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サーカス五人組 さあかすごにんぐみ
監督 成瀬巳喜男
公開年 1935年
評点[A’]
感想  今日は、成瀬巳喜男監督の『サーカス五人組』を観た。昭和十年(1935)の作品。

 旅回りでチンドン屋などをしている五人のジンタ(楽隊)。ある時、仕事を急にキャンセルされて困っていると、同じ町に来ていたサーカス団でストライキが起き、急遽雇われることになる。さっそく女好きの甚吉(藤原釜足)は団長の娘である姉妹の妹(梅園龍子)の方に目をつけ、ジンタ五人組の中で最も若い幸吉(大川平八郎)は姉(堤真佐子)と親しく言葉を交わすようになった。

 原作は古川緑波(ロッパ)の『悲しきジンタ』(脚本:伊馬鵜平・永見柳二)。『妻よ薔薇のやうに』の次の作品であるが、モダンな前作とは雰囲気が一変している。
 登場人物の設定が似ている『乙女ごころ三人姉妹』や『旅役者』も作っているので、戦前の成瀬はモダンな世界と共に、うらぶれた雰囲気漂う大道芸人や旅芸人の世界にも関心があったのだろうか。廃れゆく世界への視線という点で、戦後の『流れる』も連想した。
 『乙女ごころ〜』と同じく妹を見守る姉の役を演じた堤真佐子は、やはり良い。藤原釜足は芸達者な演技を見せ、五人組で最年長の清六を演じた御橋公も役に合っている。成瀬作品でもモダンな雰囲気のものでは硬い演技を見せる大川平八郎も、この作品では悪くない。素朴な青年役の方が合っているのだろうか。五人組の宿屋でのやり取りやサーカス出演場面が楽しい。
 トーキー初期の作品なので音楽が強調されているが、効果音の使い方も面白いところがある。その他、場面転換に時々印象に残る手法を使っていたり、細かい小ネタ的ギャグもあったりするので、成瀬監督のサイレントの経験の深さを感じた。
 1時間5分ほどの中編でちょっと内容が軽く、『妻薔薇』と『噂の娘』の間に挟まれているため目立たないが、愛すべき小品といった感じの一作。(2005/01/09)

西鶴一代女 さいかくいちだいおんな
監督 溝口健二
公開年 1952年
評点[超A]
感想
Amazon
西鶴一代女


西鶴一代女

 先日、amazon.comで通販申し込みをした『西鶴一代女』(The Life of Oharu)が届いたっす!イエ〜!!(ここでビルとテッドの如く“エアギター”のゼスチュア)2月22日の深夜(正確には23日の早朝)に申し込んだから、10日ほどで届いたのか。
 いや〜、田中絹代という名優に名監督、色んな意味で濃い映画だ。溝口健二作品の中でも濃さは一番かも(笑)。
 最初の方に三船敏郎が出てきて、これが多分生涯唯一の色男役で、ミフネなのに暴れない!(爆)彼はロバート・デ・ニーロと同じく何をやっても“ミフネ”になってしまうタイプなのに、この作品は三船敏郎らしく見えなかった。溝口健二の演出力はさすがだ。(2000/03/04)

最高殊勲夫人 さいこうしゅくんふじん
監督 増村保造
公開年 1959年
評点[C]
感想  今日は、増村保造監督の『最高殊勲夫人』を観た。昭和三十四年(1959)の作品。

 三原商事を経営する三原家の長男・一郎(船越英二)と次男・次郎(北原義郎)は、それぞれ野々宮家の長女・桃子(丹阿弥谷津子)と次女・梨子(近藤美恵子)と結婚していた。彼らは三原家の三男・三郎(川口浩)と野々宮家の三女・京子(若尾文子)をも結婚させようとし、二人は反発するが、しだいに惹かれあっていく。

 増村監督が現代社会を描いた一連の作品の一つで(原作:源氏鶏太/脚本:白坂依志夫)、カリカチュアライズされた設定と演出のもと、登場人物がテンション高くしゃべくりまくる。
 戯画化されているにしても、桃子はちょっとステロタイプ的過ぎるようなキャラに見えた。また、全体にブルジョアが恋愛お遊戯をしているようで、あまり共感できるストーリーではなかった。テンポが良いので、それなりに楽しむことは出来たが。(2002/09/22)

サインはV さいんはぶい
監督 竹林進
公開年 1975年
評点[C]
感想  今日は、NHK衛星で放映された『サインはV』を観たっす。昭和四十五年(1970)の作品で、監督は竹林進。

