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三婆 さんばば
監督 中村登
公開年 1974年
評点[A’]
感想  今日は、中村登監督の『三婆』を観た。昭和四十九年(1974)の作品。

 昭和三十八年、ある金融業の社長が妾宅で急逝した。本妻の松子(三益愛子)は強引に遺体を引き取って葬儀を済まし、遺産の一部を処分して相続税相当分の金と老後の生活費を得てホッとする。しかし、屋敷に夫の実妹タキ(田中絹代)と妾の駒代(木暮実千代)が転がり込んできて……。

 流行語にもなった有吉佐和子の同題作品の映画化(脚本:井手俊郎)。映画黄金時代の大女優三人が、ほとんど素顔で実年齢に近い役を演じている。見事というかさすがというか……。
 身寄りのない“寂しい人たち”のエゴが戯画的に強調あるいは誇張されていて、正直けっこうキツイものもある。女優たちが皆演技が上手いので、それでかえって辛くなる部分もあった。しかし、所々に鋭く光って切りつけてくるような部分もあるので、観つづけることができた。単なるイヤガラセ映画ではないと思う。終盤近く、田中絹代が自室である物(ネタバレになるので自粛)を見るのは凄い。田中絹代も実生活に近い役をよく引き受けたなぁ。観て楽しいという作品ではないが、何か考えさせられてしまう一本。(2003/04/10)

三匹の侍 さんびきのさむらい
監督 五社英雄
公開年 1964年
評点[A’]
感想
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三匹の侍
三匹の侍

 今日は、五社英雄監督の『三匹の侍』を観た。昭和三十九年(1964)の作品。

 素浪人の柴左近(丹波哲郎)が某藩の田舎道を歩いていると、百姓たちが代官の娘(桑野みゆき)を人質にして立てこもっている水車小屋に突き当たった。左近は彼らの事情を知ると、味方してやることにした。その頃、左近と同じく素浪人の桔梗鋭之助(平幹二朗)と桜京十郎(長門勇)は、前者は用心棒、後者は罪人として代官所にいた。

 同じキャストによる同題のテレビ時代劇を演出していた五社英雄の映画第一作。丹波哲郎が設立したプロダクションが企画・製作を担当したそうだ。
 出演者たちが各々、丹波の豪放・平のニヒル・長門のユーモラスさと見事に演じ分けていて、のちのちまで続く“三匹”もののキャラクターが既に確立している。その中でも丹波センセイが一番かっこよく見えるのは丹波哲郎製作の映画だから……というわけではないか(笑)。
 テレビで評判だったという殺陣は映画でも「ぶった斬る」という感じがする。丹波哲郎も平幹二郎も体格が良いので迫力がある。
 ストーリーは映画オリジナルのようで、江戸時代にああいう女性が存在したかは疑問だが、女性キャラクターも各々個性的で面白い。また、結末が意外だった。シニカルというかなんというか、美化しすぎていないのが良いのかもしれない。
 元ネタのテレビドラマも観てみたいが、当時は生放送だったので絶対に不可能。残念。(2004/05/27)

秋刀魚の味 さんまのあじ
監督 小津安二郎
公開年 1962年
評点[A]
感想
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秋刀魚の味
秋刀魚の味
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小津安二郎 DVD-BOX 第一集
小津安二郎
DVD-BOX
第一集

 今日は、小津安二郎監督の『秋刀魚の味』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。小津の遺作。

 例によって娘が嫁に行く話(爆)。でも、原節子が娘役だった昭和二十年代の作品は娘がかなり理想化されていたりして、どこか作り話めいた面があったのに対し、この作品では娘を嫁にやり損ねた恩師の落魄の姿が描かれていたり、岩下志麻が不機嫌な様子を見せてディテールのリアリティが附加されていた。
 カラー作品で、例によって赤が強調されている。画面構成は凄く整えられていて様式美の極みだが、ちょっと窮屈にも思える。やっぱり私は溝口作品の宮川一夫カメラマンによる絵の方が好きかなぁ…。(2000/08/22)

三萬両五十三次(三万両五十三次) さんまんりょうごじゅうさんつぎ
監督 木村恵吾
公開年 1952年
評点[A’]
感想  今日は、大河内傳次郎主演の『三萬両五十三次』を観た。監督は木村恵吾で、昭和二十七年(1952)の作品。

 幕末、幕府は対公家工作などの費用として三万両を京都に送ることにした。なぜか担当の老中・堀田備中守(沢村国太郎)は、失態を犯して浪人になった元家臣の馬場蔵人(大河内傳次郎)を責任者とする。京に向かう三万両と蔵人を、尊皇派の浪人や蔵人を個人的に恨む山際三左衛門(河津清三郎)や盗人の牛若小僧(加東大介)など、様々な思惑の連中が追いかける。

 『銭形平次』の野村胡堂の原作を狸映画で有名な木村監督が映画化。脚本も木村恵吾。
 大河内傳次郎が“ひょうたん”というあだ名のとぼけた男を好演。演技はいつもどおりで超オーバーだが、あの独特の台詞回しが活かされている。全体に漂う“道中もの”らしいのんびりした雰囲気と小道具の瓢箪(実物)の使い方は、戦前の時代劇を彷彿とさせる味わいがある。
 河津清三郎のエキセントリックな侍(どう見ても優秀な家臣には見えないが)や轟夕起子演ずる年増女も良く、小佳作になっていると思う(上映時間は1時間5分強)。

 サイレント時代にも大河内傳次郎が出演して映画化されているが、それでは蔵人ではなく牛若小僧を演じていたらしい。牛若小僧が主人公のストーリーだったのだろうか?(2005/08/07)

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