2006.10.26 知られざるテレビの裏側 【破線のマリス】

                  


■ヒトコト感想
普段何気なく目にするテレビの映像。それがどのようにして作られ、放送されるのか。テレビの裏側を見るようで非常に興味深い。身近なものだからこそその裏側の複雑さと曖昧さに興味がそそられる。もちろんこれらをテーマにしてミステリーを描くことに対してはメリットもあればデメリットもある。あまりにマニアックになりすぎると読者がついていくことができない可能性もある。本作は程よいマニアックさと映像をそのまま事件に繋げるという巧妙なトリックで読者をひきつけて離さない。ミステリーとしてのハラハラドキドキ感は少ないのかもしれないが、テレビ業界の裏側、特に映像の怖さというものを改めて感じさせられる作品だ。

■ストーリー

首都テレビ報道局のニュース番組で映像編集を担う遠藤瑶子は、虚実の狭間を縫うモンタージュを駆使し、刺激的な画面を創りだす。彼女を待ち受けていたのは、自ら仕掛けた視覚の罠だった!?事故か、他殺か、1本のビデオから始まる、
超一級の「フー&ホワイダニット」。

■感想
一つの映像がどのようにして作られるのか、現実にも本作のように意図的に詐称された映像というのは少なからずあるだろう。それは視聴者が望む映像だったり、本作のように編集者の主観であったりするかもしれない。映像の影響は計り知れず、恐らく作者自身もその影響度を考えて本作のテーマと共に、事件のキーとしたのだろう。物語のきっかけとなる映像の力をこれでもかとアピールしている。

意図的なのだろうが、主人公である瑶子が
明らかに読者をミスリードしている。流れ的にある人物に疑惑がかかるのだが、おそらくその人物は潔白であるということをほとんどの人が理解しているだろう。それにも関わらず瑶子の行動はすでに最初から犯人はこいつだと決めつけており、そのような行動をとる。読者の思いと物語の流れは違った方向に進んで行くのだが最初は不安感で一杯だったが、最後には自然と瑶子と同じような気持ちになってしまった。

決定的な謎を解明するにはあまりにページ数が足りないように思われた。ある人物がまったくの潔白だとわかった頃にはすでに終りが近く、これで完結させることができるのかと気を揉んでいたが、そこはまさかその手でくるとは思わなかった。ある程度の伏線はあったにしても普通では考えられないパターンだった。大どんでん返しというわけではないがある程度驚くことはできる。

テレビ業界の知られざる裏側とでも言うのだろうか。今度からニュースを見ると編集された映像に対しては懐疑的に見てしまうかもしれない。



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