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生れてはみたけれど うまれてはみたけれど
監督 小津安二郎
公開年 1932年
評点[A]
感想
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小津安二郎 DVD-BOX 第四集
小津安二郎
DVD-BOX
第四集

 今日は、小津安二郎監督の『生れてはみたけれど』を観たっす。昭和七年(1932)の作品で無声映画。

 サイレントで松竹版のビデオは活弁どころか音楽すら入っていなかったので、観慣れていない私は正直言って最初の方は乗れなかったけど、子供たちが友人の家の映画上映会に行くあたりから、俄然テンポが良くなってきて、最後の方は観入ってしまった。職人芸ですな、どうも。でも、音楽くらい欲しいなぁ。弁士入りというのはアポロンから出ているのかな?

 小津はガキの小憎らしさを上手く使う。『東京物語』や『晩春』でも子供のあまりにも率直で可愛いげのない部分が活かされていた。生涯独身で子供を成さなかったからこそ、子供のそういう部分が見えたのだろうか。(2000/04/14)

海と毒薬 うみとどくやく
監督 熊井啓
公開年 1986年
評点[A]
感想
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海と毒薬 デラックス版
海と毒薬
デラックス版

 今日は、熊井啓監督の『海と毒薬』を観た。昭和六十一年(1986)の作品。

 昭和二十年五月、九州の某帝国大学の医学部では、学部長の座を第一外科の橋本教授(田村高廣)と第二外科の権藤教授が争っていた。橋本教授は少しでも立場を有利にするため、第一外科も陸軍の西部軍と組んで撃墜されたB29の搭乗員の生体解剖をおこなうことにし、下っぱ研究員・勝呂(奥田瑛二)と戸田(渡辺謙)もそれに巻きこまれていく。

 遠藤周作の同題作品の映画化(脚本:熊井啓)。熊井監督が映画化を構想してから実現するまで時間がかかったらしい。
 原作の、キリスト教的信仰をもたない日本人と良心の不在から、映画は人間の一般的な良心の問題にテーマを少し移しているので、よりわかりやすくなっていると思う。モノクロの映像と出演者たちの抑制された演技(悪役的な登場人物は少々ステロタイプ的ではあったが)のおかげで、映画が原作の深みに負けていない稀有な作品。
 緊迫感のある手術シーンと、床を流れる“赤い”血が素晴らしい。また、高みから当事者たちを一方的に断罪するような描き方をしていないのも好ましい。(2002/06/16)

海の純情 うみのじゅんじょう
監督 鈴木清太郎(清順)
公開年 1956年
評点[A’]
感想  今日は、鈴木清太郎(鈴木清順)監督の『海の純情』を観た。昭和三十一年(1956)の作品。

 捕鯨船の船長で砲手でもある織田栄三(小林重四郎)は腕が衰え、引退を考え始めた。後継者に目されている歌が大好きな若手船員の八郎(春日八郎)を芸者(明美京子)やらバーの女(小田切みき)や水産会社の部長の娘(高友子)が追いかけ回すが、八郎は船長の一人娘(高田敏江)が気になって……。

 鈴木監督のデビュー第2作目の作品で、SPと呼ばれる48分強の短編(脚本:田辺朝巳・真弓典正)。
 春日八郎主演の歌謡映画で、この手の作品では定番のラブストーリーだが、一筋縄で行かない“ひねり”がたっぷりの作品。わざとらしいドタバタギャグが満載で、八郎を追いかける女たちも皆イカレていて、船長の娘もちょっと変。いい雰囲気になったと思ったら間を外す展開になり、“歌謡映画”を茶化しているようだ。オープニングタイトルの部分やラストシーンではアニメ合成まで用いていて、もうやりたい放題って感じ。
 二作目なのに、ストーリーではなく各シーンの面白さを重視する、まさに鈴木清順作品になっている。肌に合わない人にはキツイのかもしれないが、テンポが良くって個人的にはあっという間に終わった作品だった。実際、上映時間は短いが。(2005/03/06)

右門捕物帖 六番手柄 仁念寺奇談 うもんとりものちょうろくばんてがらじんねんじきだん
監督 仁科熊彦
公開年 1930年
評点[A’]
感想  今日は、嵐寛寿郎主演の『右門捕物帖 六番手柄 仁念寺奇談』を観た。監督は仁科熊彦で、昭和五年(1930)の作品。

