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仙台カップ国際ユースサッカー大会2004レポート
「原石集いて」

三日目(2004.9.23)


3日目第1試合 U-18東北代表×U-18日本代表
2004年9月23日 12:30キックオフ 仙台スタジアム 観衆6025人 天気:曇り、弱風 23.6℃ 主審:武田幸信
U-18東北代表 4−3 U-18日本代表
<得点(A=アシスト)>
1-0:大久保剛志5(右足)
2-2:遠藤直人43(右足、A=福士徳文)
3-2:小寺優輝50(左足)
4-3:遠藤康84(左足)
1-1:大江勇詞14(左足、A=本田圭祐)
1-2:マイク・ハーフナー18(右足、A=柳澤隼)
3-3:興梠慎三63(左足、A=財津俊一郎)
<布陣>
<先発>
GK01丹野研太
DF02那須川将大
DF03大原卓丈
DF04甚野弘輝
DF05斎藤雄大
MF06橋本和
MF07小寺優輝
MF08金澤純一
MF15レオナルド
FW10福士徳文(C)
FW11大久保剛志
<控え>
GK12佐藤元気
DF16山形雄介
MF09遠藤直人
MF17小島暢明
MF18遠藤康
FW13大久保将人
FW14藤舘祐輔
<監督>
清水秀彦

-----02-------------
------------07-------
----03--06------10--
01------------------
----04--08------11--
------------15-------
-----05-------------

-------------06------
-----16--------------
--10-----17---05----
-------------------01
--09-----08---15----
-----13--------------
-------------04------

