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らくが記 340*110 10KB

10月17日:遺書
辞世

辞世の絵 320*240 20KB
 いよいよ「月二回記」と化してきた、この「らくが記」。そろそろ「月記」となる日も近いか?(笑) 前回は日記について書いたので、今回は遺書のコト。
 日本人が残した遺書のアンソロジーとして有名なのが、いわずとしれた『きけわだつみの声』である。しかし、これは戦前の日本ではごく一握りのエリートであった大学生たちの遺書であり、その上、あるテーマに沿って編纂されたもので、意図的に削除・改変された部分があるとさえいわれている。
 それに対して「今回の名言」にも引いた『昭和の遺書』シリーズ(辺見じゅん編 文春文庫1995年)には、先の戦争で亡くなった学生はもちろんのこと、農民・会社員・商家…とあらゆる職業、十代の志願兵から四十代の応召兵まであらゆる年代の人々の遺書が収められている。
 たとえば、ある特攻隊員の
小鳥の声がたのしさう
“俺もこんどは
小鳥になるよ”
日のあたる草の上に
ねころんで
杉本がこんなことを云ってゐる
   笑はせるな
本日四時五十五分
いよいよ知覧を離陸する
なつかしの
祖国よ
 さらば

使ひなれた
万年筆を“かたみ”に
    おくります。

(富山県出身。第165振武隊、陸軍大尉・枝幹二氏の遺書の一部)

といった遺書に代表されるように、そこからは死を前にした諦念と残された家族への愛情が紙面から溢れ出てくる。

 「必然」によって遺書を著した半世紀前の人々には及ぶべくもないが、私も最近遺書を記しておきたくなってきた。自らの思うところを記し、遺族を思い、祖国の将来を憂える…などという名文をものする自信は全く無いので、辞世の短歌か俳句でも残しておこうか。
 しかし、五七五七七なり五七五の字数に意味をこめるというのもなかなかホネだ。いっそのこと、『市民ケーン』の主人公を見習って謎の言葉でも残しておこうか(※注)。「マゴバンバ…」とか「ホゲモゲ…」なんてなかなかミステリアスで良いかもしれない(笑)。
 でもなぁ、辞世の句ぐらい残しておきたいなぁ。日本人として。

★楽描き★

 日本一有名な辞世。『忠臣蔵』の浅野タクミノカミが残した歌である。ハッキリとした意味は全くわからんちんだが、無念の思いを残していることはよくわかる。

※注:『市民ケーン』はオーソン・ウェルズ主演の映画(1941年米国)。新聞王ケーンが「バラのつぼみ…」という謎の言葉を残して死ぬ場面から始まり、その意味を知るためにケーンの生涯をさかのぼっていくストーリー展開である。日本では公開が遅れたことから(1966年)伝説化されていたが、実は「誰も観たことのない大作」だという説もある(笑)。私は数年前にNHK衛星放送で放映されたとき観た。

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