[Cycle 33] NGZ1322-1333 | Nr. 2200-2299 | Der Sternenozean スターオーシャン
2291 - マゼランの決闘 Duell in Magellan
Duel in Magellan
Hubert Haensel
Cedric Beust英訳(2005-10-19)
サービスステーションの一つに滞在していたカンティランは ヴィヴィオ家のアスカリが<ドラグーン>のハッチを 爆破し、キブ・ラムスで逃走する様を眼にした。 彼の母親にして最大の敵がコン・オルボンと会見したがっていた 事実を思い起こし、これを妨害するため、彼はマル・デイタルと 共に第二のキブ・ラムスでパル系まで彼女を追跡した。
逃亡者はパーラクまでの6分間の飛行の間に彼女の過去と 使命について考えを巡らす機会を得た。彼女は自分の行為 が正しいという結論に達した。
カンティランのキブ・ラムスがパル系に実体化したとき 攻撃を受けたが、最大限の努力でローダンの息子は ノクターン柱の近く、惑星パーラクに着陸することに 成功した。キブ・ラムスから出て、カンティランと マル・デタイルはアルサリとケルタンがもうサトルガー の体内に入ったことを発見した。その直後、彼らは 断固として獲物を追いかけた。
水晶内部で両一行はサトルガーのメンタル混乱と戦わねば ならなかった。これは彼らの思考にも影響を及ぼしていた。 カンティランは潜在的なプシ能力のため特に影響を受け易く、 死んだ最愛の恋人テレメ(Thereme)と会話していると 思い込むような幻を見た。
この平和な幻影は急に破られた。両一行は互いに対面し、 アルサリは息子を撃ったが、水晶のねじれのため 撃ち損じた。意識的か無意識か、ノクターン柱 サトルガーは体内の異物に反応し、以前は通路だったところに 壁があらわれ、全員がばらばらになった。
マル・デタイルはドロン人ケルタンと出くわした。 二人の間に対決が生じ、長い戦いの後、幸運の女神(Fuertone?) は最後に彼にほほ笑んだ。 (訳注:サルカン戦士ケルタンは爆発性のプシオン結晶の中で 銃をぬいたため自爆した。) しかし、かつての獣医に対する危機はおわっていなかった。 なぜならば、彼のいるトンネルに洪水が押し寄せてきた からだ。
アスカリはゴン・オルボンを求めてノクターン柱のなかを さまよううちに、彼女と皇帝が胎児のカンティランを 彼女の身体から取り出した時のことを不意に思い出し、 突然ある種の後悔を憶えた。その少し後で、彼女は オベリスクのある領域で不可解な理由で宇宙服が加熱する のを感じ、それを脱いだ。 (訳注:プシオン結晶の過剰エネルギーが 金属製の装備に誘電放電を起こしたらしい。) 隣の空間には見掛け上完全な ヒューマノイド存在がいるのを彼女は見た。ゴン・オルボン。
カンテランもその場にやってきて、過熱のために 宇宙服を脱がざるを得なかった。彼は隣のスペースに 入り、母親がゴン・オルボンの投影像に話しかけようと しているのを見た。彼女が彼に気が付いた時、投影像は 消え、二人の間に対決が生じた。
戦いは熾烈を極めた。アルサリは息子を容易に 打ち負かせないと気が付いたとき、彼に対し後悔を 感じている振りをした。しかし、カンティランは最後の 瞬間に彼女の意図に気が付き、苦々しく戦いを続けた。 最後にアルサリは転倒し、クリスタルの破片が彼女の 身体を貫いた。
カンティランは瀕死の母親と共にノクターン柱から 抜け出る道を見つけた。そこで、湖に繋がるトンネル を通ってクリスタル柱からやはり逃走したマル・デタイル を見つけた。マスカレントは息を引き取った。 最後を迎える前に彼女は息子に最後の望みを伝えた。 彼は彼女の通夜を営むことになった。 (訳注:むろん、この場で日本的な通夜を行うわけでは ないであろう。)
彼らは2機のキブ・ラムスが破壊されているのを 発見した。カンティランは自分が活動休止を 宣言された事を知った。彼は母親のために通夜を 行い、これによって彼女を許したのだ。
2292 - 3つの永遠の生命 Dreimal ewiges Leben
Three Times Eternal Life
Michael Nagula
Cedric Beust英訳(2005-10-19)
新銀河暦1333年4月30日にマイルズ・カンターが大マゼラン星雲に 向けて発した6次元衝撃波の影響ははじめテラでは感じられなかった。 (訳注:5月1日、古都ローマに落ちのびていた 自由テラナー連盟政庁大臣のホーマー・G・アダムズと 政庁次官のモンドラ・ダイアモンドは マイルズ・カンターが死ぬ夢をみていた。) かつての守護者ゴン・オルボンは今なお発狂したノクターン柱 サトルガーの影響下にあった。キブ・タイタンは太陽を加熱し これを超新星に変えようとしていた。レジナルド・ブル、 イホ・トロトそしてグッキーはノクターン柱内にまだ囚われており、 このノクターン柱はゴン・Oのメンタルインパルスの 中継器の役割をはたしていた。
死につつある守護者タッグ・カルザニは迫りつつある死を恐れて わらをもつかむ気分であった。孤独感から逃れるため、彼は 自らエンクリンの合成再生を行った。しかし、それを彼は 彼のかっての共生物にしたのと全く同様に激怒のあまり踏み付けて 殺してしまった。 身体的力が急速に落ちているので、 カルザニは微小重力中和装置と松葉杖の助け、 あるいは彼が作った重武装の飛翔椅子なしには動き回ることも 出来なくなっていた。 彼のキブ・タイタン(訳注:<キブ・タイタン09>)の高位の医師達は 彼から採取した組織サンプルから健康な臓器をクローニングして彼の命を 救おうとした。 しかし、これら組織サンプルの初期テストによって、 クローニングを不可能とする急速な細胞分解を示す事が分かった。 このことはカルザニ自身の臓器も遠からず完全に脱落し、 これはとどむべくも無いことを意味する。
ゴン・オルボンはもはやカルザニを救う気はなかった。 彼は3人の囚人のいずれかの細胞活性チップをカルザニに 与えることを拒否した。なぜならば、銀河系人は捕虜として まだ有用であり、何れにせよ彼ら個人に調整されたチップを カルザニが使うことは出来ない。しかし、ゴン・オルボンはカルザニが 必要であった。キブ種族をコントロールするには彼が必要だったから。 カルザニなしではキブたちはゴン・Oの援助を続けるのを 拒むやもしれない。そのため,ゴン・オルボンはカルザニの 副官で至高監督官のデイツ・ドゥアルトを新しい総司令官 に命じ,本物のカルザニが死ぬと直ちに操り人形として 使うための、若い健康なタッグ・カルザニの外見を持った サイボーグを密かに作らせた。
カルザニがこの計画を知ったとき、彼は暴れまわった。 彼はサイボーク複製の1体を破壊し、デイツ・ドゥアルトを 殺そうとしたが、逮捕されゴン・オルボンの前に引き戻された。 彼はボディガード兼助手のミリトロン(Millitron)に カルザニの射殺を命じた。 ゴン・オルボンが命令を発しようとしたまさにその瞬間、 中継器が振動を始め、ハイパー水晶が明るく輝き出した。 人々の心を混乱させるメンタル放射が広がり、ゴン・オルボンは 意識を失った。 これが起こったのは新銀河歴1333年5月4日であった。
2293 - こんなときの英雄 Ein Held fr alle F舁le
A Hero for all cases
Horst Hoffmann
Jerry Schneiderman英訳(2005-10-30)
