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青春の殺人者 せいしゅんのさつじんしゃ
監督 長谷川和彦
公開年 1976年
評点[A]
感想
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青春の殺人者 デラックス版
青春の殺人者
デラックス版

 今日は、長谷川和彦監督の『青春の殺人者』を観た。昭和五十一年(1976)の作品。

 父親(内田良平)と母親(市原悦子)の一方的な愛情による束縛から逃れようとした青年・斉木順(水谷豊)は、ついに両親を殺す。

 寡作で知られる長谷川監督の初作品(今のところ全2作)。実話を基にしたストーリーだそうだ(脚本:田村孟)。若き日の水谷豊は顔も身体も引き締まっていてカッコイイ。市原悦子も、まだ体が細い(笑)。原田美枝子の演ずる、主人公につきまとうバカ女の迫力は圧倒的(笑)。
 しかし、有名な母親殺害シーンも含めて、全ての映像がシャープで切れ味鋭い(撮影:鈴木辰夫)。前衛的な表現を用いたところもあるが、さほど違和感は無い。作品の傾向が異なるので直接比較するのは無意味かもしれないが、実写の映像作家としての才能は押井守あたりよりも長谷川監督の方が数段上のように見える。
 好き嫌いは分かれると思うが、観客に迫ってくる力は物凄い作品。ゴダイゴの音楽も、その時代の雰囲気を演出してくれていて、良い感じ。

 そのあと、NHK BSで放映された『世界わが心の旅』に長谷川和彦監督が出演していたので観た。はぁ〜、ご健在のようで、なによりです(笑)。(2001/05/13)

青春の夢いまいづこ せいしゅんのゆめいまいずこ
監督 小津安二郎
公開年 1932年
評点[B]
感想
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小津安二郎 DVD-BOX 第四集
小津安二郎
DVD-BOX
第四集

 今日は、小津安二郎監督の『青春の夢いまいづこ』を観た。昭和七年(1932)の作品。

 学生の堀野哲夫(江川宇礼雄)と斎木太一郎(斎藤達雄)、熊田(大山健二)と島崎(笠智衆)たち4人は皆、大学近くのベーカリーの看板娘お繁(田中絹代)のことが好きだった。彼らは試験でカンニングしたりしながらのんきな学生生活を送っていたが、それからわずか数年のうちに堀野は若社長、あとの3人は社員と立場を分けることになり……。

 サイレント時代の小津に多かったカレッジもので、戦後も長く組んだ野田高梧の原作・脚本。
 前半の学生たちの珍妙な応援団の練習風景や試験のカンニングなどコミカルな展開は
小津お得意……のはずだが、この作品はちょっとテンポがゆっくりしすぎているかな?  全体にリズムが今ひとつに感じられて、特にサイレント慣れしていない人はちょっと退屈するかも。観た後に知ったのだが、『また逢ふ日まで』という作品(現存せず)の撮影予算が大幅に超過してしまったため『青春の夢〜』は急遽撮られた作品らしい。その制約が影響しているのだろうか。
 ただし、まだ22〜23歳で可愛い田中絹代やしょぼくれた雰囲気の斎藤達雄など俳優陣はさすがに魅力的だ。中でも前髪を垂らした若き日の笠智衆は二枚目といっていいくらいハンサムだった。(2006/03/19)

惜春鳥 せきしゅんちょう
監督 木下恵介
公開年 1959年
評点[C]
感想
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木下惠介 DVD-BOX 第4集
木下惠介 DVD-BOX 4
喜びも悲しみも幾歳月
風前の灯
この天の虹
風花
惜春鳥
今日もまたかくてありなん
春の夢