 将軍の日光参詣の道筋にあたる忍〔おし〕の城下で謎の辻斬り事件が続発しているため、江戸の同心むっつり右門こと近藤右門(嵐寛寿郎)はそこへ出張を命ぜられた。右門は“九の字”(鳴戸史郎)と称する首魁が浪人たちを率いて事件を起こしていることを嗅ぎつけたが、その裏にさらなる重大な陰謀が隠されていることを知る。

 佐々木味津三の推理時代小説の映画化。あの山中貞雄が脚本を担当している(補筆:重政順)。
 サイレント作だけあって、映像での語り方が見事。冒頭の“あば敬”ことあばたの敬四郎(尾上紋弥)の顔のグロテスクなアップで観客をつかみ、右門の文字通り黙ってむっつり考えているときと電光石火の殺陣の静と動の対比、右門の謎解きの過程、そして終盤の緊迫感あふれる“追っかけ”とゆっくり進む将軍の行列の切り返し等々。
 推理ものとしての謎解きのトリックは現代人が見れば途中ですぐわかってしまう程度のものだが、語り口の上手さと全体に漂うユーモアで魅せてくれる佳作。脚本の貢献もあるのかもしれないけれども、仁科熊彦はさすがに山中貞雄の師匠(の一人)というだけのことはあると思った。仁科監督の作品は何本くらい残されているのだろうか。
 右門とあば敬の他、右門の子分の岡っ引おしゃべり伝六は頭山桂之助、唯一の女性キャラでヒロインの櫛巻お由は原駒子。(2005/05/18)

裏切者は地獄だぜ うらぎりものはじごくだぜ
監督 小沢茂弘
公開年 1962年
評点[A’]
感想  今日は、片岡千恵蔵主演の『裏切者は地獄だぜ』を観た。監督は小沢茂弘で、昭和三十七年(1962)の作品。

 ヤクザの上前をはねて回る、本名も経歴も不祥の謎の男・海山千吉(片岡千恵蔵)。腕っ節自慢の寅次(新藤英太郎)や、その弟分の青野(高倉健)と小崎(江原真二郎)を子分にすると、暴力団の麻薬取引の場から金を奪おうとする。だが、その町のボスの失踪事件に巻きこまれて……。

 『多羅尾伴内』シリーズ同様、片岡千恵蔵主演の現代劇のシリーズものらしい。しかし、こちらは冒頭からコミカルなアクション・コメディとでも言うべき作品。冒頭から、新藤英太郎のボクシングコントが始まるので驚かされた。その後も何かというと新藤英太郎や高倉健が主題歌を歌いまくったり、新藤英太郎が助平親父っぷりを発揮する。さすがに千恵蔵はギャグはかまさないし一見大真面目だが、実はこの映画の性格がわかっているような演技に見えた。
 チンピラ風の高倉健やチョイ役の梅宮辰夫と丹波哲郎など、若き日の彼らの姿を見られるという意味でも貴重かもしれない。東映は時代劇のネタが尽きかけると、こんな珍妙な作品を作っていたのか……もっと早く観れば良かった。(2003/02/05)

うる星やつら オンリー・ユー うるせいやつらおんりいゆう
監督 押井守
公開年 1983年
評点[B]
感想
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劇場版うる星やつら オンリー・ユー(ノーカット版)
劇場版
うる星やつら
オンリー・ユー
(ノーカット版)

 今日は、押井守監督のアニメ映画『うる星やつら オンリー・ユー』を観た。昭和五十八年(1983)の作品。脚本は金春智子、脚色は押井守、キャラクターデザインは高田明美と高沢孫一。

 言うまでもなく、高橋留美子原作の劇場版アニメ。諸星あたる(声:古川登志夫)は、突然現れた宇宙人にエル星の女王エル(声:榊原良子)の婚約者だと言われて連れ去られる。彼を取り戻そうとするラム(声:平野文)とその仲間たち。

 劇場版第1作ということで、まだ押井カラーは濃くなく、いつも通りのメンバー(劇場版オリジナルのキャラを除いて)によるいつものドタバタ追いかけっこをスケールアップさせたという感じで、“るーみっく・わーるど”の線を崩していない。
 しかし、キャラがよく立っており基本のストーリーはオーソドックスでしっかりしているので、今観ても充分楽しめる。ラスト近く、多少ノスタルジックな雰囲気を匂わせるところに、押井ワールドの萌芽があるか。
 メカやモブシーン等で遊びはあるけれども、まだあまりマニアック過ぎないので、意外と広い範囲の人が楽しめるかも。多少は『うる星』に関する予備知識が要るし、“るーみっく・わーるど”に抵抗がある人もいるとは思うが。
 絵的には、アニメ絵というよりも“マンガ”という感じで、時代を感じさせられる。メカのデザインも、なつかしい雰囲気がする。ただし、動きは良い。透過光の多用や、のちの作品ほどではないものの、所々見うけられる実写的な表現が押井監督らしさだろうか。(2000/11/21)