ジェット線に沿って走るハイパー衝撃波の影響は減衰神殿の 内部でも感じられた。(訳注:新銀河歴1333年5月1日の出来事。) そこの教団メンバーは信じられないほどの メンタル圧力にさらされ、多くはそこから自分自身を取り戻すこと はできなかった。彼らは他人に対して非人間的な敵意を持って 行動し、殺人さえ犯した。 カーロシュ・イムバーロックも影響を受け、短期間は ゴン・Oの支配下から開放されたが、速やかに支配下に 引き戻された。彼は神殿を出て、自分の眼を疑った。 クリスタル柱中継器が虹のように七色に輝いていたのだ。
ルナでは事態は通常とはかけ離れた経緯を示していた。 清掃家のジャック・C・ルーター(Jack C. Reuter)は 情熱的なハムスター飼育家でフランス語も堪能であったが、 女性の関心を引きつけることにはあまり堪能ではなかった。 彼は今も技師のマルディ・ダイス(Mardi Dice)にアタックをかけていた。 しかし、彼の求愛の試みの途中に、彼らは惑星規模の災害警報で 邪魔された。TLS(訳注:テラサービスリーグの略称、自由テラナー 連盟の秘密工作機関)の重要人物や工作員がゴン・Oの影響下に 取り込まれ、今やルナの支配権を握ったのだ。影響を受けなかった 人々は武装し抵抗を試みた。しかし、彼らは軍事的に訓練された 武装兵力には十分には対抗できなかった。 ジャックは「死んだ英雄より生きている臆病者のほうがまし」という スローガンに従うことにした。
引き続く数日間で新しい支配勢力は自らの権力を固め、地球で 行われたような公開処刑をすぐに執行した。逮捕されない人々は 全て傍聴人として参加を強要された。ジャックは心理的圧力に 耐えることが出来ず、これの嫌悪感から気を失った。友人の ブラド・ヒンクス(Brad Hinx)は何とか彼を家まで送り届けた。
その間、危機の海(Mare Crisium)にある予備造船所では 生産が始まった。そこで働く技術者たちは、自分たちが 作っている物についての一切の質問は出来なかった。なぜなら 彼らはそこの新しい主任ラファエル(Raphael)を ゴン・Oの使徒だと見なしていたからだ。
新しく組織された機関「ネーサンの監視者(Eye on NATHAN)」が 古い造船所の出来事に興味を示した。彼らはあらゆる疑わしい 活動を絶えず監視し、月の巨大コンピューターによる いかなる敵対行為をも防ぐという任務についていた。 ラファエルはゴン・Oとは無関係で虚無から現れたことが 判明した。 (訳注:旧暦36世紀なかば、惑星テラと衛星ルナが遠い 「星のメールストローム」にあって、特異点「喉」に落下しそうに なったときに暗躍した、怪人物の名もラファエルで、 実体は月面脳ネーサンが創造したプロジェクションであった。)
ジャックはようやく通常の生活に戻っていた、あるメッセージを 受け取るまでは。ネーサンは秘密任務で彼とコンタクトを とったのだ。彼はある時刻にある特別な端末を使わなければ ならない。彼はマルディとの会合時刻をすっぽかした。そして うかつにも彼女にこの秘密の一部を漏らしてしまった。 (訳注:幸い、マルディ・ダイスはゴン・オルボンの影響下には とらわれていなかった。) 彼は彼女を残し、問題の端末に時間内に辿り着かねばならない。 彼はそこでデータクリスタルを満たし、次の指示を受けた。 (訳注:これらの指示は全てフランス語で行われた。 この時代、この古語を理解する人間は殆どいなかったため 敵に漏れる危険はなかった。)
彼の次の命令は彼を遠くはなれたハイパーカムステーション に導いた。ここで彼は指示に従い、ヴェガにいるペリー・ ローダンとコンタクトを取った。ネーサンから受け取った データを転送した後、水晶嵐2号という名前のデータを 受け取った。これを2日以内にネーサンに渡すことになった。
5月10日を待つことはジャックを半ば狂気にさせた。彼は マルディとの接触を避け、自分のキャビンに引きこもった。 締切間際に彼はトーラ造船所に再び導かれた。そこで働いている マルディの監視下で、彼はプログラミングを始めた。 そこの機械装置は製造するものと発送先を変えた。 新しい発送先はツヴィーブスクレーター内の技術設備であった。 (訳注:このクレーターは新銀河歴888年に出来た比較的 新しいクレーターらしい。ここでの活動や水晶嵐2号作戦の 詳細は2295話で種明かしされる。) ジャックは命令を果した後、非常に神経質になって マルディによって彼女の部屋まで連れ戻された。 彼らの愛情の告白は他の考えを彼らの心に引き起こした。 (訳注:この1文は正確には理解不能。原文は The confession of their affection brings them upon other thoughts get caught up in them.) しかし、その後ジャックは最後の仕事のための命令を受けた。
危機の海での活動は秘密機関のネーサンへの監視を引き起こした。 そこでは未知の装置が建造されていた。秘密機関は 造船所を占拠し、ラファエルを捕虜にした。技術者たちの 尋問からは何ら新しいヒントも得られなかった。 なぜならば、自分たちが何のために働いているかについて 誰も何も知らなかったからだ。ラファエルは協力を拒否して 射殺された。彼の死後彼がダニール(Daniel)型ロボット、人間の 完全な模倣品、であることがわかった。 このマシンは秘密を漏らさないように建造されていた。 なぜなら、ラファエルは射殺されるやいなや爆発したから。 今や秘密機関にとっての最後の手がかりは過去数日間奇妙な ふるまいをしている清掃家だけであった。
ジャックは一団のTLS工作員に捕らえられた。 彼らは彼の絞首台のユーモアを愉しまず(訳注:ジャックの 話を信用しないという意味か?)、全身の空隙部を苦痛を伴う プローブで走査した。この無益な調査の後、彼の頭はつるつるに 剃られてから彼はようやく開放された。これに対する説明は 一切無かった。これによってもたらされたのはより緊密な ジャックとネーサンの協力だけであった。ゴン・Oの工作員の 手による彼の屈辱をはらすための。
彼の最後の仕事は彼をハイパーカム装置のところに舞い戻らせた。 彼は確認信号をヴェガに送った。水晶嵐水晶嵐2号作戦が 計画通りに始まったのだ。
テラの減衰神殿での事態は平静を取り戻した。しかし、門弟たちは 彼らの神の沈黙をいぶかしり、 クリスタル柱中継器はまだ花火のディスプレイの様であった。ゴン・O がすぐに回復するかは星のみぞ知る。
2294 - 水晶混沌 Crystal Chaos
Crystal Chaos
Arndt Ellmer
Cedric Beust英訳(2005-10-30)
重々しい振動がテラの水晶柱中継器を走り抜けた。 サトルガーの肉体の破片は絶えず密度と内部構造を 変化させていた。壁や回廊があたかも虚無から現れ 消えていくかのようであった。しかし、ブリー、イホ・トロト、 そしてグッキーはプシ監獄のなかでこれらの猛威から 遮られていた。それにもかかわらず、彼らは不運で 状況を喜ぶことは出来なかった。 ゴン・Oの囚人たちはもう何日も飲食物を与えられて いなかった。ブリーとグッキーがこれにより 死にかけていたとき、ミリトロンがようやく3日分の 食料と飲料水を囚人たちに運んできた。
