1820 - トロカンの陰謀 Intrige auf Trokan
Intrigue on Trokan
Peter Terrid
Denis Menard英訳(2010-01-27)

フォーラム・ラグルンドは トロカンに代表団を派遣する許可をLFTから得た。 (訳注: キャメロットの人々が銀河系防衛に全力をそそいでいるかたわらで、 大方のギャラクティカーにとっては、 侵略はいまだに対岸の火事にしかすぎなかった。 トルカンダーに占拠された惑星の大半をその領土にかかえるLFTでは、 キャメロットとの共闘が現実的な色彩をおびつつあった。 しかし、最大の軍事力を有する水晶帝国は、 先のヒューマニドロームにおける銀河評議会の失敗以来、 いっさいのコンタクトの試みを拒絶している。 また、第三勢力たるフォーラム・ラグルンドは 昨年末に消失したクイックモーション・フィールドから出現した 文明世界におけるテラナーの「非人道的」ふるまいに関する 流言を否定する公式な情報を求め、LFT外交部をおしきって 代表団を派遣したのだ。 ) 同時に、ヘーリークとテラナーの間の不信をあおりたて、 トロカンをソル系におけるフォーラムの基地とし、 同時にピルツドームの支配権を得ることが フォーラム・ラルグンドの目的であった。 ガタス人(Gataser)タイロズ・ユピケク(Tayloz ワpkek)の 指揮下の<アズタクト(AZTAKT)>は アコン人のケントール・ヴィルゴル(Centoar Vilgor)と アラスのハスディン・フレチ(Hasdyn Flech)を 乗せてソル星系に進入し、そこでトロカンにおける 救援活動の指導者ジェロミー・エージェント(Jeromy Argent) と会見した。トロカンは地殻変動で未だに揺さぶられ続けていたのだ。 代表団はクレロス(訳注:クメログ信仰の公布者達。実際には 第一公布者プレスト・ゴーのこと。)や自由呼吸者(訳注: 巨人シムバーを動かした反クレロス勢力「新たに息吹く者たち」。 実際にはゲン・トリオコッド、rlmdi訳ではゲン・トリコード、 のこと。)と会見した。 これらのヘーリークグループは、「新リアリスト(New Realists)」の 新しいグループと同様、代表団の望んだ目的に達するのには 役に立たないことが分かった。 これらのグループは新しい現実を明白に受け入れ、 ある種の技術方針をしめした。しかし、彼らはLFTと 密接に協力していた。 (訳注: テラナーは、一部の風評のような非人道的ふるまいどころか、 異種族に対して信じ難いほどの援助を行っており、第一公布者プレスト・ゴー や「新たに息吹く者たち」も、それを理解している。 まして、ヘーリークにはヒエラルヒー構造という概念が そもそも存在せず、唯一、指導階級といえるものがあるのは、 カタストロフ後に台頭した「新リアリスト」たちだが、 そのリーダー、ヴェジュ・イコラドは、 おそらくテラナーとの協力関係を一番重視しているヘーリークでもあった。 従って、アコン人やユピケクが フォーラム・ラグルンドを代表して付けこむべき問題は、 どこにも存在しなかった。 ) そのため、ヴィルゴルは転送機でヒューマニドローム(Humanidrom、 訳注:スカルファール系第二惑星ロクフォルトを巡る巨大な 宇宙ステーション。モノス時代に建造され、1811話にあるように ギャラクティカムの中枢となっていた。 )に戻り、テラナーによってトロカンに 持ち込まれた穀物に似ているが非常に有毒な植物の栽培を 可能にする物質を手にいれた。

その間、<リコ>は<ギルカメッシュ>、及び シストロ・カンの<ペーパームーン>率いる50隻のLFT艦隊と きょしちょう座(Tucani)星区で会合していた。 (訳注:きょしちょう座は南天の星座の一つ。1920話のこのエピソードの 舞台は球状星団きょしちょう座47である。 ) そこで彼らは500隻のエロウンダーの円筒船が10万隻のハリネズミ船部隊に 警護されている様を観測した。 更に、トルカンダー(Tolkanders)と呼ばれるようになった 侵略者の船はさらにそこに集結していた。 (訳注: それは、さらに500以上の惑星でラファイエットと同じ悲劇が 起こりうることを意味する。 武装的・質的に勝るギャラクティカーの艦艇ではあるが、 このハリネズミ艦隊に抗しえない。 なぜなら、大艦隊が銀河に覇を競った時代は、とうに過去のものとなっていた。 LFTでさえ、本国艦隊を動員しても16000隻である。 10万隻のトルカンダー艦隊に対して、 幾千もの有人星系を効果的に防衛することはしょせん不可能だった。 ) 新参者のコースベクトルを重ね合わせて、 その艦隊がレティクル座(constellation Reticulum)方向 からやって来たことがわかった。 (訳注:しかし、距離までは特定できない。 ギャズカー、ゲムバの陳述から、彼の誕生した惑星が、 トルカンディア銀河、ヴェカル人の惑星アムクリルであることは判明していた。 では、トルカンディアはどこにあるのか。 ) その星区の外れ、惑星サンダゲ(Sandage)で、アトラン、シストロ・カン、そして マイルズ・カンターは要領報告のために会合した。 アルコン人は沼沢惑星ラファイエットでの事件を彼らに伝えた。 この間に、共鳴生体定数あるいは略称レゾコ(Resoko)と名付けられた放射を 使って、ニーザーとギャズカーは生体を走査し 「結合」としての有用性を調べることができた。 おそらく、テラナーやその子孫達は特に有用なレゾコを持つのだろう。 そのため、これら700の生物(訳注:意訳するとエロウンダーのことか?) はハリネズミ船の一時目的地の惑星で生きることになる。 そしておそらく住民達はヴィヴォクのための物質的及びプシ精神的 食料として供されるのだろう。

