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旗本退屈男 はたもとたいくつおとこ
監督 松田定次
公開年 1958年
評点[C]
感想  今日は、市川右太衛門主演の『旗本退屈男』を観た。監督は松田定次で、昭和三十三年(1958)の作品。

 時の仙台藩の藩主・伊達忠宗(片岡千恵蔵)は、いつの頃からか御乱行を繰り返す暗君になっていた。そんなとき、なぜか東北に旅に来た早乙女主水之介(市川右太衛門)は藩主の乱行と家老の原口刑部(山形勲)や奥山大学(原健策)たちの陰謀を探ろうとする。

 数多い『旗本退屈男』シリーズの中でも、これは市川右太衛門映画出演三百本記念作品として作られたもの。東映オールスターキャストで、千恵蔵の他にも大河内傳次郎・月形龍之介・大友柳太朗・東千代之介・大川橋蔵・里見浩太郎・北大路欣也…といった面々が顔を連ねている。月形龍之介は、このシリーズでは珍しく悪役ではない。
 粗筋は江戸初期の伊達騒動をヒントにしたもので、登場人物の名も伊達騒動の中心人物の名を少し変えたものになっている。市川右太衛門の三百本記念だったためか、あるいは大物の共演者が多すぎたためか、ストーリーは荒唐無稽ではなく意外とシリアスな雰囲気が漂っていため、他のシリーズ作品のような派手な魅力には欠けるかもしれない。市川右太衛門が何度も着替えるのは相変わらずだが。
 ただし、ラストシーンは結構いい雰囲気なので多少救われる。「千両のオチ」とはこのことか?(2002/01/12)

旗本退屈男 謎の大文字 はたもとたいくつおとこなぞのおおもじ
監督 佐々木康
公開年 1959年
評点[B]
感想  今日は、市川右太衛門の『旗本退屈男 謎の大文字』を観た。監督は佐々木康で、昭和三十四年(1959)の作品。

 京都に旅して、珍しく腰を落ち着けている旗本退屈男こと早乙女主水之介(市川右太衛門)。そこで偶然、女の二人連れを助けるが、それは薩摩島津家の姫(丘さとみ)と腰元(長谷川裕見子)だった。主水之介は、島津家を利用しようとする京都所司代(山形勲)たちの陰謀を知る。

 『退屈男』シリーズの一作。退屈男がキンキラの着物を何度もお色直しで着替えて、女性キャラにモテモテ王国状態なのはいつもどおりだが、この作品は冒頭のシーンが素晴らしい。京都の大きな寺の本堂に女二人が逃げこむ。それを追ってくる侍たち。そこに高らかな笑い声が響くと、仏像の台座のあたりから豪奢な着物を身にまとった退屈男が出てきて…まるで、右太衛門が仏そのものであるかのような神々しさ(笑)。それと、ラスト近くに退屈男が再び意外なところから出てくるのも面白い。
 終盤のチャンバラも、大人数なので迫力がある。(2002/01/18)

旗本退屈男 謎の珊瑚屋敷 はたもとたいくつおとこなぞのさんごやしき
監督 中川信夫
公開年 1962年
評点[C]
感想  今日は、中川信夫監督の『旗本退屈男 謎の珊瑚屋敷』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 飲み屋を開店したばかりの元売れっ子芸者お染が、江戸随一の回船問屋の平戸屋の主人と入水心中をしたという。しかし、その裏には子細があるらしい。旗本退屈男こと早乙女主水之介(市川右太衛門)は、なじみの船宿の娘お良(水谷良重のちの二代目水谷八重子)と共に、その謎を探ろうとする…。
 この話は大名のお家騒動とか天下を狙う悪人を退治するとかの話でないので、少々スケールが小さいように見えた。展開もタルくって、内容的にはテレビの一時間時代劇って感じ。ただ、カメラワークと最後の立ち回りの迫力は観るべきものもあった。
 監督の中川信夫は怪談映画の名作を撮って有名で、現在もカルト的人気があるが、この『旗本退屈男』だけは中川作品の特集上映会でも上映されないらしい(笑)。(2000/09/10)

旗本退屈男 謎の七色御殿 はたもとたいくつおとこなぞのなないろごてん
監督 佐々木康
公開年 1961年
評点[C]
感想  今日は、あの市川右太衛門主演『旗本退屈男 謎の七色御殿』を観た。昭和三十六年の作品で、監督は佐々木康。

 まぁ、なんというか、旅の途中で出会った芸人の少女2人づれ(こまどり姉妹)がイキナリ歌い始めた瞬間、「ああ、そういう映画か」と悟った(←何を?)。
 伊豆にある徳川家ゆかりの月照宮には、将軍の次男が預けられていた。その祭礼に詣でた退屈男こと早乙女主水之介(市川右太衛門)は、代参として来る将軍の嫡男を狙う陰謀があることを知る。その上、将軍の次男も本物かどうか怪しく…。

