[Cycle 27] NGZ1288-1289 | 1800-1874 | Die Tolkander トルカンダー
1810 - キャメロットへの道 Der Weg nach Camelot
The Path To Camelot
Arndt Ellmer
Jerry Schneiderman英訳(2007-01-21)
クメログとブルーノ・ドレンダーバウムはスペースジェットで、 ベデン(Bedden)星系に到着した。 彼らはスプリンガーのエンゲレグ(Engereg)と対面した。 彼は今なおドレンダーバウムに好意を持っていた。 彼の助けで、二人の亡命者は<バジス>船上のリクルート オフィスを使い、細胞活性装置保持者達の秘密惑星に 辿り着こうとしていた。 エンゲレクは<バジス>の4部門の責任者の一人で、 船上のアドベンチャー体験世界に責任を持っていた。 他の部門の責任者はエルトルス人のルックス・アスバスタ( Rukkus Albasta)(セキュリティ担当)と二人のテラナー、 エレモレ・ブリクセン(Eleonore Bricksen)(カジノ担当)と ウイリアム・クリムソン(William Crimson)(販売及び接客担当) であった。これら4人は神秘的な支配人にのみ従属していた。
(訳注: ベデン星系第三惑星シュティフターマンIIIは 新銀河暦以前からの歴史をもつ、かつての艦隊拠点で、 いまはLFTにも加盟せず、さまざまな勢力の空白地帯にあった。 そして、その衛星軌道には巨大な建造物<バジス>が、 廃艦後民間に払い下げられ、一大歓楽センターとしてめぐっていた。 有能な人材を徴用するために銀河系内各地に設置されたキャメロットの 「ビューロー」のひとつが、ここ<バジス>に存在した。 「ビューロー」のどれもが巧妙に偽装されてはいたが、 キストロ・カンの補佐官であるドレンダーバウムは、 TLDが突きとめたキャメロット運動の拠点すべてを諳じていた。 一方、<プリティ・プレイド>の残骸を調査したTLDは、 クメログと「人質」ドレンダーバウムが爆発前に商船を脱出していた 事実をつかんでいた。しかし、この星のジャングルでかれらの消息を つかむのは不可能であった。かれらはクメログの目標が キャメロットであることすら予想していなかった。)
新銀河歴1288年12月1日、スペースジェットは<ゴルディガル(GORDIGAL)>という 偽名でスティファーマン第3惑星の近くの<バジス>に到着した。 ドレンダーバウムはジェローム・ブロッパー(Jerme Bhloppar)と 自称し、彼にまとわりついている皮とクメログの異常な外観を 以下のように説明した。彼らは、おそらくキャメロットの工作員が 彼とカントレル人に感染させた病気の犠牲になっている。そのため、 必要な治療を受けるため不死者達の惑星に行かねばならない、と。 (訳注:スプリンガーのエンゲレグは、 ミマスでの事件すべてが極秘任務のための擬装だとの 旧知であるドレンダーバウムの偽りの説明を受けいれた。)
<バジス>での滞在中、船のアドベンチャー体験世界で未知の暗殺者 による発病した(carious)客のグループに対する攻撃がくりかえされた。 この暗殺者は新銀河歴1277年に既に死んだはずのボーソレイユのメンバーの ジーン・マイケル・デ・ヴェルト・ラ・ペティトを名乗った。 彼は施政者たちが<バジス>を罪深いお針子(sewer?)の手に 渡したという事実で自らの行為を正当化した。エルトルス人アスバスタ がパラトロン泡で最後に暗殺者を捕らえることに成功した時、 それは死んだ男の形成エネルギーのイミテーションで あったことが分かり、その直後分解してしまった。この「<バジス> の幽霊」はボーソレイユの長時間シントロニクスプログラムで あったと一般に信じられている。 (訳注:この辺りのエピソードは惑星小説410巻と関連が あるのか?)
ドレンダーバウムがクメログの皮からカントレル人の歴史について 学んでいるうちに、新銀河歴1288年12月20日、テラナーの アンドール・フェルシュ(Andor Felsch)とサイモン・ダリー(Simon Dury) は加入試験に合格し、リクルートオフィスの支配人オーラフ・グリンジェン( Olaf Grindgen)からキャメロットへの通行チップを受け取っていた。 エンゲレクはこのチップを盗みクメログとドレンダーバウムの個人データに 再プログラミングすることを請け負った。そこでカントレル人は 関連する全ての人々(訳注:グリンジェンやエンゲレグ)を 爆弾で殺してから、彼とドレンダーバウムは 自分たちのスペースジェットで<バジス>を離れた。 この「事件」の背後には幽霊ジーン・マイケル・デ・ヴェルト・ラ・ペティトが いると信じこまされたため、誰も深くは追求しなかった。 (訳注: すべてがブレーンデルから来た魔人による死と破壊のシュプールであることに、 いまはまだ誰ひとりとして気づいてはいなかったのだ。)
数日前に遡って、グッキーは彼のギルガメッシュモジュール<トラムプ>の ヴェスタ級巡洋艦<TVKー1>でトレザン(Treezan)星系にいた。 彼はタングル・スキャンに襲われた 第5惑星ザハン(Zahan)、ブルー人のアパソク族の植民惑星、 を調査中に1隻の450メートル級ハリネズミ船を観測した。 フォーラム・ラグルンドの5隻の円盤船が侵略者を撃退しようと したとき、ハリネズミ船団の戦闘部隊が出現し、防衛側の2隻が 破壊された。残りの3隻は逃走した。<TVK-1>も撤退し、 赤色巨星ザストラ(Zustra)に飛んだ。そこには<ギルガメッシュ> が待っていた。
新銀河歴1288年12月15日、<リコ>はハリネズミ船の破片と共に <ギルガメッシュ>に到着した。 マイルズ・カンターは自分のモジュール<エンザ(ENZA)> からその船の調査を始めた。難破船はコンパクトな金属ロープの ネットワークと見当もつかないジェネレーターの集合体 で満たされていた。 しかし、カンターはこれらの装置全てがタングル・スキャンの発生に 使われるもので、明らかに乗員によって破壊されていることを 発見した。船の後部で科学者達は異常な放射を見つけた。それは 一つのモジュールから発せられていた。彼らは一度は失敗したものの モジュールを開けるのに成功した。そこには5x3メートルの長方形の 物体が10個入っていた。彼らがこの物体に気が付いたとき、 その長方形は超空間インパルスを送り出した。その直後、 600メートル級ハリネズミ船が100隻あらわれ、<ギルガメッシュ> は撤退した。
数日後、手に入れられた情報が評価された。450メートル級ハリネズミ船は 調査探究船であることが確かめられた。 その任務は天の河の状況だけではなく、太陽系や惑星についての 情報、質量や貴金属埋蔵量などを集めることであった。 しかし、ギャラクティカム(Galactics)自身やその精神が彼らにとって 特に興味あるデータであったようだ。 明らかに、異人は天の河の全ての知的生命に対する事前走査によって、 彼らにとって特に重要なある種の特性を見つけることが出来たらしい。 それはある種のUBSEF定数と関連のある何かであろうと 理論付けられた。
