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みかへりの塔(みかえりの塔) みかえりのとう
監督 清水宏
公開年 1941年
評点[A’]
感想
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みかへりの塔
みかへりの塔

 今日は、清水宏監督の『みかへりの塔』を観た。昭和十六年(1941)の作品。

 若き日の笠智衆が主演。盗癖・虚言癖・放浪癖・不良行為など問題行為のある児童を預かって、家庭の形をとった集団生活と労働で更正させる山の中の学園の物語。そこに送られてきた金持ちの娘と彼女に振り回される保母(三宅邦子)や、虚言癖とイタズラが改まらない悪ガキと教員(笠智衆)などを中心としてストーリーは進む。
 今観ると“いい話”過ぎてチョット困ってしまうような所もあるけれど、全体として極めて真面目に作られた作品。身体障害者などを単にネタとして使う昨今のテレビドラマとは志が違うやね。(2000/05/15)

未成年 続・キューポラのある街 みせいねんぞくきゅうぽらのあるまち
監督 野村孝
公開年 1965年
評点[C]
感想  今日は、吉永小百合主演の『未成年 続・キューポラのある街』を観た。監督は野村孝で、昭和四十年(1965)の作品。

 あれから3年。ジュンは希望通り大企業の工場に就職し、働きつつ定時制高校に通っていた。だが父の辰五郎(宮口精二)は相変わらずで、家族とも会社の若い者や社長ともうまくいかない。そんな折、かつて辰五郎と働いていた克巳(浜田光夫)が会社を作ったり、北朝鮮へ帰った金山ヨシエから父が病に倒れたので日本人妻の美代(菅井きん)に連絡してほしいという手紙が来たりする。

 『キューポラのある街』の続編。原作者は同じ早船ちよだが、脚本が田村孟になるなど監督も含めてスタッフ・キャストのかなりの部分が変更されている。
 前作同様“貧乏”の描写が中心となることは変わらないが、メッセージ性はさらに強くなってストレートになり、教条主義的にすら感じられる。登場人物の生活の描写が薄れたため、コチコチの場面ばかりで肩が凝る。ストーリーは原作に沿ったものなのかもしれないけれども、脚本と演出によって加えられるふくらみがほとんどないような気がする。また、無教養な人間に対する蔑視感のようなものがあるのが気になる。悲惨な描写をすることによって“犠牲者”として描いているのかもしれないが、それもまた見下した視点なのでは……。

 “北朝鮮帰還事業”への言及も前作以上になっている。いきなり冒頭に北朝鮮人民のプロパガンダ写真が映し出され、後半でジュンが朝鮮高等学校の生徒と一緒に日本人妻に会いに行ったり、その生徒の言葉にジュンが感動させられるなど、現在の眼で見るとただただ驚かされる。
 前作はブラックユーモアと評したが、この作品ではそれを超えたナンセンス劇、まるで夢のようだ。たとえ当時は北朝鮮の実情を知らされていなかったとしても、北朝鮮と日本の“自由往来”ができないことなど不自然だとは感じなかったのだろうか、と思う。“自由往来”できないことを日本側の責任のように言っているが……。(2004/12/16)

乱れる みだれる
監督 成瀬巳喜男
公開年 1964年
評点[B]
感想
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成瀬巳喜男 THE MASTERWORKS 1
成瀬巳喜男
THE MASTERWORKS 1
『めし』
『浮雲』
『娘・妻・母』
『乱れる』
『女の中にいる他人』
「愛蔵写真集」

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乱れる
乱れる

 今日は、成瀬巳喜男監督の『乱れる』を観た。昭和三十九年(1964)の作品。

 夫を戦争で失った礼子(高峰秀子)は、十八年間ほとんど一人で嫁ぎ先の酒屋を切り盛りしてきた。苦労の絶えなかった礼子だが、最近は義弟の幸司(加山雄三)の放蕩とスーパーマーケットの進出で一層悩みの種が増えていた。

 加山雄三の成瀬作品初出演作。テストのたびに演技が変わって困った、というような意味のことを高峰秀子が語っていたのをチラッと読んだことがあるが、やや硬めながらもさほど悪くない演技に見えた。むしろ一本調子気味に見えたが、同じような印象を与える演技をしたところを切り取った演出者の手腕か。
 未亡人と義弟の心の葛藤を中心とした作品で、これが成瀬作品の最高傑作とする人もいるようだが、その良さを理解するためには、私はもっと大人にならなければならないようだ。淡々とした展開の中で、唐突なラストシークエンスにはビックリ。蛇足では? なんとなく、脚本(松本善三)の第一稿にはなく監督の意向で付け加えられたような気がするが……。(2004/03/21)

