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新悪名 しんあくみょう
監督 森一生
公開年 1962年
評点[A’]
感想
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新・悪名
新・悪名
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悪名 DVD-BOX・第一巻
悪名 DVD-BOX
第一巻
悪名
続・悪名
新・悪名
続・新悪名
第三の悪名

 今日は、勝新&田宮二郎主演の『新悪名』を観た。昭和三十七年(1962)の作品で、監督は森一生。

 日本は終戦を迎え、出征していた朝吉(勝新太郎)は日本に復員してくる。しかし、長い戦地暮らしと敗戦は、彼を取り巻く状況を全て変えていた。朝吉は運命を受け入れながらも、たくましく生きていく。

 舞台が戦後のためか監督が交代したせいか、様式美を感じさせた前2作よりも生々しい描写が増えている。脚本は変わらず依田義賢なのだが、戦後の闇市における、いわゆる“第三国人”の問題を取り扱ったりしている。これは地上波では絶対に放映できないかも。NHK BSでも放映後に「放送にふさわしくない用語が用いられていますが…云々」という“おことわり”が出たし。
 モートルの貞の弟という設定で登場している田宮二郎は少々軽薄なキャラクターになっているが、それもまた軽妙で楽しい。須賀不二男もまたいい味を出している。
 撮影監督も交替して(今井ひろし)画面の感じが少し変わったものの、カラーの美しさは変わらない。保存状態が良いようだ。色彩設計は、少し派手になったように見える。(2001/05/27)

仁義の墓場 じんぎのはかば
監督 深作欣二
公開年 1975年
評点[B]
感想
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仁義の墓場
仁義の墓場

 今日は、深作欣二監督の『仁義の墓場』を観た。昭和五十年(1950)の作品。

 若くして無頼の道に入ったが、ヤクザ社会の枠にもおさまることが出来なかった石川力夫(渡哲也)の破滅的な人生。

 聞くところによると渡哲也の東映作品初出演作だそうが、いきなりもう無茶苦茶な役をやっている。実在の人物がモデルだというけれども、彼はたいした理由も無いのに、少なくとも作品中では悪い人には見えない親分(ハナ肇)や兄弟分(梅宮辰夫)に牙をむき、自滅への道を突き進んでいく。不条理極まりなく、いったい何のために生きた人なのだろう? 人間社会の中で生きていくこと自体が無理だったのだろうか? と思わされてしまうが、それを考えさせるのも作品のテーマの一つなのだろうか。とにかく、謎な主人公で、題名の意味はラストシーンでわかる。
 東映実録路線が盛んだった頃の作品で、深作流のハンディカメラの映像や暴力描写は迫力ある。私の好みではないのだが。(2003/02/28)

新鞍馬天狗 しんくらまてんぐ
監督 安田公義
公開年 1965年
評点[B]
感想  今日は、市川雷蔵主演の『新鞍馬天狗』を観た。監督は安田公義で、昭和四十年(1965年)の作品。

 幕末の京都は、新選組による勤皇の志士狩りの嵐が吹きすさんでいた。そんな中、鞍馬天狗と名乗る謎の黒覆面の男(市川雷蔵)が勤皇方を助けて評判となっていた。彼は、表向きは倉田典膳と称して、杉作少年(二宮秀樹)や吉兵衛(本郷秀雄)を味方として、近藤勇(中村竹弥)たちと対決する。

 大仏次郎の小説を原作として、戦前戦中に嵐寛寿郎主演で大人気となった『鞍馬天狗』シリーズの新作。
 素の時は平凡な好青年風だったという市川雷蔵だけあって、手習いの師匠の倉田典膳と剣の達人の鞍馬天狗との二面性は出せていたと思う。演出は割りとリアルで殺陣の撮影にハンディカメラが用いられるなど、この頃になると映像も現代的になってくる。大映作品なので保存状態も良く画像は美しい。
 ただ、リアルな部分と杉作少年や鞍馬天狗が斬ってしまった新選組隊士の姉おとよ(中村玉緒)が登場する部分との違和感が少しあるような気がする。また、ヒーローものの爽快感も、あまりないような。(2002/05/14)

新・鞍馬天狗 五條坂の決闘 しんくらまてんぐごじょうざかのけっとう
監督 黒田義之
公開年 1965年
評点[B]
感想  今日は、市川雷蔵主演の『新・鞍馬天狗 五條坂の決闘』を観た。昭和四十年(1965)の作品で、監督は黒田義之。

