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ちいさこべ ちいさこべ
監督 田坂具隆
公開年 1962年
評点[A’]
感想  今日は、中村錦之助主演の『ちいさこべ』を観た。監督は田坂具隆で、昭和三十七年(1962)の作品。

 老舗の大工“大留”の若棟梁・茂次(中村錦之助、のち萬屋錦之介)は、初めて仕事を任されて家を離れていた最中に、江戸の大火で店と両親を失う。彼は店の再建のため周囲の批判を受けながら仕事一途で奮闘するが、新たに雇った女中おりつ(江利チエミ)は火事で孤児となった子供たちを連れてきてしまう。

 原作は山本周五郎(脚本:田坂具隆・鈴木尚之・野上龍雄)。山本周五郎流のヒューマニズムの世界を丹念に映像化している。理想主義的な世界を描いてはいるが、そう簡単にうまくいってはいないので、非現実的すぎるということはないと思う。 この作品も3時間近く、テンポが緩やかで長い感じがするが、どのシーンも丁寧に磨きあげられた映像という印象を受ける。
 強さの裏にもろさを隠している人間を表現した錦之助の演技が見事。江利チエミも美人過ぎないのが、かえって良いのかも(失敬)。中村賀津雄(現・中村嘉葎雄)のチンピラも良い。東千代之介も、そのおっとりした雰囲気で錦之助の兄貴分らしさをよく出していた。(2003/06/24)

近松物語 ちかまつものがたり
監督 溝口健二
公開年 1954年
評点[超A]
感想
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溝口健二 大映作品集Vol.2 1954-1956
溝口健二
大映作品集Vol.2
『近松物語』
『楊貴妃』
『新・平家物語』
『赤線地帯』
「時代を越える溝口健二」
(NHKドキュメンタリー長尺版)

 先週、超久しぶりにレンタルビデオ(全て溝口健二監督作品)を借りた中から、昨日は『元禄忠臣蔵』、今日は『近松物語』と『雨月物語』を鑑賞。
 『近松物語』は、マゲがよく見えて良かった。元禄時代のマゲを堪能(笑)。長谷川一夫はカッコ良かったけど、二枚目過ぎたのかな〜。溝口監督としては。(1999/12/06)

血煙高田の馬場 ちけむりたかだのばば
監督 マキノ正博(雅弘)・稲垣浩
公開年 1937年
評点[A’]
感想 『決闘高田の馬場』(けっとうたかだのばば)を参照

父ありき ちちありき
監督 小津安二郎
公開年 1942年
評点[超A]
感想
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小津安二郎 DVD-BOX 第三集
小津安二郎
DVD-BOX
第三集

 昨日、ひさしぶりにビデオを借りてきて、小津安二郎監督の『父ありき』を観た。ぐおー!いい映画観ちゃったなぁ…。平凡に、しかし誠実に生きようとする父親(笠智衆)と息子(佐野周二)。明治生まれの男の、なんと立派だったことよ…。
 こーゆーの嫌いな人もいるかもしれないけど、あたしゃこの父親とか『めぞん』の五代くん(笑)みたいなキャラには弱いっす。地味に、着実に生きる男たち…。彼らにも、めったに表に出そうとしないが、それなりの欲や不満もあって、それに耐えつつ生きているというのが、ただの“聖人”のようなキャラとは違うところ。
 しかし、この作品は保存状態が悪い!音が酷すぎますぅ〜。戦時中の作品なので、当時まだ品質の悪かった国産フィルムを使わざるを得なかったうえに、保存中にサウンドトラックにカビが生えていたとか…。
 ロシアで状態の良いプリントが見付かって、東京大学の研究室か何かが買うという話もあったけど、交渉が上手くいかなくて立ち消えになったそうな…。松竹、いや、国のフィルムセンターが買えばいいのに!(補注:東京国立近代美術館フィルムセンターが取得して、平成十二年度は日本には完全なオリジナルプリントが現存しない『父ありき』や内田吐夢の『土』など5作品が持ち帰られることになったそうだhere)(2000/04/07)

巷に雨の降る如く ちまたにあめのふるごとく
監督 山本嘉次郎
公開年 1941年
評点[A’]
感想  今日は、エノケン主演の『巷に雨の降る如く』を観た。監督・脚本は山本嘉次郎で、昭和十六年(1941)の作品。