プシ嵐の10日目、不死者たちのプシ監獄は吹きすさむ猛威に もはや耐えられなくなり分解した。活性装置保持者たちは 逃走に成功した。グッキーはイホ・トロトの手によって 気絶させられた。なぜなら彼はあまりに長く中継器からの プシ放射にさらされていたからだ。トロトが自分たちの 戦闘服を探している間に、ブリーはゴン・オルボンを 探しに出かけた。彼はかつての守護者を捕虜にしようと 考えたのだ。
ゴン・オルボンはしばらくの間、サトルガーの支配から 開放された。正気の間に、レジナルド・ブル が彼を落下する水晶に埋め込んだのだが、彼は ソルの周りのキブ・タイタンがソルを加熱しノヴァに 変えようとしていることをブルに打ち明けた。 (訳注:「5月27日までにやめさせないと、ノヴァ化してしまうのだ」) 彼は不死者に自分を水晶柱中継器から連れ出すように懇願した。 なぜなら、そうすればサトルガーは彼のメンタルディスロケーション の能力をもはや利用できないからだ。 精神を支配されているテラナーたちも開放されるだろう。 ブリーにそれ以上の情報を与える前に、ゴン・オルボンは 意識を失った。
守護者を連れ出すことはブリーの計画にぴったりであったので、 少し前に合流していたトロトと共にゴン・オルボンの 肉体をサトルガーから引き離すことに決心した。今や、 彼らは中継器からの逃走路を見つけなければならない。
クリスタル破片からの逃走は非常に困難であることがすぐに わかった。水晶柱中継器の回廊は絶えず変化し、逃走は 不可能と思えた。ブリーはトロトと通路をさまよっている 間に、カンティランが母との死闘を制した時の投影像を 眼にした。
その間にミリトロンは主人が消えたのに気が付き、モトクローンと 追跡を開始した。ロボットはすぐに活性装置保持者たちとその捕虜を 出口前で発見した。トロトがモトクローンを引きつける間に、ブルは グッキーを中継器から運び出した。そして、かれは中継器に引き返し、 意識を失った守護者を確保しようとした。彼はミリトロンと出くわし、 ようやく戦いでそれを打ち負かした。しかし、彼は守護者を 見つけることは出来なかった。彼は渋々中継器内の現場を離れ、そとで グッキーと出会った。彼はこの間に目覚めていたのだ。トロトが彼ら に追いつき、彼らはナポリ近くの森林エリアにテレポートした。
この有様は、ホーマー・G・アダムスとモンドラ・ダイアモンドが 観察していた。彼らは友人たちが逃走したという事実には喜んだが、 中継器には見掛け上何の影響も与えられなかったことには残念がった。 いまや再び、彼らの希望はクラカトア火山内の探査機に委ねられる ことになった。
水晶柱中継器内ではゴン・オルボンが無意識状態から 目覚めた。いまや再びサトルガーの影響下に入った守護者は 忠実な侍従のミリトロンと2体のモトクローンが破壊されたと いう事実を身震いしながら受け入れた。
2295 - 帰還 Die Rckkehr
The Return
Andreas Eschbach
Jerry Schneiderman英訳(2005-10-30)
ヴェガ星系では、新USOより提供された24基の
不協和音砲(dissonance cannons、訳注:2282話では「非共鳴砲」
と訳していた)をテラ艦隊の
重戦闘部隊への装備が急ピッチで行われていた。
新しい不協和音砲はフェロルでは組み立てられない。なぜならば、
フェロン人は彼らの精神機能のため高次元接合を理解すること
が出来ないからだ。彼らは不協和音砲に必要なモジュールを
コピーすることも出来ない。
新銀河歴1333年5月15日、ネーサンはレジナルド・ブルから
ペリー・ロダンへのメッセージを伝えた。50隻のキブ・タイタンが
ソルがノヴァ化するまで加熱し続けていると。ローダンはこの
プロセスが12日後の、5月27日を限度に反転不能になるとも知らされたため、
24時間以内のソル系への攻撃を手配した。
(訳注:ヴェガ星系の防衛は、ルマル艦隊基地から1万隻を
率いて急行中のティフラーにまかせ、USO司令官モンキーを副官に
臨時任官した。攻撃艦隊は
発見者級艦800隻、ポントン級艦隊テンダー90隻、クェーサー級
5月16日、テラ艦隊はソル系に到着した。わずか3隻の
キブ・タイタンがこれに立ち向かった。なぜならば1隻は
水晶柱中継器の守護を続けなければならないし、50隻は
ソルの加熱を続けなければならない。ゴン・Oには1隻たりとも
そこから割り当てる余裕がないのは明らかであった。
今一度、奇襲効果はテラナー側にあった。なぜなら、
<トラヤヌス>の不協和音砲だけでなく、2ダースの船が
この兵器を装備していることをキブたちは予想もしなかった
からだ。このように、艦隊はもう1隻のキブ・タイタンを
爆破させることに成功した。
しかし、あとの2隻はテラ艦隊兵力との追い駆けっこを
演じた。艦隊は全ソル系に散らばり、ソルを加熱している
キブ・タイタン群には十分には接近しなかったからだ。
(訳注:
ベスビオス火山でゴン・オルボンを守っている
キブ・タイタンにも牽制攻撃をかけた。)
しかし、これらの戦いは実際には陽動作戦に過ぎなかった。
本当のところ、ローダンは
ネーサンが密かに製造し、ツヴィーブスクレーター
のルナの夜側の貯蔵庫に隠してあった数千の機械を
回収することにのみ関心を示した。
コマンドの使命はおよそ20分の時間スケジュールでこれらの
モジュールを回収することであった。この時間は
地球と月の間にどれくらい薄明ゾーンが存在するかによっていた。
この間はベスビオスに停留しているキブ・タイタンは
コマンドを攻撃するためには水晶柱中継器自身と地球と月を
打ち抜かねばならない。
(訳注:つまり、月の裏側にあるツヴィーブスクレーターから
見て、ベスビオス火山は地球の裏側なので、敵からは死角。
おまけに恒星ソルも、地球の向こう側なので、ソルを
加熱しているキブ・タイタンからも死角になっていた。
ローダンはこの機会を待ってソル系への第一次攻撃を試みたのだ。)
そして、タイタンは水晶柱中継器を破壊するようなことは
しないだろう。しかし、キブ・タイタンはベスビオス上の
ポジションを離れることも出来ない。
なぜなら、そんなことをすれば、テラナーに
水晶柱中継器を自由に攻撃させることになる。
この「絶対束縛」の戦略のアイディアは、ローダンが
艦隊の単なる一中尉と演じていたオンラインチェスの
間に浮かんできたのだ。
(訳注:この中尉の名はジョセイト・オルバネス(Joselto Olbanez))
計画が失敗しそうになった時、
デレク・パンダー(Derek Pander)という名前の一人の技師が
月に留まろうとした。彼はいやいやながら発見者級戦艦に
乗船していたのだ。
彼は貯蔵庫に身を隠し、密かにテラと家族の元に帰郷
しようとしていた。もし、ゴン・Oが彼を捕まえ、精神を乗っ取ったら、
ツヴィーブスクレーターの貯蔵庫に何が隠されているか明るみに
出てしまう。これはローダンの計画が全て泡と化してしまうこと
を意味する。
最後の瞬間、パンダーは説得され、自分の発見者級戦艦に戻った。
(訳注:パンダーは意地も誇りもある技術者で、ヴェガ系での
回収訓練もこなしていた。しかし、妻子を思う気持ちの
ため、ゴン・オルボンのメンタルディスロケーション能力に
部分的に支配されていたらしい。)
艦隊は回収したコンテナと共にヴェガ星系に撤退した。
ローダンは目的を果したが、その代償は大きかった。
200隻以上の重武装戦闘船と1000隻以上の巡洋艦が破壊され、
人的損害は10万人に達した。
今や、ローダンは水晶の嵐第二号作戦の本当の目標を将校たちに
打ち明けた。ルナで作られたモジュールはほかならぬ不協和音砲の
部品で、フェロルでは作ることが出来ないものであった!
