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風雲急なり大阪城 真田十勇士総進軍 ふううんきゅうなりおおさかじょうさなだじゅうゆうしそうしんぐん
監督 中川信夫
公開年 1957年
評点[C]
感想  今日は、中川信夫監督の『風雲急なり大阪城 真田十勇士総進軍』を観た。昭和三十二年(1957)の作品。

 関が原の合戦の後、紀州の九度山に蟄居していた真田幸村(田崎潤)は大坂城に入ることを決意し、全国の豊臣恩顧の大名に檄を飛ばした。使者として発った猿飛佐助(天城竜太郎)・霧隠才蔵(小笠原竜三郎)・三好清海入道(舟橋元)らは、徳川家康(石山竜次)の策謀と戦う。

 オープニングから『荒城の月』のメロディで始まったり劇中で春の景色でもないのに『さくら』が流れたりして、音楽の使い方が独特な作品(音楽: 佐野日出男)。ちょっと違和感がなくもない。
 忍術映画らしくトリック撮影が多用されているが(撮影:西垣六郎)、リアル志向ではなく猿飛佐助などの念力で敵の動きが早くなったり遅くなったり、果ては逆回しになったりする。序盤は真田十勇士たち同士のコントみたいのがあったりするので、コミカル路線を狙ったのかもしれないが空回り気味で、成功しているかどうか……(脚本:仲津勝義・武部弘道)。
 今の目で観ると、若き日の丹波哲郎が悪役、それもちょっと情けないキャラを演じているのが面白い。(2005/09/27)

風雲児 織田信長 ふううんじおだのぶなが
監督 河野寿一
公開年 1959年
評点[B]
感想  今日は、中村錦之助主演の『風雲児 織田信長』を観た。監督は河野寿一で、昭和三十四年(1959)
の作品。

 尾張の国の実力者・織田信秀が没して葬式がおこなわれているが、新当主の信長(中村錦之助、のち萬屋錦之介)が姿をあらわさないので家老・平手政秀(月形龍之介)らはやきもきしていた。その後、平手の諌死、斎藤道三(進藤英太郎)との会見、桶狭間の合戦などを信長は濃姫(香川京子)と共に乗り越える。

 『紅顔の若武者〜』の続編でもあり、描いている時代が重なる部分もあるのでカラーでのリメイク的作品でもある。
 『紅顔の〜』と続けて観ると、錦之助の俳優としての成長が一目瞭然。前作よりかなり良い。合戦シーンもあって、ダイナミック。また、濃姫も香川京子に交代して、さらに濃姫と信長の関係の描写が濃くなっている。お姫様姿の香川京子はとても可憐で、表情の演技が良い。(2003/04/22)

風雲児信長(織田信長) ふううんじのぶなが
監督 マキノ正博
公開年 1940年
評点[A’]
感想  今日は、片岡千恵蔵主演、マキノ正博(雅弘)監督の『風雲児信長』を観た。昭和十五年(1940)の作品。初公開時の題名は『織田信長』。

 世間から「こんこんうまのキツネ丸」と呼ばれ、うつけ者と言われている若き日の信長(片岡千恵蔵)。しかし、父の信秀(香川良介)の葬式での抹香投げつけ事件や守り役の平手正秀(志村喬)の切腹などの様々な出来事を通して成長していく。
 全て周知のエピソードだが、中盤の斎藤道三との対面は非常に面白く描かれていて、このあたりからテンポ良く面白くなっていく。最後、「戦いはこれからだ!」という感じで終わって、もう少し観たいという気にさせられるものの、ラストシーン自体は結構いい。ファーストシーンでは、いきなり水中撮影をしたり、序盤の信長が馬を乗りこなすシーンでは馬の蹴り上げる前足のカットを挿入してモンタージュの手法を用いていたり、その他モブシーンも効果的に使われていた。さすが職人マキノ。

 片岡千恵蔵が若く、まだ太っていなかったので信長が意外とハマっていた。濃姫は宮城千賀子、斎藤道三は高木永二、奇妙な友情を結ぶ人質の松平竹千代(のちの徳川家康)には山中貞雄監督の『丹下左膳余話 百万両の壺』で“ちょび安”を演じていた宗春太郎。(2000/11/19)

プーサン ぷうさん
監督 市川崑
公開年 1953年
評点[C]
感想  今日は、市川崑監督の『プーサン』を観た。昭和二十八年(1953)の作品。

 補習学校(現在の予備校)で数学を教えている中年男の野呂(伊藤雄之助)は要領が悪く、やることなすこと上手くいかない。しかしそれでも、なんとかして生きて行くしかないのだ。