 有名なスポ根マンガが原作で、テレビドラマがブームになった作品の劇場版……なのかな?主人公(岡田可愛)と金持ちのお嬢様(中島麻里)とのライバル対決やら、無理な特訓、そして不治の病に倒れるチームメイトのジュン・サンダース(范文雀)等々…とんこつスープ風味の濃い味が1時間20分の間にてんこ盛り。要するに総集編か。(補注掲示板でいただいた情報によると、テレビドラマの中でジュン・サンダースが死んでしまったので、彼女をもう一度観たい!というファンの声に応えて劇場版が製作されたらしい)
 時代を超えて色あせない魅力を、この手の作品に求めるのは無理な話で……。私はマンガやテレビドラマを同時代に観た世代でもないし。しかし、今や絶滅寸前のブルマがたっぷり出てくるので、その手の嗜好を持つ方々には垂涎(すいぜん)の的かも。残念ながら私にはその趣味は無いのですが(笑)。(2000/10/09)

柘榴一角 ざくろいっかく
監督 白井戦太郎
公開年 1941年
評点[B]
感想  今日は、白井戦太郎監督の『柘榴一角』を観た。昭和十六年(1941)の作品。

 年老いた浪人・柘榴権太夫(阿部九州男)は、実は公儀の隠密。彼は江戸市中に蔓延する贋金を作っている播磨萬心(大瀬恵三郎)とその黒幕を追っていた。自分の身の危険を悟った権太夫は息子の一角(阿部九州男、二役)に初めて正体を打ち明けて仕事を手伝わせるが、権太夫を仇と狙う若侍・宇家田輝雪(近衛十四郎)が現れて……。

 『富士に立つ影』の白井喬二原作の映画化(脚本:湊邦三)で、戦前に存在した大都映画の現存する数少ない一本。近衛十四郎が主役かと思っていたら、戦後は主に東映で脇役を演っていた阿部九州男が一人二役で大活躍する主人公そのものだったので、ちょっと驚いた。戦後にテレビで人気者になった近衛十四郎もまだこのころは若手俳優の一人だったのか。
 阿部九州男が演ずる好々爺風の老人とのんきな若者は双方ともユーモラスで、一角の妹お鴇(琴糸路)もいかにも世間知らずのお嬢さんという感じで楽しい。宇家田輝雪の近衛十四郎も、堅物のようでいて戦後の作品で見せたユーモラスな雰囲気も漏らしている。対する敵方のキャラがあまりはっきりせず、悪役としての魅力にも欠ける。脚本で描かれていないのか、フィルムに欠落があるのか……。
 序盤から中盤にかけてはちょっと展開がもたついているが、中盤に宇家田輝雪が登場してからは話が生き生きと動き始める。映像も時々凝ったところがあり(撮影:広川朝次郎)、殺陣も時々コマ落としが混じるものの全体にスピーディー。

 惜しむらくは、現存プリントは台詞が聞き取れないところがあるくらい音声の状態が最低なこと。観る側がストーリーや設定を類推せねばならないところがあるほどで、音声の状態が良かったら、ユーモラスな雰囲気とアクションの双方を楽しめる娯楽作として、より高く評価できるのだが……。(2005/06/28)

酒と女と槍 さけとおんなとやり
監督 内田吐夢
公開年 1960年
評点[B]
感想  今日は、内田吐夢監督の『酒と女と槍』を観たです。昭和三十五年(1960)の作品。主演は大友柳太郎。

 槍の腕と酒の飲みっぷりでは天下に並ぶ者無しの富田高定(大友柳太郎)。主君の関白豊臣秀次が秀吉に切腹を命じられ、続いて殉死しなかったのを一族の者たちに責められ、公開の切腹ショー(笑)をやろうとする。大評判となって見物客が集まるが、多くの人から末期の酒を勧められ、残さず飲み干して一寝入りしてしまったら、秀吉からの上使がやって来て殉死を禁じられた。
 あくまで高定は腹を切ろうとするものの、秀吉を恐れる一族は手のひらを返したように寄ってたかって切腹を止めた。すっかり武士というものが嫌になった高定は彼を慕っていた采女を妻にして、いったん山里に隠棲する。しかし、彼が最後に選んだのは愛では無かった…。

 なんといっても、題名がイイねぇ。男の夢を三つ並べちゃって。「おんなとやり!」なんて、フロイト説を持ち出すまでも無い(←バカ)。内容の方は、ちょっと劇終が唐突だったかな、という感じ。それに、高定の昔の女で、采女の姉貴分でもある左近(淡島千景)の最後の登場シーンの意味がよくわからなかった。
 でも、豪快な男の描き方は内田吐夢監督らしかっただろうか。前田利長(片岡千恵蔵)に槍を見つけられたあとのシーンが特に良かった。(2000/08/15)

山茶花街道(三味線侍) さざんかかいどう
監督 並木鏡太郎
公開年 1938年
評点[A’]
感想  今日は、並木鏡太郎監督の『山茶花街道(三味線侍)』を観た。昭和十三年(1938)の作品。

 江戸の大身の旗本の若様(黒川弥太郎)が、放蕩息子には旅をさせよということで用人(進藤英太郎)と小者の二人だけの従者と共に旅に出された。しかし、若様と用人たちははぐれてしまい、若様は食い逃げをやらかしたり旅芝居の一座の娘と知り合ったりする。