水戸黄門 みとこうもん
監督 佐々木康
公開年 1957年
評点[C]
感想  今日は、NHK衛星で放映された佐々木康監督『水戸黄門』を観た。昭和三十二年(1957)年の作品。月形龍之介主演。
 越後松平家のお家騒動、越後騒動を水戸黄門が裁く。この話では将軍の綱吉が名君になっているから面白い。片岡千恵蔵なのでバカ殿にするわけにはいかなかったんだな(笑)。その他、市川右太衛門・大河内傳次郎・大川橋蔵・中村(萬屋)錦之助・東千代之介…の超豪華キャスト。(2000/07/27)

水戸黄門 みとこうもん
監督 山内鉄也
公開年 1978年
評点[C]
感想  今日も、NHK衛星で放映された『水戸黄門』を録画して観た。昭和五十三年(1978)年の作品。監督は山内鉄也という人で、黄門サマは東野英治郎。

 御老公が隠居している水戸の西山荘へ、若侍に姿を変えた娘(栗原小巻)が追っ手に狙われながらやって来た。彼女は加賀百万石の前田家でお家騒動が起こっていることを告げ、助けを求めた。黄門こと水戸光圀と助さん(里見浩太郎)格さん(大和田伸也)うっかり八兵衛(高橋元太郎)たちは加賀へ向かう。
 テレビ版と同じキャストで展開もテレビ的。悪人は一目でわかって小悪人はマンガみたいにコミカルにやっつけられ、テレビのシリーズ放映開始時のスペシャル版みたい。ニセ黄門一行としてハナ肇・植木等・谷啓のクレージーキャッツの面々が、加賀前田家の城代家老として三船敏郎がゲスト出演していて、それだけが映画らしいかな。(2000/10/04)

水戸黄門 みとこうもん
監督 松田定次
公開年 1960年
評点[C]
感想  今日は、NHK衛星で放映された『水戸黄門』を観た。松田定次監督で昭和三十五年(1960)年の作品。月形龍之介主演のシリーズ第13作目。

 江戸では放火が頻発。慶安の変の由井正雪の流れをくむ浪人たちによる謀反の噂が流れ、水戸黄門(月形龍之介)と助さん(東千代之介)格さん(中村賀津雄)は江戸に出て様子を探る。

 なんだか、“東映オールスター”と銘打っているだけあって、中村錦之助(のちの萬屋錦之介)やら大川橋蔵やら片岡千恵蔵やら市川右太衛門…とスターがいっぱいで、どれが見せ場かようわからん(笑)。話の筋がハッキリしない。言葉のなまり丸出しの浪人・井戸甚左衛門を大友柳太朗が演じたのはハマリ役。鳶の若親分の中村錦之助は冒頭で黄門サマを殴ってしまったり、威勢が良かった。(2000/10/03)

水戸黄門海を渡る みとこうもんうみをわたる
監督 渡辺邦男
公開年 1961年
評点[B]
感想  今日は、渡辺邦男監督の『水戸黄門海を渡る』を観た。昭和三十六年(1961)の作品。

 仙台に立ち寄った水戸黄門(長谷川一夫)と助さん(市川雷蔵)格さん(勝新太郎)一行は、松前藩の御用船が襲われ、蝦夷地(北海道)の測量図が奪われたことを知る。蝦夷地に渡った水戸黄門たちは、アイヌの大酋長シャクシャイン(長谷川一夫の二役)の反乱の裏にある陰謀を探る。

 当時すでに長いキャリアのあった長谷川一夫が初めて水戸黄門を演じた作品。老け役自体がほとんど初めてだろうか。大映の若手二大スターを助さん格さんとして従えている。
 異国情緒を狙った娯楽作だが、大映作品は保存状態が良いので、かえって今観るとアイヌの村の風景がセット臭く見えてしまう。それと、アイヌを未開人として描いているのも今では厳しいだろうか。当時としては仕方ないのだろうが。描かれているアイヌの踊りは物珍しい。考証的には正しいのかな?
 長谷川一夫の水戸黄門はメイクのためか、意外にハマっている。シャクシャインの方も、悪くはないが野性味は少々足りないかなぁ。格さん役の勝新太郎が大活躍。雷蔵の方は意外と目立たない。(2003/03/23)

