Return to題名別(五十音順)邦画備忘録Top pageHOME PAGE

[1] [2]

柳生一族の陰謀 やぎゅういちぞくのいんぼう
監督 深作欣二
公開年 1978年
評点[A]
感想
Amazon
柳生一族の陰謀
柳生一族の陰謀

 今日は、深作欣二監督の『柳生一族の陰謀』を観た。昭和五十三年(1978)の作品。

 元和九年、将軍秀忠が急死。三代将軍の座を巡って、長男の家光(松方弘樹)を推す柳生但馬守(萬屋錦之介)・松平伊豆守(高橋悦史)・春日局(中原早苗)らと、次男の忠長(西郷輝彦)を推す崇源院(山田五十鈴)・土井大炊頭(芦田伸介)などが対立。漁夫の利を狙う京都の朝廷の策謀も絡まり天下動乱の兆しが見え始める中、柳生但馬守は着実に布石を打っていった。

 東映時代劇の復活を期して実録やくざ映画の深作欣二監督がメガホンをとった作品。
 深作監督のねちっこい演出が隅々まで行き渡っており、松方弘樹と萬屋錦之介の大仰な台詞回しもその一環か? と思わされる。途中までは特に後者はもうちっとなんとかならなかったか……と感じていたが、ラストシークエンスでその大芝居が見事に昇華されたのには驚いた。意図的な演出あるいは演技だとしたら凄いと思う。
 将軍継嗣問題という大筋にたくさんのプロットを絡み合わせている脚本の構成が巧み(脚本:野上龍雄・松田寛夫・深作欣二)。朝廷側を登場させたのが効果的で、剣の達人である公家・烏丸少将には成田三樹夫の怪演もあってビックリ。
 柳生十兵衛を演じている千葉真一の率いるJACが参加していて殺陣の迫力に貢献しているが、彼らが主に演じている根来衆(ただし首領は室田日出男)の設定は戦国時代まっただ中のように見え、作品の中で少々浮いてしまっているような気がした。出雲の阿国(大原麗子)のエピソードも……。(2004/10/14)

柳生旅日記 竜虎活殺剣 やぎゅうたびにっきりゅうこかっさつけん
監督 萩原遼
公開年 1960年
評点[B]
感想  今日は、近衛十四郎主演の『柳生旅日記 竜虎活殺剣』を観た。監督は萩原遼で、昭和三十五年(1960)の作品。

 播州は津の浦の港に旅してきた柳生十兵衛(近衛十四郎)は、その地で片目の龍を旗印にする海賊が海を荒らしまわっていることを知り、さらに天下転覆の陰謀がその裏にあることを嗅ぎつける。

 近衛十四郎主演の柳生十兵衛ものの、松竹における第二作目。内容はどこかで聞いたことのあるお約束のものだが、テンポが今ひとつで途中までちょっと長く感じた。しかし、終盤の大殺陣で救われる。近衛十四郎の殺陣はさすが。さらに、畳返しの秘儀まで拝める。十兵衛ちゃん強すぎ(笑)。
 また、柳生十兵衛と妙な縁で道連れになる男の役として花菱アチャコが出演していて、近衛十四郎がアチャコのまねをするという爆笑シーンもあったりする。のちのテレビ時代劇で見せたように、近衛十四郎にはユーモアの才もある。(2003/07/06)

柳生武芸帳 やぎゅうぶげいちょう
監督 稲垣浩
公開年 1957年
評点[C]
感想  今日は、稲垣浩監督の『柳生武芸帳』を観た。昭和三十二年(1957)の作品。

 天下を左右する重大な秘密が書かれているという“柳生武芸帳”をめぐり、柳生但馬守(大河内伝次郎)を筆頭とする新陰流の柳生家、彼らを追い落とそうとする陰流の山田浮月斎(東野英治郎)に命ぜられた忍者・霞の多三郎(三船敏郎)と霞の千四郎(鶴田浩二)兄弟、そして柳生武芸帳の一巻を偶然手に入れた龍造寺家の遺臣たちが三つ巴の戦いを繰り広げる。