 脚本は“鏡二郎”名義で、おそらく監督のペンネーム。『三味線侍』は戦後の再映時の改題らしい。
 粗筋は世間知らずの若様が色々やらかすパターンの物語だが、黒川弥太郎の若様は気品を感じさせてなかなか合っているし、若様の行動は世間知らずではあっても類型的なバカ殿のようなものではなく嫌味がない。展開のテンポが良く、若様の叔父を演じた徳川夢声との掛け合いもベタなギャグではなく洒落たコメディという感じで楽しい、小品(現存版は50分弱)の佳作。玉井正夫の撮影も美しい。(2005/04/10)

さすらい さすらい
監督 野口博志
公開年 1962年
評点[B]
感想
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さすらい
さすらい

 今日は、小林旭主演の『さすらい』を観た。監督は野口博志で、昭和三十七年(1962)の作品。

 江崎サーカスの空中ブランコ乗り佐竹正二(小林旭)は事故で相方の塚田信吾(上野山功一)を失い、サーカスを辞めて各地を旅していた。たまたま流れ着いた町で笠松(二本柳寛)の用心棒となった正二は、借金の取り立て相手がサーカス団であり、塚田の恋人だった若原美也子(松原智恵子)がそこにいるのを知る。

 小林旭のヒット曲『さすらい』を題名とした作品(原案:西田一夫/脚本:小川英)。『さすらい』という歌自体はもっと前からあったらしい。
 今風のパフォーマンス(キダムとかサルティンバンコなど)ではなくジンタが奏でる『美しき天然』が流れているような古典的なサーカスで、アキラなどが演ずる空中ブランコ乗りの扮装も全身タイツなので、かっこいいかというと正直微妙(この言い回しは好きではないが)なところもある。全体のエピソードも、人情噺的でちょっとべったりしている。
 ただし保存状態が良いカラー画面が映し出す昭和三十年代の光景は郷愁を感じさせるし、空中ブランコのシーンもまずまず巧みに撮られている(撮影:松橋梅夫)。それに、やはりこの頃の小林旭のアクション・風貌・歌は魅力があるので、それなりに楽しめる作品になってはいると思う。(2005/12/05)

さすらいの賭博師 さすらいのぎゃんぶらあ
監督 牛原陽一
公開年 1964年
評点[A’]
感想  今日は、小林旭主演の『さすらいの賭博師(ギャンブラー)』を観た。監督は牛原陽一で、昭和三十九年(1964)の作品。

 ダイスの腕は天下一品のギャンブラー氷室(小林旭)はイカサマを見破った相手に兄と恋人(松尾嘉代)を殺されたため、さすらいの旅に出た。横浜に流れた彼はダイスを捨て、バーテンになって一つ所に住み着きたいと願ったが、街を二分する浅野(山形勲)と河村(小池朝雄)の抗争に巻き込まれてしまう。

 小林旭主演の“ギャンブラー”シリーズ第一作となった作品(原作:野村敏雄/脚本:山崎巌)。監督の牛原陽一はサイレント時代の大監督だった牛原虚彦の子。
 シリーズ終盤の中平康監督『黒い賭博師』が奇想天外でコミカルな作品になったのとは異なり、第一作はシリアスで題名どおり“渡り鳥”的イメージの作品。ただし、渡り鳥シリーズとも異なり、いかにも荒唐無稽な設定ではなくシリアスなムードで通している。加えて、モノクロ作品になっているためか映像がシャープで作品の雰囲気を締めている(撮影: 岩佐一泉)。
 小林旭のアクションやダイスさばきは実にスピーディで鋭い。演技もシリアスで一貫している。アキラ映画に付き物の歌を唐突に唄い始めるところは非現実的だが。
 ストーリーは流れ者を主人公とした作品の類型に沿っていて目新しさはないが、シャープな絵作りと小林旭のシリアス演技によって『黒い賭博師』以降とはまた違う魅力を持つ一本。(2005/10/17)

殺人拳2 さつじんけんつう
監督 小沢茂弘
公開年 1974年
評点[C]
感想  今日は、千葉真一主演の『殺人拳2』を観た。監督は小沢茂弘。昭和四十九年(1974)。

 自己流の拳法で裏社会を渡り歩き、金を稼ぐ剣琢磨(千葉真一)。武術センターを作ると称して全アジアから金を集めていた太田黒(田中浩)の依頼を受けていたが、その汚いやり口に反発して、正武館の政岡憲治(鈴木正文)と共に戦いを挑む。

 同年に作られた『激突!殺人拳』の続編。千葉チャンが最後まで悪役的だった第一作とは異なり、主人公のキャラが変わった感じ。前作ではちょい役だった正武館の館長も、メインキャラの一人となっている。
 マジで作っているのかウケ狙いなのかよくわからないが、様々な工夫が空回りしている感じ。シリアスな作りなのに、何かがずれているような気がする。『地獄拳』シリーズではないのだから、千葉チャンが倒した相手からピンポン玉の眼球が飛び出してはダメでしょう(笑)。前作のような後味の悪さは無いけれども…。(2001/05/03)

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