うる星やつら 完結篇 うるせいやつらかんけつへん
監督 出崎哲
公開年 1988年
評点[B]
感想
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劇場版うる星やつら 完結篇
うる星やつら
完結篇

 今日は、出崎哲監督のアニメ映画『うる星やつら 完結篇』を観た。昭和六十三年(1988)の作品。脚本は金春智子、キャラクターデザインは四分一節子。

 ある日、ラム(声:平野文)は闇の宇宙から来たルパ(声:塩沢兼人)に連れ去られてしまう。諸星あたる(声:古川登志夫)たちはラムを取り返しに行くが、ルパと幼なじみのカルラ(声:井上瑤)との喧嘩に巻き込まれ、うやむやのうちにラムを連れずに戻って来る。やがて、思いもかけないことから地球が危機に陥り、地球の運命はラムと あたるの仲直りに託される。二人の最後の鬼ごっこが始まった――。

 当初、オリジナルストーリーの完結編が予定されていたが、原作でコミックス一巻分を費やした最終回のエピソードが描かれ、それに勝るものは作れそうにないということで、劇場版としては初めて原作に基づいた作品になったらしい。
 実際、あれだけの長編を破綻なく締めくくるのは、才能ある原作者の手でなければ不可能だっただろう。最後の鬼ごっこをしなければならない理由が一つではないのが、本当に上手い。原作に沿うことにした選択は賢明だったと思う。
 ただ、絵柄も原作に近いものになっているが、もう少し華があっても良かったかも。それと、動きが多少固いような感じがしないでもない。この作品は、セルの枚数が劇場版アニメとしては必ずしも多くないのかな?(2000/11/29)

うる星やつら3 リメンバー・マイ・ラブ うるせいやつらすりいりめんばあまいらぶ
監督 やまざきかずお
公開年 1985年
評点[B]
感想
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劇場版うる星やつら リメンバー・マイ・ラヴ
うる星やつら3
リメンバー・マイ・ラヴ

 今日は、やまざきかずお監督のアニメ映画『うる星やつら3 リメンバー・マイ・ラブ』を観た。昭和六十年(1985)の作品。脚本は金春智子、キャラクターデザインは高田明美。

 諸星あたる(声:古川登志夫)たちは新たに開園した遊園地「友引メルヘンランド」へ遊びに行き、あたるがマジックショーで信じられない姿にされてしまう。原因を探るラム(声:平野文)は、ルウ(声:鈴木一輝)という少年に連れ去られて姿を消す。それを知った あたるたちは…。

 既存の『うる星』と全く異なる作風だった『ビューティフル・ドリーマー』に続く劇場版第3作。
 異星人であるラムを あたるたち地球人とは異質なものとし、『うる星』の世界を否定的に描いた前作に対し、この作品ではラムは あたるたちにとって無くてはならない存在であり、最後には『うる星』の世界が肯定され、『ビューティフル・ドリーマー』に対するアンチテーゼ的な作品になっているようにも見える。
 ストーリーは、人間の幼少期に対するノスタルジーを基礎としたセンチメンタルな甘〜い感じ。甘いのも嫌いではないけど(笑)。キャラは、いかにも80年代のアニメ絵風。作画監督の土器手司と総作画監督の もりやまゆうじの絵柄のようだ。絵そのもののクオリティは高いが、映像表現は実写的だった前作よりアニメ的になっている。スタッフのロリ趣味全開のオープニング・タイトルは、今観るとチョット引くかも(笑)。
 あたる&ラムがラブラブに描かれ、絵柄も可愛いこの作品は、前作に不満を感じたファンには好評だったのだろう。今でも楽しめるし、アニメとしては、水準以上のレベルにあると思う。しかし、ある意味では、よりマニアックな方向に向かったので、観客を限定するようになってきた面もあるかもしれない。(2000/11/25)

うる星やつら2 ビューテイフル・ドリーマー うるせいやつらつうびゅうてぃふるどりいまあ
監督 押井守
公開年 1984年
評点[A]
感想
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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
うる星やつら2
ビューティフル・
ドリーマー

 今日は、押井守監督のアニメ映画『うる星やつら2 ビューテイフル・ドリーマー』を観た。昭和五十九年(1984)の作品。脚本も押井守、キャラクターデザインは やまざきかずお。

