Return to題名別(五十音順)邦画備忘録Top pageHOME PAGE

[1] [2] [3] [4]

噂の女 うわさのおんな
監督 溝口健二
公開年 1954年
評点[A]
感想
Amazon
溝口健二 大映作品集Vol.1 1951-1954
溝口健二
大映作品集Vol.1
『お遊さま』
『雨月物語』
『祇園囃子』
『山椒大夫』
『噂の女』

 今日は、溝口健二監督の『噂の女』を観た。昭和二十九年(1954)の作品。

 京都島原の遊郭の女主人(田中絹代)と、その商売に反発する娘(久我美子)の相克…って感じでしょうか。田中絹代が若い医者(大谷友右衛門のちの中村雀右衛門)を愛人にしていて、彼をめぐって母娘で争ったりして。
 なんつーか、久我美子は当時流行りのオードリー・ヘップバーン風のショートカットと黒いセーター。この流行を追ってしまう俗なところが溝口健二の可愛らしさといいますか…(笑)。
 これもあまり傑作とは言われていない。話がチト俗っぽいし、同年に『山椒大夫』と『近松物語』という超大傑作が作られちゃったんで、その谷間に埋もれた感もある。でも、田中絹代の演技に緩急があって“熱演”一辺倒ではない上手さを見せているし、島原遊郭の様子も生き生きと描写されていたと思う。溝口も遊んでたんだろう。(2000/04/26)

噂の娘 うわさのむすめ
監督 成瀬巳喜男
公開年 1935年
評点[B]
感想  成瀬巳喜男監督の『噂の娘』を観た。昭和十年(1935)の作品。

 造り酒屋「灘屋」の長女の邦江(千葉早智子)と父親の健吉(御橋公)は経営が傾きかけている店を二人で支えているが、隠居の啓作(汐見洋)と次女の紀美子(梅園龍子)は自分勝手に遊びまわっている。邦江は店の将来を考えて資産家の息子との見合いをしたものの、紀美子によって引っかきまわされてしまう。

 成瀬監督のオリジナル脚本による作品。チェーホフの『桜の園』をヒントにしているそうだが、私は未読なのでよくわからない。
 貞淑な年上の女(人妻あるいは姉)と奔放な年下の娘(妹あるいは姪)という組み合わせの物語は昔の映画に良くあるパターンだし、終盤を除いて淡々とした展開だが、人物の心情の描写が細やかで、初期P.C.L.の作品にしては俳優陣の演技が上手いので、意外と興味を持続して観られた。むしろ、1時間弱の上映時間では終盤がちょっと唐突な観もあるので、もう少し尺が長くても良かったくらいかもしれない。(2003/02/09)

上役・下役・ご同役 うわやくしたやくごどうやく
監督 本多猪四郎
公開年 1959年
評点[B]
感想  今日は、本多猪四郎監督の『上役・下役・ご同役』を観た。昭和三十四年(1959)の作品。

 桜レーヨンに長く勤める平山課長(加東大介)は真面目一徹の堅物。周りの人間は頼もしく思うと同時に少々煙たくも感じている。妻を亡くして三人の子を男手一つで育ててきた彼のもとに、上役の知人の池貝三千代(草笛光子)との再婚話が持ち込まれるが。

 『大番』シリーズ以外ではちょっと珍しい加東大介の主演作。サラリーマンものだが、同時代の『社長』シリーズのようなコメディではない(原作:大和勇三/脚本:沢村勉)。
 小津安二郎の『早春』のようなまだ戦争の影響から完全に立ち直っておらず庶民に何か喪失感が残っていた時代から脱し、日本が高度成長に向かいかけていた頃、しかも当時は花形だった繊維産業の会社が舞台であり、加えて流行の“太陽族”に対するアンチテーゼの意味あいもあるのか、主人公も内容もとにかく真面目。
 演出も生真面目一本のような感じがして、もう少しユーモアや変化が欲しいような気がした。“ちょっといい話”の連発で加東大介の魅力が充分には出ていないような。1時間半に満たない上映時間の中で豊富なエピソードを混乱せず巧みに展開していることに関しては、演出・脚本の実力が感じられるけれども。
 今から見ると、終身雇用・年功序列制度が保証されていた古き良き時代の作品。もちろん現実そのままではなく、かくあるべしという理想が描かれた作品であるのだが。(2004/11/02)

[1] [2] [3] [4]

掲示板 Return to題名別(五十音順)邦画備忘録Top pageHOME PAGE