 原作は横山泰三の風刺マンガ『プーサン』ということになっているが、題名と僅かなアイデアを借りただけで、ほとんどオリジナルらしい。しかし、横山泰三のマンガが映画化されるほど人気があったとは隔世の感だ。今では『サルまん』のネタにされるくらいなのに。今の有名予備校の講師は高給取りで華やかな面もあるが、かつては冴えない職業の代表だったらしい。
 この作品は戦後の日本を諷刺して評価を受けたらしいが、個人的には全く好きにはなれなかった。諷刺といっても、人間の卑しく弱い面ばかりをクローズアップしただけで、ユーモアが感じられない。当時の観客は笑えたのかなぁ…。カリカチュアライズとはいうものの、人間の醜いところを大写しにして否定するだけなのは、傲慢だとさえ思った。
 当時はこういうものが求められたのだろうか。でも、現在の私には良さがわからなかった。時代に密着した作品なので、時の経過に弱い面もあるかもしれない。(2000/12/14)

風前の灯 ふうぜんのともしび
監督 木下恵介
公開年 1952年
評点[D]
感想
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木下惠介 DVD-BOX 第4集
木下惠介 DVD-BOX 4
喜びも悲しみも幾歳月
風前の灯
この天の虹
風花
惜春鳥
今日もまたかくてありなん
春の夢

 今日は、木下恵介監督の『風前の灯』を観た。昭和三十二年(1957)の作品。

 郊外の畑の中に建つ一軒家に押し入ってやろうと狙う不良たち。しかし、その家は人の出入りが激しくてなかなか近づけない。その家は、老婆(田村秋子)と養子夫婦(佐田啓二&高峰秀子)が住んでいて、老婆が強欲ならば、息子夫婦は遺産を狙っていた。そこに様々な訪問者が顔を出す。

 木下監督による、佐田&高峰コンビの一連の作品の一つ。登場人物が、そろって性格が悪いので、観ていて腹が立ってくる(誇張ではない)。コメディ作品とされていて、それなりの評価も受けているらしいが、公開当時の観客は楽しめたのだろうか。木下監督の底意地の悪さが出ているような(脚本も木下恵介)。
 つまるところ人間とは嫌なものだ、ということを描いているのだろうが、そんなことは監督に教えてもらわなくても承知している。その嫌なところを笑い飛ばしてしまえ、という意図なのかもしれないけれども、皮肉ばかりでユーモアが感じられないので、私は笑えなかった。(2002/04/07)

夫婦 ふうふ
監督 成瀬巳喜男
公開年 1953年
評点[A’]
感想  今日は、成瀬巳喜男監督の『夫婦』を観た。昭和二十八年(1953)の作品。

 転勤で東京に出てきた中原伊作(上原謙)・菊子(杉葉子)夫妻は家がなかなか見つからず、伊作の会社の同僚・武村良太(三国連太郎)が妻を失って一人暮らしになったばかりなので、彼の家に間借りすることになる。倦怠を覚えていた夫婦にとって良太の存在は何かと新鮮で、菊子と伊作の仲は微妙になる。

 成瀬監督の夫婦ものの一作。『青い山脈』の杉葉子が、若いが所帯じみている妻を好演していて、これはちょっと意外だった。上原謙も、同じ成瀬監督の『めし』『山の音』と同様に、かったるい感じのサラリーマンそのものの姿になりきっていた。
 平凡な夫婦たちの暮らしが実に淡々と描かれ、その中でも小事件が起こって人々の心をかき乱しはするものの、やはり日々は変わらず流れていく。人生とは退屈に耐えなければならないということなのか。しかし、はたから見るとつまらないことで当事者の心が乱されたりいらだったりする様子が上手く表現されているのは成瀬監督の手腕か。ただ、疲れているときに観ると眠くなっちゃうかも(笑)。
 菊子の妹として岡田茉莉子、兄として小林桂樹、父として藤原釜足が出演。(2003/05/24))

風林火山 ふうりんかざん
監督 稲垣浩
公開年 1969年
評点[B]
感想
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風林火山
風林火山

 今日は、稲垣浩監督の『風林火山』を観た。昭和四十四年(1969)の作品。

 浪々の身から武田家の軍師となった山本勘助(三船敏郎)は姦計によって隣国の諏訪家を滅ぼし、その遺児の由布姫(佐久間良子)は武田晴信(中村錦之助、のち萬屋錦之介)の側室にされた。勘助は由布姫とその子・勝頼(中村勘九郎、のち中村勘三郎)のために尽くすことを決意し、やがて晴信から信玄と名を改めた主君と共に川中島での上杉謙信(石原裕次郎)との対決に臨む。

 三船敏郎の三船プロダクションによる井上靖原作の映画化(脚本:橋本忍・国弘威雄)。同じく独立プロを率いていた中村錦之助と石原裕次郎が共演している。
 冒頭は主人公が計略を以って武田家にもぐりこんで活躍する展開なので、戦国の非情な弱肉強食の世界を描いているのかと思ったら、意外や勘助はロマンティストでメロドラマ的になるので拍子抜け(?)。
 ただし、かなり甘い感じのキャラクターたちとストーリーではあるものの、2時間45分の大長編ながらも展開に抑揚があり、セットや登場人物の衣装そして合戦シーンなど大がかりで見ごたえがあるので結構楽しめる。さすがに途中で集中力を持続するのに努力を要するところもあったが。悪くすると冗長になってしまうこともある、ケレン味のない稲垣演出も、この作品では男のロマンと哀愁をかもし出して成功したか。
 終盤の川中島合戦では霧の深さと規模に驚いた。スモーク焚きまくりで大変だったろう(撮影:山田一夫)。(2005/04/16)