 五味康祐の時代小説を原作(脚本:稲垣浩・木村武)を三船敏郎・鶴田浩二などのスターによって映画化した作品。各出演者の見せ場を作るためか、三船敏郎と久我美子・鶴田浩二と香川京子・中村扇雀と岡田茉莉子の恋愛エピソードがほぼ同じ比重で描かれているため、話の筋が拡散しているように見えるし、全体に湿っぽくなってしまっている。
 映像的には、初期のカラーでアグファ・カラーのためか変色しているようなところもあったが、全体に美しい(撮影:飯村正)。特に、龍造寺家の遺臣たちが住む村の火事のシーンは迫力がある。
 脇役だが、左卜全の演じた大久保彦左衛門が面白い。(2002/01/19)

弥次喜多道中記(彌次喜多道中記) やじきたどうちゅうき
監督 マキノ正博(雅弘)
公開年 1938年
評点[A’]
感想  今日は、マキノ正博(雅弘)監督の『弥次喜多道中記』を観た。昭和十三年(1938)の作品。

 町奉行の息子・遠山金四郎(片岡千恵蔵)は、家督の相続争いを嫌ってふらりと旅に出た。旅先で偶然、義賊の鼠小僧次郎吉(杉狂児)と出会い、二人が弥次喜多コンビと間違えられたのを幸いとして、互いに本名や素性を明かさず一緒に旅をする。再会を約した半年後の日本橋で二人は互いの意外な姿を見る。

 翌年の有名な『鴛鴦歌合戦』と同様に歌が多く、これも時代劇オペレッタと言われているが、本物の弥次郎兵衛(楠木繁夫)と喜多八(ディック・ミネ)や旅芝居の一座は歌を唄いまくるものの、金四郎と鼠小僧はほとんど歌わない。
 しかし、二人が旅芝居一座に入って見せるギャグが面白く、旅役者の姉弟との触れ合いのエピソードではジーンとさせられる、充実感のある作品。作品の保存状態が悪く、時々コマ飛びするのが残念。(2002/07/05)

野獣の青春 やじゅうのせいしゅん
監督 鈴木清順
公開年 1963年
評点[B]
感想
Amazon
野獣の青春
野獣の青春

 今日は、鈴木清順監督の『野獣の青春』を観た。昭和三十八年(1963)の作品。

 街に現れた流れ者がチンピラを叩きのめして、一帯を仕切る野元興行の事務所に連れて行かれる。突きつけられた拳銃を瞬く間に奪った男は、水野譲二(宍戸錠)と名乗った。組員として雇われた彼は、野元興行と対立する三光組にも足を運び、スパイとして自分を売り込む。実は、彼には目的があった。

 鈴木清順監督のキャリア前期の作品で、この前作『探偵事務所23 くたばれ悪党ども』に続く、宍戸錠の主演による大藪春彦原作の映画化(脚本:池田一朗・山崎忠昭)。大藪春彦の初期作はかなり読んだことがあるが、この原作の『人狩り』という作品は読んだか否か記憶にない。読まなかったかなぁ。
 この作品は、まだまともなストーリー展開を追うことができて難解な印象はないが、絵作りに鈴木監督独特の美意識が現れている。序盤はモノクロ画面の中で花だけ赤いパートカラーだし、野元興行の持つクラブは客席と事務所がマジックミラーで仕切られていて事務所から客席が見えるようになっていて、対する三光組の事務所は映画館のスクリーンの裏側にあって壁に映画が写っている。この辺は押井守の実写映画に強い影響を与えているようだ。
 粗筋は黒澤明の『用心棒』っぽいけれども、復讐という要素もからんでいて、オチは結構意外。映倫をはばかってカットしたと言われているが、あっさり終わらせたラストシークエンスも余韻を残して良い。若い頃の宍戸錠は凄みがあっていい感じ。野元組の幹部に金子信夫。最初、金子信夫が組長だと思った。(2003/03/04)

やっさもっさ(やつさもつさ) やっさもっさ
監督 渋谷実
公開年 1953年
評点[A’]
感想  今日は、渋谷実監督の『やっさもっさ』を観た。昭和二十八年(1953)の作品。

 志村亮子(淡島千景)は、横浜で富豪の福田嘉代(東山千栄子)が主宰する混血孤児収容施設を理事として取り仕切っている。彼女は戦争のため腑抜けになった夫の四方吉(小澤栄、のち小澤英太郎)に飽き足らず仕事に熱中するが、寄付を求めに行った外国人実業家のドゥヴアル(ボッブ・ブース)に好意を寄せられる。一方、施設には収容児の一人トム(佐藤トシカズ)の母バズーカお時(倉田マユミ)がしつこく面会を求めてくる。