 紙芝居屋の金ちゃん(榎本健一)と同じアパートに住む流しのアコーディオン弾きの碌さん(月田一郎)は親友同士。ある日、金ちゃんはワケあり風のカフェーの女みどり(山根寿子)を助けて世話するうちに、彼女が好きになってしまう。

 カラカラ回る風車(?)から洗濯物を映すファーストシーンからちょっと洒落た感じで、洋画っぽい雰囲気がした。粗筋はあまり目新しいところのない人情噺だが、映像に漂うモダンな雰囲気が過度に湿っぽくなることから免れさせているのかもしれない。題名通り雨の降るシーンが多く、しばしば雨が流れる地面が映し出されるのが印象的。黒澤明作品の雨の描写は、師匠の影響を受けたのだろうか。
 エノケン主演だが、この作品ではコメディ色は一切なく、シリアスに徹している。しかし、終盤に見せる身体を張ったアクションシーンに凄みを感じさせられた。一切スタント無しのように見えるので。
 ストーリーは少々ありきたりな感があるが、映像(撮影:唐沢弘光)とエノケンの演技で魅せてくれる佳作。山本監督の堅実な演出の手腕もあるだろうか。また、アパートの住民たちの描写も面白い。

 戦前の作品としては絵も音も非常に状態が良いので観やすい作品だった。(2003/12/06)

血槍富士 ちやりふじ
監督 内田吐夢
公開年 1955年
評点[A]
感想  今日は、内田吐夢監督の『血槍富士』を観た。昭和三十年(1955)の作品。主演はジャン・クロード・チヤリ、じゃなかった、片岡千恵蔵御大。

 若侍(島田照夫 )の槍持ちとして旅を続ける権八(片岡千恵蔵)。旅の途中では侍に憧れる子供から盗賊に至るまで、様々な出会いがある。主人の若侍は好人物だが、酒乱癖があるのが玉に瑕。ある日、酒場で争いを起こして五人の侍に取り囲まれ…。

 旅ののどかな光景と終盤近くの殺陣が見事に対称をなす。身売り娘が出てきたり、若侍が身分制度に疑問を呈したりして、封建制度批判のメッセージ性が少々強いが、下郎を演じた片岡千恵蔵には殿様役とは違った味があるし、自己流で槍を振るった迫力ある立ち回りが凄い。(2000/8/14)

忠臣蔵 赤垣源蔵・討入り前夜 ちゅうしんぐらあかがきげんぞううちいりぜんや
監督 池田富保
公開年 1938年
評点[B]
感想  今日は、阪妻こと阪東妻三郎主演の『忠臣蔵 赤垣源蔵・討入り前夜』を観た。監督は池田富保で、昭和十三年(1938)の作品。

 主家の浅野家が取りつぶされてから、実兄の塩山伊左衛門(香川良介)のところに居候して飲んだくれてばかりいる赤垣源蔵。嫂(あによめ)おまき(中野かほる)やその息子、そして下男下女たちも赤垣を蔑んでいて、彼の本心を誰も知らない…。
 これは『忠臣蔵』の講談ネタの「赤垣源蔵徳利(とっくり)の別れ」が元ネタ。ちなみに、赤垣という姓は史実では赤埴。元が短いエピソードなので、一本の映画としてはどうかな、という感じのところもある。阪妻の立ち回りは迫力あるが。
 しかし、この作品の見所、いや聴き所は、塩山家の下女お杉を演ずる大倉千代子という女優の口調や声が篠原ともえにクリソツなこと。戦前のトーキー作品としては音声がまずまずなので、よく聴き取れる。これは以前NHK衛星で放送されたのを録画したものだが、ビデオで出ていたら、確かめてみるのも一興かと。(2000/09/18)

忠臣蔵外伝 四谷怪談 ちゅうしんぐらがいでんよつやかいだん
監督 深作欣二
公開年 1994年
評点[A’]
感想
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忠臣蔵外伝 四谷怪談
忠臣蔵外伝 四谷怪談
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深作欣二監督 シリーズ1 FUKASAKU KINJI WORKS Vol.1
深作欣二監督
シリーズ1
恐喝こそわが人生
必殺4
忠臣蔵外伝 四谷怪談
阿部一族