<先発>
GK01八田直樹(C)
DF04田中裕介
DF05平岡康裕
DF15藤井大輔
DF06増田清一
MF08細貝萌
MF13本田圭佑
MF16柳澤隼
MF17山本真希
FW10大江勇詞
FW09ハーフナー・マイク
<控え>
GK12佐藤昭大
DF14青山直晃
DF02中川裕平
DF03入船和真
MF07藤本康太
FW11興梠慎三
FW18財津俊一郎
<監督>
上野展裕
<交代>
甚野弘輝→遠藤直人34
大原卓丈→山形雄介69
福士徳文→大久保将人72
小寺優輝→遠藤康80
レオナルド→小島暢明90
藤井大輔→青山直晃46
大江勇詞→興梠慎三54
ハーフナー・マイク→財津俊一郎62
田中裕介→入船和真78
柳澤隼→藤本康太85
<警告・退場>
小寺優輝60  
筆者選定MOM:遠藤直人(U-18東北代表)
 おそらく今大会の6試合で最も盛り上がったカードだろう。90分を通してスタジアム内で日本代表へのコールが上回った時間は一度もない。東北代表への声援が響く仙台スタジアムは、間違いなく日本代表にとって「アウェー」だった。
 日本がこの試合に慎重な入り方をしていたのに対して、東北代表は立ち上がりから強く当たりに行く。特にこの日先発に入った小寺(青森山田高校)は、日本の中盤が緩慢なパスでも出そうものなら高い位置で素早く寄せてカット、そのまま当たり負けせず攻めに素早く転じる場面が目立った。東北は勢いそのままに、前半5分に右サイドから突進した橋本(青森山田高校)が鋭いシュートを放つ。日本代表の八田(磐田ユース)はこれを弾くが、その球がこぼれた先には東北の大久保剛志(仙台ユース)が待ち構えていた。昨年に引き続き、またも先制点は東北の大久保が奪ってのけた。
 これで目が覚めたのか、日本はカウンターを中心に猛攻を仕掛けた。14分に右サイドで得たフリーキックを素早く本田(星陵高校)が蹴り、ニアサイドの大江(洛北高校)がコンタクトすると、シュートは吸い込まれるようにゴールに入った。更に3分後には右サイドの柳澤(柏ユース)が上げたクロスを、東北守備陣がニアサイドの大江に惑わされて見送ってしまい、フリーで飛び出していたハーフナー(横浜FMユース)がこれを拾って逆転弾を奪った。
 だが日本代表はこの後が続かない。もちろん相手のミスがらみでもゴールを奪ったことは事実だが、これまでの二試合で見せていた攻めのかたちがなりを潜めていた。今大会初先発となる前戦の二人はキャラクターがはっきりしていたのだが、中盤のバランスの方がこれまでよりも悪かった。特にサイドは切れ込みと戻りのタイミングに難があり、片側に広大なスペースを空けたり、サイドバックが上がろうとしたときにスペースを潰したりと、連携が噛み合わない。迷いのせいか、相手ゴール前になると攻撃のスピードが一気に落ちてしまうのである。
 これを尻目に、東北代表・清水監督は早くも前半34分にDFの甚野(福島東高校)に代えてMF遠藤直人(FCみやぎ)を投入する。これにより橋本が最終ラインに入り、金澤(平工業高校)一人のボランチとする攻撃態勢に布陣を変えた。その効果は絶大で、小寺とレオナルド以外にも中盤の起点ができて日本代表の守備を混乱させる。35分以降試合の流れをたぐり寄せると、43分には相手ゴール前で小寺の突破がいったんはじき返されるものの、福士(盛岡商業高校)が拾い、彼からのボールを遠藤直人が豪快に振り抜いた。東北はこれで追いついて前半を折り返す。
 東北の攻撃は後半も日本代表を恐怖に陥れる。後半開始から僅か4分後、ゴール前右サイドでレオナルドが素早くリスタートを行うと、日本守備陣はオフサイドラインの確認に躍起になり、人を見ることを怠ってしまった。これにより金澤らが競ったこぼれ球を小寺が拾ったときには誰もシュートコースを塞ぐ者はいなかった。これが蹴りこまれて再び東北がリードする。
 日本はハーフタイムに指示があったのか、両サイドバックが前半よりも積極的にオーバーラップして攻撃に絡む。右はMFの柳澤(柏ユース)が前の二試合に比べ押し込まれ精彩を欠いたが、左は田中(桐蔭学園高校)が力強い突破でチャンスを作る。更に日本代表の上野監督は早めにFW二人を興梠(鵬翔高校)と財津(東海大附属第五高校)に代えて速攻に活路を見出した。組織として崩す場面はそれでもなかなか見られなかったのだが、後半18分、東北の大原(福島東高校)の打ち上げクリアミスを財津が拾い、左に流れる興梠へ。興梠は、落ち着いて決めて同点に持ち込んだ。
 ところがこの同点弾の後、レオナルド(青森山田高校)が巧みな身のこなしで日本DFを置き去りにし、交代で入った大久保将人(仙台育英高校)が制空権を掌握するなどして再び流れが東北のものとなる。また後半33分に上野監督は田中に代えて入船(鵬翔高校)を投入したが、これが裏目に出て左サイドの攻撃に勢いがなくなった。客席の東北コールも手伝って気圧された雰囲気が影響したのだろうか、後半39分、中盤で競り合っていた青山(前橋育英高校)がバックパスをするような格好になったのだが、これを抜け出していた途中出場の遠藤康(塩竈FC)が奪取、GK八田の足下を抜く見事なシュートでゴールした。
 東北はその後も集中した守備で日本代表の攻撃を凌ぎ、悲願の一勝で大会を締めくくった。技術面で劣っていても、チームプレーと粘りで勝負に徹した結果掴んだ勝利だった。
3日目第2試合 U-18イタリア代表×U-18ブラジル代表
2004年9月23日 15:00キックオフ 仙台スタジアム 観衆6849人 天気:曇り、無風 23.6℃ 主審:西村雄一
U-18イタリア代表 1−0 U-18ブラジル代表
<得点(A=アシスト)>
1-0:R. ペルナ73(左足、PK)  
<布陣>
<先発>
GK01 F. ヴィルジリ
DF03 A. コスタ
DF05 M. アンドレオッリ
DF06 A. マスィエッロ
DF14 L. マルゾォラッティ
MF04 R. デ・マルティーノ
MF07 V. ヴィルガ
MF10 A. ボヴォ(C)
MF15 P. モロッスィーニ
FW09 R. ペルナ
FW18 A. チェルチ
<控え>
GK12 D. ペトラッキ
DF13 D. クリシート
MF08 A. デ・ファルコ
MF16 M. ファンナ
FW17 F. ヴォルペ
<監督>
P. ベレッティーニ

----03----10--------
---------------------
----05----15----18--
01------------------
----06----04----09--
---------------------
----14----07--------

-------------02------
------10-------------
--09------08--03----
-------------------12
--18------15--13----
------17-------------
-------------06------