 今日は、木下恵介監督・脚本の『惜春鳥』を観た。昭和三十四年(1959)の作品。

 会津若松で生まれ育った若者たちが、久々に友人の一人が東京から帰省してきたのをきっかけに旧交を暖める。しかし、歳月は皆を変えていた。

 40年前の地方の若者たちって、こんなに友情に篤(あつ)かったのかな?と思わされる作品。すぐ抱き合ったり泣いたり、女々しい…というと女性に失礼だが、ベタベタした感じ。
 津川雅彦が若者の一人で、濃い顔の二枚目。ただ一人東京の大学へ進学し、帰省してきた若者役に川津祐介。その他の若者を演じたのは石浜朗・小坂一也・山本豊三で、計5人。佐田啓二と有馬稲子が登場する意味がよくわからない。若者たちと対照的な人物像として描いたのだろうけど…。また、若者の一人を身体障害者にした意味もわからない。
 全体に、今観ると時代の違いを感じざるを得ないような作品。映像的には、カラーなので会津の自然が美しかった。(2001/03/26)

関の弥太ッぺ(関の弥太っぺ) せきのやたっぺ
監督 田坂勝彦
公開年 1953年
評点[B]
感想  今日は、田坂勝彦監督の『関の弥太ッぺ』を観た。昭和二十八年(1953)の作品。

 渡世人の関の弥太郎(黒川彌太郎)は、自分が斬った堺の和吉(河野秋武)に彼の娘お小夜(松島トモ子)を託され、和吉の亡妻の実家の旅籠へ預けに行った。弥太郎は渡世の仇である箱田の森介(坂東好太郎)と出会ってしまい、よく説明する暇もなく旅籠から飛び出す。十年を経て、成長したお小夜(山本富士子)が恩人を探している噂を聞いたものの、決して顔を出さぬと誓っていた弥太郎だったが……。

 サイレント時代から幾度も映画化されている長谷川伸の原作による作品(脚本:阿蘇太郎)。この作品は4本目らしい。
 生真面目そうな黒川彌太郎は義理堅い弥太郎に合っているし、子役時代の松島トモ子はやはり芸達者。しかし、それ以外のことは中村錦之助主演の『関の彌太ッぺ』(監督:山下耕作/脚本:成澤昌茂/昭和三十八年)を観た目では違和感というか物足りなく思うことが多かった。
 山下耕作版の方が弥太郎の個人的な事情を詳しく描いているため、弥太郎のお小夜に対する想いの強さが了解しやすいし、弥太郎と森介の関係も山下版の方がすんなり飲み込みやすくなっており、全体に山下版の方が現代人に受け入れやすくなっている印象。終盤の印象も悲劇的な山下版の方が圧倒的に強い。成澤昌茂の脚色と山下監督の演出は実に見事だったとあらためて思った。
 田坂版も突出したところはないものの目立った欠点もないが、全てが水準程度といった感じで、“決定版”的な山下監督版と比較されては分が悪いかも。しかし、田坂版は股旅物らしい旅情では山下監督版より勝っていると思う。また、山下版は演出がウェットすぎるのが欠点といえば欠点で、湿っぽいのが苦手な人には田坂版の方が受け入れやすいかもしれない。(2005/10/30)

関の彌太ッぺ(関の彌太っぺ/関の弥太ッぺ/関の弥太っぺ) せきのやたっぺ
監督 山下耕作
公開年 1963年
評点[超A]
感想  今日は、中村錦之助主演の『関の弥太っぺ』を観た。監督は山下耕作で、昭和三十八年(1963)の作品。

 生き別れた妹を探しながら旅を続ける渡世人の弥太っぺこと弥太郎(中村錦之助、のち萬屋錦之介)は、斬られて瀕死の男(大坂志郎)に頼まれ、彼の娘お小夜(上木三津子)をある旅籠に送り届ける。妹との再会も果たせず、弥太郎は十年経って美しい娘に成長したお小夜(十朱幸代)の消息を偶然耳にするが……。