 鞍馬天狗(市川雷蔵)は将軍家茂の上洛を期に、大政奉還するよう将軍に直に訴えようとしていた。それを知った幕府方は鞍馬天狗を倒そうとするが、もはや新選組でも手におえない。しかし、京都所司代らは不気味な力を持つ“山嶽党”を名乗る一味を利用して鞍馬天狗を倒そうとする。

 市川雷蔵版『鞍馬天狗』の第2作。シリアス目な作りだった前作とはうって変わって、怪しげな白髪の老人が率いる謎の組織や、その秘密会議はメンバーが髑髏の模様をついた服を着ているのを見たときには、どうなることかと思ったが、娯楽作として意外とまとまっている作品。
 ストーリーの先は読めるけれども、ヒーローもののパターンを踏襲してテンポが良く、それなりに楽しめる佳作。鞍馬天狗が、何の説明も無く敵の洞窟に忍び込んだり、いつの間にか脱出して馬に乗って走っているのが愉快(笑)。

 前作が真面目すぎたので、続編は昔の路線を踏襲したのだろうか。でも、2作目でシリーズ打ち切りになってしまったのは、昭和四十年ころには既に子供向け娯楽ドラマはテレビで観る時代になっていたのだろうか……。(2002/05/23)

進軍の歌 しんぐんのうた
監督 佐々木康
公開年 1937年
評点[D]
感想  今日は、佐々木康監督の『進軍の歌』を観た。昭和十二年(1937)の作品。

 大陸で戦火が広がり、労働争議を起こして警察の留置場に拘留されていた安藤俊作(佐分利信)のもとにも召集令状が届き、警察署長(奈良真養)は励ましの言葉をかけて釈放した。幼なじみであるが社長の息子でもある遠山次郎(広瀬徹)へのわだかまりは溶けないが、俊作はお国のために戦うことを決意して出征する。

 東京日日新聞と大阪毎日新聞(双方とも現在の毎日新聞の前身)が公募した戦意高揚歌の第一席に選ばれた『進軍の歌』を宣伝するために作られた作品(原作:岩崎栄/脚本:斎藤良輔)で、50分弱の短編。
 労働争議の首謀者が召集令状を受け取ったとたんに改心してお国のために働こう、となる冒頭から始まって、登場人物は芸者(桑野通子)から置屋の主人(河村黎吉)に至るまで皆が皆、お国のためを思う真面目人間ばかり。
 全キャラクターが嘘臭くて偽善的なのは支那事変(日中戦争)勃発直後の宣伝映画だから、一歩譲って仕方がないとしても、他に見所があるかというと特にない。戦闘シーンも、夜襲をかけられた日本軍が逆襲すると、いつの間にか支那軍(中国国民党軍)の背後に回りこんで棒立ちの敵を斬り殺すというコントみたいな展開があったりしてリアリティゼロ。
 さすがの戦前好きの私(笑)でもほとんど長所を見出せない一本。監督以下のスタッフも出演者も、戦後は特になかったことにしたかった作品だったと思う。(2005/11/19)

真剣勝負 しんけんしょうぶ
監督 内田吐夢
公開年 1971年
評点[C]
感想  今日は、内田吐夢監督の『真剣勝負』を観た。昭和四十六年(1971)の作品。

 京の吉岡一門との戦いに勝利した宮本武蔵(中村錦之助、のち萬屋錦之介)は、鎖鎌で名高い宍戸梅軒(三国連太郎)のもとを訪れ、鎖鎌の技を見せてもらおうとする。対して梅軒は、武蔵が妻お槇(沖山秀子)にとっては仇にあたることを知って討とうとする。

 内田吐夢監督の『宮本武蔵』全5作では描かれなかった吉川英治の原作中のエピソードの映画化で(脚本:伊藤大輔)、監督の遺作になった。
 1時間16分ほどの小品だが、対宍戸梅軒戦一つのエピソードだけで間を持たせるのは少々きついように感じられた。それで、中盤以降は宍戸梅軒の幼い息子を中心に据えたのかもしれないが、観ている方としては困惑してしまう。登場人物の感情を表す表現やモノローグ部分の効果、妻お槇が「乳が張る」と叫んだあとの行動など「やりすぎ」の部分も多い。特に、お槇のあの行為は、あそこまで見せる必然性があったのだろーか。
 内田監督が元気なうちに作ってもらいたかった作品。(2003/04/12)

