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地獄甲子園 じごくこうしえん
監督 山口雄大
公開年 2003年
評点[D]
感想
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地獄甲子園
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地獄甲子園 熱闘!スーパートルネードBOX
地獄甲子園 熱闘!
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 今日は、山口雄大監督の『地獄甲子園』を観た。平成十五年(2003)の作品。

 甲子園出場を夢に見る星道高校の校長兼野球部監督(永田耕一)は、地区予選の対戦相手が外道高校であることを知らされて絶望する。外道高校とはルール無用の殺人集団、対戦相手を皆殺しにすることを楽しみにしているチームだったのだ。だが、星道高校に謎の転校生“野球十兵衛”(坂口拓)がやってくる。果たして彼は救世主なのか?

 『月刊少年ジャンプ』で漫☆画太郎が連載した不条理ギャグマンガ『地獄甲子園』の映画化(脚本:山口雄大・桐山勲)。エンドロールに“脚本協力”という名義の一人として石井輝男の名が出てきたのでちょっとびっくり(他に漫☆画太郎・北村龍平・高津隆一)。
 原作はギャグマンガというかバカマンガなのだが、そのネタをかなり忠実に実写化している。しかし、作り手は意図的にチープにしているつもりだと思うが、それが“天然”に見えてしまうような……?
 真面目に観ても仕方ない種類の作品だが、“バカ映画”と認めるにしても、脚本・演出・演技・撮影、全て最低限の技術が伴っていない。私は原作が好きなので、ちと残念だった。脚本協力に名を連ねている石井輝男監督の『直撃!地獄拳』シリーズが、いかに偉大なバカ映画であるかがわかった。
 格闘シーンだけはそれらしく撮られているので(アクション監督:下村勇二)、そこだけは評価の対象になるかも。(2005/10/10)

地獄太鼓 じごくだいこ
監督 荒井良平
公開年 1953年
評点[B]
感想  今日は、大河内傳次郎主演の『地獄太鼓』を観た。監督は荒井良平で、昭和二十八年(1953)の作品。

 五代将軍綱吉(市川男女之助)は待望の跡継ぎ国松が生まれて大喜びしていた。国松を生んだのは筆頭老中・柳原甲斐守(市川小太夫)が推挙した側室お照の方(霧立のぼる)である。その頃、水戸の西山荘の畑を耕す光圀公(大河内傳次郎)を何者かの矢が襲う。

 戦前の作品が多い荒川良平がこれまた戦前派の監督・脚本家だった(戦後作もあるが)井上金太郎の原作を映画化(脚本:民門敏雄)。
 戦前から演じているだけあって大河内傳次郎の黄門は板についていて、普段のとぼけぶりと悪役を一喝するときの迫力との対比が良い。ストーリーは意外性に欠けるし、スリの長次(坂東好太郎)や飴売りの辰三(鶴田六郎)と言った長屋の住人のキャラクターと演技はちょっと類型的で昭和二十八年の映画としては少々古い気がしないでもないが、監督・原作が戦前派ならではの戦前映画っぽい暖かさがあり、古い時代劇映画ファンには好ましい作品だと思う。
 作中登場する江戸観光ガイド(?)の娘を演ずる久保幸江と飴屋の鶴田六郎が唄う歌が面白い。両者ともコロムビア所属の歌手らしい。(2006/03/12)

地獄の裁きは俺がする じごくのさばきはおれがする
監督 小沢茂弘
公開年 1962年
評点[B]
感想  それと、今日は片岡千恵蔵主演の『地獄の裁きは俺がする』を観た。監督は小沢茂弘で、昭和三十七年(1962)の作品。

 大組織を率いる大門(片岡千恵蔵)は、何度逮捕されても大弁護団と政治力を駆使してで生き残ってきた。そんな彼も、偶然からリカ(本間千代子)という少女が自分の娘らしいことを知り、自分の生き方に疑問をもつようになるが……。

 『地獄』シリーズの一作。これもシリアス路線の話。同年に公開された『裏切者は地獄だぜ』同様、メインキャストの一人が鶴田浩二。リカの恋人役として松方弘樹が出演。
 この作品は、アクションというよりも親子の関係を中心とした人情噺的な色が濃い。ただし、あまり湿っぽくはない。これも展開の予想は結構ついてしまうが、演出のテンポのよさで観られる。(2003/02/07)

地獄花 じごくばな
監督 伊藤大輔
公開年 1957年
評点[A’]
感想  今日は、伊藤大輔監督の『地獄花』を観た。昭和三十二年(1957)の作品。

 平安時代末期、琵琶湖近くの山賊の一党にステ姫という女(京マチ子)がいた。彼女は山賊の首領・袴野の麿(香川良介)に拾われた養女であり、長じては妻にされていた。彼女はその魅力ゆえ敵対する山賊の首魁(山村聡)や若い野伏の勝(鶴田浩二)を惹きつけ、数奇な運命をたどる。

