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落第はしたけれど らくだいはしたけれど
監督 小津安二郎
公開年 1930年
評点[A’]
感想
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小津安二郎 DVD-BOX 第四集
小津安二郎
DVD-BOX
第四集

 今日は、小津安二郎監督の『落第はしたけれど』を観た。昭和五年(1930)の作品。

 大学は卒業試験の真っ最中。ある学生(斎藤達雄)は悪友たちと一緒になんとか切り抜けようと大奮闘。しかし、カンニングをやらかそうとした結果は、天罰覿面(てきめん)で……

 小津監督のサイレント中期の一作。小津の戦前のトーキー作まで主演級でよく出演していた斎藤達雄が主演。若い頃のまだヒゲの無い顔も、ひょうきんないい味がある。
 この頃はまだローアングルにはこだわらず自由に撮っていて、自然な映像。サイレントのため俳優のジェスチュアというかパントマイム的な演技が多く、観ていて楽しい。主人公と悪友たちがたびたびチャールストン(?)のステップを踏むのには驚いた。また、小道具を使った細かいギャグも多い。学生たちのマドンナ的存在の喫茶店の店員として田中絹代が出演。若い頃は丸顔でとても可愛い。
 今回観たのはスカパーの衛星劇場で放映された“音声版”と称する、字幕にある台詞だけを俳優(この作品は佐野史郎と風吹ジュン)に淡々と読ませて音楽を加えたもので、全くのサイレントと弁士付きとの中間のようなものだが、かなり観やすかった。(2003/08/12)

らくだの馬さん らくだのうまさん
監督 石原均
公開年 1957年
評点[C]
感想  今日は、エノケン主演の『らくだの馬さん』を観た。監督は石原均で、昭和三十二年(1957)の作品。

 屑屋の久六(榎本健一)は歌好きで明るいのがとりえだが、ならず者の馬(中村是好)に付きまとわれるようになって大弱り。馬がフグにあたって死んでホッとしたのもつかの間、今度は馬の兄貴分だという半次(花沢徳衛)が馬の死体を大家(杉狂児)のところに担ぎこんで“かんかんのう”を踊らせるのにつきあえ、と強要されて仰天。

 古典落語の『らくだ』を基にしたエノケン劇団の演目の映画化(脚本:舟橋和郎)。昭和二十五年にもエノケン主演で映画化されていたらしい。
 あらすじだけを見ると死人にかんかんのうを踊らせるという陰惨な内容なので、さてどう映像化するかと思って観た。やはり映像で観ると嫌な感じが先に立ってしまうし、馬も半次も本当にやくざ者にしか見えないので、観ていてあまり愉快な気分になれない。演者と空気を共有する舞台演劇と映画との違いの難しさだろう。
 どうも全体に作りがリアル過ぎるようなので、エノケンだけコミカルな演技をしたり歌を唄ったりしているが、久六以外の馬と半次などももっとユーモラスにしても良かったのではないだろうか。『らくだ』に『芝浜』の要素を付け加えているのもちょっと不自然。

 配役を調べたら、久六の子供の一人を藤田叔子が演じているのを見つけた。『一休さん』などで有名なベテラン声優だが、子役出身だったのか。(2005/04/04)

羅生門 らしょうもん
監督 黒澤明
公開年 1950年
評点[A]
感想
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羅生門 デラックス版
羅生門
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黒澤明
黒澤明:大映BOX
『羅生門』
『静かなる決闘』
『まあだだよ』

 今日は、黒澤明監督の『羅生門』を観た。昭和二十五年(1950)の作品。

 平安時代末期の雨の日、羅生門の下で雨宿りする男に、杣(そま)売り(志村喬)と旅法師(千秋実)が奇怪な事件を語る。ある日、侍(森雅之)が殺され犯人の盗賊・多襄丸(三船敏郎)が捕らえられたが、犯人と侍の妻(京マチ子)、そして巫女の口を借りて語った侍、3人の証言が全て食い違うという。

 ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、日本映画黄金時代の先駆けとなった作品(日本の劇映画で初めて海外受賞した作品だと言われることもあるが、戦前に田坂具隆監督の『五人の斥候兵』が同じくヴェネチア映画祭の民衆大臣賞を得ている)。原作は芥川龍之介の『藪の中』。最初と最後に少し『羅生門』が入ってる。
 有名な木の葉越しの太陽をとらえた宮川一夫のカメラが絶品。冒頭、降りしきる雨を描写したのは黒澤監督の美的センスだろうか。雨をああまで美しくとらえたのは、確かに外国映画には無いかも。
 ストーリーは、大映社長の永田雅一が「さっぱりわからん」と言ったように(笑)、人間の主観の不確かさを描いた不条理劇のような感じ。登場人物が正面切ってカメラを向いて長台詞を言うので舞台演劇のような部分もあり、話の構成にもう一工夫欲しかった部分もあるが、後半のサスペンス感は素晴らしい。俳優では、哄笑する京マチ子は恐ろしいくらいの迫力があった。
 ラストシーンは甘いと感じる人もいるかもしれないが、個人的には結構いいと思った。戦後の世相を反映したものだろうか。(2000/11/26)

