映像実践による現代宗教復興現象の解明を通じた地域研究手法の開発
(京都大学地域研究統合情報センター全国共同利用研究)


T. 目的  
U. 意義    
V. 成果
W. 実施計画
X. 共同研究員
Y. 活動報告


T. 目的

 20世紀後半以降、世界各地で宗教復興現象が活発化している。その現象は、近年のグローバル化、消費文化の浸透、各種メディアの発達により、各地域の宗教動向が共鳴・共振の度合いを高めながら、より複雑な様相を呈している。特に、映像メディアの発達による宗教団体の映像活用の活発化、宗教映像のグローバル化と氾濫は、共鳴・共振、複雑化の主な要因である。
 また近年、各種映像機材の利便化により、研究分野での映像実践が盛んになっている。それは、映像の撮影・編集・上映、批評・解釈、映像による被調査者とのコミュニケーション、研究成果の社会還元、アーカイブズの構築など様々な実践をとっている。

以上を踏まえて、本研究の目的は、主に次の2点に集約される。

@現代社会における、宗教、ナショナリズム、「癒し」の複合構造の解明
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世紀後半以降、世界各地で活発化している宗教復興現象を、宗教ナショナリズムから「癒し」までを射程に入れ、その複合構造を、映像実践を通じて通地域的・宗教的に解明する。

A「映像地域研究」手法の開発
宗教を研究対象とした地域研究における有効な映像実践を追求することを通じて、映像実践を通じた新たな地域研究手法(映像地域研究)を開発する。



U. 意義

 本研究の意義は、主に以下の3点に集約できる。

@宗教復興現象は、現代の人間の精神のあり方から政治・社会に至る諸問題を再考するために不可欠な研究対象であり、本研究による現代宗教復興現象の複合構造の解明は、現代人間社会に関する理解の深化に寄与するという大きな意義がある。

A日本における、宗教と映像メディアの関係についての研究や、宗教研究における映像活用は、海外と比べて格段に遅れているのが現状である。今後ますます映像メディアが発達する点や、宗教現象を理解する上で映像メディアとの関係を考察することが重要となることを考えれば、本研究の意義は大きい。

B地域研究における映像実践の重要性は近年注目されてきたが、映像実践を地域研究の確固とした方法論として位置づけるための本格的な試みはまだなされておらず、本研究による映像実践による地域研究手法(映像地域研究)の開発の意義は大きい。




V. 成果

 本研究が目指す成果は、主に次の3点である。

@宗教学、人類学、地域研究、政治学、歴史学などによる地域・宗教横断的・学際的な相関型地域研究を、映像という他分野の研究者間で共有しやすいツールを通じて実施することで、各地域・宗教を対象として専門分化されてきた従来の研究を乗り越えた新たな地域研究の地平を開拓する。

A従来個別に扱われてきたが、各地域間、また宗教ナショナリズムから「癒し」など様々な事象が絡みあった現象である現代の宗教復興現象の複合構造とその現代性を、地域・事象を結びつけるメディアとしての映像に着目することによって解明する。

B宗教研究、特に宗教を対象としたフィールド調査に基づく研究は、とりわけ被調査者との関係にセンシティブにならざるをえず、映像実践の方法論を練磨するためには格好の研究分野である。



W. 実施計画

 本研究は、次の3つを柱として実施する。

@当該諸地域の宗教団体、宗教ナショナリズム・「原理主義」運動による映像を活用した宗教実践、プロパガンダ、「自画像」形成に関する比較研究

A上記の団体・運動を対象とした報道機関、映像作家などによる映像の研究

B上記の団体・運動を対象とした研究者による映像の意義と問題点、映像作品制作を含む地域研究における映像実践の新たな方法論の構築に関する研究(映像地域研究手法の開発)