 なんだか展開がゴチャゴチャしていて話の筋がなかなかわからないが、これは市川右太衛門の衣装を観る映画だから別にイイのだ。合計9着か10着くらいあったんぢゃないかしらん。絶対に挟箱2つには入らないって(笑)。
 将軍の御嫡男役は山城新伍だが、若いし痩せていて全然わからなかった。(2000/09/01)

旗本退屈男 謎の幽霊島 はたもとたいくつおとこなぞのゆうれいじま
監督 佐々木康
公開年 1960年
評点[B]
感想  今日は、佐々木康監督の『旗本退屈男 謎の幽霊島』を観た。昭和三十五年(1960)の作品。主演はもちろん御大・市川右太衛門。

 旗本退屈男こと早乙女モンド之介…もとい、主水之介(市川右太衛門)は、九州の島津・細川・鍋島の三大名家が良からぬことを企んでいるのを察知し、長崎へ向かう。出島へ乗り込んでの大立ち回り。

 なんだか、もう凄い作品。出島の“紅龍館”ではカクテル光線の下、SKD(松竹歌劇団)のレビューが繰り広げられ、悪の大ボス(例によって月形龍之介)以下、悪人たちが楽しんでいると、ステージに引き出される巨大な金色に光る玉。「うわははははは!」と場を圧する笑い声が響くと玉がパカッと割れて、颯爽と現れる彼の勇姿!正気?!(爆)
 いやぁ、面白いと問われれば、ある意味非常に面白い。退屈男サマは昔なじみの女(花柳小菊)や、お色気過剰の女スリ(木暮実千代)に囲まれて、モテモテ王国状態。主水之介が助ける若侍として北大路欣也が出演。若い…。(2001/01/28)

はたらく一家 はたらくいっか
監督 成瀬巳喜男
公開年 1939年
評点[B]
感想  『はたらく一家』は昭和十四年(1939)の作品。徳川夢声主演。

 職工の石村(徳川夢声)は、妻(本間敦子)と7人の子供たちと両親の大所帯を抱えている。自身と三男までの4人が働いても生活は苦しい。そのうち、長男(生方明)と四男(平田武)が進学したいと言いだし、家族は揺れる。

 徳永直によるプロレタリア文学を成瀬監督が自ら脚色して映画化した作品。ここでも、庶民の貧しさがリアルに描かれている。かといって告発調ではないが、ちょっと救いが無いというか、中途半端な終わり方という感じもする。検閲を考慮した面もあるだろうし、リアリティを重んじて安易な解決を与えなかったのかもしれないが。本人は、この作品を気に入っていたそうで…。
 こういう作品を観ると、昔の日本の家庭における父権というものに関して考えさせられる部分がある。この作品では、父親はただおろおろしているに等しいし、溝口健二監督の『浪華悲歌』ではヒロイン(山田五十鈴)が甲斐性の無い父親を罵っている。どちらも戦前の話なのに…父親の権威なるものは、経済力が無ければたちまち崩壊してしまう砂上の楼閣なのだろうか。(2001/06/11)

蜂の巣の子供たち はちのすのこどもたち
監督 清水宏
公開年 1948年
評点[A]
感想  今日は、清水宏監督の『蜂の巣の子供たち』を観た。昭和二十三年(1948)の作品。

 終戦直後、戦地から復員してきた島村(島村修作)は下関港で呆然としていると、自分と同様に身寄りの無い戦災孤児たちが目についた。島村はボス(御庄正一)の下で悪事もしていた彼らを連れて、自分が出征の前にいた“みかへりの塔”を目指して歩き始める。

 近年に清水宏監督の再評価がされるまでは、彼の一番の代表作とされていた作品。
 セットなしのオールロケ撮影、出演者も全て素人、ストーリー性よりも自然の中での人物描写に重きを置いていることなど、戦前作品の特徴がさらに強められている印象。奇を衒った映像は無いが、自然の背景と人物とのバランスの良さを感じさせられる(撮影:古山三郎)。清水監督は構図決めの天才だったという。
 実際に清水宏が世話をしていた子供たちと素人の大人が出演しているので、台詞のある部分は素人芝居的だが、子供たちの“泣く”部分の演技だけ妙にリアルなのは、何か胸を打たれる。
 孤児たちの側の問題もキチッと描いていて、急にドラマ性を増す終盤からラストシーンまでも含めて、なんだかホッとさせられるような後味の良い佳作。
 実際の清水監督は、人間関係を理由に松竹大船撮影所から追われたりして決して聖人ではなかったそうだが、作品を観ているとやはり善意を持っていた人であることは認めたくなる。(2004/10/18)