これらのモジュールを使えば、総計1220基の不協和音砲
を装備することが出来る。
この作戦は価値があったと言えるだろうか?勿論イエスだ。
しかし、ローダンは心の奥底でそんな風に考えるまいと
願った。自分を信用してくれる人々を、
無差別に犠牲にするようなチェスの駒と見なすことを・・・。
シャモニのスターオーシャンでは、キブたちは
モラル同盟に大した抵抗も示していなかった。
ゼフィーダとモタナ族はタン・ジャモンディ星系の
抵抗を、250隻のタイプII発見者級戦艦と5千隻の
LFT BOXと共に鎮圧した。
恒星女王はタン・ジャモンディ第二惑星のロガン聖堂
近くに自らの拠点をおいた。
彼女のアトランとの関係は日常生活の単調さの犠牲になった。
彼らの日常生活にはすれ違いが多かったのだ。二人は
次第にお互いから離れていった。
(訳注:キブ・トラケが、1万2000年にわたって支配してきた
タン・ジャモンディ星系第三惑星にはキブ・トラケ多数が、
住む巨大都市もあり、鎮圧者も予断を許さない状況には変わりはない。
形勢逆転を喰らわないためには、タッグ・カルザニ
が恐れていた巨艦キブ・タイタン打倒兵器を見つける必要があった。
)
捕虜にされたキブたちは休み無しで尋問されたが、
サイボーグ文明がキブ・タイタンに対抗できる武器をもっていた
というヒントは得られなかった。
<レイフ・エリクソン>の異類心理学者(Xenopsychologist)、
ハジモ・サイドリップ(Hajmo Siderip)は古アルコン人に
ある高位のキブ・トラケがモタナ族と協力する用意があると
伝えた。勿論、見返りを考えなければならない。キブ・トラケは
釈放と1隻の宇宙船を要求した。
彼の名はイアント・レトックス。
アトランはそのような要求を完全に受け入れる用意があった。
レトックスが本当は名にも提供できないとしても。
しかし、テラとソルを破滅から救うには時間が足りない
(もう既に新銀河歴1333年5月22日になっていた。)ため、
サイドリップはある計画をたてた。
確かに、この計画は、軍隊特に、
<レイフ・エリクソン>の揚陸隊の隊長、
ジャロン・ヒュプト(Jallon Hypt)から好意をもって
迎えられなかったが、アトランはいかなる藁をもつかむ
用意があった。
サイドリップはタン・アイス(Tan-Ice、訳注:rlmdiは〈タン氷〉と
訳した第三惑星)の巨大都市フーカイン(Whocain)で兵器を探そうと
した。
彼はそこでジャモンディの文化公使館員であるかの様に
ふるまい、愚か者の役割を演じてキブたちが本当の計画を
すぐには気付かないようにした。
レトックスもまた共同大使として同行することになった。
無論、偽者兼ペテン師はこれを喜ばなかったが、彼にとって唯一の
チャンスであるため引き受けた。彼らには
フィラナ・カロナゼ(Filana Karonadse)が同行する
ことになった。
(訳注:2232話から登場するルーカスの持ちキャラの一人。
ハヨクではマル・デタイルの恋人でもあった。1年前の
「アルコン帝国の秘密警察と皇帝親衛隊」対
「グッキーと、モグラと、TLD」の
カンティランとシャロワインの争奪戦に巻き込まれ
負傷していた。この
2296話の原書の表紙はポスビ製インプラントを体内に埋めこんだ
彼女。普段は寝たきりだが、精神をネットワークに
潜入させる事が出来るらしい。)
ポジトロニクスのスペシャリストは過去1年間に
大きく変わっていた。頭脳と眼にサイバーモジュールを
埋め込み、それによってトラクの感覚をシミュレート
できるようになっていた。
宇宙海兵隊は指揮官であるオクストーン人ゴルム・ゴヤ(Gorm Goya)
と共に出発することになった。
カムフラージュの一つとして、テラナーたちは
キブ・タイタンと同じ大きさの巨大骨組みを建造した。
彼らはキブたちにテラナーがフーカインでこれらの
巨船を建造するため設計図を探していると信じ込ませようとした。
レトックスは一行をフーカインに案内したが、
そこで彼らはすぐに攻撃を受けた。とは言えそれは
トマトを投げ付ける類の無害な攻撃であった。
その後、「惑星上の文化資産の見学」の意味をわざと
曲解して、彼は一行をクレソト(Kresoten)(巨大イノシシに似た
動物)狩猟ゲームエリアに連れていった。
ここでレトックスはサイドリップをからかい、彼が
これに気が付いた時は手遅れであった。
彼は暗殺者の攻撃も辛うじてかわした。
この時、勝利したハンターの一人がサイバー的に支配され
彼に攻撃したのだ。ゴルム・ゴヤはうまいタイミングで
暗殺を阻止できた。
暗殺未遂のショックを受けながらも、サイドリップは
一行を引き連れ、本当の仕事を始めるためサーバー大学に
飛んだ。大学で一行はハイパー繭の誕生前の時代から
存在し、まだ再起動させられていないハイブッリッド
コンピューターについてのヒントを発見した。
フィラナがキブのネットワークに侵入したときにも
別の攻撃があった。今回はガス爆発攻撃で、
多くの被害と負傷者をもたらした。部隊の一部は
生き埋めにされ、大学の一部は破壊され、
一人の揚陸隊員は死亡し、イアント・レトックスは
逃走した。フィラナ・カロナゼは負傷した足を引きずって
脱出した。
<レイフ・エリクソン>に戻って、
若い異類心理学者は彼が見たものは完全な失敗であったと、
深く落ち込んでいた。しかし、タフなエルトルス人
ジャロン・ヒュプトが、自分たちは戦争を行っているので
あり、戦争ではくそみたいな事は起こるものだと
慰めた。攻撃はサイドリップの落ち度ではないし、作戦は
継続中だ。必要なのはサイドリップが自分を取り戻し、
カロナゼが回復次第に現場に戻って作戦を再開することだ。
ゼフィーダからのメッセージが届いた。
灰色の領主はショ・マガテの1家族を派遣し、ある旅客を
ミクロネール(Mykronoer)から連れもどすという命令を伝えたそうだ。
恒星女王は生体巡洋艦をミク(Myk)星系に派遣した。
賢者らは旅客が誰かを言うことは許されていなかった。
彼らが恒星女王に告げたのは海の賢者たちがもはやミクロネールに
行くことはないと言うことだけだった。
(訳注:灰色の領主カ・タンが言及したこの旅客とは、
「それ」の使者ロト・ケレーテのことらしい。)
医療ステーションではフィラナが奇妙な体験をした。
この時彼女はまだ自身のメンタル制御下にあったにもかかわらず、
彼女の内部の声に繰り返し話しかけられたのだ。
この声はカロナゼだけが彼女を助けられると告げた。
フィラナは信じることが出来なかったが、彼女が自分では
