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洲崎パラダイス 赤信号 すざきぱらだいすあかしんごう
監督 川島雄三
公開年 1956年
評点[A]
感想
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洲崎パラダイス 赤信号
洲崎パラダイス
赤信号

 今日、川島雄三監督の『洲崎パラダイス 赤信号』を観たです。昭和三十一年(1956)年の作品で、コント赤信号主演(嘘)…ではなくて、三橋達也&新珠三千代主演。『幕末太陽傳』で川島監督に興味を惹かれて、もう一つの代表作も借りちゃった。

 ストーリーは、でかい図体して甲斐性の無い男と奔放な女がくっついたり離れたりで、その他いくつかのカップルや夫婦の離別を描く…という感じで、大した筋ではないけれども、売春防止法直前の特飲街の頽廃的な雰囲気がよく再現されていたと思うっす。でも、飲み屋のオバチャンがあんな目に遭うのはかわいそうすぎるな〜(謎)。
 特筆すべきストーリーではないのに結構面白かったのは、役者がみんな上手いっすね。それに、テンポがよかった。やはり演出の腕かなぁ。しかし日本映画って、なぜ貧乏とか水商売とか娼婦とかを描くのが上手いんでしょう(笑)。そういえば、溝口健二の『赤線地帯』も同じ年の作品だな。(2000/04/22)

朱雀門 すざくもん
監督 森一生
公開年 1957年
評点[C]
感想  今日は、 森一生監督の『朱雀門』を観た。昭和三十二年(1957)の作品。

 幕末、孝明天皇(夏目俊二)の妹に当たる皇女和宮(若尾文子)は有栖川熾仁親王(市川雷蔵)と婚約していたが、時の将軍家から和宮降嫁の願いが出される。激しい運命に翻弄される二人と和宮の侍女・夕秀(山本富士子)。

 原作は川口松太郎の『皇女和の宮』(脚本:八尋不二)。幕末の悲劇のヒロインとして有名な和宮の物語。
 宮川一夫が撮影を担当していることもあって、豪華なセットや衣装の映像は非常に美しい。『羅生門』『地獄門』に続いて外国映画際のグランプリを狙っただけのことはある。しかし、悲恋物語の割りには最初から最後まで淡々と進んでいく印象。演出のためか、やんごとなき身分の人々を演ずるため出演者が固くなったのか、情熱のほとばしりがあまり感じられない。ただ、山本富士子に迫られて雷蔵タジタジの図、という場面は面白かったが(笑)。
 若尾文子は可愛いけれども、和宮と夕秀は俳優が逆の方がイメージに合うような……。(2003/03/27)

砂繪呪縛(砂絵呪縛) すなえしばり
監督 金森万象・二川文太郎
公開年 1927年
評点[C]
感想  今日は、月形龍之介主演の『砂絵呪縛』を観た。監督は金森万象と二川文太郎で、昭和二年(1927)の作品。

 時は五代将軍綱吉の頃。権勢を振るう柳沢吉保は柳影組なる一団を操っていた。それに対抗する人々は天目党を組織し、副首領の勝浦孫之丞(月形龍之介)が中心となって戦っていた。あるとき、柳影組は黒阿弥(尾上松緑)に贋金を作らせようとし、それを察知した天目党が黒阿弥を誘拐したことから事件が始まった……。

 土師清二の新聞連載小説の映画化。現在ではすっかり忘れられている原作者だが(私も知らなかった)、この作品は人気だったらしい。脚色はサイレント時代の名脚本家・山上伊太郎。
 昔の時代小説らしく剣と恋の要素を併せ持ち、いくつものプロットから成り立っているが、映画になるとちょっとスッキリしないところがある。また、キャラクターが単純に善悪二分されていて、今の目で観てしまうと実にステロタイプ的で人物描写が浅く、主人公の魅力も薄い。サイレントなのがハンデなのかもしれないが、字幕や活弁で人物の性格を説明してしまうのではなく、行動を以ってキャラの人格を示してもらわないと……。
 この作品、現在あるプリントは第一篇と第二篇を合わせたもので、完結篇は現存していないらしい。尻切れトンボになってしまっているのが残念。(2005/11/10)

