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まらそん侍 まらそんざむらい
監督 森一生
公開年 1956年
評点[A’]
感想  今日は、森一生監督の『まらそん侍』を観た。昭和三十一年(1956)の作品。

 江戸時代末期、上州高崎に位置する安中藩では毎年「遠足(とおあし)の儀」という行事があった。ある年、藩校の学生である飼葉一馬(勝新太郎)・秋庭郁之助(夏目俊二)と次席家老の息子・本田市之丞(大泉滉)の三人が上位を占め、藩の家宝の金キセルで一服ずつ煙草を吸う褒美を受けたが、三人はキセルを捧げ持っていた千鶴(嵯峨三智子)に一目ぼれしてしまう。

 恋愛あり、青春あり、歌あり、コメディあり、サスペンス(というほどのものではないが)ありと、複数のエピソードを重層的に組み合わせて混乱や冗長なところの無い脚本(八木隆一郎)が巧み。演出もテンポが良く、楽しんで観られた。また、多くの要素を含んでいながら、全てにおいてやりすぎではなく、カラッとしているのも好ましい。時々現代語が出てくるのは、これはチョンマゲをつけた学生映画というノリだからだろうか。金キセルを狙うコソ泥役としてトニー谷が出演。(2002/09/18)

マリヤのお雪 まりやのおゆき
監督 溝口健二
公開年 1935年
評点[A’]
感想  今日は、溝口健二監督の『マリヤのお雪』を観た。昭和十年(1935)の作品。

 西南戦争の最中、戦火が及ぼうとしている人吉から人々が逃げ出そうとしていた。一台の馬車に町の資産家の一族と酌婦(私娼でもある)の お雪(山田五十鈴)と おきん(原駒子)が乗り合わせ、資産家の一族は酌婦たちを露骨に侮蔑する。だが、お雪は弁当を金持たちに分けてやり、官軍の将校・朝倉(夏川大二郎)が資産家一家の娘を提供するよう求めると、身代わりになってやるのであった。さらにその後、窮地に陥った朝倉を助けてやる。しかし結局、お雪はむくわれることはなかったのであった。

 川口松太郎がモーパッサンの『脂肪の塊』を原案として書いた新派劇『乗合馬車』を原作として映画化した作品(脚色:高島達之助)。溝口健二のフル・トーキー第2作(パート・トーキーに『ふるさと』があり、フル・トーキー第一作は『時の氏神』)。
 翻案ものであるためか、ほとんど語られることがないが、登場人物たち(特に資産家の夫人を演じた梅村蓉子)のカリカチュアライズされた演技やモンタージュの手法が溝口健二のサイレント時代の名残を残しているようで興味深い。内容自体も、川口松太郎のオリジナルである後半部分はいかにも新派的でテンポも落ちて多少違和感があるけれども、モーパッサンの原案を翻案した部分は意外と面白い。
 初期トーキーで、グラウンドノイズが凄いが、台詞は意外とハッキリしている。もちろん、聞き取りづらいところも多かったが。映像は、同年の『折鶴お千』の方が保存状態が良かった。(2002/03/15)

MARCO 母をたずねて三千里 まるこははをたずねてさんぜんり
監督 楠葉宏三
公開年 1999年
評点[C]
感想
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MARCO 母をたずねて三千里
MARCO
母をたずねて三千里

 今日は、劇場用アニメ『MARCO 母をたずねて三千里』を観た。監督は楠葉宏三で、平成十一年(1999)の作品。

 19世紀末のイタリアの港町ジェノバに住む少年マルコ・ロッシ(声:樋口智恵子)は、アルゼンチンへ出稼ぎに行った母アンナ(声:榊原るみ)からの音信が途絶えたので、アルゼンチンへ一人会いに行くことを決意し旅立つ。

 昭和五十一年(1976)にテレビ放映された世界名作劇場『母をたずねて三千里』(監督:高畑勲/脚本:深沢一夫/キャラクターデザイン:小田部羊一)のリメイク版。
 あらすじは日本人におなじみの物語であり、キャラクターデザインの人も交代した(才田俊次)とはいえマルコの絵柄はなるべく似せて描かれており、脚本家も同じ深沢一夫であるにも関わらず、演出家が交代し二十余年の月日を経ると、こうまで違う作品になるものかと一驚せざるを得ない。
 まずテレビ版マルコのたくましさが消え、こんな子供が一人でアルゼンチンにたどり着けるとは思えなくなってしまっているのを初めとしてヒロイン的存在のフィオリーナ(声:松下恵)など多くのキャラクターが別人のようになっていたり、尺の関係でダイジェスト的になるのは仕方ないとはいえ肝心なところが省略されたり演出が変えられたりしていて釈然としない。
 特に、テレビ版では執拗なほど繰り返されていた生活観の描写がほとんど失せてしまっているのが目に付く。楠葉監督が演出した世界名作劇場の『ロミオの青い空』(1995年放映)も佳作ではあったが少々リアリティに欠けるところも気になったので、監督の責任かもしれない。
 また、劇場版では背景の描き込みが細かくなっているのだが、テレビ版の背景の方がリアリティを感じさせるのが不思議だ。テレビ版の美術監督の椋尾篁以下のスタッフによる背景は、額縁を眺めているのではなく自分がその中に入っていくような感覚を覚えるほど素晴らしいものだった。

 私の見方はテレビ版に思い入れが強すぎて点が辛すぎるかもしれないが、まだテレビ版『母をたずねて三千里』を観たことがない人に「こんなもんか」と思われるのは困るので、レンタルでも良いからテレビ版を観ることを強くお勧めしたい(DVDで全13巻もあるが観て後悔することはないと思う)。(2005/10/01)

 まんじ
監督 増村保造
公開年 1964年
評点[A’]
感想
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卍

 今日は、増村保造監督の『卍』を観た。昭和三十九年(1964)の作品。

 ある大作家(三津田健)のもとを訪れた園子(岸田今日子)は、彼女と徳光光子(若尾文子)、その愛人・綿貫(川津祐介)、園子の夫・孝太郎(船越英二)の四人が陥った卍のような異様な関係を語りだす。

 谷崎潤一郎の小説を映画化した作品(脚本:新藤兼人)。原作からして倒錯した世界を描いているのだろうが、いやはや、岸田今日子が凄すぎ。もの凄い変態映画!(笑)
 若尾文子も船越英二も役にハマっていて良いが、岸田今日子が作品を支配している。90分の作品だが、全てが濃いので長く感じて、ちとしんどかった。出来が悪くて観つづけるのが辛い、というのとは違うが。(2002/10/06)

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