解除できない、ベッドに固定する力場をコントロールしたとき、
彼女は声の指令に従ってコンピューター副ステーションに
行くことを決心した・・・。
フィラナ・カロナゼが聞いた声は幽霊(Specter)であることがわかった。
マイキー・モナリス(Maykie Molinas)の「電子化身(electronic incarnation)」
は親友のグッキーを助けるために<グルーナームンド>で
<リチャード・バートン>を離れたのだ。
<グルーナームンド>のバイオトロニクスはタン・ジャモンディ系への
道程で、セキュリティプログラムでこれを駆除しようと
したため、幽霊は辛うじて旅を生き延びることが出来ただけだった。
(訳注:モリナスはルーカスの持ちキャラの一人で、2210話での
初登場時は「モグラ」というコードネームのTLD女性工作員であった。
ハヨクでのカンティラン解放作戦のおり死亡し、その意識が
コンピューターネットワーク上でウイルスの様に活動するようになった。)
幽霊は自分の古い技術のいくつかが<レイフ・エリクソン>船上の
フィラナ・カロナゼの埋め込み機器に使われている事を
知って驚いた。(訳注:彼女の埋め込み機器はポスビ製。
かつてモナリスもこの機器を使っていたということか?)
しかし、これにより、ゆっくりとしかし確実に
彼女とコンタクトをとることが出来た。
幽霊のさしあたっての問題はエネルギーを使い果たしている
ことだった。フィラナはバッテリーパックからの新たなエネルギー
供給を確保して問題を解決した。そして、これ以後、
彼女は絶えず幽霊のUBSEF定数物質のコンテナー(訳注:
要はモバイルパソコン)と共に
背嚢にそのバッテリーパックを担ぐことになった。
見返りとして、幽霊は彼女の埋め込み機器の改良を
請け負った。
彼女らは共にキブから捕獲したデータを調査し、驚くべき
示唆を発見した。これは、キブ・タイタンの近くでの
サイバー・ニュートロニクスの使用を禁じていた。
論理的結論は明らかであった。
サイバー・ニュートロニクスこそ彼女らが求めている
秘密兵器であろう。
唯一の問題があった。
サイバー・ニュートロニクスはタン・ジャモンディ系を
めぐる戦闘で全て破壊されたとされている。(訳注:2281話参照)
かつての捕虜で今は逃走中のイアント・レトックスだけが
次のステップへの鍵となりうる。
イアント・レトックスはテロリスト組織トラクタト(TREATISE)
の手にあった。(訳注:
TRAKTAT[独]には誹謗のためのパンフレットという意味があるが、
英訳のTREATISEには論説文という程度の意味しかないらしい)
組織はレトックスの昔の恋人ケンデ・テルケン(Cende Terken)
に率いられていた。トラクタトはレトックスを
おかざりの旗頭にしてテラナーへのキブの対抗意識を高めようと
した。レトックスはそのために組織に利用されていたが
決して歓迎されているわけではなかった。彼はこの状況に
満足するどころではなかった。
その間、「文化交流派遣団」はキブ・トラケの学校を訪問していた。
そこで、彼らはトラクタトというラベルの貼られた古いコンピューターを
発見した。フィラナと幽霊は幽霊を古い複合ネットワークに転送し、
トラクタトという組織とイアント・レトックスの今の所在
についての情報を拾い出すことに成功した。
さらに、なぜキブ・タイタンがサイバー・ニュートロニクス
との相性が悪いかも分かった。
ニュートロニクスは、ハイバーインピーダンスショックの
後のタイタンの主駆動機関を代表する生体次元ブロック
ネットワーク(Biodim Block network)を操作不能にするのだ。
なぜなら、それはモタナ族の遺伝物質で構成されているから。
(訳注:サイバー・ニュートロニクスは元々、モタナ族の
生体巡洋艦への対抗兵器であった。だから、同じ駆動系
を用いるキブ・タイタンにも効果があるということ。)
その間、トラクタトは巨大なネットワークを構築していた。
絶え間なく増加するコンピューターが活性化され統合化されて
いった。量子跳躍はもうじき迫っていると言われている。
(訳注:最後の1文の意味は不明。)
テラナーのコマンドチームはトラクタトから
イアント・レトックスを開放するのに成功した。
このキブ・トラケは今度は驚くほど協力的に見えた。
作戦は大局的には成功したが、1点で失敗であった。
主なトラタクトのメンバーは逃走し、レトックスが彼らの
名前を知っていることも役にはたたなかった。
レトックスと共にテラナーのコマンドチームは
ハジモ・サイドリップの指揮下、地下都市に進んだ。
ここで、イアント・レトックスは当時サイバー・
ニュートロニクスを発見したのだ。
幽霊はそこのネットワークに侵入し、もう500基の
サイバー・ニュートロニクスが存在するという情報だけでなく、
ネットワークが拡張し続け、ますます多くのコンピューターと
結合しつつあるという感じを得た。
このように、自らをトラタクトと呼び、明らかにテロリスト
組織の母体をなす
ネットワークの防御能力は増大しており、今やそれは
そのリソースを使用していた。
幽霊は致命的な攻撃(訳注:一種の捕獲プログラム)
を辛うじてかわすことができた
だけであった。しかし、「トラタクト」は電子的防御に
限られていたわけではなく、地下都市の崩壊すら引き起こした。
テラナー達とイアント・レトックスは辛うじて脱出した。
フィラナは、まだその存在を秘密にしている幽霊がネットワークから
取り出したデータを手渡した。
それが彼らの次の目標を決めるだろう。
ゲロント・デトラック(Geront Detrakk)、伝説的なキブ戦士、が
探し求める500基のサイバー・ニュートロニクスの輸送の
責任を担っていた。
それゆえ、それらの所在についての手がかりを得るため、
彼の所有物や遺品を調査しなければならないことは明白であった。
しかし、ここに一つ問題がある。
デトラックの所有物は蓄電聖堂の中に保管されている。
全ての若いキブ・トラケが腕を切断し、その義手を受け取る
神聖な聖域に異星生物が入ろうと考えることすら、いかなる
キブにとっても破門行為であり、彼らとの将来の平和会談の
ためのテラナーの努力を無にするものである。
(訳注:この聖堂は
惑星テラのゴン・オルボン教団の減衰神殿に相当する。)
イアント・レトックスすら異人が聖堂に入るという考えに
腹をたて、始めはテラナーへの援助を拒否した。
援助に同意して自身のスペースジェットと自由を手にいれるか、