新銀河歴1288年12月22日、<ギルガメッシュ>はキャメロットへの 帰還飛行を開始したが、アトランはヴェスタ級巡洋艦に乗り、 ヒューマニドローム(Humanidrom)に向かった。彼は ギャラクティカム(Galactics)を動かして侵略者にあたろうと したのだ。
1811 - ギャラクティカーの会合 Konferenz der Galaktiker
Conference of the Galactics
H.G. Francis
Jerry Schneiderman英訳(2007-01-21)
あらゆる予防措置がとられたにもかかわらず、 テラの植民惑星ラヴォレ(Lavorre)はハリネズミ船団に 占領された。これにより未知の侵入者の危険性が 明らかになったので、第一テラナーのパオラ・ダシュマガンは LFT内部に戒厳令をひくためテラニアで危機対策会議の 召集を行った。
その間、新銀河歴1288年12月23日、フェロルがハリネズミ船団に 襲われた。これは、ギャラクティウムの中心惑星の一つへの 最初の攻撃であった。攻撃は爆発する研究センターの形を とり、政治的にきわどい事件であった。このセンターでは 危険な毒を用いた研究が行われていた。第一テラナーがかつて ある科学データの提供を拒んだため、この研究はフェロン人 達は必要と考えていたのだ。そのため、ハリネズミ船団危機に関する ヒューマニドロムでの銀河会議に派遣された代表団員である フェロン人、ケンディックス(Kendix)は パオラ・ダシュマガン個人がこの事件の責任者であると 考えていた。
アルコン人のティッサク家のヴォゲ(Voge von Tissaque)は細胞活性装置 保持者たちに底知れない敵意を抱いていた。なぜなら、彼らは 細胞活性チップによって病気から殆ど完全に守られているのに、 彼の最愛の妹アリシャ(Alyschja)は致命的な感染症を被らねば ならなかったからだ。彼は、39隻の僚船と共にアラクアムッペ(Araaquammpe) 星系のウニト人植民惑星コロノ(Corono)に向かうフォーラム・ ラグルンドの円盤船に 乗船したとき、この機会を使ってタングル放射を伴う攻撃の背後には 不死者たちがいるという噂を広めた。 コロノはハリネズミ船団の脅威を受け、船団は簡単に破壊された。 ティッサク家のヴォゲとアリシャだけが小型船で破滅を逃れること ができた。
小型船で兄妹は惑星ヴォナ(Vona)に辿り着いた。ここは水晶帝国に 属していた。彼らは銀河会議のアルコン代表団の代表、 アタラヤ家のロソム(Rossom von Atalaya)に出会った。彼は アリシャが病気の治療を受けられるように取り計らった。 しかし、見返りとしてロソムはヴォゲにアトランの命を狙う 暗殺計画の実行を求めた。彼はこれを受け入れ、外科的に 右手の義手を取り付けた。
ついに新銀河歴1288年12月27日、ヒューマニドロムの会議が始まった。 ギャラクティウムの間のほころびは非常に深く、相互告発と絶え間ない不信感 という形であらわれた様であった。 アルコン使節団は有罪を宣告されたテロリストであるアリガ家のヘルモンが アトランの随行団にいることを侮辱と感じていた。 アトランはハリネズミ船の破片の調査から得られた情報をさっさと報告し 危機を前にギャラクティカムの協力を呼びかけようとしたが、会議は ある事件によって混乱した。フェロン人ケンディックスは パオラ・ダシュマガンを公衆の面前でスプレーをかけて侮辱しようと したが、意図に反して染料はアタラヤ家のロソムに当たった。 これにより会議は混乱をきたした。 興奮の最中、ティッサク家のヴォゲは暗殺計画を実行しようとしたが、 射殺された。他の参加者と共にアルコン使節団が会議を退席したため、 会議は決裂して失敗に終わった。 (訳注: 水晶帝国の銀河評議員アタラヤのロソムを長とするアルコン使節団は、 いっさいの協力をこばみヒューマニドロームを後にしたが、 TLDのつかんだ状況証拠は、すべてがロソムこそ陰謀の首謀者であることを 指し示していた。 銀河随一の大国に成長したアルコンとの協調なくして、 ギャラクティカムの統合はありえない。)
その間、天の河のハローに繋がる辺境、ヒューマニドロームから5400光年かなた、では LFTのパトロール船が1万隻のハリネズミ船の到着を観測していた。3隻の パトロール船のうちハリネズミ船団の前から超空間に逃走出来たのは <エンデバー(ENDEAVOR)>だけであった。 (訳注:タングラー船団が到着したのは、 テラから1万6000光年の距離にある球状星団きょしちょう座47で、 総数は達していたらしい。)
1812 - キャメロット Camelot
Camelot
Ernst Vlcek
Jerry Schneiderman英訳(2007-04-01)
通行証のおかげで、クメログとブルノ・ドレンダーバウムは 外見上は破損したステーション要塞オリオン738に到着した。 新銀河歴1144年、このステーションはガルブレイス・デイトンと ロムルス(Romulus)、別名ホーマー・G・アダムス、抵抗運動 アリエス(ARIES)の指導者、の会見場所となっていた。 彼らはここでアンドロイドのケロム(Kerom)に迎えられた。アンドロイドは 彼らをキャメロットに連れていく手筈になっていた。 しかし、彼らの欺瞞がばれたとき、クメログはアンドロイドを 射殺し、自己破壊機構の発動を防いだ。 そして彼はケロムの残骸からキャメロットの座標を引き出した。 (訳注:キャメロットの秘密連絡基地は爆発、消滅した。 しかし、それに大きな関心を寄せたものはいなかった。) そこに到着したとき、カントール人はスペースジェットを 墜落させた。これにより宇宙船は文字通り原子にかえった。 二人の予測された新参者、アンドール・フェルシュと サイモン・ダリーは、クメログとドレンダーバウムが とって変わっていたのだが、アンドロイドもろとも 墜落で死んだと考えられた。
キャメロットとは、かつての自由商人(Free Trader)の惑星 フェニックス(Phoenix)であることがわかった。 これは天の河のハロー(halo、周囲)にある球状星団M-30に 属する恒星セレス(Ceres)の第二惑星であった。 (訳注:ここでいう自由商人はドラン危機ごろに皇帝ポシェックが 支配し、のちにアーガイリスが引き継いだ自由商人とは直接の 関係はない。カンターロ支配の時代、 セレス星系の2つの月をもつ惑星は、支配者に抵抗する人々が集う世界であった。 ロワ・ダントンとロナルド・テケナーのもと「自由商人」を称したかれらは、 灰の中から蘇る、永遠の生命の象徴という太古の神話にならって、 その惑星をフェニックスと呼んでいた。 モノスが失脚し、銀河系を包むクロノパルス・ウォールが消滅するとともに、 自由のために戦った闘士たちはそれぞれの道を行き、これまで フェニックスはうち捨てられた。) 惑星は8基の軌道ステーションに囲まれ、 発見されそうな場合にはセレスや星系の他の惑星の 一つに対探知防御を施すことができた。 首都は南大陸オフェイル(Ophir)のポート・アーサー(Port Arthur)。 人口は50万人で、隣接した宇宙空港、造船設備、ドックI〜IVと 区別された4カ所の宇宙サービスステーション とは緑地帯で分けられていた。 市の中心がキャメロット本部で、へりの長さ1キロメートルを 越える17層のピラミッドの形に建設されていた。