 渋谷監督による『てんやわんや』と『自由学校』に続く獅子文六原作の映画化(脚本:斎藤良輔)。前2作と主演俳優の何人かが共通しており、だらしない男と活発な女という戦後の風潮を反映したキャラクター設定も似ている。ただし、淡島千景の役柄は『てんやわんや』『自由学校』の“アプレ娘”から大きく変わっているが。
 この作品は、米軍人とパンパン(売春婦)・オンリー(現地妻)との間に生まれた混血児(冒頭では“占領児”とも呼称)問題というテーマが絡むため、前2作よりはシリアスな雰囲気になっている。しかしながら、社会派映画っぽくなっているわけではなく、登場人物には適度な戯画化が施されたりストーリーにドラマ性もあって楽しめるようになっているのが渋谷実の上手いところか(原作のおかげでもあるかもしれないが)。
 喜劇性は薄いが、多くのメインキャストがよく動いて最後に大きな盛り上がりが来るという渋谷演出らしさを観られる作品。(2005/06/26)

八つ墓村 やつはかむら
監督 野村芳太郎
公開年 1977年
評点[A’]
感想
Amazon
八つ墓村
八つ墓村

 今日は、野村芳太郎監督の『八つ墓村』を観た。昭和五十二年(1977)の作品。

 羽田空港で旅客機の発着誘導員をしている寺田辰弥(萩原健一)は、自分を探す新聞の尋ね人広告を見つけて母方の祖父と名乗る人物(加藤嘉)と会う。しかし、祖父はその場で急死。毒殺であった。その後すぐ、辰弥は生まれ故郷の八つ墓村へ同村の未亡人・森美也子(小川真由美)の案内で向かう。見知らぬ親類と引き合わされ、自分が村一番の資産家の多治見家の後継者だと知らされて困惑するが、辰弥の周りで次々と殺人事件が発生する。果たして、村人に惨殺された落ち武者が葬られたという八つ墓の祟りなのか……。

 横溝正史原作の映画化(脚本:橋本忍)。公開当時、「たたりじゃ」が流行語になったという。
 スタッフは、監督:野村芳太郎/脚本:橋本忍/撮影:川又昂/音楽:芥川也寸志と、おなじみの野村組。監督以下、かつての日本の暗い雰囲気を描き出す手腕は見事。また、ウケ狙いではなく大真面目にフルスイングしてしまう野村監督の作風も生きていて、俳優のメイクなど“やりすぎ”なところもある。しかし、それが完全には滑稽になっていないのが、監督の力か。
 萩原健一はかなり自然な演技で、いきなり都会から山奥の村に連れてこられ血縁関係や因習に当惑する若者を好演。金田一耕介が渥美清なのでちょっと意外だが、金田一探偵が主役ではなく完全に脇に回っているこの作品では、朴訥とした感じが合っていた。この二人以外の、小川真由美や主人公の異母妹の山本陽子や多治見家の瀕死の当主役の山崎努などは、ナチュラルな演技というよりも“熱演”の類だが、作品の雰囲気を作るのに役立っていたかも。(2004/04/28)

宿無し犬 やどなしいぬ
監督 田中徳三
公開年 1964年
評点[A’]
感想  今日は、田宮二郎主演の『宿無し犬』を観た。監督は田中徳三で、昭和三十九年(1964)の作品。

 拳銃と女が大好きな一匹狼の鴨井大介(田宮二郎)が久しぶりに故郷の高松に帰郷すると、母親の墓のある墓地がゴルフ場になっていて激怒する。その後、一目ぼれした麻子(江波杏子)という女が墓場をつぶした大興組と関係あることがわかり、大介は大興組と対立する沼野観光の社長(佐々木孝丸)に声をかけられる。