新座頭市 破れ!唐人拳 しんざとういちやぶれとうじんけん
監督 安田公義
公開年 1971年
評点[A’]
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新座頭市 破れ! 唐人剣
新座頭市
破れ! 唐人剣

 今日は、勝新主演の『新座頭市 破れ!唐人拳』を観た。監督は安田公義で、昭和四十六年(1971)の作品。

 今日も旅を続ける座頭市(勝新太郎)は、南部藩の献上物の行列を乱して追われる唐人の子・小栄(香川雅人)と片腕の武芸者・王剛(王羽ワン・ユー)を助けた。三人は一緒に逃げたが、言葉が通じないため、王剛は座頭市が裏切ったと思ってしまう。

 ブルース・リー以前のアジアのカンフー(クンフー)映画界(当時の用語では“カラテ映画”)のスターだった台湾出身の王羽(あるいはジミー・ウォング)がゲスト出演した珍しい作品。
 邦画ファンにはあまり知られていないようだが『座頭市』シリーズはアジア一帯で大人気だったそうで、王羽が多くの作品(『片腕ドラゴン』など)で演じた片腕の武芸者も座頭市の盲目にヒントを得て作られたキャラクターだそうだ。
 いつもの、子供連れの人情話と座頭市の盲目につけこもうとする敵との戦いに加えて、王羽の中国風拳法・剣術との戦いもあり、バラエティーに富んだ内容になっていて娯楽性が高い。観る前はまとまりのない作品になっていると思っていたが、巧みな脚本だ(脚本:山田隆之・安田公義)。“てんぷくトリオ”(三波伸介・伊東四朗・戸塚睦夫)まで出演させたのは悪ノリ気味だが。
 正直なところ他の作品ではあまりアクションに切れがない王羽も強そうに見えるし、もしかすると彼の出演作の中ではベストかも? 王羽の日本人の友人を演じた南原宏治も迫力ある。

 この作品、アジア各国では王羽勝利バージョンが作られて公開されたという。香港映画(とくにクンフー映画)ファンなら知っていることだが、王羽はスターであると同時に黒社会の大物であることが関係している……のカナ?(笑)(2004/07/29)

新諸国物語 笛吹童子 第一〜三部 しんしょこくものがたりふえふきどうじ
監督 萩原遼
公開年 1954年
評点[B]
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新諸国物語 笛吹童子
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新諸国物語 DVD-BOX
新諸国物語
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 今日は、中村錦之助主演の『新諸国物語 笛吹童子 第一部 どくろの旗』を観た。監督は萩原遼で、昭和二十九年(1954)の作品。

 応仁の乱のあと天下は麻の如く乱れ、丹波の満月城も髑髏の旗印を掲げる野武士・赤柿玄蕃(月形龍之介)によって奪われた。大陸の明に留学していた満月城主の子・萩丸(東千代之介)と菊丸(中村錦之助、のち萬屋錦之介)はそれを知り、日本へ向かう。

 中村錦之助3本目の映画出演作で、当時大人気だったNHKの子供向け連続ラジオドラマの映画化(原作:北村寿夫/脚色:小川正)。錦之助は外見も声も少年っぽく本当に若い感じがする。
 原作が子供向けだけに、リアルさは無くおとぎ話っぽい雰囲気。三木滋人の撮影によるソフトな映像が、よりファンタジー的な雰囲気を作っている。出演者の中では、月形龍之介の絵に描いたような悪役っぷりが面白い。
 ただし、各編が1時間に満たない続き物なので、全3部作を観なければ評価はできないかも。なんせ、いきなり登場した大友柳太朗が「うわっはっはっは」と笑って終わるんだもの(笑)。(2003/03/24)



 今日は、中村錦之助主演の『新諸国物語 笛吹童子 第二部 妖術の闘争』と『第三部 満月城の凱歌』を観た。双方とも監督は萩原遼で、昭和二十九年(1954)の作品。

 第二部は、第一部のラストで赤柿玄蕃(月形龍之介)に殺されそうになっていた満月城の遺臣の娘・桔梗(田代百合子)を大江山の妖術使い霧の小次郎(大友柳太朗)が助け出す。実は、彼は生き別れになった妹を探すため若い娘をさらっていたのだ。その妹・胡蝶尼(高千穂ひづる)は黒髪山の魔法使い堤婆(千石規子)に育てられていた。

