ブレーキ液のタンクはマスター・シリンダーの上部にある
リザーバタンクで、そのキャップには
細い通気口が開けてあり
常に大気に開放されているのでブレーキ液と空気は
たえず接触しています。
しかもブレーキ液自身が持っている高い吸湿性によって
大気中に湿度として含まれる水分を
少しずつ吸収していきます。
吸湿したブレーキ液はブレーキの性能を著しく低下させ
極端にはブレーキが全然効かなくなるなど
大変危険なので使用は厳禁です。 |
使用年月による含水量の増加割合の調査でも
概ね6カ月で2%ずつの増加、12カ月では4%
18カ月で6%、24カ月では9%と増加しています。
車にはあまり乗らないし、走行距離も短いので大丈夫だという
考えは、こと、ブレーキ液に関しては通用しません。
したがって新品のブレーキ液も一度蓋を開けると
その瞬間から吸湿が始まるので、開缶後に残った
ブレーキ液を保存するのはとても危険です。
もし保存したいのなら、今までのことを理解し
容器を完全密封する手段を講じて下さい。
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このような水分を含んだブレーキ液は
その含有量に応じて
液体の沸点が徐々に低くなっていきます。 |
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一般の乗用車に使われているDOT3のブレーキ液テストでは
新品時のドライ沸点250℃が
3%の水分を混ぜた時のウエット沸点は148℃にも低下しています。
1. 高速走行や長い下り坂走行では
ブレーキングする都度発生する摩擦熱は大きくなり
その発生した熱はブレーキの各部品に伝わり
当然ブレーキ液にも伝わりブレーキ液の温度も
いつもより高くなります。
2. 頻繁なブレーキングによりブレーキ液温度が上昇していき
低くなった沸騰点に達すると、液中に気泡が発生し始めるが
逃げ場がないので油圧回路中に、気泡のまま残留しています。
3. この状態でブレーキを踏むと、押した力は気泡を圧縮して
泡を押し縮めるだけに使われてしまいます。
こうなるとブレーキを踏み続けても、気泡が圧縮されるだけで
ブレーキ・ペダルは床板まで踏み込まれてしまいますが
ブレーキは当然効きません。
この恐ろしい現象を 「ぺーパ・ロック」現象といって
完全なパニック状態に陥ってしまいます。
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ブレーキ装置における「ベーパ・ロック」は起こってはならない現象です。
このことからブレーキ液の沸点は少しでも高いものが
要求されるようになってきました。
このようにブレーキ液には吸湿性と沸点
温度上昇による粘度の変化など
厳しい条件が要求されます。
そこで、液のレベルを一定レベルに保つための規格作りが
行われて1972年
FMVSS(米国連邦安全基準)
No116として 定められ
DOT(デパートメント・オブ・トランスポーティション
という名称で呼ばれています。
次の数項目についてその基準を満たす度合いに応じ
グレード分けされている。
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FMVSS.No.
| ブレーキ液のグレード |
DOT3 |
DOT4 |
DOT5 |
| ドライ沸点 (含水量 0%) |
205℃以上 |
230℃以上 |
260℃以上 |
| ウエット沸点(含水量 3.5%) |
140℃以上 |
155℃以上 |
180℃以上 |
沸点と吸湿の関係では
1. ドライ沸点
乾燥 点ともいい、含水量0%時の沸点
2. ウエット沸点
吸湿沸点ともいい、含水量3.5%時の沸点
現在は表のような
DOT3・DOT4・DOT5の3グレードがある。
DOTの次の数字は大きいものほど沸点が高くなっている。
DOT3と4の主成分はグリコール系で
DOT5はシリコン系と、その成分は違う。
沸点が高いからといってグリコール系とシリコン系を混ぜ合わせたら
ゴム部品の劣化が早まり弾力性が無くるなど要注意だ。
輸入物のブレーキ液には高性能の、 DOT5.1フルードがあるが
国産のDOT3に補充すると変質して逆効果となり事故にもつながりかねないので
ブレーキ液の補充には同じ銘柄のフルードを使うべきだ。
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ブレーキ液の補充についてはスタート・ページ
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若葉マークの日曜整備其の1
でも取り上げてあるので参考にして下さい。 |