 原作は長谷川伸(脚本:成沢昌茂)。幾度となく演劇・映画になっている作品。 親子の情愛・兄妹の情愛が主題でウェットな雰囲気な、良くも悪くも日本的な作品。しかし、すすきの穂・夜空の月・風車・松並木などなど日本の風景を美しくとらえた映像と(撮影:古谷伸)、錦之助の演技に泣かされる。日本的悲劇といった感じの、ラスト近くの弥太郎とお小夜の会話とラストシーンの映像が特に良い。木下忠司の音楽も効果的で、まさに哀切の極み。長く忘れがたい一本。(2003/02/12)

絶唱 ぜっしょう
監督 西河克巳
公開年 1975年
評点[C]
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絶唱
絶唱

 今日は、山口百恵&三浦友和主演の『絶唱』を観た。昭和五十年(1975)の作品で、監督は西河克己。

 山陰地方のある山里の広大な土地を所有する園田家の長男・順吉(三浦友和)と山番の娘・小雪(山口百恵)が恋に落ちた。身分の違いから園田家の当主(辰巳柳太郎)も小雪の両親(大坂志郎・初井言栄)も反対するが、二人は駆け落ちする。しかし、時は戦時中でもあり、彼らの行く道は厳しかった。

 クラシカルな悲恋ものの一作。最初、無邪気な山の娘と言うには山口百恵がちょっと大人っぽいので(特に声がハスキーで色気があるため)少々違和感があったが、中盤から終盤にかけては、それらしく見えた。三浦友和は、いつも通り。
 ラスト、三浦友和が帰ってきたところで切った方が感動の余韻が残ったような気がする。終盤の10分ほどは描きすぎたような……。(2002/04/01)

切腹 せっぷく
監督 小林正樹
公開年 1967年
評点[A’]
感想
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切腹
切腹

 今日は、小林正樹監督の『切腹』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 泰平の世が定まった寛永年間。譜代大名・井伊家の玄関に初老の浪人・津雲半四郎(仲代達也)が現れ、ここで切腹させてくれと乞うた。井伊家の家老・斎藤勘解由(三國連太郎)は当家ではそのようなゆすりたかりは通用しないと言い、先日ここで見苦しい切腹をした若い浪人(石浜朗)の話をしたが、津雲は強く切腹を願う。ついに切腹の用意が整うと、津雲は介錯人を三人まで指名したが、なぜか全員いなかった。

 小林正樹監督の代表作で、武士道・封建制度を批判した作品として有名な一本。
 登場する武士・浪人たちは皆能面のように表情を崩さず重々しく喋る。全体に硬質な演技と演出。徳川封建制の冷厳さを表しているのだろうか。その中で、津雲の回想シーンでは仲代達也の持つ、どことなくひょうきんな面が現れていて印象に残る。終盤の殺陣は様式的ではなく、かなりリアル。
 演技・演出と同じく硬質な映像美も印象的(撮影:宮島義勇)。出演した丹波哲郎の証言によると、仲代達也VS丹波哲郎の対決シーンは空に雲が出るまで宮島義勇が撮ろうとせず15日間待ち続けたという……。時々用いられるダッチアングル(斜め構図)も効果的だった。
 この作品で描かれている武士像は少々図式的で、いかにも後世の人間が考えたもののように見える点に疑問が残るが、戦後に作られた一連の武士道批判映画の中でも完成度の高さで頂点に立つものだろう。橋本忍の脚本の構成も巧み(原作:滝口康彦)。(2004/05/25))

銭形平次 ぜにがたへいじ
監督 山内鉄也
公開年 1967年
評点[C]
感想  今日は、大川橋蔵主演の『銭形平次』を観た。監督は山内鉄也で、昭和四十二年(1967)の作品。

 博打好きな鳶職人の平次は、亡き父親の仕事の岡っ引きを嫌っていたが、何かと目をかけてくれた親方が殺されたことを知り、父親の跡を継ぐことを決意する。平次は、親方の死が材木問屋の上州屋を狙う“千里の虎”一味によるものであることを見抜き、謎を探る。