羅生門の妖鬼 らしょうもんのようき
監督 佐伯清
公開年 1956年
評点[C]
感想  今日は、中村錦之助主演の『羅生門の妖鬼』を観た。監督は佐伯清で、昭和三十一年(1956)の作品。

 平安時代の京。源頼光(中村時蔵)に父を討たれ、復讐のため妖術を学び妖鬼と化した平三郎敦時(中村錦之助、のち萬屋錦之介)と、頼光四天王と称される渡辺綱(東千代之介)・坂田金時(伏見扇太郎)・碓井貞光(原健策)・卜部季武(中野雅晴)たちとの戦い。

 中村錦之助初期の主演作で、妖術で変化(へんげ)するため一人で計四役を演じている。中では、若い女性姿は錦之助本人がまだ若く、歌舞伎時代は女形の修行もしていたため、かなり綺麗だった。
 物語が歌舞伎の定番ネタのためか、演技や立ち回りがかなり様式的。特に立ち回り部分は今の目で見るとちょっとキツイかも。敦時が蜘蛛の糸で頼光や綱を苦しめる部分は、映画にしてしまうと……。
 盗賊の袴垂保輔を演じた月形龍之介が、ユーモラスな雰囲気をかもし出していて意外に良かった。(2003/03/19)

ラッキー百万円娘(びっくり五人男 新東京音頭/新東京音頭 びっくり五人男) らっきいひゃくまんえんむすめ
監督 斎藤寅次郎
公開年 1949年
評点[C]
感想
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ラッキー百万円娘
ラッキー百万円娘

 今日は斎藤寅次郎監督の『ラッキー百万円娘』を観た。昭和二十四年(1949)の作品(補注:初公開時の題名は『びっくり五人男』。『ラッキー百万円娘』は再公開時の改題)。

 少女・丘ひばり(美空ひばり)は、母を亡くし父はいまだシベリアに抑留されている孤児だった。彼女を救うため、多くの人々が奮闘する。

 美空ひばりのキャリア最初期の主演映画。演技はともかくとして、やはり歌は上手い。子供らしい可愛気、という面にはちょっと欠ける面もないではないが。話自体は、戦災孤児やシベリア抑留が問題になっていた当時は社会的な意義があったのかもしれないが、今から観ると本当に他愛ない、としか言いようがない感じ。
 横山エンタツ&花菱アチャコや古川ロッパなど共演者の顔ぶれも豪華なので、出演者のファンが観るための作品なのかもしれない。上映時間も1時間弱だし、現在のテレビドラマに相当するプログラム・ピクチャーなのだろう。(2001/06/12)

ラブ&ポップ らぶあんどぽっぷ
監督 庵野秀明
公開年 1998年
評点[D]
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ラブ&ポップ SR版
ラブ&ポップ SR版

 今日は、庵野秀明監督の『ラブ&ポップ』を観た。平成十年(1998)の作品。原作は村上龍の同題小説。

 もの凄くつまらない。アニメそのまんまの方法で実写を撮ってもアホらしくなるだけでしょう。構成力と演出力の無さを前衛的な手法でごまかしているだけのように見えた。結局、最後の方は「援助交際はやめよう!」というお説教になっているし。何を言いたいんだか。本職の俳優と新人の少女との演技力の差もありすぎ。(2000/11/01)

らぶれたあ らぶれたあ
監督 鈴木清順
公開年 1959年
評点[C]
感想  今日は、鈴木清順監督の『らぶれたあ』を観た。昭和三十四年(1959)の作品。

 クラブでピアノを弾いている梢(筑波久子)は支配人(フランク永井)に求婚されているが、梢には離れ離れでも文通を続けている恋人の正男(待田京介)がいた。しかし、正男の愛情に不安を感じた梢は、彼が病気療養を続けている山の中へ会いに行く。

 二本立て上映の添え物として作られた上映時間40分の短編映画。ただし、登場人物は極端に少ないものの、雪山などでのロケはちゃんとおこなわれているようだ。
 しかし、ベタな恋愛ストーリーに監督が思い入れできなかったのかどうかはわからないが、平板な展開でメインキャストの演技も今ひとつに見えた。フランク永井は別としても、他の二人も……。
 対して、映像の方はモノクロ画面が美しい。意図的に露出過度にしたように見えるのは独特の工夫だろう。まだ奇をてらったような映像は少ないが、ラスト近くは面白い。(2003/03/06)

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