 ラム(声:平野文)と諸星あたる(声:古川登志夫)が通う友引高校は、時おりしも学園祭前夜。しのぶ(声:島津冴子)や面堂終太郎(声:神谷明)、メガネ(声:千葉繁)たちクラスメートなどの生徒は準備に大騒ぎしている。しかし、温泉先生(声:池水通洋)とサクラさん(声:鷲尾真知子)は、いつまでも“学園祭前夜”が続いていることに気づいた。あたるたちも、彼らだけが時間と空間が歪んだ世界に取り残されたことを知る。

 『うる星』のキャラクターを借りた押井守監督の事実上のオリジナル第1作にして、現時点での最高傑作。アニメによる実写的表現、長台詞とモノローグ、現実世界への懐疑、夢、近過去へのノスタルジー、学生運動(政治活動)等々…のちの作品にも現れる押井監督の全てのモチーフの萌芽が見え、この作品が一番破綻なく各要素を組み合わせることに成功し、過剰な難解さから逃れることができた。
 カメラの存在を仮定した実写的表現と哲学的なストーリーとが相まって、第1作の『オンリー・ユー』は文字通り“アニメ”という感じだったのに対し、『ビューティフル・ドリーマー』は“映画”を観た気分にさせられる。
 映像的には、前作から長足の進歩を遂げている。押井アニメの実写的表現の基本が既に完成している。面胴が操縦するハリアーから宙に浮かぶ友引町を見る場面は、全押井作品中で屈指のシーンだ。また、背景が素晴らしい。キャラクターも、前作より洗練されたアニメ絵風の絵柄になっている。80年代っぽい画風ではあるが。

 『うる星やつら』の劇場版中、『ビューティフル・ドリーマー』だけが2000年11月現在、DVD化されていない。この作品のみが東宝との提携で制作・配給され、ビデオ化権も東宝が所有しているのだが、東宝は自社作品のDVD化に積極的でなく、現時点では未定ということらしい。
 しかし、アメリカではDVDが発売され、通販で購入したという話もチラホラ目にする。リージョン・フリーで日本製DVDプレーヤーでも観られるという噂も聞いたが、私は持っていないので未確認。(補注:Web上の情報によると日本製DVDプレーヤーでも大丈夫らしい/補注2:2002年に待望の国内版DVDが発売された。スクイーズ収録で特典付き)
 確か、『ビューティフル・ドリーマー』は単品でLD化されるのも他の作品より遅かったと記憶している。ビデオとLDは廃盤になっていないのだろうか。(補注:一応、現時点でもビデオは東宝のサイト上のカタログからは消えていないようだ)(2000/11/23)

うる星やつら4 ラム・ザ・フォーエバー うるせいやつらふぉおらむざふぉおえばあ
監督 やまざきかずお
公開年 1986年
評点[C]
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劇場版うる星やつら ラム・ザ・フォーエバー
うる星やつら4
ラム・ザ・フォーエバー

 今日は、やまざきかずお監督のアニメ映画『うる星やつら4 ラム・ザ・フォーエバー』を観た。昭和六十一年(1986)の作品。脚本は井上敏樹&やまざきかずお、キャラクターデザインは高田明美。

 ラム(声:平野文)と諸星あたる(声:古川登志夫)は、面堂終太郎(声:神谷明)やメガネ(声:千葉繁)たちクラスメートと自主製作映画を撮影していた。撮影中、面胴家の庭に生えている桜の老木を切り倒すと、友引町が異常気象に襲われたり、ラムの超能力が弱まる等の異変が起こる。そして、ついにはラムが姿を消し、皆は謎を探ろうとする。

 『うる星』劇場版の第4弾。公開後にテレビアニメも終了したので、サブタイトルが暗示するように一つの区切りとなる予定の作品だったらしい。しかし…。
 作品の舞台として設定されている友引町がストーリーの鍵となっていて、『ビューティフル・ドリーマー』の影響を強く受けているようだが、意余って筆足らずというか、テーマを表現するための構成力も演出力も不足。終盤は支離滅裂で、メカや戦争が出てきたのは制作者が遊んでごまかしたようにさえ見えた。脚本を執筆した2人の意見のすりあわせが上手くいかなかった面もあるらしい。でもねぇ…。
 絵そのものは綺麗なだけに惜しい。ただし、背景は繊細なタッチで素晴らしいけれども、セル画部分と質感が違いすぎて多少の違和感がある。キャラは前作の『リメンバー・マイ・ラブ』よりは少し大人っぽい感じ。作画監督の土器手司の絵柄のようだ。(2000/11/27)

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