拒否して生贄の羊として聖堂に取り残されるかのアトランからの
最後通知にレトックスは屈服した。
ディフレクターに隠れて、フィラナ・カロナゼとゴルム・ゴヤは
イアント・レトックスの後に続いて聖堂に入った。レトックス
自身は誰にも見える状態で入った。
聖堂の内部で、幽霊はネットワークに侵入し、
秘密のシャフトを発見した。
シャフトの底では高エネルギースキャナーがあって、ディフレクター
を用いたこれ以上の侵入は出来なかったので彼女らは装置を外して
通路を辿った。
その終わりには「太陽ネット('solar plexus',Sonnengeflecht[独])」、
トラクタトの中枢、があった。
侵入者を待っていたのはケンデ・テルケン指揮下のレジスタンス戦士であった。
そして、彼女はレトックスの裏切りに対する処罰として彼の義手を取り外す
様に命じた。
レトックスの義手が取り外されている間に、幽霊はトラクタトの太陽ネット内部
を見渡した。
ネットワークはデジタル知性としての自己認識段階に達していて、
未だ欠けているもの、魂、を得るため、幽霊に
自らと融合する事を要求した。
幽霊にとってのもう一つの選択は極めて不快なものであった。破滅。
(訳注:しかし、この対話によってキブ・トラケの攻撃計画や
サイバー・ニュートロスの備蓄場所も明らかになった。)
事態はそこまでいたらず、幽霊はゴルム・ゴヤの大胆な介入に救われた。
ゴヤはレトックスの外された義手を武器として手にとり、これを使って
レジスタンス戦士に攻撃をかけたのだ。
混乱の中、ゴヤはイアント・レトックスとフィラナ・カロナゼに
脱走のチャンスを与えるため命を落とし、幽霊はコンピューターネット
からフィラナのインプラントに飛び移り、彼女の肉体の少なくとも
部分的なコントロールを手にした。
有機生物二人と幽霊が彼らの
船に辿り着いたとき、トラクタトは太陽ネットへの大規模攻撃により
少なくとも致命的ダメージを受けた。
フィラナはアトランに500基のサイバー・ニュートロニクス
が隠されているフーカイン上空の宇宙ステーションのポジション
データと秘密コードを渡した。
サイバー・ニュートロニクスが回収されている間に、
フィラナ/幽霊はイアント・レトックスと共に彼のスペース・ジェット
でタン・ジャモンディ系を離れることの許可を願った。
アトランは要求を受け入れた。彼は彼女の外見に少し心惹かれていたにも
かかわらず。
スペースジェットがディフレクターフィールドから離れた時、
ミクロネールからの生体巡洋艦が到着した。
船上にはロト・ケレーテが乗っていた。
「それ」の伝令はアトランに一つの良いニュースを
伝えた。彼はカ・タン、別名灰色の領主、
第二のノクターン柱のメンタル残存者、
を説き伏せ
ゴン・Oに対して積極的に戦わせることに、
成功した。
カ・タンは既にミクロネールを出発したという。
(訳注:カ・タンについては2240話に初登場。
ジャモンディの守護者の任命者的存在らしい。)
アトランとテラナーたちにはもう一つの問題があった。
彼らの船の何れもが500基のサイバー・ニュートロニクスを
ソル系まで期限内に届けられるほど速くはなかった。
(訳注:時はすでに5月26日であった。)
アトランはゼフィーダと会談するため、タン・ジャモンディに
向かった。
ヴェガ星系では、ソル系のキブ・タイタンへの最終攻撃のため、
ペリー・ローダンは艦隊を集結させていた。時に新銀河歴1333年
5月26日、テラ主席の手元で時は疾風の様に経過していた。
真夜中の2時間前というのに技術者たちは新型の不共和音砲の
装着という仕事にまだおおわらわであった。これらの兵器は
ルナでの「水晶の嵐第二号」作戦で得られたものであった。
(訳注:この2298話は、救助船<シャリン(SHARIN)>
が発見していた救命カプセル内で死亡していた
発見者級艦<フランシスコ・ド・オレリャ−ナ>
の乗員ダレス・アラモの
星系ソル解放戦に関する手記
という形態を取っている。)
ローダンはジャモンディ、旧友のアトランからの知らせを待っていたが、
無駄であった。ハイパー嵐が通信ネットをまだ麻痺させていた。
宇宙船上では乗員達が用いるべき戦術について議論していた。
多くの船は上昇したハイパーインピーダンスのため、強力な
キブ・タイタンの砲撃の的にしか過ぎない。幾人かは
ローダンがそのような船を使うことを擁護し、他方では
そのプランに疑いを示し、主席によって戦闘に投入されるという
事実を認めようとはしなかった。(訳注:すこし原文も分かりにくいが、
絶望的な戦いを控えている雰囲気は分かる。)
そして、時は来た。5月27日、標準時間で深夜1時に、
あらゆるクラスの6000隻の宇宙船はリニア飛行に入り、
わずか28.5分後にソル系で再物質化した。そして、
「最終刻限(point of no return)」の日はソル系内部の
一大決戦で幕を開けた。
(訳注:発見者級戦艦800隻と
クェーサー級LFT-BOX1万2000隻が参加しているので、
6000という数字はおかしい。)
ペリー・ローダンは<プラエトリア>の中心セルから攻撃の指揮を
とった。
テラ艦隊の小型艦部隊は太陽系内に分散し、不共和音砲を備えた
重武装艦は木星軌道路に位置した。当初、彼らは53隻全部の
キブ・タイタンをその位置から引っ張り出すことには成功せず、
僅か2隻が木星軌道路の方向に動いただけで、太陽の周りの50隻と
水晶柱中継器上空の巨人はその位置を変えなかった。
確かに、弱武装のテラ艦隊はタイタンとの間にこれまで知られている
最短の射程距離を確保するように注意していたが、キブの技師たちは
兵器の最大射程距離を最適化する努力を惜しんでいなかった。
結果として、<フランシスコ・ド・オレリャ−ナ(FRANCISCO DE ORELLANA)>
は太陽近くで強力な一撃を受けた。この艦には探知スペシャリストの
ダレス・アラモ(Dares Aramo)が乗船していた。
戦闘の第一幕で、テラナーは1隻のタイタンを破壊したが、LFTは
少なくとも弱武装艦については撤退ラッパをならさねばならなかった。
僅か数分後、ローダンはこれらの部隊に撤退を命じた。(訳注:
もう1隻のタイタンも破壊されたため、恒星ソルから30隻が
現れ、恒星ソル・ノヴァ化作戦は、とりあえず中断となったらしい。)
戦闘の継続がもう望み薄になったとき、アトランが死神艦隊(Deathbringer fleet)
の5500隻と共にソル系に到着した。(訳注:Deathbringerという用語が
