Mar.11,97

このリングネームを背負った者

←日本ストロー級タイトルマッチ 星野敬太郎VSルビリアル茨城パンフレット

日本ボクシングのメッカ、後楽園ホールの外観→
夕方写したので、これではわからないが外壁は水色。

 二月二十五日、ほぼ二年ぶりに後楽園ホールへ足を運んだ。この前ホールで見たのはルイシト小泉VSシンヌン山木の倒し倒されの試合、 ルイシトが王座に復帰する前のことだ。あの時は、シンヌンを叩きのめしてKOしたものの、ルイシトが一度ダウンを奪われて世界王座への復帰に不安を抱かせたものだ。 今や、そんな彼がフェザー級では抜群の強さを誇る。ずいぶん時間がたったような気がする。

 この日のメイン・イペントは日本ストロー級タイトルマッチ、チャンピオンの星野敬太郎とトップコンテンダーのルビリアル茨城が戦う。 二人は以前グローブを交えたことがあり、その時はダウンを奪われながらも星野が2-1の判定で辛勝した。 第一戦で敗者となったルビリアル茨城はリングネームが示すとおり、フィリピンからやってきた 所謂「輸入ボクサー」である。
 一般にフィリピン人選手は日本人選手にとって、いい「お相手」、すなわち「かませ犬」としてあてがわれる。 しかし、ランキング一位のトップコンテンダーであるルビリアル茨城選手は、もちろんそんな楽な「お相手」 ではない。以前、ワタナベジムに所属して世界を狙っていたコロンビアからの輸入選手、ファン・エレラをTKO したことがあり、WBAストロー級タイトルに挑戦し、当時チャンピオンであったチャナ・ポーパオインを 追いつめたことさえあるのだから。
 ルビリアルがかませ犬ではないのは、彼がワールド日立ジムというボクシングジムに所属している せいもあるかもしれない。ワールド日立ジムの佐藤会長はフィリピンから多くの選手を招き、日本で試合をさせている。 もちろん、「お相手」を輸入して揃えているというわけではない。強い選手を求め、育てているのである (佐藤会長にインタビューした記事と、星野VSルビリアル戦のレポートが松田朗さんの“LOST GENERATION”にある。参照されたい)。
 しかし、「お相手」ではない外人選手となると、とたんに敬遠されるのが実状のようだ。 おそらく、今回のタイトルマッチもルビリアルが一位でなければ、すなわち指名挑戦権を行使できる立場でなければ、 星野側も苦戦した相手と第二戦を戦おうとはしなかったに違いない。
 試合の方は、というと、以下のような展開となった。

↓大変写りの悪い写真で申し訳ない。白髪の人が佐藤会長で、 その後ろの小柄な人物がルビリアル茨城。

ルビリアル茨城

  1. 双方ガードを高く構え、慎重な立ち上がり。オープニングヒットは星野のワンツー。終盤、接近してパンチの交換。
  2. 動きはそれほど無く、一定の距離をとって睨み合うような展開。ルビリアルのボディショットがコンビネーションで当たる。
  3. ルビリアルが星野の動きをよく見て、顔面への右ストレートはかわされるものの、ボディをよく当てる。星野の反撃はガードでかわす。
  4. ルビリアルの大きな右フックが何発か当たる。星野に大きなダメージは無いが、今日は動きが悪い。
  5. ルビリアルが強い左フックをボディに当て、ワンツーを星野の顔面に連続してヒットしてロープに詰める。しかし星野も体を入れかえて反撃。
  6. 星野が打っては離れる。ルビリアルの右を「首ひねりディフェンス」で殺す。
  7. 星野が動きながらルビリアルのボディを狙い、ルビリアルも星野のボディから顔面へパンチを返す。
  8. ルビリアルがやや疲れを見せ、パンチのスピードが鈍る。星野のボディショットを受ける。
  9. 星野もKOを狙ったのか、足を止めての打ち合いが多くなる。ルビリアルも負けずに打ち返す。
  10. 最終回は双方疲れを見せながらの打ち合いが続く。
以上のような具合で、後半に星野の反撃があったものの、前半攻勢をとったルビリアルがわずかに上回ったかな、 という内容だった。

 しかし、主審・副審、計三人の判定は判で押したように98-95。星野がユナニマスディシジョン (文句なしの判定)で勝利した。
 この判定に対してはルビリアルを応援していた人々から不満の声があがり、なんと椅子を投げる人まで飛び出すという、 後味の悪い結果となった。
 きわめて僅差であったことはTV解説者が微妙だといっていたとおりである。TVを見ていた人で、 星野の勝ちと思った人もいるようであるし。だが、レフェリー・ジャッジ三人の 採点が全く一致していることは少々不審である。思うに、僅差のラウンドのうち、ルビリアルを攻勢をとって少しだけ上回った ラウンドは「10-10のイーブン」、星野がテクニックで少々上回ったラウンドは「10-9で星野」とつけたのではないか? などと 勘ぐりたくなってしまう。
 私はこの判定を聞いて、グレート金山のことを思いだしてしまった。彼は対川益第一戦で、同じような判定で 敗れた。再戦でも敗れ、そして彼は…。 こんなことまで思い出したのは少々神経過敏だったかもしれない。しかし、日本人向けにわざわざ漢字の名前を リングネームに入れたとしても、外国人選手は同じような悲哀を味あわねばならないようだ。

おまけ
倉持選手の写真谷田部選手の写真アニキ達の写真
↑前座四回戦に出場したワールド日立ジムの倉持誠選手。惜しくも判定負け。↑六回戦に出場した同じくワールド日立ジムの谷田部昇選手。平成六年度フライ級新人王の坂井宏隆選手をTKOで敗る殊勲の星をあげた。↑我が心のアニキたち(笑)。向かって左は茂木孝弘さん(“SUIDOBASHI BOXING COUNCIL”主宰)、右は松田朗さん(“LOST GENERATION”主宰)。
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