<ギルガメッシュ>が捕獲したハリネズミ船と共にキャメロットに 到着した時、ローダンのギルガメッシュモジュール<モルガ(MOORGA)> の司令、グレゴール・ミネオ(Gregor Mineo)はトロカンで行方を絶った 3人の細胞活性装置保持者の探索に出発することを願い出た。 マイルズ・カンターはこれを拒否し、ハリネズミ船の調査をドックII で開始するように命じた。 (訳注:重要部分が完膚なきまでに破壊されていたため、 成果は望めそうになかった。)
シガ星人デービッド・ゴルガー(David Golgar)はシガの他の人々と共に 新銀河歴1225年に移住していた。彼は残骸の後部にある封印された 方形の機械ブロックに侵入を試みた。 ごく僅か供給されていたエネルギーのため、ゴルガーは 意図せずして核火災を引き起こしてしまった。火災は すぐにドックII全体を覆い尽くした。(訳注:これは 駆動機関にしかけられた時限爆弾のためか?) ホーマー・G・アダムスのギルガメッシュモジュール、 ロストック(ROSTOCK)が折よくキャメロットに帰還した。 ロストックは核火災が更に燃え広がる前に、ドックと 近くの田舎全体を超空間に投棄することができた。 4名が核火災で命を落とした。その中には キルス・モーガン(Cyrus Morgan)、かつての<バジス>の 主席科学者も含まれていた。
ハリネズミ船で以前に採取された細胞組織を使って、異星医師の アレフ・ロイダン(Arfe Loidan)は未知の侵略者の遺伝子を復元した。 彼らの外観は巨大な蛇でヴァイパライド(Viperides)と命名された。 彼らの体長はおよそ2メートルで終わりは厚い切り株の様、触手状の 6つの手足を持つ。1対の脚、1対の行動腕、そして1対の第二腕。 1メートル半の行動腕には特に動きやすく敏感な吸盤が並んでいるが、 短い第二腕は栄養吸収と身体のケアにのみ使われる。 全身は小さな鱗で覆われており、動く度に虹色の微光を放つ。 さらに、鱗は骨格のない生物にとってのフレキシブルな外骨格 としての役割もはたす。 くさび形の頭部のみ軟骨構造を持っていた。 ヴァイパライドは歯のないあごを持ち、3センチのはり毛で 半円状に覆われている。 眼は黄色で虹彩はない。ロイダンは 異人が特徴的な性徴を持たず、生殖能力がないことも 発見した。にもかかわらず、彼らは試験官培養されたものでも クローンでもなく、なにか自然な方法で発生したようであった。 (訳注: しかし、ここまでの調査にもかかわらず、 蛇から進化したこの種族が、 まるで姿を他者に見せることが禁じられてでもいるかのように、 徹底的な集団自殺を敢行したのか、その手がかりは得られなかった。)
キャメロットに到着した直後、アトランは スペースジェットの墜落と、新入りの フェルシュとダリーがアンドロイドのケロム と共におそらくは死亡したことを知らされた。 彼らの利用した<バジス>のリクルート事務所が 彼らの出発直後に破壊されたという事実のため、 アルコン人は猜疑的になり、墜落地点( 訳注:北のボニン大陸山岳部)をもっと 詳しく調べるように命じた。 その間、クメログは定期的な食事をとっているにもかかわらず、あくこと のない飢えを感じていた。彼と屈服させた捕虜のドレンダーバウムは、 セキュリティ技術専門家のドロシア・リンジェント(Dorothea Ringent) の高齢の父親と荒れ野に隠れていた。 この父親は今なお自由商人(Free Traders)と ドラキステ(Drakiste)の時代に生きていると空想していた。 (訳注: この半ば狂った男は、モノスの傀儡たるカンターロたちが、 自由の星フェニックスに侵攻してくる日をおそれながら恐怖の中に生きていた。 弱エンパシー能力を持つドレンダーバウムには、かれの心に沿った物語を演出するのは容易なことだった。) 父親を人質にしていたため、二人の逃亡者はドロシア・リンジェントを 脅迫し、二人の新入りの死の証拠を偽造させ、さらに キャメロットのセキュリティ配置についての文書をクメログに 提供させることが可能であった。 (訳注: クメログは彼女を強いて、墜落した連絡艇のデータを捏造させた。 搭乗していたふたりの新参者は死亡し、生体片だけが発見されたこととなった。 かれは欲した。莫大な情報。膨大な食糧。そして……。) 最後に、クメログは最適の行動方針と最大の望みが <ギルガメッシュ>を盗むことにあると決意した。
1813 - ブレーンデルの殺戮者 Die Mrder von Brhnder
The Murderers of Broehnder
Peter Griese
Jerry Schneiderman英訳(2007-06-12)
アラスカ・シェーデレアはカントレル人クメログの くさび形宇宙船<カント>でブレーンデル銀河の小惑星クリンカーに 到着した。 (訳注:小惑星クリンカーは、艦載コンピューターの ファゾルドックの放った認識信号に応答を返してきた。 殺戮者は、クメログの不在にもかかわらず、いまもなお存続していたのだ。 シェーデレアに憑依した皮の記憶が正しければ、 旧殺戮者の中核だった自らの意志を持たぬクメログの忠臣たちの 命数は、とうに尽きているはず。 ) ブレーンデルの殺戮者の本拠で彼は僅か4名のクメログの皮の憑依者 を発見する。 他の皮の憑依者が死に絶えたのに対して、クメログの 66年の不在を生き残ったのは、 ウナン=キュール(Unan-Kjur)族の科学者ヴァイクール(Vaikhuur、訳注: クメログの腹心)、ゼッテラン(Settheran、訳注: 三本腕の昆虫種族出身の整備関係の責任者)、 ブリッブ族(Blibb)のゴンゼロル(Gonzerol、訳注:小人の工学スペシャリスト)、 そして、カイデッセル(Kaydessel、訳注:ハルト人のミニチュアのような 殺戮者随一のパイロット)。 4人の奴隷は海賊の首領の不在の間にクメログを神のマスターとして 崇める宗教体制を作り出していた。 この宗教体制を使ってのみ、彼らはギャングのメンバーを皮なしで 支配することが可能であった。 (訳注: 66年前には10名余いた皮の憑依者も大半が鬼籍に入り、 それ以外の構成員はすべて死に絶えた。それでも、 現在も10数名のならず者がクリンカーに集まっていた。 かれらの行動原理は――殺し、奪い、破壊する。それだけだった。 ) 細胞活性装置保持者シェーデレアの帯びている皮が 他の皮の憑依者の物よりも若かった。 そのため、テラナーがブレーンデルの殺戮者の 新しい指導者になった。 (訳注: シェーデレーアの皮は、クメログが<カント>で バオリン=ヌダの武器庫へと出発する直前に脱皮したもので、 一番上位に位置する。 そのため、この場で命令をくだす権限はかれにある。 他の皮を帯びし者たちがあからさまな不信の目をもって、 突如としてクメログの指示を携えてあらわれた皮の憑依者 を迎えたのも当然のことだった。)