 『笛吹童子』シリーズ第二作。この編では、霧の小次郎が事実上の主人公で、彼と胡蝶尼の出生の秘密がテーマ。妖術や魔法を表現するチープな特撮や、登場する妖怪の扮装が面白い。ストーリーは、やはり第三部へ続くって感じで終わる。

 『第三部 満月城の凱歌』は、赤柿玄蕃(月形龍之介)に捕われていた萩丸(東千代之助)が逃れ、玄蕃を倒そうとする白鳥党の頭として迎えられる。面作り師となっていた菊丸は、呪いの髑髏の面を持った小次郎と出会う。

 シリーズ完結編。第二部ではほとんど登場しなかった萩丸と菊丸がようやく活躍。しかし、どうしても大友柳太朗と月形龍之介の強烈なキャラクターの陰に隠れて目立たない。原作ではどうだったのだろうか。
 また、呪いの髑髏の面というアイテムや小次郎・胡蝶尼の出生の秘密など話の要素が豊富だが、ちょっと話が駆け足で、もう少しじっくり見せてほしいと思った。もっとも、本来の対象である子供たちが観たらハラハラドキドキの展開なのかもしれないが。(2003/03/25)

人生競馬 じんせいけいば
監督 萩原耐
公開年 1938年
評点[C]
感想  今日は、萩原耐監督の『人生競馬』を観た。昭和十三年(1938)の作品。

 隣同士で牧場を営む野添家と館野家は仲が悪く、野添家の長男・晋二(岡譲司)と館野家の娘・珠江(江戸川蘭子)は互いを憎からず思っていながら、なかなか一歩を踏み出せない。二人の関係と野添家の命運はダービーに出場する野添牧場のアサカゼに託された。

 原作は菊池寛(脚本:谷口千吉・江口又吉)。時局柄か、晋二が騎兵隊の将校として出征したり、良い馬を作るのはお国のため、なんて台詞があったりするが作品中では浮いている。むしろ、“モダン”な都会のデパートの描写や、晋二と珠江が牧場の草の上で互いに寄りかかって座ったりするシーンを見ると、そこまで許されていたのか……と思う。
 馬が走るシーンは移動撮影を用いてまずまず迫力があるが、その他の部分の展開のテンポが遅く、今から観るとかったるい。
 晋二の弟役として灰田勝彦が出演している。(2002/10/25)

人生劇場 じんせいげきじょう
監督 加藤泰
公開年 1972年
評点[A’]
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人生劇場
人生劇場

 今日は、加藤泰監督の『人生劇場』を観た。昭和四十七年(1972)の作品。

 故郷の三州吉良を出て東京で作家の道を志す青成瓢吉(竹脇無我)の父に恩を受け、瓢吉のために働くことに生涯を賭けた侠客・吉良常(田宮二郎)の半生と飛車角(高橋英樹)・宮川(渡哲也)らとの交流と、彼らをめぐる女性たち。

 尾崎士郎の大河小説『人生劇場』の「青春編」「愛欲編」「残侠編」を一気に映画化した作品。全てを2時間45分ほどにまとめたため「青春編」はかなり省略されていて、字幕で時間の経過を説明している部分もある。しかし、原作は未読だが、全体に上手くまとめた脚本だと思った(脚本:加藤泰・ 野村芳太郎・三村晴彦)。
 田宮二郎の吉良常は最初二枚目的で若すぎるように見えたが、壮年から初老の域までを自然に老けていき、時代に取り残されていった“残侠”の雰囲気を出していったのには感心した。高橋英樹と渡哲也も侠客は手に入った感じの好演。
 対して、瓢吉の竹脇無我は作家らしい雰囲気はあったが、最後の方はもう少し老成した感じになっても良かったと思う。吉良常に重点を置いた脚本のため仕方ないかもしれないが。それと、瓢吉と全ての女性キャラに共通することで、吉良常以外がほとんど老けないのはちょっと不自然。
 “愛欲”に注目したような描写が多い点は少々気になった。寂しい人々が触れ合いを求める、という風に解釈すれば良いのかもしれないが。ただし、“義理”のために生きる侠客の世界も充分に描かれていて、常に人のために生きた吉良常の生涯は感動的だった。田宮二郎の代表作の一つと言って良いだろう。(2004/08/14)

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