初姿丑松格子 はつすがたうしまつごうし
監督 滝沢英輔
公開年 1954年
評点[A’]
感想  今日は、滝沢英輔監督の『初姿丑松格子』を観た。昭和二十九年(1954)の作品。

 深川の料亭・川竹の板前だった丑松(島田正吾)は、そこの女中およね(島崎雪子)といい仲になり所帯を持ったのを潮に、別の料亭へ行くことになった。互いに惚れ合っていた二人だが、およねの美しさが過酷な運命を引き寄せる。

 原作は長谷川伸の『暗闇の丑松』で、舞台にもよくかかる作品(構成:橋本忍/脚本:堀江正太)。
 まず冒頭に登場する岡っ引(滝沢修)と下っ引(河野秋武)の冷たい雰囲気と取り調べの様子が現代の刑事のような雰囲気があり、その後も、人間の強い愛情が運命を左右する筋書きや登場人物の激しい感情の描写など、どことなく現代劇のような雰囲気もあるように感じた。
 丑松とおよねの間の激しい愛情は“業”と言って良いほどであり、それが悲劇を生むのだが、愛情で身を焼く丑松の姿は愚かしいと同時に、登場人物の一人がつぶやくようにそれが彼の本意であり一つの幸せでもあるように見えてしまうのは、島田正吾の熱演と演出のおかげだろうか。終始シリアスであり、やや暗い雰囲気だが、時代劇に舞台を借りた恋愛劇として良質の作品だと思う。
 滝沢修はやや固い雰囲気が岡っ引に合っていて、冒頭と終盤で姿を見せるのが効果的。丑松の知人の呑んだくれ浪人を演じた辰巳柳太郎も存在感を見せていた。(2004/02/29)

初春狸御殿 はつはるたぬきごてん
監督 木村恵吾
公開年 1959年
評点[B]
感想
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初春狸御殿
初春狸御殿

 今日は、木村恵吾監督の『初春狸御殿』を観た。昭和三十四年(1959)の作品。

 かちかち山の泥右衛門(菅井一郎)の娘お黒(若尾文子)は、極道者の父親のために苦労している。だがある時、彼女が狸御殿の姫君(若尾文子二役)に瓜二つであることがわかり、家出した姫の代理で大富豪の御曹司・狸吉郎(市川雷蔵)とお見合いすることになり……。

 木村監督お得意の狸映画。お黒に惚れている若者として勝新太郎、その他にも狸御殿の家老役として中村鴈治郎、姫の腰元の一人として水谷良重(現・水谷八重子)が出演するなど、豪華キャスト。
 次々とセットが変わる日本中の民謡の替え歌のメドレーに合わせて市川雷蔵が踊る場面が楽しく、歌と踊りがたっぷりだが、ちょっと多すぎて食傷する面もあるかも。もう少し雷蔵と勝新太郎(特に後者)の芸を観たかった。雷蔵は能天気な若様にお似合いだったが。あと、ラストがちょっとお涙ちょうだい的になっていて全体の中で浮いているのが少々気になった。
 個人的には雷蔵&勝新が活躍する『花くらべ狸道中』の方が好きだ。(2002/10/30)

花形選手 はながたせんしゅ
監督 清水宏
公開年 1937年
評点[A’]
感想  今日は、清水宏監督の『花形選手』を観た。昭和十二年(1937)の作品。

 大学の競技部(陸上部)に所属する関(佐野周二)は、昼寝好きの練習嫌いだが本番に強い“花形選手”。彼は大学の軍事教練の一環としておこなわれた野外演習でもマイペースで行動し、行軍の途中で門付け女(吉川満子)と知り合ったりするが……。

 清水監督お得意の野外ロケ中心の作品(脚本:鯨屋当兵衛=清水宏・荒田正男)。序盤から中盤まで学生たちの行軍シーンがほとんどなのだが、彼らが田舎道で様々な人々とすれ違ったり追い抜かれたりする情景が楽しく全く飽きない。人間が「歩く」ことに執着する清水作品の中でも特に楽しい“歩き”のシーンだ。
 水商売の女(門付け女といっても芸だけで稼いでいるわけではないらしい)や旅に暮らす行商人への興味も描かれて独特の風情がある。日中戦争が勃発して国策的な作品を撮ったように見えても、それは器だけで中身は完全に清水監督の世界となっている。
 笠智衆が関に対してライバル心と友情を併せ持った良き学友を演じ、近藤敏明や日守新一がコミカルな部分を受け持っている。(2005/02/26)

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