クメログの4人の生き残りの奴隷達はある薬液の力で寿命を延ばしていた。 彼らはこのホルモンをヴァルカッシュ(Varquasch)という名前の生物から 採取していた。かれはこの物質をストレスに満ちた状態で分泌するので、 皮の憑依者達は拷問と定期的な断食でストレスを与えつつけていた。 ヴァルカッシュは象に匹敵する大きさで、灰色の皮膚、2本の巨大な後ろ足、 2本の短い前腕を持っていた。腕のさきには繊細で物をつかむことの出来る 手があった。この生物の頭は1メートルの大きさの円錐形で クリーム色の毛皮に覆われていた。 眼は4つの切れ目状の鼻の背後にあり、黄色であった。 頭部の端に小さな口があった。 (訳注:原書表紙のイラストによれば、身体の割に 小さな頭部はアリクイを思わせる。) シェーデレアはこれが、海賊達が信じているような動物ではなく 知的生物であることを知った。彼はヴァルカッシュに密かに 食物を与え、薬剤治療を行った。 (訳注:クリンカー奥深く幽閉されていたヴァルカッシュは ブレーンデルの共用語ブレーンを解し、用いることができるほど高い知性を有する。 シェーデレーアは、いつかその幽囚の立場から解放することも約束した。 )
彼はバオリン・ヌダの武器庫で再びペリー・ローダンと レジナルド・ブルを見つけたいと思っていた。そこに戻るため 彼は海賊達にクメログの探索を始めるように命じた。当然これは カントレル人が姿を消した場所,武器庫,から始めるべきであると。 皮に同意を強いられて、ヴァイクール、ゼッテラン、ゴンゼロル、そして カイデッセルは従うより他はなかった。4人の皮の憑依者の他に 10人の海賊とヴァルカッシュもシェーデレアと共に<カント> に乗り込み21日の旅に出発した。 (訳注:クリンカーには維持のために最低限の人員を 残しただけであった。牢ごと乗船したヴァルカッシュに対して シェーデレーアは十分な好意を示すことは出来ない。なぜなら、 カイデッセルが現在のところ<カント>をあやつれる唯一のパイロット であるように、 武器庫へと入るためには皮の憑依者たちの協力が必要であろうから、 かれらの生存をおびやかすような行動はとれない。 つまり、ある程度の飢餓状態を保たねばならないことは、 ヴァルカッシュも理解してくれたらしい。)
道中、<カント>船上で神秘的な殺人が起こり、カイデッセル、ゴンゼロル、そして 9人の海賊が犠牲になった。 何れの場合も、死体は残忍に引き裂かれて、 殺人者は何ら手がかりを残していなかった。 (訳注: <カント>をあやつれる唯一のパイロット、カイデッセルは 肉体をずたずたにひきさかれて殺された。 殺戮者の中でも怪力で知られるマハムートもまた、同様の惨状で発見された。 他の乗組員で、これだけの凶行におよべるものは……存在しない。 2人の遺体を投棄するためでかけたホボンが犠牲になるにおよんで、 姿なき殺人鬼に対する恐怖は<カント>の空気を一変させた。 無法者たちは、自分たちが理不尽な凶行にさらされることに 馴れていなかったのだ。シェーデレーアは配下のものたちを食堂に集合させ、 最低2人1組で行動するよう厳命した。) シェーデレアは艦載コンピューターの助けを受けて未知の犯罪者を 捕らえようとした。コンピューターはクメログから ファゾルドック(Fasoldog)という不快な名称を付けられていた。 この名前はブリキ箱というような意味を持っていた。 コンピューターの本当の名前はドロタ(Dorota)で、144年前に 宇宙船共々、 カントレル人の手に落ちたとき、その潜在能力のかなりの部分は ブロックされたことがわかった。 (訳注:ドロタはゴンゼロルによって<カント>に設置されてはみたものの、 ブロックされた機能はついに回復しなかった。 クメログとゴンゼロルは当面できること以上を望まず、 ファゾルドックが管理するのは司令室近辺と駆動系をのぞけばごく一部だった。 ドロタ=ファゾルドックは、それでよしとしていた、 自らを盗んだものたちに協力したくもなかった。 「ファゾルドック」と呼ばれるたびに、 自らが悪用されていることを再確認していた。) ドロタは元々ブレンデールの遊牧民によって建造された。 ポジトロニクスとシントロニクス(Syntronic)の他に ヴェガオン素子(Vegaonic elements)も備えていた。 コンピューターはシェーデレアがクメログの皮に支配されていないこと に気付き、そのため彼の問題解決に全能力を提供したが、 海賊達には従順なファゾルドックの役割を演じ続けた。 (訳注:パイロットがいなくなったため、シェーデレアは ファゾルドックの教育プログラムによって、<カント>の操縦法を学ぶことにした。 この時、ファゾルドックが、シェーデレーアの秘密に気づき、 彼を自らを解放しうる存在と判断したのだ。)
(訳注:
シェーデレーアはドロタの訓練をパーフェクトに修了したころ、
最終チェックのため不用意にひとりで機関区を訪れたゴンゼロルは、
二度ともどらなかった。やがて、前の3人同様、微塵に裂かれた死体が発見される。
疑心暗鬼に陥ったヴァイクールとゼッテランは<カント>内の
ドロタの目のとどかぬエリアに姿をかくした。
そして、さらに2名が犠牲者となる。ふたりは武器を携行していた。
しかし、それを使う間もなく殺されていた。
シェーデレーアはヴァルカッシュのもとを訪れ、
昏々と眠る友が無事であることを確認した帰り道、
殺戮者のひとりギールサゲが錯乱し、銃を乱射しながら通廊を走り去るのを目撃する。
ギールサゲを追っていたツメドとともに通路の角を曲がり……ふたりは、
虐殺の後をみつけた。わずか一瞬の間のできごとだった。
この間、ドロタは、シミュレーションの結論として、犯人が
数体に分裂できる小型ロボットという仮説を出した。
<カント>には、ファゾルドック=ドロタの管理外にある領域が無数にある。
そのどこかにあった殺人ロボットが、なんらかの原因で起動したということは、
大いに考えられる。
ヴァルカッシュの檻のそばにある延命薬精製器のところで再会したヴァイクールも、
おなじ考えに達していた。ただ、ウナン=キュールの科学者は、
その殺人マシーンを起動したのがシェーデレーアであると疑っていた。
2名の皮の憑依者と妥協して戻ったテラナーは、
さらにふたりの殺戮者が死亡したことを知らされる。
犠牲者は食堂で不寝番をしていた当人たちだった。
このことから、
犯行者は、どうやら空調設備や整備通路などを通って《カント》内部を自在に移動しているごく小さな存在らしい。小型ロボットという仮説が現実味をおびた。
もはや生存者は、ヴァルカッシュを数に入れてわずか7人に減っていた。
<カント>がバオリン=ヌダの武器庫へと最後の超光速航程を
終えるまでにさらなる2名の犠牲者を生んだ。
)