 本研究では、世界各地の宗教団体・運動による(@)、あるいは団体・運動についての映像(A)を研究テーマにするだけではなく、その研究方法のひとつに研究者自身の映像作品制作(B)を提案する。
 第一に、上記@とAの映像に対する、研究者によるアルタナティヴ映像を提示する。ここでは、@の当事者たちが制作・活用する映像に対して、Aの映像とは異なるかたちで、「客観的」あるいは批判的な研究者による映像を追求する。
 第二に、メディア・リテラシーに関して、@からBの異なる視点からの映像を組み合わせることによる、映像の効果的な表現方法を考案する。
 第三に、@とBにおける映像制作の協働可能性を追求する。@の映像活用はネガティブな側面だけではなく、他者によるオリエンタリズム的な表象を批判する可能性(オート・エスノグラフィー)もある。そのため、本研究では、文化相対主義的な視点に立った場合にナショナリズム的になるなどの問題に配慮しながらも、研究者と@Aにおける映像制作主体との協働可能性も追求する。



X. 共同研究員

2008年度
氏名 所属機関名
新井 一寛(代表) 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
飯田 卓 国立民族学博物館
池田 有日子 京都大学地域研究統合情報センター
石倉 敏明 多摩美術大学芸術人類学研究所
岩谷 彩子 広島大学大学院社会科学研究科
岩谷 洋史 総合地球環境学研究所
葛西 賢太 宗教情報センター
風戸 真理 京都大学地域研究統合情報センター
川瀬 慈 日本学術振興会・京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
川瀬 貴也 京都府立大学
北村 皆雄 ヴィジュアル・フォークロア社
坂川 直也 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
シッケタンツ・エリック 東京大学大学院人文社会系研究科
清水 拓野 神戸女学院大学
高尾 賢一郎 同志社大学大学院神学研究科
高岡 豊 財団法人中東調査会
中島 岳志 北海道大学公共政策大学院
中西 嘉宏 日本貿易振興機構アジア経済研究所
弘 理子 ヴィジュアル・フォークロア社
見市 建 岩手県立大学
南出 和余 日本学術振興会・京都大学地域研究統合情報センター
丸山 大介 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
横田 貴之 日本国際問題研究所


2009年度
氏名 所属機関名
新井 一寛(代表) 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
飯田 卓 国立民族学博物館
池田 有日子 京都大学地域研究統合情報センター
石倉 敏明 多摩美術大学芸術人類学研究所
石原 香絵 NPO法人映画保存協会
岩谷 彩子 広島大学大学院社会科学研究科
岩谷 洋史 総合地球環境学研究所
内田 順子 大学共同利用機関法人 国立歴史民俗博物館
榎本 香織 東京大学大学院 人文社会系研究科
大石 高典 京都大学こころの未来研究センター
小田 雄一 京都大学人間・環境学研究科
葛西 賢太 宗教情報センター
門井 八郎 青山メンタルクリニック
川瀬 慈 日本学術振興会・京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
川瀬 貴也 京都府立大学
北村 皆雄 ヴィジュアル・フォークロア社
小島 敬裕 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
小西 賢吾 京都大学人間・環境学研究科
坂川 直也 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
シッケタンツ・エリック 東京大学大学院人文社会系研究科
高尾 賢一郎 同志社大学大学院神学研究科
高岡 豊 上智大学
田邊 尚子 一橋大学大学院社会学研究科
中島 岳志 北海道大学公共政策大学院
藤岡 朝子 NPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭東京事務局
古川 優貴 一橋大学大学院社会学研究科
見市 建 岩手県立大学
南出 和余 日本学術振興会・京都大学地域研究統合情報センター
村尾 静二 総合研究大学院大学葉山高等研究センター
柳沢 英輔 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
山内 隆治 記録映画保存センター / 東京大学情報学環・学際情報学府修士課程
山下 俊介 京都大学総合博物館
横田 貴之 日本国際問題研究所
レナト・リヴェラ 京都大学大学院文学研究科
和崎 聖日 京都大学人間・環境学研究科


Y. 活動報告

2008年度
第一回  2008年6月28日


第二回  2008年7月5日

第三回  2008年10月4日


第四回  2008年12月26日

第五回  2009年1月10日

第六回  2009年3月14日

2009年度
第七回  2009年6月13日

第八回  2009年7月26日

第九回  2009年9月23日〜26日

本共同研究に関するお問い合わせ先:事務局:religion.visulaity[at]gmail.com (お手数ですが、[at]を@に変更してください)

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