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しとやかな獣 しとやかなけだもの
監督 川島雄三
公開年 1962年
評点[A’]
感想
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しとやかな獣
しとやかな獣

 今日は、川島雄三監督の『しとやかな獣』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。脚本は新藤兼人。

 会社の金を使い込む息子(川畑愛光)と有名作家の愛人になって金をせびる娘(浜田ゆう子)。実は2人とも両親(伊藤雄之助&山岡久乃)公認の詐欺一家だったのだ。しかし、さらに一枚上の女(若尾文子)がいて…。
 やぁ、面白い。川島監督一流のアイロニーに富んだ作品。舞台は団地の一室から出ないのに、出演者全員が芸達者なので間が持つ。会話のテンポが早く、しゃべり方自体も早口なような気がしたが、映画もこの頃には既にテレビの影響を受けていたのだろうか。舞台が室内のみで台詞が多い脚本だと、ただうるさいだけになりそうだが、川島監督は上手く処理している。団地の階段を巧みに利用し、カメラワークも面白い。
 それにしても、山岡久乃って、こんな昔から母親役をやってたんだ(笑)。(2000/10/21)

支那の夜 しなのよる
監督 伏水修
公開年 1940年
評点[C]
感想  今日は、長谷川一夫&李香蘭主演の『支那の夜』を観た。監督は伏水修で、昭和十五年(1940)の作品。

 ある日、初めて上海に来た日本人船員の長谷哲夫(長谷川一夫)は、街で日本人にからまれていた中国娘の桂蘭(李香蘭=山口淑子)を助ける。反日的であった彼女も、長谷の優しさに触れて心を開いていく。その二人を襲う風波。

 日本人でありながら中国人女優として喧伝された李香蘭の代表作。戦前の国策映画だけあって、お約束の展開といいますか…例えば、「かたくなな女が病気で倒れ、男に看病されて心を開く」というのはマンガなどでいくらでもあるパターンだが、これって戦前からあったんだ(笑)。こういうのが、かえって当時の観客にはウケたのかなぁ。
 それと、脇役が完全に台詞をトチっているシーンが2ヶ所あったのに、何事も無かったように進められていた。現地調達した素人の日本人でも使ったのか、あるいは時間に追われて早撮りしたのか…。
 撮影は名キャメラマンの三村明なので、映像は美しい。上海や蘇州の風景がたっぷり出てくるのは、海外に行く機会はまず無かった当時の日本人向けだろう。

 ラストは別の意味で意外な展開なので、それで全てを許せてしまうか、あるいは怒ってしまうかは、受け手次第(謎)。(2001/04/05)

死の棘 しのとげ
監督 小栗康平
公開年 1990年
評点[C]
感想
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小栗康平監督作品集 DVD-BOX
小栗康平監督作品集
DVD-BOX(5枚組)
『泥の河』
『伽倻子のために』
『死の棘』
『眠る男』
特典ディスク


 今日は、小栗康平監督の『死の棘』を観た。平成二年(1990)の作品。原作は島尾敏雄の同題小説。

 作家である夫(岸辺一徳)の浮気を知って精神の平衡を失う妻(松坂慶子)。次第に夫も彼女に追いつめられていく。
 う〜ん、こういうの苦手…。前衛演劇みたいに2人で顔をつきあわせて問答する前半はひたすら退屈だし、意図的な棒読みと芝居がかった口調との両極端の台詞回しも違和感ありあり。演出意図がわからない。
 怖いっちゃあ怖いけど、高い評価もあるってのは、個人的によくわからない。カンヌ国際映画祭で審査員大賞を受けたそうな。でも、そういう評価って、異常なものに対する興味に過ぎないんぢゃないか…とさえ思ってしまった。少なくとも私の好みとは異なる作品。(2000/10/25)

渋川伴五郎 しぶかわばんごろう
監督 築山光吉
公開年 1922年
評点[B]
感想  今日は、尾上松之助主演の『渋川伴五郎』を観た。監督は築山光吉で、大正十一年(1922)の作品。