水戸黄門 血刃の巻(水戸黄門 血刃の卷) みとこうもんけつじんのまき
監督 荒井良平
公開年 1935年
評点[A’]
感想  今日はNHK衛星で放映された『水戸黄門 血刃の巻』を観た。昭和十年(1935)年の作品。大河内傳次郎主演『水戸黄門』三部作の完結編。
 市井の老人に扮した水戸黄門と浪人・立花甚左(大河内傳次郎の二役)の活躍によって、将軍継嗣問題に容喙しようとする奸悪、柳沢吉保・吉里父子の陰謀は見事打ち砕かれたのであった!
 黄門が偽物のふりをしたり、さらにボケた真似をしたのが面白かった。偽黄門ネタって、昔から『水戸黄門』ものの基本だったんだな。にしても、この三本は本当に面白かった。無声映画にはトーキーに無いリズム感がある。
 しかし、『水戸黄門』ものではいつも柳沢吉保が悪者にされて、子孫は迷惑だろうなぁ。柳沢家は明治時代には華族に列して伯爵になって、現在も続いているはずだから。将棋の木村義雄十四世名人(1905-1986)が、一時期、書生として柳沢家に住みこんで旧制中学に通っていたことがあるそうな。その当時の柳沢家の当主はなかなか聡明で、質素な暮らしをしていたとか。(2000/07/26)

水戸黄門 天下の副将軍 みとこうもんてんかのふくしょうぐん
監督 松田定次
公開年 1959年
評点[A’]
感想  今日は、月形龍之介主演の『水戸黄門 天下の副将軍』を観た。監督は松田定次で、昭和三十四年(1959)の作品。。

 ある時、水戸光圀(月形龍之介)は高松藩主となっている実子・頼常(中村錦之助、のちの萬屋錦之介)が乱心したという噂を聞き、真偽を質すため助さん(東千代之介)格さん(里見浩太郎)らと旅立つ。

 水戸黄門シリーズの一つ。この作品、中村錦之助の乱心演技が凄いというかヤバイというか。ここまで来ると、確かにある種の名演だと思う。それと、ラストシーンが傑作。錦之助って……。
 月形龍之介の黄門は凄みがあるが、この作品では特に強そう。なんと飛んできた矢を……これだけでも一見に値するかも。(2002/12/06)

水戸黄門漫遊記(総集編) みとこうもんまんゆうきそうしゅうへん
監督 斎藤寅次郎
公開年 1938年
評点[C]
感想  今日も、NHK衛星で放映された『水戸黄門漫遊記』を録画して観た。昭和十三年(1938)年の作品。主演は横山エンタツと花菱アチャコで、監督は斎藤寅次郎。

 大工のコンビを演ずるエンタツとアチャコは、うっかり犬を家の下じきにして殺してしまう。生類憐れみの令が出ている折から、こりゃまずいと2人は高飛びする。旅先で偶然出会った爺さん(柳家金梧楼)と一緒に旅をしていたら、水戸黄門一行と間違えられてしまう。大名のお家騒動に巻き込まれたり仇討ちの助太刀をしたり山賊に捕らえられたり大騒ぎ。
 本物の黄門役として徳川夢声、仇の相手と山賊として高瀬實乘(一人二役)が出演している。監督の斎藤寅次郎は喜劇作品で有名だが、なんだか全体にテンポがイマイチだったなぁ…。この監督の全盛期はサイレント時代だというし、全体に動きで見せるギャグなので無声映画向きなのかも。それと、これが“総集編”のせいもあるかもしれない。おそらく前後編だったのが、今では編集された総集編しか残されていないのだろう。展開が唐突に見えるところもあるし。
 こういうのって、喜劇映画では『エノケンのちゃっきり金太』もそうだし、劇映画でも『暖流』や『愛染かつら』・『雪之丞変化』なんかも総集編しか残されていないから、日本の映画会社はしょうがない。作家の陳舜臣が正倉院を評して「日本人は保存の天才」なんて言ってるけど、そりゃ誉めすぎ(笑)。(2000/10/05)

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