マイルズ・カンターと彼のチームは なぜトルカンダー船が銀河系の兵器で中々撃墜出来ないかを 発見した。船はいわゆる5次元シュレッダー(5-D-Shredder) をつかい、これによりエンジンが全3次元方向に非周期的な 開閉運動を行うことを保証し、対象とする 船の回り250キロの近傍で超空間がかきまぜ切り刻まれた。 これにより正確な追跡はもはや不可能になっている。 (訳注: 技術的には、ハリネズミ船はギャラクティカーのそれに明らかに劣る。 だが、探知障害をもたらし、同時に対人兵器ともなるタングル・フィールド、 そして予測不能な艦運用をみせるストッター・エンジン(間欠駆動)の存在が、 その劣勢を完璧に補っていた。ギャラクティカーの砲撃がどれほど強力であろうとも、 命中しないものに意味はなかった。 マイルズ・カンターは、ストッター・エンジンの秘密がいわゆる 「5次元ベクトル・シュレッダー」にあることを突き止めていた。 乱数ジェネレーターにより駆動の軸方向を絶えず変動しつつ、 周囲半径250キロの超空間を細かく切り刻む。 その結果、探知もできず、針路の予想もなしえなくなる。 ) このため、カンターらは対抗兵器として、 5次元中立相殺装置(5-D-Indifference-Compensator)を開発した。 これは高性能シントロニクスの助けで敵船の軌道を決定するため 5次元シュレッダーの偶発生成器(coincidence-generator)の アルゴリズムを計算するものである。 (訳注: 真に「偶然な」乱数は、コンピューターのアルゴリズムには存在しない。 そこで、コントラ・コンピューターを介してストッター・エンジンの アルゴリズムを判読するというのが、 カンター式5次元中立相殺装置の基本理論だった。 いまはまだ、解読まで5分の誤差があり、実用に耐えるものではない。 しかし、これが完成すれば彼我の戦力差は大幅に縮まるはずだった。 )

しかし、実践テストでは相殺装置はシュレッダーに対抗するには 今のところ非常に長時間を要することが示された。 同時に、ギャラクティカーはギャズカーの新兵器を 知ることになった。 腐食プロセスと呼ばれるあずき色のエネルギー束で 目標物が包まれると一種の連鎖反応で燃え尽きた。 パラトロンバリアですら、多数のハリネズミ船が集中砲火を 加えるとこの兵器からの攻撃に耐えることは出来ない。 キャメロットでは相殺装置のさらなる製造が行われている 傍らで、<ギルガメッシュ>のモジュールと 20隻のLFT船がこの装置を装備することになった。 時を同じくして、およそ2000隻から成る6つの艦隊が天の川 のウェストサイドへと針路をとって動きだした

これらの艦隊の一つがヒューマニドロームのある スカルファール(Scarfaaru)系にコースを定めた。 主として、この星系の防衛に銀河系の大勢力の何れもが 強力な努力を払わなかったため大パニックが起こった。 (訳注: ギャラクティカム議事場は<ギルガメシュ>からの凶報を受け取った。 脱出する艦艇が足りずヒューマニドロームに残らざるを得なかったものたちが、 わずかな転送機に殺到した。) 800メートル級巡洋艦<ジャデ・スター(JADE-STAR)> 指揮下の200隻の僅か1部隊がこの星系の防衛に派遣された のみであった。しかしヒューマニドロームへの 到着は侵略者に遅れをとった。 アコン人ヴィルゴルはこの間にある物質を受け取った後、 秘密転送機で<アズタクト>に脱出することができた。 (訳注: 慌ただしく脱出をはじめる人々を尻目に、 ヴィルゴルは外交官としてヒューマニドロームに持つ自室で 荷の到着を辛抱づよく待ちつづけた。 かれは骨の髄まで、アコンの生みだした謀略のエリートなのだ。 自室のスクリーンで、トルカンダーの艦隊の出現をみつめながら、 ヴィルゴルはパニックを抑えこんだ。周りのパニックの さまをモニターで観察することで、アコン人は冷徹な理性をとりもどした。 そして、ひそかに自室に設置していた転送機に注文の品が届き、 ケントール・ヴィルゴルが太陽系の<アズタクト>へと脱出するのと 入れ違うようにして、2000隻のハリネズミ艦隊はロクフォルトに到達し、 ギャラクティカム議会場を含む惑星圏をタングル・スキャンで覆いつくした。 ) <ジャデ・スター>がスカルファール系に到着したとき、 乗員達は4隻のエロウンダーの円筒船がヒューマニドロームへ 急行し、ヴィヴォクを降ろすのを見守ることしか出来なかった。 同時に惑星ロクフォルト(Lokvorth)はタングルフィールドで 覆われた。 <ジャデ・スター>はトルカンダー船に星系から追い出される前に 2000人の避難民を乗船させることができた。

この文章は Perrypedia.comにあるドイツ語の要約から翻訳された。