砂の器 すなのうつわ
監督 野村芳太郎
公開年 1974年
評点[超A]
感想
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砂の器 デジタルリマスター版
砂の器
デジタルリマスター版
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砂の器
砂の器

 今日は、野村芳太郎監督の『砂の器』を観た。昭和四十九年(1974)の作品。

 昭和四十六年の六月、蒲田駅操車場内で殺人事件が発生する。警視庁の今西栄太郎(丹波哲郎)と蒲田署の吉村弘(森田健作)が被害者の身元を明らかにし、犯人である有名作曲家の和賀英良(加藤剛)にたどり着くと、そこには親子の絆と社会の偏見が産んだ“宿命”が横たわっていた。

 野村芳太郎監督による一連の社会派的作品の中でも、特に有名な一本。ハンセン病国家賠償訴訟で、国側が控訴しないことを決断した小泉総理が影響を受けた作品として話題となった。原作は松本清張による同題の小説。だが、これは映画の方が原作を完全に上回っている稀有な作品(脚本:橋本忍・山田洋次)。
 テーマ自体が異論を唱えづらい類のものであり、表現が情に流れすぎで音楽と自然の風景に頼っている部分も多いことなどから、この作品に対しては批判もあるが、とにかく観客に訴える力は比類の無い作品。1999年にテレビ東京でノーカット放映されたのを観たときには驚かされた。何度か観ると穴も見えてくるものの(説明的な台詞や全ての出演者の過剰気味の演技など)、それでも心を動かさずにはいられない。とにかく、一見の価値はあると思う。
 ハンセン病を扱っているためか、いまだにDVD化されていないので(補注:2002年10月にDVDが発売された)、中古LDを買ってしまった。ただし、ビデオは廃盤になっていないのでレンタルビデオ屋にも並んでいる。(2001/09/30)

素浪人罷通る すろうにんまかりとおる
監督 伊藤大輔
公開年 1947年
評点[A’]
感想
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阪東妻三郎傑作選 DVD-BOX
阪東妻三郎傑作選
DVD-BOX
王将
素浪人罷通る
伊賀の水月
無法松の一生
剣風練兵館
木曾の天狗
狐の呉れた赤ん坊
月の出の決闘
富士に立つ影
国定忠治

 今日は、阪東妻三郎主演の『素浪人罷通る』を観た。監督は伊藤大輔で、昭和二十二年(1947)の作品。

 時は八代将軍吉宗(守田勘弥)の頃。紀州の若い山伏・天一(片山明彦)は、将軍の落胤と称して江戸に向かった。やくざや浪人が天一を担ぎ上げる中、彼の思いを知った浪人・山内伊賀亮(阪東妻三郎)は父子対面のため命を賭ける。

 有名な天一坊事件を基にした作品だが、キャラクターはほとんどオリジナルに近い(脚本:八尋不二)。冒頭とラストに入った字幕には驚かされたが、進駐軍に対するエクスキューズだろうか。あまり気にしない方が良いかもしれない。あれにこだわらなくても、いち人間の悲劇を描いた作品として観ることができると思う。
 阪妻の超オーバーな演技や濃いメイクが所々気にはなったが、親しみを持てる庶民的な面と威厳とをあわせ持った存在感は素晴らしい。阪妻が寺子屋で授業しながら天一坊を助けることを決意するシーンやラストシーンでの無言の演技が良い。特に、天一坊を助けることを決意するシーンは、外から聞こえる音や寺子屋の子供達、そして阪妻とその妻(平井岐代子)といった様々な要素が組み合わさって阪妻の心の動きを表現していて、脚本と演出が非常に巧みだと感じた。
 天一坊は十代の若者という設定だから仕方ないのかもしれないが、もう少し存在感が欲しかった。それに、演技も未熟に感じた。(2003/09/16)

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