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平成狸合戦ぽんぽこ(総天然色漫画映画 平成狸合戦ぽんぽこ) へいせいたぬきがっせんぽんぽこ
監督 高畑勲
公開年 1994年
評点[A’]
感想
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平成狸合戦ぽんぽこ
平成狸合戦ぽんぽこ

 今日は、高畑勲監督のアニメ映画『平成狸合戦ぽんぽこ』を観た。平成六年(1994)の作品。

 昭和四十年代、多摩丘陵では前例のない大開発である多摩ニュータウンの造成が始まり、狸たちはあっという間に追いつめられていった。長老の古狸である鶴亀和尚(声:柳家小さん)・おろく婆(声:清川虹子)たちや若手の正吉(声:野々村真)・権太(声:泉谷しげる)らは一致団結して、廃れていた“化学(ばけがく)”を復興させて人間たちに対抗しようとするが、敵はなかなか手ごわくて……。

 高畑勲監督自身の原作・脚本による作品。確か、高畑監督の完全オリジナルは今のところこの一本だけだと思う。
 はっきりと自然保護がテーマであり、狸たちの闘いが成田闘争などの政治闘争のパロディであることから、ジブリ作品としてはかなり世評が低い作品になっている。実際、狸たちが闘争の中で分裂して過激な行動に走る一派が出たり、議論の際に生硬な台詞を口にしたり(ちょっとだけ押井守作品を思い出した)、資本主義があからさまに風刺されていたり、思想色が強すぎる点は否めない。なんでも台詞で表現しすぎるきらいもある。
 といっても、メインキャストが狸なので、その表現はユーモアが加えられていて観やすくなっている。狸の“変化〔へんげ〕”はアニメーションの特性を活かして自由奔放。観ていて飽きない。音楽の使い方も良い。高畑監督は音楽の使い方は宮崎駿監督より上手いかな?
 また、思想的にも、単に現代日本社会を否定するのではなく、現代人はこの世界で生きていくしかないのだという“諦観”の念が強いように感じられた。アニメーションが現代のテクノロジーに高度に依存していることは充分に自覚しているようだ。加えて、人間というものは欲望があるので理想的な共産主義(社会主義)社会は成立せず、資本主義社会しか成り立たないと考えているようにも思えた(深読みしすぎかもしれないが)。

 アニメーション表現の奔放さと、現代日本社会を全否定しているわけではなくちょっとほろ苦さを感じさせる風刺をしている点から、個人的にはさほど後味は悪くない。映像表現も含めれば、酷評するほどの作品ではないと思う。興行成績の良かった高畑監督の前作『おもひでぽろぽろ』よりこちらの方が好きだ。
 声優として有名芸能人を使うのはジブリの常套手段だが、この作品では柳家小さんを初めとして芦屋雁之助・清川虹子そしてナレーションの古今亭志ん朝など、現在では物故した人たちが声優を務めているのが貴重かもしれない。(2005/11/05)

朱唇いまだ消えず べにいまだきえず
監督 渋谷実
公開年 1949年
評点[C]
感想  今日は、渋谷実監督の『朱唇いまだ消えず』を観た。昭和二十四年(1949)の作品。

 一人娘の君子(久我美子)と母(高橋豊子〔高橋とよ〕)を抱えて銀座バーの雇われマダムをしている木島孝子(高杉早苗)は、旧知の間宮利夫(佐分利信)と偶然に再会し、たびたび会うようになる。しかし、間宮にも妻(杉村春子)と娘(小川弘子)があるため、たか子は躊躇するようになっていった。

 戦前の松竹女優だった高杉早苗が10年ぶりに復帰した作品だという。戦前作品と比べると、容姿がはっきりと衰えているわけではないが、やはり年齢を感じさせるところはある。
 戦後の自由や権利意識の高まりと倫理観との相克がテーマのようだが、主人公の孝子は妙に潔癖すぎるし、間宮や君子は自分勝手で幼稚にさえ見えてしまい、キャラクターが少々類型的になっていると思う。渋谷実作品だが、喜劇性や風刺の色はほとんどなく、監督も脚本の新藤兼人も終戦直後の風潮に強く影響されていたような感じがする作品になっている。(2005/12/30))

弁天小僧 べんてんこぞう
監督 伊藤大輔
公開年 1958年
評点[B]
感想
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弁天小僧
弁天小僧

 今日は、伊藤大輔監督の『弁天小僧』を観た。昭和三十三年(1958)の作品。

 ある時、弁天小僧菊之助(市川雷蔵)は、悪旗本の鯉沼伊織(河津清三郎)らを出し抜いて、大名家の隠居からお半(青山京子)という女と金をゆすりとる。そして、町奉行・遠山金四郎(勝新太郎)の捜査の手が間近に迫っているのを悟った弁天小僧と仲間たちは、高飛び前の最後の大仕事として大商人の浜松屋に狙いを定めたのだが……。

 元ネタは歌舞伎から採った作品(脚本:八尋不二)。90分に満たない短めの上映時間に合わせて上手くダイジェストしてあるという感じで、終盤までは意外と淡々とした展開という印象。劇中劇で雷蔵などが歌舞伎調の演技をするのが面白かった。ラスト近くの捕物シーンでは、御用提灯の群の描写が伊藤大輔監督らしく盛り上がる。(2003/01/21)

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