このサイクルのサマリーでよく出てくる。軍隊用語らしく、手元の辞書にもないので、
砲手や艦砲の意味で意訳していたが、ここではモタナ族の生体巡洋艦艦隊の
こと。)
そして、これらの船のうち498隻は
サイバー・ニュートロニクスを搭載していた。対生体巡洋艦用に開発された
兵器であるがタイタンに対しても有効であった。
戦況は一変したが、死神艦隊もまたサイバー・ニュートロニクスで
戦闘不能に置かれていた。キブ・タイタン側はさしあたり全艦が戦闘に
介入し、攻撃目標をモタナ部隊に定めた。戦況の振り子はまた変わった。
全てが手遅れであった。確かに、テラナーは20隻のタイタンの破壊に成功したが、
モタナ艦隊の殆ど80パーセントが無慈悲に殺戮され、その割合はテラ艦隊よりも
大きかった。
しかし、テラのヴェスビオス火山近くでは、そこに集結した細胞活性装置
保持者達が2基のクラカトア地底探査機を爆破しようと決心していた。
ナポリ上空のキブ・タイタンがその場所を変えた後に。
そして、2基の探査機は火口周りの大地に大災害をもたらした。
この破壊的状況下に、グッキーとイホ・トロトは再び水晶柱中継器に
乗り込み、ゴン・オルボンをサトルガーの手から開放しようとした。
強力なハルト人は水晶片に入り守護者を水晶柱から救い出した。
グッキーは他の二人と共に隠れ家としている貯蔵ホールにテレポート
で戻った。
ゴン・オルボンが再び意識を取り戻した時、始めは何をするにも
弱体化し過ぎていた。彼は自分が今までに行ってきた全てを
憶えていて、何とか助けたいと思ったが体力が衰え過ぎていた。
その間、宇宙では地獄が支配していた。
<フランシスコ・ド・オレリャ−ナ>はエンジンを予備と交換し、逃走するのでは
なく、戦場に駆け戻った。そこで、かすり傷の一撃を受け、殆ど全壊した。
少し後に、船は爆発した。
ペリー・ローダンが殺戮に恐れて撤退を命じようとしたとき、
理解できないことが起こった。タイタンがお互いを砲撃し自滅しはじめた
のだ。
救済をもたらしたアイデアはゴン・オルボンによるものであった。
この時彼はグッキーに頼んで彼のためのプシエネルギー発生機の
役割を果たしてもらっていた。こうして、ゴン・オルボンは今ひとたび
戦闘の帰趨を変えることができた。彼はキブ・タイタンに影響力を
及ぼし、それゆえ巨船は互いに破壊しあったのだ。
(訳注:かつての守護者のメンタル・ディスロケーター能力により
破壊されなかった巨船は僅かに8隻であった。乗員はサルガトールの
呪縛から開放され、全面降伏した。)
この間、ホーマー・G・アダムスはナポリの緊急脱出計画を
開始するのに成功し、最小限の人のみが噴火で死亡しただけであった。
戦闘には勝利したが、勝者はそれにもかかわらず敗者でもあった。
あまりにも多くの人々がソル系を救うために命を落とした。
全部で412隻の発見者級戦艦、11866隻のLFT-BOXES、
4183隻の死神艦隊、そして<プラエトリア>の殆どが
破壊された。
ソルをめぐる戦いに勝利した後。人類は平静を取り戻し、最近の
事件の後処理を始めた。新銀河歴1333年5月28日、太陽系議会の
最初の会合が太陽系政庁で準備されていた。そこで、ペリー・ローダンは
マウレンティ・カーティス、ゴン・オルボン、そしてテラにいる他の
不死者たちと、さしあたっての未来についての計画をたてるために会談した。
アトランはさしあたり地球を離れ、ゼフィーダと共にジャモンディに向かう
ことを決意した。かつての守護者は彼らに同行し、元のハイパー繭内の
事態の処理で援助し、彼のモラルの負債の一部を償いたいと言った。
(訳注:旧友のショズ人、ロルケーテもソル攻防戦に参加していたが、
やはりジャモンディ星団に帰還したらしい。)
ローダンの他にレジナルド・ブル、ジュリアン・テイフラー、
ホーマー・G・アダムス、イホ・トロト、そしてグッキーは
テラに留まり、再建作業を指導することになった。
同じ頃、カンティランとマル・デタイルはパーラクで救助を
待っていた。彼らはそこで難破していたのだ。彼らが来るときに使った
キブ・ラムスは破壊されていた。そのため、彼らの出来ることは、
助けを待ちつつ、発狂したノクターン柱の活動を観察する事だけであった。
それはゆっくりと死につつある様に見えた。
水晶内部の輝く光のショーはメンタル圧力と共にこの数日で減少していった。
しかし、その時、彼ら二人は雲の様な存在が水晶柱の上から降下する様子
を目撃した。それは兄弟であるサトルガーを治療しにパーラクにやってきた
灰色の領主ことカ・タンであるとわかった。
(訳注:ストロウワン戦争末期、「それ」が用いたノクターン柱
アンタリンは大破し、バイカル・ケインの泡オパールに変容したが、
その時虚空に四散したアンタリンの精神こそが、カ・タンの正体
であったのか?2273話の訳注も参照。)
二つの存在の融合は
一時的に強力なメンタル圧力を生み出し、
マルとカンティランを意識不明にした。
彼らが眼を覚ましたとき、メンタル圧力が完全に無くなっているのを
感じた。融合は見たところ成功したようであった。新しいサトルガーは
平和と平静の波動を発した。
新銀河歴1333年6月2日、
ダン・ジャモンディ第二惑星で重大な集会が開かれた。始めに、
ゼフィーダがロガン聖堂の前の1万人のモタナ族の前に進み出た。
(訳注:会合にはキブ一族や海の賢者ことショタ・マガテ族も
参加していたらしい。)
彼女は短いスピーチにとどめ、ゴン・オルボンに演壇を譲った。
かつての守護者は彼の生涯、失敗、そしてゴン・Oという
存在としての時代についての冷酷な報告を行った。報告の最後で、
彼は聴衆に許しを願った。
モタナ族は彼を許し、許しの歌(Choral of Forgiveness)を歌った。
歌が終わった後、6人の歩哨が彼を取り囲み、パラゴンの十字架を
呼び出して彼を守護者として再度認めた。
その後、新しい守護者はモタナ族とキブとの間に数多くの会合を
セットした。和解への道筋を明らかにするためには、まだ多くの
不和や誤解があったが、平和共存への基盤は築かれた。
同じ頃、テラでは人質事件が起こっていた。そこでは、
200歳のニール・オニール(Neal O'Neil)が自身の曾々々孫を人質に
し、ペリー・ローダンとの会見を要求したのだ。不死者はモンドラ・
ダイアモンドと現場にやってきて老人によって出された質問、
彼が今日まで人類のために成し遂げたこと、について回答せねば
ならなかった。
この老人によってペリーは彼と人類が過去200年間に体験した事を
考えさせられた。男たちや女たちや子供たち(彼自身の子供も含めて)が殺された