 伊藤大輔監督には珍しい、女性が主人公の作品。オープニングのキャスト紹介では鶴田浩二がトップで出るが、完全に京マチ子が主役だ。こういう役に京マチ子はまさにベストキャスト。個人的に脇役専門俳優という印象のある香川良介も珍しく存在感を見せている。鶴田浩二の役は、登場場面は多いのだが印象が意外と薄い。
 この作品は何よりも京マチ子自身の魅力がかなりの割合で作品を引っ張っているように見える。もちろん、魅力的に見えたのは伊藤監督の演出の手腕のためでもあるだろうが。
 “大映ヴィスタビジョン”の第一作とのことだが、色が黄色がかっていたりするのは、そのせいだろうか。映像面には、正直あまり魅力を感じなかった。(2003/10/25)

地獄命令 じごくめいれい
監督 小沢茂弘
公開年 1964年
評点[B]
感想  片岡千恵蔵主演の『地獄命令』を観た。監督は小沢茂弘で、昭和三十九年(1964)の作品。

 大松会の会長・大松正道(片岡千恵蔵)は組織を守るため、手段を選ばず金を稼いできた。ニュータウン建設の際にも娘婿である根津(南原宏治)の縄張りを侵食し、大松の敵である中丸(安部徹)は二人の間に隙を生じさせようとする。

 『地獄』シリーズの一つ。『裏切者は地獄だぜ』と違ってシリアス……というか、むしろ『裏切者』がシリーズ中で毛色が違うのかな?
 千恵蔵が演じているのは、いつもソフト帽をかぶっているようなクラシカルな“ギャングのボス”で、その辺で時代を感じさせはするし、ロクに狙わずに拳銃を撃っても相手に百発百中でアクションのリアリティはない。
 ただし、千恵蔵の貫禄や弟分を演じる進藤英太郎など、見どころはあるし、展開のテンポは良いので退屈はしない。演出の腕だろうか。千恵蔵の娘として佐久間良子、息子として千葉真一が出演。(2002/02/06)

地獄門 じごくもん
監督 衣笠貞之助
公開年 1953年
評点[B]
感想  今日、衣笠貞之助監督の『地獄門』を観た。昭和二十八年(1953)の作品。

 時は平治の乱の頃。合戦の中で助けた人妻の袈裟(京マチ子)に横恋慕した粗野な遠藤武者の盛遠(長谷川一夫)が、自分のものにならなければ夫(山形勲)や伯母を皆殺しにすると袈裟を脅すと、彼女はうなづいたが…。
 この作品はカンヌ国際映画祭のグランプリを獲ったが、ネット上で検索してみると意外と評価は高くない。私も以前から観たかったのだけれども、実際鑑賞するとその評価もうなづけた。ストーリーと、オチもちょっとね。衣笠貞之助作品を観るのは初めてだが、溝口健二なんかと比べるのはキツイかな。
 でも、衣装やセットは本当に超豪華なので観て損した気はしなかった。出演者も立ち居ふるまいが美しいし、今のNHK大河ドラマあたりよりはずっとレベルは高いから、名作とまでは行かなくとも記憶に残すべき作品か。(2000/05/19)

士魂魔道 大龍巻 しこんまどうだいたつまき
監督 稲垣浩
公開年 1964年
評点[B]
感想  今日は、稲垣浩監督の『士魂魔道 大龍巻』を観た。昭和三十九年(1964)の作品。

 大阪夏の陣の最後の日、豊臣方の深見重兵衛(市川染五郎、のち松本幸四郎)・草薙修理(佐藤允)・奥野久之助(夏木陽介)の三人の若武者はそれぞれの道を行くことを決めて別れた。重兵衛は秀頼の遺児・国松を守って腰元の小里(星由里子)と共に逃れたが、国松を徳川方に奪われ、小里とも離れてしまう。やがて、三人は豊臣再興を大義名分とする欲望の渦に巻き込まれていく。

 南條範夫の小説を基にした時代劇だが(脚本:木村武・稲垣浩)、特技監督に円谷英二を迎えた特撮映画でもある。縮小模型で撮ったと思われる城の炎上や爆発シーンはかなりリアルで、最近の大河ドラマのしょぼいCGよりずっと良い。かけられた費用も時間もケタ違いだろうから、単純な比較は無意味かもしれないが。題名の竜巻も、当時としては非常にリアルだと思う。
 内容的には、若武者たちの三者三様の生き方や、小里とその姉・菊江(久我美子)ら女たち、そして豊臣再興を名目として欲望に走った武藤満太(戸上城太郎)・鷲尾九十郎(稲葉義男)といったキャラたちを平行して描いていて、巧みに映画的に構成された脚本だと思う。そのためか、まとまりに欠ける感もあり、一応主人公の重兵衛の陰が薄くなったのはちょっと惜しい。
 市川染五郎の演技は若い感じがするが、歌舞伎の人にしてはかなりナチュラルで映画向き。殺陣もまぁまぁ。ただし、まだ線が細く存在感は今ひとつな感じ。演技陣の中では、悪役の稲葉義男と戸上城太郎のセコさとふてぶてしさを併せ持った存在感が目立った。(2003/05/03)

静かなる決闘 しずかなるけっとう
監督 黒澤明
公開年 1949年
評点[A’]
感想
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静かなる決闘 ― デラックス版
静かなる決闘
デラックス版
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黒澤明
黒澤明:大映BOX
『羅生門』
『静かなる決闘』
『まあだだよ』