<先発>
GK12ムリエル
DF03ルイゾン
DF13アンデルソン
DF02エドゥアルド
DF06パラー
MF15ジ・パラナ
MF08ルカス(C)
MF10ジョアン・ディエゴ
MF17カイオ
FW18ペドリニョ
FW09ルイス・アドリアノ
<控え>
GK01パウロ
DF04リンコン
DF14ジョーナス
MF05ニルトン
MF07サムエル
MF16サミール
FW11アデニース
<監督>
N. ロドリゲス
<交代>
A. チェルチ→F. ヴォルペ65
V. ヴィルガ→D. クリシート81
A. コスタ→M. ファンナ90
P. モロッスィーニ→A. デ・ファルコ90
カイオ→リンコン46
ペドリニョ→サムエル58
アンデルソン→サミール78
エドゥアルド→ジョーナス78
ジョアン・ディエゴ→アデニース82
ジ・パラナ→ニルトン85
<警告・退場>
P. モロッスィーニ7
M. アンドレオッリ24
R. デ・マルティーノ30
A. コスタ50
アンデルソン75
ルカス68(退場)
パラー90(退場)
筆者選定MOM:A. マスィエッロ(U-18イタリア代表)
 引き分ければイタリアが、それ以外の場合は勝ったチームが優勝するこの試合。当然の如く激しいぶつかり合いが目立ったのだが、この試合を裁いた西村主審が一回の笛で済む場面でも連続して神経質に吹いたことも、試合の空気に影響しなかっただろうか。Jリーグ基準は国際試合の基準に比べ、遙かに試合が切れやすいという点が浮き彫りになった試合でもあった。
 それは試合展開のテンポがなかなか変わらないことで尚のこと際だった感がある。全体的にブラジルが圧倒的にボールを支配するのだが、サイドで数的優位を作って突破して攻め込むも、イタリアは落ち着いて横のラインを崩さず中央でしっかり跳ね返す。そして効率の良いカウンターからFWのペルナ(テルナーナ)やチェルチ(ローマ)が抜け出して決定機を作る…という展開が長々と続いたゲームだった。ボール支配率ならばブラジルの圧勝であり、シュート数ならばイタリアの圧勝だ。だがフットボールの勝敗を決めるゴールはなかなか生まれなかった。
 ブラジルがシュートに持ち込めなかったのは上記のようにマスィエッロ(ユヴェントス)を中心としたイタリアの守備ラインが崩れなかったことが原因なのだが、イタリアのシュートが入らなかったのはブラジルのGKムリエル(インテルナショナル)がこの日大当たりだったことが原因だった。6分、8分、15分に抜け出したチェルチのシュートを、彼は皆足ではじき返した。更に16分にはペルナのシュートも弾いた。この時は跳ね返りに対し再びペルナが撃ったシュートはゴール内でカバーに入ったジ・パウラがカバーして防いだのだが、37分には左からのチェルチの早いクロスも、その跳ね返りに反応したペルナのシュートも、たった一人ではじき飛ばしてしまった。更に39分にもコーナーキックにペルナが合わせたシュートまで防ぎ、もう止まらない。前半はもう彼のものだった。
 さて後半もムリエルの見せ場を除けば同じような展開が続いたのだが、一つ流れが大きく変わったのが後半23分の出来事だった。ブラジルゴール近くでのファウルを巡って両チームが乱闘になりかけたとき、ブラジルのキャプテン・ルカス(グレミオ)がヴィルガ(ローマ)に唾を吐いてレッドカードを提示された。これで浮き足立ってしまったブラジルは4分後、早いパスへの対応が遅れてボヴォ(ヴェネツィア)をペナルティエリア内で倒してPKを与えてしまう。これをペルナが今度こそ決めて先制した。
 イタリアは数的優位ではあったが、引き分けでもいい試合で先制したということで、陣形を引き気味にして守りに懸かる。これに対してブラジルは焦りも手伝ってかなりプレーが荒くなっていった。至る所で小競り合いが起こり、プレーが止まる。主審はもうゲームをコントロールできない。ブラジルベンチのネルソン・ロドリゲス監督にできることは、守備の人数を次々と削って攻撃に懸かることだけだった。これに対しイタリアのベレッティーニ監督は、サイドの選手を守備的に代えて対応する。前の試合の影響で二人の主力を出場停止で欠くこともあって、逃げ切り策は徹底していた。
 ブラジルの闘志は衰えることはなかったが、焦りは増幅するばかりでイタリアの守備陣形に凹凸を生じさせられない。4分のロスタイムがあったものの、そのロスタイムにDFパラーが相手に肘打ちをして退場し、とうとう9人だけになってイタリアの逃げ切りを許してしまった。
 結局何とも荒れた内容になってしまったが、終わってみればイタリアの哲学が貫徹されたような試合だった。

 この結果イタリア代表が優勝、以下2位ブラジル、3位東北、4位日本と各代表の順位が決まった。印象に残った選手に送られるMIP賞には、ブラジルのカイオ、東北の大久保剛志、日本の柳澤が選ばれている。そして大会MVPにはイタリアのマスィエッロが輝いた。
 時には無鉄砲になる思い切りのよさも、危なっかしさも、みんな含めて、この年代の見せるフットボールが展開された大会だった。まだまだ運営の中での課題は多いかもしれないが、このような大会が継続して開催されることを期待したい。  (了)
一日目(2004.9.18) 二日目(2004.9.20)
晴天会館入り口夕焼けの蹴球場>四方山話・仙台カップ2004レポート(三日目)