ようやく<カント>は武器庫のあるとおぼしき宙域に到着した。しかし、 クメログのパッサンティウム(Passantum)がないので、ステーションが 見つかるまで時間を要した。何故ならば、それは1光年以内からの 5次元信号によってのみ探知可能だからである。武器庫に到着したが、 一行はステーションに入るすべがないことを発見した。 (訳注:かつてクメログのみつけたフォームエネルギーの エアロックを発見することができなかった。 無線でのコンタクトに応答はなく、分子破壊砲の点射によっても何の効果もない。) 彼らが空しく解決法を探っている間に、シェーデレアは偶然に艦載コンピューター をドロタと呼んでしまった。 そのため、ヴァイクールはかつての仮面の男の演じていたゲームに気がつき、 ゼッテランと共に彼を攻撃した。しかし、彼らがアラスカに手を出す前に ヴァルカッシュに驚くほど生き写しの5体の小生物に攻撃され殺された。 (訳注: 隣室に通じる扉から飛びこんできた5つの60センチほどの影は、 稲妻のようなすばやさでヴァイクールとゼッテランにとびつき、 息の根をとめ、するどい爪がふたりをひきさいた。 最後に残った殺戮者ツメドが恐怖の叫びをあげて部屋を逃げだした。 シェーデレーアは5つの小殺戮者たちに見おぼえがあり、 逃げることができなかった。 灰色の肌。クリーム色の毛皮に覆われた頭部。黄色い眼。 ) これらの生物は雌雄同体生物であるヴァルカッシュの子孫だと わかった。彼は子孫たちを体の袋の中に隠していたのだ。 これらの幼獣たちが武器庫への飛行中の殺人の犯人でもあった。 小人の海賊ツメド(Tumed)だけが生き残った。 (訳注: 主通廊をゆっくりと駆けていく小殺戮者の後追ったシェーデレーアは、 ヴァルカッシュの檻のある格納庫で、 小殺戮者たちがヴァルカッシュの胸の亀裂へと姿を消すのを見た。 ブレーンデルの殺戮者たちは、ヴァルカッシュが子を孕んでいることを知らなかった。 また、出産に必要なエネルギーを得ることを、かれらは許さなかったが、 シェーデレーアのおかげで、ヴァルカッシュは充分な食糧と休息を得ることができた。 未熟な胎児たちは、いまだ自我も発達していなかったが、 ヴァルカッシュの命令にしたがって、親をその悲惨な境遇から介抱するに足る能力を 持っていたのだ。 ヴァルカッシュは「正当防衛」を主張し、釈然としないものを残しながらも、 シェーデレーアはその行為を黙認することに決めた。 ) 手持ちの手段では武器庫に入ることが出来ないため、シェーデレアと ドロタはクメログとトレゴン(Thoregon)の第4使徒(Fourth Envoy)が 66年前に出会った場所に向かうことにした。 (訳注: ドロタには、66年前クメログが武器庫を訪れるきっかけとなったできごとの 起きた場所が記憶されていた。 トレゴンの第四使徒の船。正確には、その残骸の座標が。 残骸がまだそこにあるかすらさだかでないが、 シェーデレーアにとってほかに道はなかった。 <カント>はブレーンデルにむけて、ふたたび200万光年の道程についた。 )
その間、ペリー・ローダンとレジナルド・ブルがアラスカ・シェ−デレアを 見失ってから4日が経っていた。彼はクメログのくさび形宇宙船で 飛びさってしまったのだ。二人は無限架橋を渡ってトロカンへのピルツドーム に戻ることを決心した。武器庫を離れる前に、彼らはアラスカに伝言を 残した。ピルツドームの直前でローダンは黒い卵型物体を発見した。 それはすぐに黒い腕輪に形を変えて彼の手首に巻き付いた。 彼は自らを架橋の新しい使徒と呼びかけるメンタルメッセージを 受け取った。(訳注: 「新たなる橋の往来者よ、歓迎する!」 という精神に響く声をたしかに聞いた。 そして、ローダンの脳裏に円蓋柱を超えた先の世界のありさまが映し出された。 テラナーは不思議な感覚を味わっていた。かつてトロカンで円蓋柱に触れたとき、 そして無限への架け橋を渡ったときにもおぼえた感覚。これは、かれのもの。 かれにさだめられたものなのだ。 この黒い腕輪こそ、かつてクメログが運んだトレゴン第四使徒の遺産、 パッサンタムであることを、かれはまだ知らない。) この直後、架橋は揺れ捩じれた様に思われた。 この幻が終わった時、ローダンは新しいブレスレットの 力で霧とピルツ・ドームを見、架橋が動いた事をさとった。なぜなら、 トロカンの代わりに太陽に照らされた平原が認められたから。 それにもかかわらず、ローダンとブルは調査のため ピルツドームに踏み込んだ。
1814 - ガローン人の星の下 Unter dem Galornenstern
Under Galorn's Star
Robert Feldhoff
Jerry Schneiderman英訳(2007-09-05)
無限架橋を渡りきった後、ペリー・ローダンとレジナルド・ブルは ピルツドームを離れ、生命のない冷たい岩だらけの砂漠に出現した。 遠くには高原がみとめられ、そこから切り株型の宇宙船が 発射されていた。 (訳注:ふたりの漂着者を待ち受けていたのは、 見渡すかぎり玄武岩に覆われた荒野で、ピルツドーム 以外、技術産物すら認められない。しかし、 不意に頭上に轟く機械音に空を見あげると、 親指を半ばで切断したような形の宇宙船が降下体制にあり、 荒野をかこむ絶壁のむこうへと消えていった。) 近くの環境を調査して、二人のテラナーは 結晶化した骸骨の様にみえる生物に遭遇した。 (訳注: 体長1メートルにも満たない(?)、しわくちゃの小人。 衣服は身につけておらず、はりだした大きな耳だけが印象に残った。)
その生物はフォレモン(Foremon)という名前を持ち、 ピルツドームの守護者であった。彼の仕事は ピルツドームの守護とそこからやってくる旅客を護衛して高原上の 都市ガーロ(Gaalo)への昇降機まで送る届けること。 フォレモンは身長1.60メートルのアルビノ(白子)であった。 鼻のない頭部は頭蓋骨を連想させ、眼は幅広い骨の膨らみで 守られていた。守護者は驚くほど大きな耳を持ち、これに より恒星ガローンの星(Galorn痴 Star)から太陽エネルギーを 吸収することができる。 ガローンの星はプランタグー(Plantagoo) 銀河内に位置していた。 この惑星はガローン(Galorn)と名付けられ、 フォレモンは何世紀もここのピルツドームを守っていた。 彼はモーフィング(Morphing)の能力を持っていた。 これを使って、彼は岩だらけの砂漠の玄武岩(basalt)を 思いのままに変形させることができた。(訳注: かれはバサルト・モルファーなのだ。) この能力を使って彼はいわゆるストーンチャイルド(stone child)、 野ウサギに似た身長およそ30センチの疑似生命体を生み出していた。 ピルツドームと無限架橋を利用する旅人は あまたの銀河に平和を打ち立てる責任を担った 人々であるとフォレオンは確信していた。彼の視点からすると、 歴史の進展はこれらの称賛すべき人々の肩にかかっているのだ。 彼はトレゴン(Thoregon)の第二使徒、トー・ゲテン(To Gethen) と、彼の後継者ケ・リオトン(Ce Rhioton)を特に敬っていた。 (訳注: フォレモンは、ここでピルツドームを見張るより以前の記憶を持たない。 かれはトー・ゲテンによって、この惑星に連れてこられ、ふたりの第二使徒から 多くのことを学んだ。ピルツドームについて。無限への架け橋と、その結ぶ世界について。そして、使徒たちの持つパッサンタムについて。 )