笛吹川 ふえふきがわ
監督 木下恵介
公開年 1960年
評点[B]
感想  今日は、木下恵介監督の『笛吹川』を観た。昭和三十五年(1960)の作品。

 戦国時代、甲州の武田家が絶え間なく起こす戦に翻弄される、おじい(加藤嘉)・息子の半平(織田政雄)・半平の子の定平(田村高廣)・その嫁おけい(高峰秀子)・そして定平とおけいの子供などの一族の約半世紀にわたる物語。

 木下恵介監督による『楢山節考』に続く深沢七郎原作の映画化(脚本:木下恵介)。
 貧しい百姓の一家を一貫して戦の被害者として描いている非常に反戦メッセージの強い作品。今の目で観てしまうと、展開が一本調子でどうしてもそのメッセージ性の強さが気になってしまうし、登場人物たちが常に被害者的で庶民の強さがないので、もう少し視点の広さが欲しいような気もする。原作が原因なのかもしれないが。
 とはいっても、ここまで悲惨さを徹底するのも大したものだとも思う。合戦シーンの格好よさを排除した乾いた描き方も印象的。田村高廣と高峰秀子の老け演技はちょっと頑張りすぎだけれども。定平の少年時代を田村高廣の弟の田村登志麿(阪妻の次男)が演じていて、俳優にはならなかった彼の唯一の出演作らしい。
 映像的にはモノクロ画面に一部着色した特殊カラーで有名な作品(撮影:楠田浩之)。面白いが、ちょっと前衛的過ぎる。(2005/06/22)

復讐の七仮面 ふくしゅうのななかめん
監督 松田定次
公開年 1955年
評点[B]
感想  今日は、片岡千恵蔵主演の『復讐の七仮面』を観た。昭和三十年(1950)の作品で、監督は松田定次。

 ある夜、タクシー運転手に姿を変えていた私立探偵・多羅尾伴内(片岡千恵蔵)は、不審な男を乗せる。彼は、実は白龍会という犯罪組織の一員だった。しばらくして、その不審な男は消され、相互金融組合の副頭取の自宅が襲われ、五千万円の強盗殺人事件が発生し、元伯爵である金融組合の理事長(山村聡)は私財を提供すると声明したが、彼の邸宅は既に抵当に入れられていた。

 戦後、時代劇が作りづらくなっていた時期に始まった、千恵蔵主演の“多羅尾伴内”シリーズの第八作。片岡千恵蔵が私立探偵を演じて、様々な変装をするのが売り。主演俳優も監督も元々時代劇の専門家のためか、中盤まではテンポがゆっくりで時間が長く感ずる。さすがに、終盤はそれなりに盛り上がるが。
 千恵蔵の変装は顔の大きさと声でバレバレだというのは、突っ込んではいけないところなのだろう(笑)。しかし、さすがに彼独特の迫力があり、特に“気違いの元軍人”(原文ママ)は、テレビ放映は不可能かもしれないほど。珍妙な味があるので、機会があったら多羅尾伴内シリーズの他の作品も観てみたい。(2002/03/29)

武士道朗らかなりし頃 ぶしどうほがらかなりしころ
監督 松井稔
公開年 1936年
評点[B]
感想  今日は、柳家金語楼主演の『武士道朗らかなりし頃』を観た。監督は松井稔で、昭和十一年(1936)の作品。

 山奥で修行する若武者・岩見重太郎(柳家金語楼)は怪仙人(徳川夢声)から極意を授けられ、天下無双の勇者となって里に帰ってきた。しかし、すぐまた武者修行の旅に出て、雲助から若い娘お君(清水美佐子)を助けたり、ある村では猅々(林家染團治)退治をしたり、大冒険を繰り広げる。

 原作は徳川夢声(脚本:八住利雄)で、P.C.L.と吉本の提携作品だという。金語楼以外は知らないが、林家染團治という人も吉本の人気のある芸人だったのだろうか。
 基本的に柳家金語楼を見せるための作品のようで、序盤からゆる〜いテンポのコメディが展開される。最初は、いくらなんでも現代人が見るにはのんびりしすぎていると思ったが、慣れると段々面白く感じてくるから不思議だ。金語楼のあの喋り方や表情の動きが楽しい。また、撮影の宮島義男(義勇)が工夫したのだろうか、素朴な特撮も多用されている。
 今の人が観てウケるかどうかよくわからないが、古い邦画好きの人ならそこそこ楽しめると思う。私は名前くらいしか知らなかったのだが、岩見重太郎についての知識があればもっと楽しめたかも。(2005/06/30)

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