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人生劇場 青春篇 じんせいげきじょうせいしゅんへん
監督 杉江敏男
公開年 1958年
評点[B]
感想  今日は、杉江敏男監督の『人生劇場 青春篇』を観た。昭和三十三年(1958)の作品。

 三州吉良の横須賀村の旦那衆・青成瓢太郎(志村喬)は一人息子の瓢吉(大沢幸治)を厳しく育てていた。父が病み家が没落していく中、中学を卒業した瓢吉(池部良)は早稲田大学へ進学し、青春の第一歩を踏み出す。

 十数回映画化されているという尾崎士郎原作『人生劇場』の一本(構成:八住利雄/脚本:椎名文)。
 原作の『青春篇』にかなり忠実だが、それだけにダイジェスト版的な感は否めない。もちっと瓢吉と吉良常(森重久弥)に焦点を合わせると良かったと思う。映像も、カラー初期でまだ制約があったのかもしれないが、傑出したものはない(撮影:完倉泰一)。私の中で最初に観た加藤泰版の印象が強すぎるのかもしれないけれども。
 池部良の瓢吉は、最初に登場したときの中学生姿はさすがに無理があったが、早大生になってからは柄に合っていたと思う。森繁の吉良常は、原作の吉良常は割りと情けないところがあったりするので合っているかもしれないが、ちょっと“侠客”という感じはしないかな?(2006/05/01)

人生のお荷物 じんせいのおにもつ
監督 五所平之助
公開年 1935年
評点[B]
感想  今日は、五所平之助監督の『人生のお荷物』を観た。昭和十年(1935)の作品。

 初老の福島省三(斎藤達雄)とその妻たま子(吉川満子)は、長女の高子(坪内美子)と次女の逸子(田中絹代)に続いて三女の町子(水島光代)を嫁にやり、ようやく一安心していた。だが、ほっとしたのもつかの間、末っ子の寛一(葉山正雄)がまだ9歳であるのを思い出す。それから一家に小さなさざなみが立つ。

 戦前の松竹蒲田風の小市民コメディの典型といった感じの作品。田中絹代も若く演技もまだ若い感じ。主人公夫婦を演じた斎藤達雄と吉川満子が上手い。特に斎藤達雄は、小津安二郎の『生れてはみたけれど』でも演じた哀愁漂う父親像を好演。小品ではあるが、小佳作と言えるかも。
 ただ、三女の夫を佐分利信が演じているのに全然出てこなかった。軍人という設定なので、戦後の再公開時にカットされてしまったらしい(GHQによるものか松竹が自主的におこなったのかは不明)。残念。(2001/10/05)

新選組 しんせんぐみ
監督 沢島忠
公開年 1969年
評点[B]
感想
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新選組
新選組

 三船敏郎主演の『新選組』を観た。監督は沢島忠で、昭和四十四年(1969)の作品。

 上洛する将軍を警護するための浪士隊に応募した近藤勇(三船敏郎)や土方歳三(小林桂樹)たち。剣の力で京の街を支配した全盛期から官軍に敗れるまでの近藤以下新選組の盛衰を描く。

 おなじみ新選組ものの一作。監督は沢島忠だが、東映時代の特色は薄れているように見えた。ただし、その中でも商人の息子の河合喜三郎(中村賀津雄、のち嘉葎雄)の描き方が光っていた。中村賀津雄が東映時代の作品によく出演していたからだろうか。中村錦之助(萬屋錦之介)も有馬藤太役で出演していたが本当に脇役なので、もったいないような気がした。何かメインキャストで登場させたかったような。
 ちょっと平板な中、前半部分で登場していた芹沢鴨役の三國連太郎の存在感が凄い。大きな体格を生かした、見掛け倒しの豪快さんといった感じの薄っぺらい雰囲気が見事。 北大路欣也の沖田総司は強そうで意外と良かったが、その最期の描き方には疑問が残った。(2004/02/17)

新選組 しんせんぐみ
監督 木村荘十二
公開年 1937年
評点[A]
感想  今日は、木村荘十二監督の『新選組』を観た。昭和十二年(1937)の作品。

 鳥羽伏見の戦いで敗れた新選組は船で江戸に戻ったが、時勢は日増しに幕府に不利となった。将軍慶喜は朝廷に対して恭順を表明し、勝海舟(中村鶴蔵)の策により新選組は“甲陽鎮撫隊”として甲府城に向かわされた。いまだ意気軒昂な近藤勇(河原崎長十郎)と、どこか不安げな土方歳三(中村翫右衛門)。