二人の細胞活性装置保持者とフォレモンの間の会話は実現しなかった。 なぜなら、守護者はローダンの腕にトレゴンの第4使徒のパッサンティウム を認めたとき、彼はテラナー二人がブレスレットを手にいれるため、 使徒を殺したのだと推察した。 (訳注: たったいま円蓋柱から出現した異人のひとりは、パッサンタムを身につけていた。 だが、彼はそれを帯びる有資格者――すなわちトレゴンの使徒ではなかった。 彼を包むオーラは常ならざるものではあったが、使徒のそれではない。 トレゴンの使徒が望んでパッサンタムを手放すはずがない以上、 フォレモンはただひとつの結論にたどりつかざるを得なかった。 この異人が、消息不明のトレゴン第四使徒を殺害した存在である、と。 円蓋柱を監視する以外に、資格を持たぬ闖入者を排除することも 任務の一部だとフォレモンは考えている。 しかし、以前、その事実を知ったトー・ゲテンの悲しげな表情を見て以来、 みずからの能力の濫用はひかえていた。 玄武岩の「中」から異人たちを観察していたフォレモンは 初めて全能力を投入した。 ) それゆえ、フォレモンはピルツドームを玄武岩の壁で覆い、 ローダンとブルの逃走路をふさいだ。 二人の友人は大変な努力を払って玄武岩層を取り除こうとした。 しかし、フォレモンがすき間を直ちに埋めたため彼らのもくろみは 失敗した。
その後、守護者は二人の殺人容疑者を抹殺しようとした。 しかし、彼らはフォレモンの攻撃をかわし、 生成中のストーンチャイルドを破壊し、着陸する宇宙船を 目撃した山の方向に逃走した。(訳注: 周囲の玄武岩が、ふいにその形を変え、せまりはじめた。 ローダンとブルが、その襲撃を回避できたのはまったくの偶然。 ブリーは、そそりたつ玄武岩の牙のすきまから、フォレオンの姿を目撃する。 その殺意の理由は分からないものの、彼から、かれの力の源である 玄武岩の台地から逃走しなければ、自分たちの命はない。) 攻撃でエネルギーを使い果たしたフォレオンは当初そこに残った。 (訳注: 幾度目かの襲撃に際して、フォレモンはふたりの罪人を見失った。 玄武岩をあまりに多重に動かしたことが裏目に出たのだ。 ピルツドームの守護者は、逃げる2人がこの世界ガローンに関する情報を 何ひとつ持たない事実を知らなかった。 そのため、フォレモンはあわてなかった。 ガーロへの昇降機はフォレモンがいなければ使えない。 とすれば、使徒殺害犯はいつかはピルツドームへと戻ってこざるをえない。 だから、かれはそこで待てばよいと考えた。)
山のふもとでローダンとブルはジャングルの狭い筋にぶつかった。 そこで彼らは食物と水を発見し、様々な材料から原始的な登はん装備を 作ることができた。登はんは非常に困難であることがわかった。 特に、冷気の増加は二人のテラナーが行動するのを困難にした。 しかし、とうとう彼らは高さ2000メーターの氷の様に冷たい 高原に辿り着いた。 (訳注: 昇降機の存在など夢にも思わぬテラナーたちは、溶岩台地のはずれに 繁茂するツタをザイルとして、オーバーハングまである岸壁を登りきった。 ピルツドームのそばで目撃した、奇妙な形状の宇宙船は降下態勢にあった。 すなわち、絶壁を越えたむこうには、宇宙港かそれに類する施設があるに 違いない。 )
その間、1日かけてフォレモンは力を取り戻した。 遠方に二人の異人が登はんしている様を目撃し、彼は 昇降機に向かった。それは彼を山のふもとから 直接ガーロに送り届けてくれるだろう。
1815 - 謎の世界ガローン R舩selwelt Galorn
Puzzle World Galorn
Peter Terrid
Jerry Schneiderman英訳(2007-12-16)
ペリー・ローダンとレジナルド・ブルが高原に辿り着いた時は、 新銀河暦1288年11月3日になっていた。 高原には都市ガーロ(Gaalo)があり、この都市は5つの地区から 構成されていた。中心部の約40メートルの高さの土台に 都市中枢部「央5(HEART FIVE)」があった。このエリアは やはり高さ40メートルの壁で周りの郊外、北1、東2、南3、西4から 封鎖されていた。 二人の細胞活性装置保持者がおりから降り始めた酸性雨混じりの 降雪の中を西4に辿り着いたとき、彼らは郊外が半ば崩れ落ちた 建物からなるスラム街で、多種多様な種族が住んでいることを 認めねばならなかった。 皿型のロボットが食物と小型ストーブで最低レベルの 生活保証をしていた。 (訳注:いまだかつて人類の手のおよんだことのない宙域の この世界では、数知れぬ見たこともない種族たちが、聞いたことのない言語で 平和に交流しているらしかった。 住人たちはローダンらの出現を平然と受けいれた。 なぜなら、プランタグーのあらゆる種族がそこにいる。 酸性雨のふりそそぐ貧民街に生きるしかない、活力をうしなったものたち。 かれらは皆、障壁によって隔離された中心区画「央5」から来る ロボットたちによって配給される食糧で糊口をしのいでいた。 )
ローダンとブルは最初にヒューマノイドの モックスゲルガー(Mocksgergers)と出会った。彼らは 黄ばんだ皮膚、幅広い鼻、唇のない口、緑がかった咀嚼用の歯茎 を持っていた。彼らのボデイランゲージの一部は彼らの精神状態に 応じて変化する強烈な体臭であった。 (訳注:モックスゲルガーは大柄ででっぷり太っていて、嘴様の口が特徴的。 エンジニアとして傑出していが、かれらは故郷惑星を持たない。) これに対して、クローグ(Krooghs)は身体の下部に多数の小さな 足を持つ小さな毛皮生物である。(訳注:一個体は人間のこぶしより 2まわりほど大きいにすぎない。) とんがった鼻と二つの黒い目のため 地球のネズミに似ている。クローグは多数の個体が集まり大クローグ( Grand Kroogh)を形成し、力と知能の潜在能力を上昇させる。 タシュ=ター人(Tasch Ter、タシュ=ター=マン?)は プランタグー(Plantagoo)銀河のウエストサイドの惑星 タシュターム(Tasch-Term)の出身で朽ちた切り株を思い起こす 姿をしている。この無骨な肉体には中空のチャンネルがあり、 4つの可動用アームと知覚及び関節組織が隠されている。 全身は交差する筋肉ファイバーのネットワークで運動し、 このファイバーの終端は吸根に似た4つの足であった。 (訳注:彼らは、自己より強烈な個性をもつ存在の意向にさからえない。 また複数の対象と同時に会話できる、聖徳太子のような生命体である。) ツェントリファール(Zentrifaal)は多重の脊柱、幅広い胴体、ゴムの ような皮を持つヒューマノイド生物である。 目の代わりに顔面には長さ10センチ幅2センチの 可視帯がある。彼らの口は顎部の裂け目にすぎない。 右手には鋭い爪を備えた7本の指があるが、左手は箱型 (訳注:左手がショベルカーのショベルを2つ合わせたような奇怪な形)を している。 彼らの黒い衣装と明るい皮膚のため、ツエントリファールは 死の天使を思い起こさせる。(訳注:実際、彼らは好戦的で、 何らかの遺伝子操作の産物の可能性を思わせる。 これに対して、テラのカワウソに似た種族、パラデアは 常に社会的協調性が高く、各々がセラピストに近い能力をもっている。 )
