Return to題名別(五十音順)邦画備忘録Top pageHOME PAGE
野菊の墓 のぎくのはか
監督 澤井信一郎
公開年 1981年
評点[B]
感想
Amazon
野菊の墓
野菊の墓

 今日は、松田聖子主演の『野菊の墓』を観た。監督は澤井信一郎で、昭和五十六年(1981)の作品。

 時は明治時代、大きな商家の次男・正夫(桑原正)は、家に手伝いに来ている従姉(いとこ)の民子(松田聖子)ととても仲が良かった。だが、年頃になるにつれ口さがない噂を立てられ、民子が年上で従姉でもあることから二人の仲は遠いものになっていく。

 伊藤左千夫の小説を原作とした作品(脚本:宮内婦貴子)で、当時デビューから数年後の松田聖子の初主演映画(だったかな?)。まさしくアイドル映画だが、オーソドックスにきちんと撮られた日本映画という感じ。主演二人の若さを強調するためか、木々や農作物の緑を強調した絵作りが美しい(撮影:森田富士郎)。
 映像は美しいし、ストーリーも時代の違いを感じさせられるものの良いし、主演の二人も素朴さを感じさせる風貌が合っていると思うが、最大の問題は演技力。彼らが台詞を口にしてしまうと…。周りの役者が非常に上手く感じられる。(2002/05/11)

野良犬 のらいぬ
監督 黒澤明
公開年 1949年
評点[A’]
感想
Amazon
野良犬
野良犬
Amazon
黒澤明
黒澤明 :
DVD BOXSET 2

 今日は、黒澤明監督の『野良犬』を観た。昭和二十四年(1949)の作品。

 若い村上刑事(三船敏郎)が満員のバスの中で拳銃をすられた。さっそくその拳銃を使った事件が発生し、村上は一人で解決しようとあせるが上手くいかない。ベテランの佐藤刑事(志村喬)の助けによって遊佐(木村功)という男が浮かび上がり、二人は彼を追う。

 黒澤監督の前作『酔いどれ天使』の主演者が再び共演。前作で黒澤作品初出演の三船敏郎の人気が高かったので、主役と共演者の位置が逆転している。オープニングの、題名そのまんまの犬の顔のアップからして、日本の夏の暑苦しさを十二分に表現した作品。夏を舞台にした映画は多いけれども、特にこの作品の中の暑さは傑出していると思う。
 登場人物は黒澤お得意の類型的なキャラクター造りだが、ストーリーと俳優のイメージ双方に合っていて、違和感は無い。黒澤流のわかりやすい絵作りも、サスペンス的な緊迫感を盛り上げている。電話越しに向こう側で起こった事件を知る演出は、編集が秀逸だと思った。もうろく爺ィを演じさせたら、高堂国典の右に出るものなし。
 ただ、遊佐の情婦(淡路恵子)がドレスを着て「楽しいわ! 楽しいわ!」とグルグル回って踊るシーンは、唖然というか爆笑ものというか……。(2002/09/04)

狼火は上海に揚る のろしはしゃんはいにあがる
監督 稲垣浩
公開年 1944年
評点[B]
感想  今日は、阪東妻三郎主演の『狼火は上海に揚る』を観た。監督は稲垣浩で、昭和十九年(1944)の作品。

 文久三年(1963)、上海に入港した日本初の交易船には、幕府の役人らと共に長州藩士・高杉晋作(阪東妻三郎)、薩摩藩士・五代才助(月形龍之介)、佐賀藩士・中牟田倉之助(石黒達也)の三人の若者が乗っていた。高杉晋作は、ふとしたことから太平天国軍の指導者の一人である沈翼周(梅憙)と親しくなり、アジアを支配しようとする英米の陰謀を知る。

 大映と“中華電影公司”との共同制作ということになっていて、監督として稲垣浩と岳楓・胡心靈という名が並ぶ(脚本:八尋不二)。満州に侵入したソ連軍によって接収され、近年ロシアから里帰りしたフィルム。
 「アジア諸国が協力して米英を追い出そう」というメッセージを伝えるための国策映画。しかし、高杉晋作にしてはちょっとオッサン臭いが、阪妻がいつもながらの熱演。そして、重要な役を演じた梅憙という中国人俳優もなかなかの好演で、力強い映像(撮影:青島順一郎)ともあいまって、作品として充分に成立していると思う。沈翼周というキャラと高杉晋作の交流を中心に据えた脚本が巧み。
 モブシーンに迫力があり、ラスト近くの日本のサムライ(阪妻)が中国の荒野を放浪する場面も、なんだか面白い。

 冒頭の一巻が欠落しているらしいが、字幕説明で補足されているので、わかりづらくはない。戦時中の作品としてはかなり画質が良い。音質は所々今ひとつ。中国語の会話場面では字幕が入っているが、かなり見づらいところがある。特に見づらいところではNHKが上から新たに字幕を重ねて入れているが、全編そうしても良かったと思う。(2003/08/07)

掲示板 Return to題名別(五十音順)邦画備忘録Top pageHOME PAGE