何重ものメンタル的及び物質的侵略からシミュセンス(Simusense)中毒やゴエッダの
サークル狂(circle mania of Goedda)にいたるまで。
ローダンはその哲学的意義を瞑想することが出来るだけであったが、
彼の回答は老人を満足させ、彼は人質を開放した。
新銀河歴1333年6月6日、ゴン・オルボンは、カリヤ・アンダクシと
守護団の将来について話すため、
グラウギシュトに到着した。
彼女は大洋底の神秘的な水門まで案内して彼を仰天させた。
そのいくつかは直径30キロメーターもあった。内部に彼女は
守護者の箱舟を隠していた。これを彼女は随分昔に建造させていたのだ。
直径25キロメートル、高さ50キロメートルの楕円体の宇宙巨船が5000隻。
二人はハイパー繭の種族を召喚し、この箱舟で天の河銀河を離れて
アハンダバを求める旅にでることを決心した。
(訳注:このあたりのストーリー展開は正直、一寸理解できない。
建前上の理由としては、現実時間で700万年も経った現代に
ジャモンディの守護団の居場所がないこと、
ハンガイ銀河に負の球体の誕生の危機が迫っていること等から
伝説の地アハンダバに行こうということらしい。
ただ、在来の宇宙航行手段ではけっしてたどりつけない楽園
ではなかったのか?)
新銀河歴1333年12月5日、二人の守護者はペリー・ローダンとの
会談の希望を伝えた。彼が到着したとき、二人は自分たちの意図を伝え
テラナーにも同行を申し出たが、ローダンは断った。テラナーは
故郷を見捨てるつもりはなかった。
新銀河歴1333年12月6日、パーラク上でカンティランはノクターン柱の所に
行き、再びポジティブな放射を発する新しい存在に、テレメ(Thereme)の
像を再び見せてくれる様に頼んだ。新しい存在はこの要求を拒否した。その
後の会話を通し、カンティランは新しい友人をサトルガーに見いだした。
新銀河歴1334年8月3日、タン・ジャモンディ第二惑星で、アハンダバに向かう
旅に出発する巨大キャラバンの準備についての会議にゼフィーダが参加したとき、
カロン星団(Charon Cloud)について話が及んだ。天の河銀河中枢部の小星団で
未だ何人たりとも足を踏み入れたことがないという。
何れにせよ、事は守護団に好意的でハイパー繭に閉じ込められていた
36星団の人々に関することであるので、守護者達はこの宙域を、全種族を
旅に参加させるという努力において無視した。しかし、
ゼフィーダはこの宙域について何かまだ語られていない事が
あるような感じを拭えなかった。
新銀河歴1335年10月10日、タン・ジャモンディ星系でキャラバンは
まさに出発しようとしていた。アトランとゼフィーダはこれを
最後にと会見した。アトランは彼女に残るように頼み、ゼフィーダは
彼に一緒に出発することを頼んだが、二人の義務感はどちらが折れる
ことも許さなかった。そのため、アトランは留まり、恒星女王は
旅立つことになった。
5000隻の守護者の箱舟、12万隻の生体巡洋艦隊、そしてパーラク系にの
こった6隻のキブ・タイタンは
6人の歩哨、永遠の庭師オリエン・アラール、古代大樹、そして
パラゴンの十字架と共に出発した。
新銀河歴1336年2月20日、カンティランとマルはまだパーラクで平和に
暮らしていた。ここはその間にグラドの支配地となっていた。
カンティランとマルは動物病院で働いていた。ローダンの息子は
毎日、水晶柱を訪問していた。
それは彼に守護者のキャラバン船団上で起こっている出来事を
見せてくれた。
新銀河歴1336年10月20日、彼らが「それ」の勢力範囲(thickness concentration)
の境界に達したとき、パラゴンの十字架は自分の船室にいる恒星女王を
訪問し、彼女が何かに選ばれたことを伝えた。「それ」の
力の球形体(sphere of power)を離れることで、パラゴンの十字架の
仕事は、超知性体の一部としての存在と同様に終わりを迎える。
それゆえ、ゼフィーダを大宇宙の新しい錨(anchor)として選んだのだ。
と言うのは、十字架がコリデックの蝶(Koridecc butterfly)に変身
するためにはこの手がかりが必要なのだ。蝶はまだ守護者を
任命することが出来た。実際、その少し後にゼフィーダが
守護者となった。
新銀河歴1337年7月16日、サトルガーはカンティランにキャラバンとの
コンタクトが絶えた事を伝えた。丁度、ゼフィーダが
ダルケム(Dalkem)という名の若いモタナと恋に落ちた様子を
カンティランが見ていたときに。
そして、サトルガーはカンティランにパーラクでの若者の
時間が終わった事を知らせた。なぜなら、ある訪問者が
彼に会いに来ているから。カンティランは水晶柱を離れたとき
1隻の宇宙船の着陸を目撃した。それはパーラクに
着陸した平和ドライバー(peace drivers)の船で、のっぺりした
プラスティックの仮面を付けた人物がそこにいた。
彼がカンティランの前に進み出て、最初に話したのは「
私はアラスカ・シェーデレア」であった。
(訳注:平和ドライバーとはルーカスが書いた2238話で
<トラヤヌス>の初飛行中のダントンが初めてその
メンバーに出会っている。
いかにもこのまま話が新展開を迎える様な書きぶりであるが、
アラスカとカンティランが再登場するのは新人作家マイケル・
マーカス・ターナーの2332話を待たなければならない。一応、
2300ー2499?のラージサイクルのタイトルが平和ドライバーなので
こういう終わり方なのだろうが、
一寸もったい付けしすぎでは・・・)
2296 - フーカインの地獄で
In der Hlle von Whocain
In the Hell of Whocain
Leo Lukas
Cedric Beust英訳(2005-10-30)
2297 - 蓄電聖堂
Unter dem Kondensator-Dom
Under the Condenser Cathedral
Leo Lukas
Jerry Schneiderman英訳(2005-10-30)
2298 - 死者からの報告
Bericht eines Toten
Report From the Dead
Uwe Anton
Jerry Schneiderman英訳(2005-10-30)
2299 - アハンダバ
Ahandaba
Ahandaba
Uwe Anton
Jerry Schneiderman英訳(2005-10-30)