彼らがプランタグーのフランク語(lingua franca、複数の種族の共用語という意味) に相当するグー・スタンダード(Goo standard)の最初の単語を モックスゲルガーから学んだ後、彼らはA-オスタミュル(A-Ostamul)という 名前のツェントリファール一門の指導者をグランド・クローグ・リスクン( Grand Kroogh Lyskun)の攻撃から救った。 A-オスタミュルはローダンとブルに大変恩義を感じて この惑星ガローン(Galorn)を離れる船(訳注:ガーロへの物資を運ぶ貨物船) の乗船手配まで約束した。さらに、彼は2人のテラナーにこの世界についての 情報を与えた。ガローン人(Galorns、 訳注:プランタグーで最高の文化・文明をもつとされる。 )は随分昔にここから移住し、 アンドロ守護者(アンドロ守護者)を後に残した。 (訳注:グリーンの制服をつけた、青い肌のヒューマノイドである。) シフティング(Shifting)の恐怖のため、郊外での騒動は長続きする はずはない。それにもかかわらず、住民のほとんどは、 切り株型宇宙船の着陸と共に起こるいわゆる幸福還元(happiness reduction) を体験するためにここに留まっているのだ。
ローダンとブルは都市の中枢に辿り着くのに最大の関心を示したので、 A-オスタミュルと彼の支持者達は二人を北1と央5の間の境界にある 掩蔽壕(bunker)に案内した。まさにこの時、切り株型宇宙船が 着陸を開始し、幸福還元が始まった。 二人の細胞活性装置保持者を含む、幸福還元の影響球内の全ての 生物がその場に凍り付いた。これ以上何も望む事のない 完全な幸福感を感じて。 (訳注: あらゆる意味での渇望がかき消すように去っていった。 すべてがあるから、これ以上、何も望むことはない。 自分が何ひとつ持たないから、誰もかれから奪うことはできない。 これが「幸福還元」なのだ。これあるがゆえ、 人々はスラムにとどまっているのだ。)
その間、フォレモンはエレベーターで都市中枢央5に到着していた。 (訳注: 永年、ピルツドーム監視の任を果たしてきたフォレモンだが、 ガーロを訪れるのは初めてだった。 ここは、かれの力の源である玄武岩から切り離されている。 また、そぼ降る酸性雨の雲におおわれた空からは、 エネルギー変換をおこなうための陽光もわずかしか得られない。 つまり、ガーロでのかれは、脆弱な小人にすぎない。) 彼は最寄りの郊外に下って行き、そこで二人の タシュ=ター=マンと出会った。 二人は彼に服従し、彼を「高貴な人(noble)」 あるいは、「はかない神(fragile divinity)」と呼んだ。 (訳注: すべての決定権を、強力な個性を有する他者に預ける奇異な種族の存在 により、殺人者の捜索を続行できるとフォレモンは思った。)
1816 - 幸福の守護者 Hter der Glckseligkeit
The Bliss Guardian
Peter Terrid
英訳(2008-10-24)
ツェントリファールのA-オスタミュルはペリー・ローダンとレジナルド・ブル を1体の故障した円盤型ロボットのところに連れていった。 これはしばらく前にある種の落雷に打たれて、その後 ツェントリファールたちに回収されたのだ。 二人の細胞活性装置保持者達はその機械のシントロニクスを修理し、 それに乗って掩蔽壕(訳注:バンカー、燃料庫?)まで飛ぶことが出来た。 (訳注:ガーロ市では央5から来るロボットたちと ローダンらが腕にはめたアームバンドを除いて あらゆる機械が動作しない。 プランタグーのすべての機器を動作不能とするフィールドが ガーロを覆っているのだ。工学関係が苦手な セントリファールが通りいっぺんの調査だけで放置していた ロボットの飛翔機能を修理するだけで央5に 侵入するのに充分だった。 しかし、央5の境壁を飛び越える際、 レジナルド・ブルは群集の中にあの熔岩平野の異人、 バサルト・モルファーの姿を見とめた。 ) 掩蔽壕は皿型ロボットの貯蔵庫兼工場であることがわかった。 彼らはそこで人間に似たアンドロ守護者スズガー(Szuker) に発見された。それは身長1.85メートルで青色の皮膚と 鼻のない顔を備えていた。彼の顔だちは奇妙に物悲しく 見えた。
(訳注:フォレモンに随行するタシュ=ター=マンは 同時に複数の対象と会話をこなせるため、 噂話を収集させるにはうってつけの人材だった。 半日のうちに、フォレモンの捜す異人が、 まずモックスゲルガーのところにあらわれ、 次にA-オスタミュルを暴漢から救い、 セントリファールのところに身を寄せていたことをつきとめたのだ。 ペリー・ローダンと名乗る異人が、 おそらくはオスタミュルの手配した貨物船でガローンを 脱出するつもりだろうと予測して、かれはエネルギーの補給体制に入った。 「ガローン人の星」と呼ばれる太陽は、まばゆい光をガーロへとそそいでいる。 それこそが、フォレモンの力となるのだ。 ところが、2名の罪人は、こともあろうに央の5への侵入をはかったというのだ。 あわてて駆けつけたものの、間に合わなかった。異人たちは、故障したロボットを利用して、都市境壁を越えてしまった。 このまま、さらなる冒涜を許すのか……? )
ローダンとブルはスズガーの目前から逃走し、 中央区画央5に追い詰められた。 ここは完全に見捨てられた、しかし明らかに 良く保たれた印象があった。 (訳注:すべての色彩が奪われたかのような漆黒の道が走る純白の街。 上空に反斥フィールドが何かが張られているのだろう。 酸性雨の兆候の傷ひとつみつからない。 この街の空虚さは、まるでゴーストタウンではないか。スラムでの噂のとおり、 たしかにガローン人はこの星を、かれらの故郷を去ったのだ。) テラナー達は都市の建物のいくつかに入って相異なる シミュレーション映像にでくわした。 (訳注: 建物のひとつに歩みいったローダンは、不意に頬に潮風を感じて、あたりを見回した。 そこは大海原のただなかだった。 かれは、巨大な帆船に乗って、そこを疾駆していた。 海。風。帆船。 テラナーが一歩後ずさると、すべてが瞬転して、もとのモノクローム世界にもどった。 ) それらはそれぞれが昔の居住者のエコーを見せているかの 様であった。 彼らは幻影のとりこになったが最後にはスズカーに 追い詰められた。そしてアンドロ守護者はローダンの手首の パッサンタムを認めた。 彼は二人に小型の翻訳機を与え、ケ・リントンの友人として 中枢都市での歓迎を表明した。 スズガーはガローンでの状況を説明した。 下層都市(訳注:スラム街)の住民は、この場所の神聖化を 妨げうるため、実際のところ歓迎されていない。 しかしガローン人の倫理によりアンドロ守護者が住民に武力を ふるうことを禁じているのだ。 (訳注:そのプログラムが、スズカーをして、 必要最小限の食糧配給もなさしめているのだ。 アンドロ守護者は本来のガーロ―、央5の維持を任務とする。 しかし、スズカー自身、自分の使命以外については、ほとんど知らなかった。 ガローン人は種族の故郷を去った。しかし、どこへなのか、スズカーは知らない。 スズカーは、ピルツドームと、無限への架け橋と、 その監視者フォレモンの存在は知っていた。しかし、 それ以上はアンドロ守護者の関知するところではなかった。 )