 今日は、黒澤明監督の『静かなる決闘』を観た。昭和二十四年(1949)の作品。

 戦地から帰還した青年医師・藤崎恭二(三船敏郎)は、戦前からの許婚・松本美佐緒(三條美紀)に冷たい態度をとり、婚約を破棄しようとする。実は、戦時中に野戦病院での手術中、梅毒に感染してしまっていたからだ。それを打ち明けられず、苦悩する藤崎。

 『酔いどれ天使』・『赤ひげ』と並ぶ医師主演の黒澤作品。『酔いどれ天使』で志村喬と共演して主役を食ってしまった三船敏郎が、この作品では主役の医師を演じている(志村喬は三船の父役)。
 中盤まではお説教臭さがあり主人公も理想的過ぎると思ったが、終盤に主人公が苦悩を語りだすと、ぐいぐい力技で押してきて感動させられる。黒澤作品では女性の描き方がイマイチというのが通説で、この作品の主人公の許婚や主人公のところに住み込んでいる元ダンサーの女(千石規子)も不自然に見えることもあるが、特に後者は黒澤作品にしては生き生きした女性として描かれていると思った。(2002/02/03)

七人の侍 しちにんのさむらい
監督 黒澤明
公開年 1954年
評点[超A]
感想
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七人の侍
七人の侍
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黒澤明
黒澤明 :
DVD BOXSET 1

 今日は、黒澤明監督の『七人の侍』を観た。昭和二十九年(1954)年の作品。

 戦国時代、ある寒村が野武士の襲撃に悩まされていた。百姓たちは、用心棒として侍を雇おうとする。米の飯だけの報酬に応えて、勘兵衛(志村喬)・菊千代(三船敏郎)・七郎次(加東大介)・勝四郎(木村功)・平八(千秋実)・久蔵(宮口精二)・五郎兵衛(稲葉義男)の“七人の侍”が集まり、野武士との死闘が始まる。

 国内外を問わず、日本映画の代表作とされている作品。その名に違わず、勘兵衛が侍たちを集めようとする冒頭から野武士との戦闘ののちのラストシーンに至るまで、映画的面白さが横溢している。七人の侍や主な百姓たちも、キャラ立ちまくり。
 これを観て「思ったより凄くなかった」という意味のことを言う人がいるようだが、『七人の侍』は映画やマンガ(劇画)はもちろんゲームの類(RPG等)も含めた多くの創作作品に影響を与えているので既に似た表現に触れてしまっていた、ということだろう。この作品の本質的な良さは揺らがないと思う。今まで邦画を敬遠していた人々にもお勧めできる作品。(2001/03/31)

指導物語 しどうものがたり
監督 熊谷久虎
公開年 1941年
評点[A’]
感想  今日は、熊谷久虎監督の『指導物語』を観た。昭和十六年(1941)の作品。

 国鉄の老機関士・瀬木(丸山定夫)は、定年を数年後に控えた自分が窓際に追いやられているような疎外感を覚えていたが、久しぶりに陸軍の鉄道部隊の新兵・佐川新太郎(藤田進)の指導を任されたので大いに喜ぶ。瀬木は同僚の田町機関士(藤輪欣司)と彼が指導するインテリ兵士の草野(中村彰)に対抗意識を燃やしながら、佐川を厳しく鍛えていく。

 当時の鉄道省と陸軍省が協力して作られた作品だという(原作:上田広/脚色:沢村勉)。それだけに、実物の線路や蒸気機関車を存分に使って作られていて、蒸気機関車の力強さ・重量感は素晴らしい。ただ撮るだけではなく様々なアングルが工夫されていて、撮影監督の宮島義勇(義男)の技量を感じさせる。
 まず映像の素晴らしさが先に立つ作品だが、内容的にも主人公の瀬木のキャラクターが面白い。“師弟もの”の範疇に入る作品だけれども、瀬木は機関車の運転のことしか頭にない。頑固というか、むしろ作品の中で最も大人気〔おとなげ〕なく子供っぽい性格になっている。かといって不快なキャラになっているわけではなく、彼が誠実に職務を果たしているのであり、佐川を思っているということも充分に伝わってくる。
 しかしながら、国策映画として作られたため、その部分が今の目で観ると気になってしまうほど多いのが惜しい。それも、申しわけ程度で体制協力的メッセージを入れたというのではなく、監督自身が国粋主義団体を主宰していたほどなので、出征場面が何度も挿入されたり、果ては瀬木の娘の一人が寝言で軍国歌謡を唄うのは明らかにやりすぎ。インテリ批判・反教養的な部分も目につく。
 『阿部一族』などの傑作を作ったり、この作品も観るべきところが多いので、熊谷監督がもっと自分自身を強く持っていれば大成して映画史に残る巨匠になったんだろうな……と思うと残念。この作品では生真面目なテーマの中にユーモアさえ感じさせてくれる部分もあったので、才能のある人だったと思うのだが……。
 瀬木の長女として原節子が出演。主演級ではないが、印象は強い。(2005/07/08)

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