 田宮二郎主演の『犬』シリーズの第一作。この作品が好評でシリーズになったのか、最初からシリーズ化が計画されていたのか、どちらだろうか。
 主演の田宮二郎と脚本の藤本儀一そして監督の田中徳三、全員が関西出身だけあって、主人公の大介は歯切れ良い関西弁の台詞をポンポン飛ばし、『悪名』シリーズの清次が独立したようなキザでええかっこしいなキャラクターになっていて、田宮二郎の柄にぴったり合っている。
 大介以外のキャラクターも豊富でそれぞれ個性的な演技者がそろっていて魅力的。大介のライバル的な青井(水島道太郎)、大興組の組長(須賀不二男)、大興組の幹部・瓜生(成田三樹夫)、大介に付きまとう謎の男(天知茂)など。天知茂は無精ひげを生やしていて、天知茂だと思えなかった。
 脚本が工夫されていて演出もテンポ良いが、終盤になると湿っぽい雰囲気が増すのがちょっと惜しいと思った。最後までカラッとしていても良かったかも。(2005/09/10)

危いことなら銭になる やばいことならぜにになる
監督 中平康
公開年 1962年
評点[A]
感想  今日は、中平康監督の『危いことなら銭になる』を観た。昭和三十七年(1962)の作品。

 紙幣用の透かし入り用紙10億8000万円分が強奪される大事件が発生した。金の匂いを嗅ぎつけた事件屋の“ガラスのジョー”(宍戸錠)と“計算尺の哲”(長門裕之)そして“ダンプの健”(草薙幸二郎)の三人は、偽札の原版作りの名人・坂本(左朴全)の身柄を奪い合って紙幣用紙強奪の黒幕に高く売りつけようとするが……。

 主演は宍戸錠のアクション映画だが、中平監督らしいおふざけたっぷりのアクション・コメディといった感じの作品になっている。
 “ガラスのジョー”はガラスをこする音を聞くと腑抜けになってしまい、“計算尺の哲”は片足が不自由、紅一点のヒロイン的存在のキャラは痩せて小柄な浅丘ルリ子なのに柔道と合気道の有段者でジョーより強い、と奇妙な登場人物がテンポ良く動き回る。左朴全の怪演も相変わらずで、その妻(武智豊子)も面白い。
 以上のようなヘンテコな人物ばかりが忙しく動き回るが、ストーリーの骨格はシンプルなためか、見ていて混乱することはない。様々な種類の拳銃に対するこだわりやジョーが乗っている二人乗り小型自動車(メッサーシュミット)など、しゃれたセンスも覗かせている。
 原作(都筑道夫)があるらしいが、かなり脚色しているのではないだろうか(脚本:池田一朗・山崎忠昭)。中平監督流の遊びと才気が良い方に出た快作だと思う。この作品、アニメの『ルパン三世』に影響を与えているらしい。『カリオストロの城』は偽札の話だし、男三人と紅一点というキャラの組み合わせが同じだ。設定は全然違うけど。(2005/08/19)

破れ太鼓 やぶれだいこ
監督 木下恵介
公開年 1949年
評点[A]
感想
Amazon
木下惠介 DVD-BOX 第2集
木下惠介 DVD-BOX 2
カルメン故郷に帰る

肖像
破戒
お嬢さん乾杯
四谷怪談(前後篇)
破れ太鼓
婚約指環

 今日は、木下恵介監督の『破れ太鼓』を観た。昭和二十四年(1949)の作品。

 一代で土建業を築き上げた津田軍平(阪東妻三郎)は、時代錯誤的な雷親父だった。時代の変化の中、彼のおかげで豊かな暮らしをさせてもらっていた家族たちも、ついに離反し始める。

 戦後民主社会における家父長制度の崩壊を描いた作品だと言われている。しかし、妻(村瀬幸子)は別として、4人の息子(上から太郎=森雅之/平二=木下忠司/又三郎=大泉滉/四郎=大塚正義)も2人の娘たち(上から秋子=小林トシ子/春子=桂木洋子)も、誇張が加えられているとはいえ今から観ると自分勝手に見え、父親が一番マトモな人間のように思えて共感してしまった(笑)。
 秋子の恋人の野中茂樹(宇野重吉)とその両親(滝沢修・東山千栄子)の芸術家一家も、時代を考えると非現実的。三人ともまだ映画慣れしていなかったのか、演技が舞台的な感じ。
 演出は、全体にデフォルメされた演技で、途中まではドタバタしている印象が強かった。しかし、後半は阪妻の演ずる父親像に涙…実に素晴らしい。やはり男は阪妻だ。(2001/02/24)

[1] [2]

掲示板 Return to題名別(五十音順)邦画備忘録Top pageHOME PAGE