 江戸の柔術師範・渋川幡龍軒(嵐璃珀)の跡継ぎ伴五郎(尾上松之助)は奸悪な門人の讒言によって勘当されたが、あるきっかけで有馬候(市川寿美之丞)に領内の妖怪退治を依頼される。伴五郎が妖怪と戦っている最中、江戸では奸悪な門人とその仲間が幡龍軒を狙い……。

 明治末期から大正時代の日本映画界のトップスターだった尾上松之助主演の一作。渋川伴五郎という人は初耳だが、講談ではおなじみの人だったらしい。
 オープニングタイトルに“旧劇”と銘打たれているように題材も立ち回りも古めかしい歌舞伎的なものだけれども、複数のプロットを平行させるストーリーの組み立て方や映像は意外と新しいものを見せている。特に映像面は、以前観た『尾上松之助の忠臣蔵』ではカメラが据えっぱなしという印象があったが、この作品では要所々々ではアップになったりしているので、この頃にはもう洋画から学んだ手法が一般化していたのだろうか(撮影:松村清太郎)。
 現代人の目で観るともちろん素朴すぎる作品ではあるが、サイレント特有のコミカルなオーバーアクションやテンポの良さ、工夫を凝らした特撮技術などは結構楽しめ、娯楽作としては今観てもまずまず及第点を与えられるかもしれない。完全に近い形で残されている尾上松之助主演作はこの一本だけだというのが残念だ。

 もう一つ印象に残ったのは、80年以上前の作品にもかかわらず今観られるプリントの画質が非常に良いこと。傷は多いけれどもピントはシャープで解像度は低くなく、グレーの階調も自然に出ている。ものの本によると、この頃のフィルムは赤色光に反応しないオルソ・フィルムというものしかなく白黒階調が極端なコントラストのきつい映像しか撮れなかったと書かれていたが、この作品では比較的ナチュラルなモノクロ映像になっている。(2005/07/24)

シベリア超特急 しべりあちょうとっきゅう
監督 水野晴朗
公開年 1996年
評点[D]
感想  今日、昨年深夜放映されたのを録画した『シベリア超特急』を観た。うぅむ…、ジミー・ウォング先生の『ファイナルドラゴン』(旧邦題:キラードラゴン流星拳)以来の怪作か。にしても、水野先生は山下奉文大将にクリソツすぎ(笑)。(2000/02/20)
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シベリア超特急 劇場公開完全版
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シベリア超特急 特別編集版
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シベリア超特急 特別編集版〈豪華愛蔵仕様〉
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島の娘 しまのむすめ
監督 野村芳亭
公開年 1933年
評点[A’]
感想  今日は、野村芳亭監督の『島の娘』を観た。昭和八年(1933)の作品。

 伊豆大島の旅館「寺川屋」の娘お絹(吉川満子)は、家業が傾き東京に売られることになっていた。お絹と将来を誓いあっていた船員・月山一郎(江川宇礼雄)は彼女のためになんとかしてやろうとするが果たせず、心を残しながら航海に出る。そんな折、寺川屋に泊まった学生・大河(竹内良一)が絹子の境遇に興味を示す。

 松竹映画創生期からの巨匠で松竹蒲田撮影所所長だった野村芳亭監督作品(原作:長田幹彦/脚本:柳井隆雄)。小唄勝太郎という人が唄った当時のヒット曲『島の娘』を基にして作られた“小唄映画”らしい。数社で競作になったようだ。
 本当に大島にロケもしたのか(撮影:長井信一)、観光地でありながらどこかうらぶれた物悲しいような風情がある。吉川満子は小津作品などでは人妻や母親役が定番であるが、さすがにこの頃は若く娘役が合っている。大河に声をかける酌婦おしまを演じた若水絹子という女優も雰囲気が良い。
 流行歌を基にした商業映画であるが、ラストシークエンスも味わい深く心に残る。野村芳太郎監督の父でもある野村芳亭の作品は、何本くらい残されているのだろうか。(2005/02/07)

シミキンのオオ!市民諸君 しみきんのおおしみんしょくん
監督 川島雄三
公開年 1948年
評点[C]
感想 『オオ!市民諸君』(おおしみんしょくん)を参照

清水次郎長 しみずのじろちょう
監督 萩原遼
公開年 1938年
評点[B]
感想  今日は、大河内傳次郎主演の『清水次郎長』を観た。監督は萩原遼で、昭和十三年(1938)の作品。

