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流転の王妃 るてんのおうひ
監督 田中絹代
公開年 1960年
評点[A]
感想  今日は、田中絹代監督の『流転の王妃』を観た。昭和三十五年(1960)の作品。

 華族の家に生まれた竜子(京マチ子)は政略結婚で満州国皇帝の弟・溥哲(船越英二)の妻になったが、夫は誠実な人物で子供にも恵まれ幸福な家庭を築いた。しかし、その幸せは長くは続かなかった。戦後になっても運命の激しい波は彼女を襲う。

 近年テレビドラマにもなった“流転の王妃”愛新覚羅浩(1914-1987)の自伝の映画化(脚本:和田夏十)。女優の田中絹代が監督しているが、この作品では一切出演せず演出に徹している。関係者が存命している時代の作品なので、浩→竜子/溥傑→溥哲など、登場人物は仮名。長女が死んだ“天城山心中”のいきさつもぼかして表現している。
 最初、京マチ子がセーラー服で現れたときはちょっと無理があるように見えたが(笑)、そのあと王妃となってからは、彼女の華やかな雰囲気が合っていたと思う。船越英二も難役だが、彼の生真面目そうな柄を活かして実際に誠実な人物だったという溥傑をよく演じていた。
 最初、大規模なモブシーンや戦闘シーンが無いので歴史映画としてのスケール感はあまりないように思ったが、夫婦と子供、そして皇帝を交えた家庭ドラマの描写がしっかりしていて、そのあとソ連の参戦で大陸を流浪することになってからは、なかなか力強い映像になっていて、予想していた以上の力作だった。まだ日中国交正常化以前の作品だけれども、大陸的な風景のところを選んでロケしている。正直、演出家としての田中絹代を見直した。スタッフの力も大きかったことは違いないだろうが。
 浩と溥傑の再会には、この作品も影響を与えたのだろうか?(2004/05/29)

ルパン三世 カリオストロの城 るぱんさんせいかりおすとろのしろ
監督 宮崎駿
公開年 1979年
評点[A’]
感想
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ルパン三世 - カリオストロの城
ルパン三世
カリオストロの城

 今日は、宮崎駿監督のアニメ映画『ルパン三世 カリオストロの城』を観た。昭和五十四年(1979)の作品。

 ある時、ルパン(声:山田康雄)と次元(声:小林清志)がカジノから盗んだ大金は、有名な偽札“ゴート札”だった。そのゴート札の製造元だというヨーロッパの小国・カリオストロ公国に潜入したルパンたちは、公女クラリス(声:島本須美)をむりやり自分の妻にして国の全てを手に入れようとするカリオストロ伯爵(声:石田太郎)の陰謀を知る。

 宮崎駿監督の、劇場用長編アニメの第1作。宮崎作品の特徴である追っかけアクションや飛行シーン、キャラクター同士の暖かい関係などが既に描かれており、後の作品に見られるメッセージ性や監督個人の趣味(飛行機やメカ)は、まだあまり濃くないので(クラリスが少女なのは監督の趣味かもしれないが)、純粋な娯楽性ではいまだにトップクラスかもしれない。途中で退屈することは全く無く、100分がすぐ過ぎる。
 ルパンとクラリスの会話、そして銭形警部(納谷悟郎)のあの有名な最後の言葉など、台詞が洒落ている。ちょっとキザにも聞こえるが。

 原作やテレビアニメ第1シリーズのハードボイルドな風味が消え、ルパン三世が完全に“宮崎ルパン”と化していることに対する批判もある。確かにそういう面もあるかもしれないけれども、私は世代的に子供の頃テレビアニメの第2シリーズを観ていたので、さほど気にはならなかった。(2002/03/23)

ルパン三世 バビロンの黄金伝説 るぱんさんせいばびろんのおうごんでんせつ
監督 鈴木清順・吉田しげつぐ
公開年 1985年
評点[C]
感想
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ルパン三世 バビロンの黄金伝説
ルパン三世
バビロンの黄金伝説
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劇場版 ルパン三世 DVD LIMITED BOX
劇場版ルパン三世
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 今日は、アニメ映画の『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』を観た。監督は鈴木清順と吉田しげつぐで、昭和六十年(1985)の作品。

 古代バビロンの財宝の謎を探るため、ルパン三世(声:山田康雄)一味はニューヨークに来ていた。ロゼッタ婆さん(声:塩沢とき)にヒントをもらって謎の手がかりを得たルパンたちを、マルチアーノ(声:カルーセル麻紀)率いるニューヨークマフィアが追う。

 『ルパンVS複製人間』『カリオストロの城』に次ぐ『ルパン三世』の劇場版第三弾。テレビ版の監修をしていた鈴木清順が監督として名を連ねている(脚本:浦沢義雄・大和屋竺)。
 鈴木清順が関わってはいるが、ルパンたちと悪の組織が“お宝”の争奪戦をするという、年に一度製作されているTVスペシャル版同様の定番のストーリーで新味はない。むしろ、この作品がそのフォーマットを生み出したのだが。ストーリー以外も、ヒロイン・敵キャラの全てがキャラが立っておらず魅力なし。絵柄も癖があって日本人好みではないと思う(作画監督:青木悠三・柳野龍雄・尾鷲秀俊)。正直言って劇場版の前2作には及ばない作品。
 ただし、のちの作品とパターンが同様なので、一本の劇場用映画としてみると魅力不足ではあるものの、ルパン三世好きの人なら『ルパン三世』シリーズの一本として鑑賞すれば、そこそこ納得できるかも? TVスペシャル版のフォーマットを生み出した功績はあるか?
 聞くところによると、当初は押井守が監督する予定だったが構想が独自すぎて降板させられ、この作品が急ぎ作られたので、製作時間が足りなかったという。名義を借りられた鈴木清順監督にとっては不幸だったかも。
 声優として、塩沢とき・カルーセル麻紀そして主題歌担当の河合奈保子が特別出演している。塩沢ときは上手いが、あとの二人は素人っぽい。(2005/09/24)

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