 録画した『忠臣蔵外伝 四谷怪談』を見て驚愕。
 高岡早紀のオッパイ大盤ぶるまい…はイイとして、荻野目恵子・石橋蓮司・渡辺えり子・蟹江敬三らが白塗りで怪演。新東宝の映画かよ。
 それ以上に高岡早紀の演ずる お岩さんが「お父さん」とか「何これ〜!あたしの顔〜!?」と、まるっきり現代語の台詞を叫びまくったり、死んで幽霊になってから吉良邸討ち入りに参加して怪光線を発して大暴れ。
 忠臣蔵モノとして観てしまうと零点だが(いやマイナス点か?)、ホラー映画orトンデモ映画としては高得点かも。少なくとも『四十七人の刺客』の十倍は面白い。(1999/12/16)

忠臣蔵 天の巻・地の巻 ちゅうしんぐらてんのまきちのまき
監督 マキノ正博・池田富保
公開年 1938年
評点[C]
感想  今日は、阪妻主演の『忠臣蔵 天の巻・地の巻』を観た。昭和十三年(1938)年の作品。『天の巻』の監督はマキノ正博(雅弘)、『地の巻』の監督は池田富保。

 御存知、主君・浅野内匠頭(片岡千恵蔵)の仇・吉良上野介(山本嘉一)を討った大石内蔵助(阪東妻三郎)以下四十七士の物語。マキノ正博が、大作『実録忠臣蔵』のフィルムを焼失させてしまった父マキノ省三の無念を晴らしたといわれる作品。

 内容は解説するまでもない忠臣蔵ストーリーだが…思い入れたっぷりに台詞を語る“大芝居”の連続で、いささか参りました。今から観ると演技がオーバーすぎて…。舞台の演技だ。ラストの討ち入りは、思ったよりアッサリしていた。阪妻や嵐寛寿郎や月形龍之介が出ているのだから、もう少し立ち回りがあるかと思った。しかし、現在残っているフィルムは完全版ではないようなので、カットがあるのかもしれない。
 片岡千恵蔵が浅野内匠頭と立花左近の二役を演ずるなど、一人二役のキャスティングが多い。嵐寛寿郎が脇坂淡路守と清水一角(一学)、月形龍之介が原惣右衛門と小林平八郎の、それぞれ二役を演じている。(2000/12/19)

忠臣蔵 花の巻 雪の巻 ちゅうしんぐらはなのまきゆきのまき
監督 稲垣浩
公開年 1962年
評点[B]
感想
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忠臣蔵 花の巻・雪の巻
忠臣蔵
花の巻・雪の巻

 稲垣浩監督の『忠臣蔵 花の巻 雪の巻』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 元禄十三年三月十四日、播州赤穂浅野家当主・浅野内匠頭(加山雄三)は江戸城松ノ廊下で吉良上野介(市川中車)相手に刃傷事件を起こし、その身は切腹、浅野家は断絶となった。浅野家筆頭家老・大石内蔵助(八世松本幸四郎、のち松本白鴎)は主君の仇を討つことを決意する。

 忠臣蔵ものの一つ。3時間弱の大作で、展開のテンポもさほど早くはないが、ダラダラしている感も無い。松本幸四郎の大石内蔵助が素晴らしい。何回かある泣くシーンも、臭さを感じさせず本当に悲しそうに見えた。吉良は従来のイメージ通りの因業爺ィという感じ。この作品では寺坂吉右衛門(加東大介)にスポットが当てられていて、『仮名手本忠臣蔵』のように、お軽(団令子)が吉右衛門の妹という設定になっていた。
 岡野金右衛門(夏木陽介)の「恋の絵図面取り」など定番エピソードも含まれているけれども、松ノ廊下での吉良の服装(大紋ではなく狩衣が正しい)や四十六士(この作品では寺坂吉衛門脱落説を採っている)の討入り時の服装(黒小袖以外は各々まちまちの服装)など、かなりリアルに考証されているのが良かった。そのためか、講談ネタが元の完全に架空のキャラである俵星玄蕃(三船敏郎)のエピソードが浮いていたような気がする。(2002/12/21)

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