 まず、いきなり新選組の敗走から描き始めるのが珍しい。かといって新選組を悲劇のヒーローとして描くのではなく、“朝敵”の悪役としてでもない。我々は歴史の結果を知っているので、彼らは自分たちが時勢の流れに翻弄されていることに気づかない、愚かな、またそれゆえに憐れむべき人間として見える。こういうとらえ方ができる作品は珍しいのではないだろうか。
 河原崎長十郎の近藤勇は、一見単純な性格のように描かれていて史実の近藤勇ファンにとっては物足りないかもしれないが、歴史に名を残したものの歴史の流れを変えるには至らなかった近藤勇の限界が表現されていたような気がした。沖田総司(嵐芳三郎)とその姉(山岸しづ江)や恋人(山懸直代)のエピソードも、良いアクセントになっている。
 この作品は、戦前映画としては登場人物の台詞回しが早口なのにちょっと驚いた。木村監督の演出なのだろうか。登場人物の行動や会話が終わってすぐ次のカットへ行く早いテンポも独特。それらの演出によって追い詰められた新選組の緊迫感を表現しようとしたのだろうか。(2004/01/26)

新選組 しんせんぐみ
監督 佐々木康
公開年 1958年
評点[B]
感想  昨日は、佐々木康監督の『新選組』を観た。昭和三十三年(1958)の作品。

 京を警護する新選組は、近藤勇(片岡千恵蔵)や土方歳三(山形勲)に従うことを是としない関兵庫(月形龍之介)一派が分離しようとして揺れていた。一方、勤皇方は月形半平太(大友柳太朗)や鞍馬天狗(東千代之介)が奔走して薩摩・長州・土佐を糾合しようと図っていたが、勤皇方の過激派と関兵庫らは京の町で騒擾を起こす計画のため、池田屋に集まった。

 池田屋事件までを中心としたオリジナルストーリー(脚本:高岩肇)で、かなりフィクションの色が強い。月形半平太と鞍馬天狗が堂々とストーリーに絡んでいて、盟友同士というのは凄い。関兵庫というのは伊東甲子太郎にあたるのだろうか。
 粗筋は荒唐無稽に近いが、日本の将来を憂いていることでは勤皇派と志を同じくすることから自らの仕事に疑問をもっている近藤勇の内面が比較的よく描かれているので、そのあたりをもう少し掘り下げてほしかったような気がする。月形半平太や鞍馬天狗が出てくるのは、ちょっと散漫になってしまったような。千恵蔵の物静かな近藤像はなかなかだった(カラーで観ると近藤勇にしてはちょっと老けすぎで重々しすぎる台詞回しも気になったが)。山形勲の土方は、色男で策士タイプという土方歳三のイメージからすると、ちょっと豪快さんすぎるような。
 三木滋人のカラー撮影で保存状態も良く映像は美しい。(2004/01/25)

新選組鬼隊長 しんせんぐみおにたいちょう
監督 河野寿一
公開年 1954年
評点[C]
感想
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新選組鬼隊長
新選組鬼隊長

 今日は、片岡千恵蔵主演の『新選組鬼隊長』を観た。監督は河野寿一で、昭和二十九年(1954)の作品。

 元治元年、池田屋事件で近藤勇(片岡千恵蔵)以下の新選組は多くの勤皇の浪士を斬殺。天下に名をとどろかせた。その頃から戊辰戦争に至るまでの、近藤と同志の土方歳三(原健策)・沖田総司(中村錦之助、のち萬屋錦之介)らの運命を描く。

 有名な子母沢寛の『新選組始末記』が原作ということになっている。しかしそれは一つのストーリーがある本ではないので原案という程度で、オリジナル脚本に近い(脚本:高岩肇・結束信二)。
 新選組物語を軸に近藤勇と沖田総司の恋物語を組み合わせているものの、粗筋は全ておなじみのものなので、池田屋事件から始めるのではなく、新選組が斜陽の時期を迎えた時点から描いた方がテーマを絞れたのではないか、と思った。終盤の、近藤と沖田の別れや近藤が新選組隊士たちと決別するシーンは哀切の極みなので。(2004/01/11)

新東京音頭 びっくり五人男(びっくり五人男) しんとうきょうおんどびっくりごにんおとこ
監督 斎藤寅次郎
公開年 1949年
評点[C]
感想 『ラッキー百万円娘』(らっきいひゃくまんえんむすめ)を参照

新・平家物語 しんへいけものがたり
監督 溝口健二
公開年 1955年
評点[A’]
感想
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溝口健二 大映作品集Vol.2 1954-1956
溝口健二
大映作品集Vol.2
『近松物語』
『楊貴妃』
『新・平家物語』
『赤線地帯』
「時代を越える溝口健二」
(NHKドキュメンタリー長尺版)

 今日も溝口健二監督の『新・平家物語』を観たのであります!(←なぜ軍隊口調)これは溝口作品というよりも、市川雷蔵主演作品と言った方が通りが良いかも。レンタルビデオ屋でも溝口監督の所ではなく市川雷蔵のコーナーにあったし(笑)。いまだにRAIZO !とか言って人気あるからなぁ。

