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レ・ミゼラブル あゝ無情 れみぜらぶるああむじょう
監督 伊藤大輔・マキノ雅弘
公開年 1950年
評点[A]
感想  今日は、伊藤大輔・マキノ雅弘両監督の『レ・ミゼラブル あゝ無情』を観た。昭和二十五年(1950)の作品。

 茶碗一杯の飯を盗んだ罪で獄に繋がれた岩吉(早川雪洲)は出獄後も荒んでいたが、ミリエル司教(F・シュバリエ)の温情により改心して名を変え前歴を隠し、社会のため尽くそうと働いて財を成すに至った。かつて瀕死の女お絹(小夜福子)に託された小雪(早川富士子)の成長のみを楽しみとして生きていたが、法の権化である熊谷警部(薄田研二)はそんな彼の過去を執拗に追う。

 題名が示すように、かのビクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』の舞台を明治維新頃の日本に翻案した作品(構成:八木保太郎/脚本:棚田吾郎・舟橋和郎)。前編・後編で4時間近くなる大作映画だったようだが、私が観ることができたのは前後編を合わせて2時間11分ほどにした総集編。それでも山場たっぷり見どころたっぷりの大作だった。
 若い頃は一時キリスト教に傾倒し後に共産主義運動に移ったという伊藤大輔監督の原作に対する思い入れが強いのか、演出もロマン主義的(?)で出演者たちが目一杯の演技を繰り広げる。今の人間の目で観ると大芝居だが、シラケや照れのない真正面の力押しの演出でしか生まれない感動を味わえるのも確か。設定を日本に置き換えるとちょっと不自然なところをものともせず感動のラストシーンまで突き進む。
 サイレント時代のアメリカで大俳優だった早川雪洲は大熱演でジャン・バルジャンの岩吉を演じきる。熊谷警部(ジャベル)の薄田研二もあの鋭い顔立ちと痩身がぴったりハマっている。小雪(コゼツ)の早川富士子は雪洲の娘だそうで、特に上手さは感じさせないが可憐ではあった。出演者は全体に大芝居だが、お絹(ファンティーヌ)の小夜福子はちょっとやりすぎだったような……。
 前編が伊藤監督で後編がマキノ監督らしいが、総集編で観るとトーンは一定しているので、マキノ監督が伊藤監督に合わせたのだろうか。総集編でも不自然なところは感じさせないけれども、山田宏一が『次郎長三国志 マキノ雅弘の世界』(ワイズ出版)という本で書いていた、この作品の印象的なシーンのいくつかが無かったりしたので、できれば前後編を観てみたい。残っているかな?(2004/11/09)

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