 清水港の侠客・次郎長(大河内傳次郎)は、渡世の義理で保下田の久六(鳥羽陽之助)の敵を斬ってやったが、久六との仲はどうもしっくりしない。そんな次郎長のもとに博打好きの少年・石松(大村千吉)が子分にしろと押しかけてきたり、近所の娘お蝶(千葉早智子)が何かと世話を焼きに来たりしたが、ついには駆け落ちした男女まで飛び込んできた。

 清水の次郎長ものだが、まだ売り出し前という設定なのか一人暮らしで石松も少年(原作:小島政二郎/脚本:八住利雄) 。そのため次郎長ものではおなじみの子分の活躍や子分との掛け合いはあまりない。石松の大村千吉の演技はまだ若いし。それに中盤は不良少年石松を次郎長とお蝶が更生させようとする謎の展開(笑)。猫がかわいいけど。
 前半から中盤にかけては、萩原監督らしい庶民の生活の描写を観ることはできるものの、ちょっと地味な展開だが、後半に入って文字通り大河内傳次郎が走り出すと一気に映画が動き始める。殺陣の際に走っても上体がぶれない傳次郎はさすがだし、次郎長のあせりを示す映像表現も面白くて効果的(撮影:安本淳)。比較的保存状態が良いので、空に浮かぶ雲の美しさも印象に残る。
 終盤の傳次郎の迫力や殺陣はやはり素晴らしいので、前半から中盤にかけてもう少しコミカルでテンポ良くしたら、メリハリが利いてより印象が強い作品になったかもしれないので、惜しい気がする。(2004/05/13)

清水港代参夢道中 しみずみなとだいさんゆめどうちゅう
監督 マキノ正博(雅弘)
公開年 1940年
評点[A’]
感想 『續清水港』(ぞくしみずみなと)を参照

ジャコ萬と鉄 じゃこまんとてつ
監督 谷口千吉
公開年 1949年
評点[A’]
感想  今日は、谷口千吉監督の『ジャコ萬と鉄』を観た。昭和二十四年の作品。脚本は黒澤明と谷口千吉。

 北海道のある漁場を支配する網元・九兵衛(進藤英太郎)。鰊(にしん)の群れを待っていると、彼の弱みを握る無法者・ジャコ萬(月形龍之介)がやってきて、嫌がらせの限りを尽くす。そこへ九兵衛の息子・鉄(三船敏郎)が復員してきてジャコ萬と対決する。

 同じ谷口監督の『銀嶺の果て』(昭和二十二年)で映画初出演をした三船敏郎の主演。『銀嶺の果て』に比べると、この作品は人物描写も映像表現も格段に進歩しているように思った。各キャラに厚みがあり、映像もスピード感がある。
 ジャコ萬の情婦のユキ(浜田百合子)の人物像は時代を感じさせるが、ジャコ萬も九兵衛も単なる悪役ではない深みを感じさせられる。月形のジャコ萬は凄みがあり、三船敏郎の鉄はかっこいい。二人のアクションシーンも良い。
 映像的には、雪景色の中での馬ぞりと犬ぞりの追っかけシーンや漁の場面に迫力がある。時々合成がまるわかりなのは時代的に仕方ないだろうか。
 ジャコ満を丹波哲郎、鉄を高倉健を演じたリメイク版(監督:深作欣二)もあるそうなので、機会があったら観てみたい。

 NHK BSの深夜放映だったが、台詞にカットされて口パクのところが数箇所あったのが残念。二つほどはわかったが、ジャコ萬が鉄に向かって「×××つもりでボルネオへ行ったんだろ」と言った部分はわからなかった。(補注:のちに音声ノーカット版を観たら「おめえ、いつかカムチャツカさ行くつもりでボルネオ行っちまったそうだな……だいぶ見当違いな野郎だっつうだ」だった。“めっかち”などは放送に相応しくない用語とされているが、カムチャツカの何が不都合なのだろうか? 単に放映されたプリントのサウンドトラック部分が痛んでいただけか?)(2001/12/16)

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