 昭和三十年(1955)の作品で、カラー2作目。溝口作品の中では評価は高くないけれども、例によって完全主義の時代考証で、なんかスゲー金かかってる感じ。カラー1作目の『楊貴妃』よりも豪華に見えたりして。少なくともNHK大河ドラマあたりよりは出来は良いかも(笑)。妙に絵面が綺麗だったし。
 ストーリー的に少々中途半端な感は否めないかな。エキストラを使った群衆シーンはあるけれども、合戦の場面は無し。溝口はアクションを撮れないから(笑)。ただ、吉川英治の『新・平家物語』を元にした映画はこれ一本ではなく何本か作る予定だったそうだが。

 平清盛を演ずる市川雷蔵が若いっすね。演技も若い(笑)。台詞を懸命に言っちゃってる感じで。まぁ、最初に会社側が鶴田浩二主演と言ってきたのを溝口が拒否して市川雷蔵を推したそうなので、その若さが欲しかったのかな。正直言うと市川雷蔵の映画は初めて観たのだけれども、もっとあとになると演技は上手くなっていったんでしょうね。しかし、この作品のメイクはマユゲが豪快すぎる(笑)。
 それと、平清盛の母親役の木暮実千代のオッパイが妙に気になった(爆)。当時、夏場はあんなに胸元の開く着物を着ていたのかしらん。 (2000/04/12)

新編丹下左膳 隻眼の巻 しんぺんたんげさぜんせきがんのまき
監督 中川信夫
公開年 1939年
評点[A’]
感想  今日は、大河内傳次郎主演の『新編丹下左膳 隻眼の巻』を観た。監督は中川信夫で、昭和十四年(1939)の作品。

 丹下左膳(大河内傳次郎)は、親の仇である明石の殿様を討とうとして左手に加えて左眼まで失ってしまう。吉野屋半左衛門(御橋公)に助けられた左膳は、吉野屋の娘お春(高峰秀子)と、ひととき平和な日を暮らす。しかし、同志の小田井三之助(黒川弥太郎)と故郷に残したお志保(山田五十鈴)のことを思うと、いつまでも安穏としていられないと思うのであった。

 おなじみ大河内傳次郎主演の『丹下左膳』シリーズだが、戦前の作品は貴重かな? 原作が川口松太郎ということになっているけど(脚色:貴船八郎)、林不忘の没後に書かれたので“新編”という言葉が冠されているのだろうか。
 丹下左膳の物語の粗筋を知っていなければストーリーがわかりづらい面もあるかもしれないが、お春と平和な生活をしている左膳と終盤に左手一本で血刀を振るう左膳との対比が凄い。小生意気な高峰秀子が可愛い。また、殺陣の場面で挿入される、落ち葉がつむじ風で渦巻く映像や御幣が風に揺らされる映像が効果的。(2002/11/11)

深夜の市長 しんやのしちょう
監督 川島雄三
公開年 1947年
評点[C]
感想  今日は、川島雄三監督の『深夜の市長』を観た。昭和二十二年(1947)の作品。

 戦中に冤罪で死刑になった兄の無実を明かすため奔走する黒市憲三(安部徹)は、事件の裏を知る溝呂木文吉(山内明)を探す。そのころ街で偶然知り合った旗江(空あけみ)は偶然にも文吉の妹だった。そんな彼らを“深夜の市長”と呼ばれる謎の男・室戸(月形龍之介)が見つめる。

 川島監督の4本目で、デビュー作『還って来た男』に告ぐ長編2作目。といっても73分ほどの中編。海野十三の同題小説が有名だが、この作品と関係はないらしい(脚本:陶山鉄)。
 のちに悪役俳優として活躍する安部徹が二枚目の主役を演じているので驚かされる。金子信雄や名和宏や南原宏治もキャリア初期は二枚目役を演じていたから、二枚目→悪役というのは、びっくりするようなことではないのかもしれないが。
 安部徹はまだデビュー数年目で演技が硬いのは別として、女性よりも背が低いような三井秀男が頑張って悪の一味を演じていたりして、まずミスキャストが気になる。その上、演出が一本調子でテンポが悪い。旗江の空あけみと室戸の情婦役の村田知英子、ヒロイン級の女優二人が双方とも魅力がないのも厳しい。本当にその辺の姉ちゃんにしか見えないのだもの。松竹もこの頃はスター以外の中堅層が手薄だったのかしら。
 出来が今ひとつなのは自他共に認めていたそうで、この作品のあと監督から助監督に戻され、1年あまり自分の作品を作らせてもらえなかったらしい。ありふれた言い回しだが、まだ若書きの域という感じがする。(2006/01/15)

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