ、それと同時に全てを包み込む奥の深さをも見せてくれる。全体として充実した作品だと思う。(2002/12/13)

歌うエノケン捕物帖 うたうえのけんとりものちょう
監督 渡辺邦男
公開年 1948年
評点[A’]
感想  今日は、エノケン主演の『歌うエノケン捕物帖』を観た。監督は渡辺邦男で、昭和二十三年(1948)の作品。

 かごかきの権三(榎本健一)は相変わらず女房(笠置シヅ子)と大喧嘩。権三の相方の助十(藤山一郎)は、好き合っている娘おしげ(旭輝子)が借金のかたとして浪人の三十郎(中村平八郎)の嫁にされそうになっているので、今日もうじうじ悲しんでいる。そんなとき、おしげの病身の父が強盗殺人犯として奉行所に捕らえられ……。

 このころ人気のあった笠置シヅ子とエノケンに加えて藤山一郎まで共演している音楽喜劇映画。
 主演級の三人がそろって歌が得意なので、エノケン映画の中でも特に歌の多い作品かもしれない。ミュージカル形式で芝居の途中でいきなり歌が始まったりするのは、日本語ではどうしても不自然さから免れえないものだけれども、この作品は皆うまいので、聞きづらいところは全くない。
 喜劇映画としては今の目で観るとちょっとドタバタっぽいところもあるけれども、いくつか工夫されたギャグがあってそのあたりは割と面白かった。脚本に名を連ねている三人(山本嘉次郎・八住利雄・渡辺邦男)がアイデアを出し合ったのだろうか。
 歌中心で、風刺的なものや湿っぽいところもほとんどない娯楽に徹した一作になっている。(2005/11/21)

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