 昭和四十一年に始まったテレビ時代劇『銭形平次』の映画版。原作は野村胡堂(脚本:田坂啓・ 山内鉄也)。平次が岡っ引きになるきっかけの話だが、これはテレビ版では描かれなかったのだろうか。テレビの方は未見なのでわからない。
 主題歌を唄っている舟木一夫がなぜか橋蔵以上の良い役で出演したり、お約束的なストーリーやアップの多い絵作りなどテレビ的なところもあるが、展開のテンポが良く、、他の時代劇の主人公と異なり、強すぎない銭形平次のキャラが面白い。平次があまり強くないというのは、原作以来の設定らしいが、大川橋蔵は小柄な優男なので、まさにハマリ役だったと思う。
 平次の理解者である与力役に大友柳太朗。平次の幼なじみ役に小池朝雄。(2003/05/10)

銭形平次捕物控 平次八百八町 ぜにがたへいじとりものひかえへいじはっぴゃくやちょう
監督 佐伯清
公開年 1949年
評点[C]
感想  今日は、長谷川一夫主演の『銭形平次 平次八百八町』を観た。監督は佐伯清で、昭和二十四年(1949)の作品。

 江戸の市中に幻組と名乗る盗賊団が暗躍。岡っ引の銭形平次(長谷川一夫)は、ある発句の会で作られる意味不明な句が幻組の押し込み先に関わりがあると気づく。発句の宗匠・雨月庵宗磧(柳永二郎)の周りには、怪しげな下男(伊藤雄之助)もいて……。

 戦前から映画化されてきた野村胡堂原作の『銭形平次』の、長谷川一夫の主演による第一作(脚本:佐伯清・冬島泰三)。記念すべき(?)第一作だが、謎解きもアクションもまだ洗練されていないというか様式が確立されていない感じ。この作品の謎解きのヒントは文字なので、小説で読んで面白くても映画向きではなかったのかもしれない。この頃の長谷川一夫はまだ細くてカッコイイが。
 平次の子分のガラッ八役に花菱アチャコ。弟分の猪之助に黒川弥太郎。平次の恋人(のちに女房)のお静に花井蘭子。(2003/07/13)

零戦黒雲一家 ぜろせんくろくもいっか
監督 舛田利雄
公開年 1962年
評点[B]
感想  今日は、裕ちゃん主演の『零戦黒雲一家』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。監督は舛田利雄。

 昭和十八年、最前線の孤島に谷岡中尉(石原裕次郎)が赴任してくる。親分格の黒崎(二谷英明)を筆頭とする落ちこぼれの集まりの“黒雲一家”は、若い隊長に最初反発するが、次第にうち解けていく。設営隊の老隊長に大坂志郎、予科練出身の少年飛行兵に浜田光夫。
 戦争映画に分類されるかもしれないけれども、日活製の裕次郎映画と言った方が良いかもしれない。日本の軍隊でこんなことがあったはずもないが、それを言ってはヤボでしょうね…『兵隊やくざ』や『独立愚連隊』も成立しなくなるから。
 零戦は本物に見えず(たぶんアメリカ製の練習機?)、特撮も時代を感じさせるが当時としては頑張った方では。なぜか対潜哨戒機のP−2Jが色々大活躍していて、海上自衛隊が撮影に協力したようだ。
 どこで撮ったか知らないが、自然が美しく、特に夕暮れ時の情景が効果的だった。

 ちなみに、この作品は『機動警察パトレイバー』の第一期ビデオシリーズの初回で、篠原遊馬が埋め立て地の第二小隊を見て、最初に口にした「俺、映画でこういうの観たことある…『ラバウルなんとか』とか『零戦なんとか一家』とか、女の子が1人もいなくて整備兵はみんなヤクザで酒飲んでバクチやって、飯盒炊爨(はんごうすいさん)やって殴り合いで友情しちゃう恥ずかしいやつ」という台詞の元ネタ。「恥ずかしい」とまでは行かないと思うけど(笑)。(2000/11/02)

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