ローダンはアンドロ守護者に彼とブルが重要な使命の途上にある という 事実を信じ込ませることができ、スズカーは 彼らがプランタグー銀河での道しるべとなる記憶クリスタル(data crystal) を彼らに与えた。そこにはケ・リントンが最後に(訳注:ガローンから?) 通信を送った先の座標も含まれていた。 (訳注: トレゴンの第二使徒が現在そこにいるという保証はないが、 なんらかの手がかりにはなるだろう。 ローダンたちに助力を与えることのできるものがあるとすれば、 それは最も高名なガローン人にして、トレゴンの第二使徒のケ・リオトンだけだ。 だが、第二使徒は数年ないし数十年に一度、前触れもなくガローンを訪れるのみ。 連絡をとるすべも、探索の用に供する宇宙船もスズカーは持たない。 ともあれ、これらデータが用意されているとは、 アンドロ守護者にとり、異銀河からの来客はめずらしい存在ではないのだ ろう。) 中枢都市の中央(訳注:黒い道の交差する場所)には 「刻跡の場(Field of the Writings)」、 数百本の銀に似た材料で作られた碑銘付きの 12〜20メートルの高さの柱が林立しその中央に厚さ70メートルの シャフトがある直径約800メートルの広場があった。(訳注: それはまるで、墓場のようだった。) テラナーたちがそこに入ろうとしたとき、スズカーはタブーを 侵すことになると彼らを押しとどめた。
その間、フォレモンは下層都市でローダンとブルを捕まえて殺す という試みに失敗した後、再び央5に戻っていた。 (訳注:フォレモンは、トー・ゲテンによってこの世界に運ばれてこのかた、 下したことのないほど苛烈な決断を下していた。 ガーロは人工の山上に建てられた都市である。 そして、その山の素材となったのは……玄武岩だ。 ガーロの礎石をモーフィングして、使徒の殺害犯を捕らえる。 それで都市がどれほどの被害を被ろうが、いまのフォレモンは気にもとめなかった。 あるいは、フォレモン自身、エネルギーが枯渇して、 よくて数ヵ月身動きもとれないか、場合によっては……死ぬかもしれない。 それでもよかった。あのふたりを罰することができるなら。 フォレモンは、念をこらし、テラナーが いったん央の5を出て、前後策を練ろうとしかけたとき、大地が揺れた。 大地を突き破って玄武岩が出現する。 スズカーの言う「刻跡の場」の柱にも倒れるものが出た。 岩は変形し、テラナーたちを捕らえようとするが、 地震のため、逃げることもままならなかった。 ) 彼が中枢都市で二人の逃亡者を玄武岩の土でまさに捕らえようとしたとき 1隻の切り株型宇宙船が着陸した。 牽引ビームで一人のガローン人が柱群に向かって移送された。彼は 明らかに自らの命を絶とうとしていた。 その生物は身長2メートルで青い皮膚をしていた。(訳注: ヒューマノイドで何も身にまとっていない。ブリーはかれの もどかしげな声を聞いた様な気がした。) ガローン人は一種の光のショウの中で死に、それと共に 幸福の還元(bliss beneficiation)をもたらした。 (訳注: ブリーが、あわてて柱のあいだを逃げ出すのを待ちかねたかのように、 エネルギーの光条が船から柱のひとつへと伸び、 すべての動きがとまった。フォレモンのあやつる玄武岩さえも。 身動きすらできない状態で、ローダンらは、光の奔流の中ただよいでる ガローン人を目撃した。 いずこかへ去ったガローン人は、 死を前にするとその生を終えるために 故郷へと帰ってくる。ここ、種族の墓場で 自らの存在を分解し、過去生きたすべての同族と融合し、 死の瞬間、おのが人生において得たすべてのポジティヴな体験を 宇宙へと還元するのだ。 猛烈な多幸感がブリーを襲い、 すべての不安も焦燥も、かれのうちから去っていった。 ガーロにいるすべてのものも、これを味わっているはずだった。 そうして、微動だにしないかれらの上空を、 ガローン人の船がゆっくりと遠ざかっていった。 ) 幸福還元の影響下でフォレモンは二人のテラナーの手がかりを失った。 そのため彼らは下層都市に逃走し、A-オスタミュルの助けで <キイズ(CHIIZ)>に乗船してガローンを離れることが出来た。 (訳注: ガーロには酸性雨がつづき、陽光からのエネルギー吸収が進まなかったので、 フォレモンは回復まで数日を要した。)
フォレモンがスズカーに出会ったとき、彼はローダンとブルが殺人者であると 相手に納得させることができた。そのため、アンドロ守護者はフォレモンを 助けるため「ドラゴン(dragon)」を貸与した。 それは高さ約40メートル、厚み20メートルの卵型物体で、 刻跡の場の中央シャフトから姿を表した。 (訳注:無限への架け橋を越えて訪れる、ケ・リオトンのような存在だけが利用する 船のこと。フォレモンはプランタグー訪れた殺人者たちを 追跡する手段を半ば脅迫して手にいれたのだ。)
1817 - ギャズカーの戦士 Krieger der Gazkar
Warriors of the Gazkar
Susan Schwartz
Denis Menard英訳(2010-01-26)
新銀河暦1289年1月1日、ギャズカー(Gazkars)艦隊がコロレ 星系のラファイエット上空に現れた。 ギャズカーは身長1.5メートルのはがね色のカブト虫に似た生物である。 彼らは直立歩行し、特徴的な黒い模様と赤い複眼を持っていた。 2対の腕のうち上側が下側よりやや小さく、どちらも自由に使える 3つの把握器官(訳注:指または短い触手に相当するもの)を備えている。 前方に傾いた頭の上の王冠は それぞれの個人の階級を象徴している。 王冠の最大17個のスパイクが少ないほど高い地位を 意味していた。 (訳注:1817話のイラストを見るとギャズカーは 甲虫と言うよりは大目玉のアリというほうが近い。) ギャズカーはある民族共同体の一部を構成していた。 彼らのより遠いメンバーは ニーザー(Neezers)、 アラザー(Alazars) エロウンダー(Eloundars)である。 この連合は新しい惑星を探検調査しており(ニーザーの仕事)、 もし十分なレゾナンス供給者(resonance-givers)が住んでいたら、 ギャズカーが征服する。 その後、 レゾナンス基盤の微調整が行われ(アラザーの仕事) 最後に「聖なる」エロウンダーが現れ、 ヴィヴォク物質(vivoc material)をもたらす。 (訳注: 彼ら艦隊が新たな銀河、即ち天の河での任務についた。 先行したニーザーからの報告によると、 この銀河の知性体は、すこぶるレゾナンスに富む、 優秀な「ボンド」であるらしい。 そして、すでにいくつかの惑星をスキャンし、選別したという。 )
この艦隊の1隻<ジク=アー(ZYKK-A)>は ラファイエットに接近中にLFT船団に撃墜された。 数名のギャズカーはこの間に救命カプセルで脱出に成功し、 カプセルは大部分が沼沢である惑星表面に速やかに沈んだ。 元ボーソレイユメンバーのジョセフ・ブルザード・ジュニアは 仲間のペペとロボットのバニー(Bunny)と共に未だ スワンプシティへの途上にあった。 (訳注:12/7にキャンプミラージュを逃走してから 故郷の惑星ラファイエット密林を、ジョゼフ・ブルサードは すでに4週間も歩きつづけた。 ジャングルと沼地とは、敵意をむきだしにしたハザードでしかなく、 タングル・フィールドの影響で、平時なら人間の居住圏に あらわれることのない猛獣たちも闊歩しており、危険度はいやますばかりだった。 侵略者の卵型艇の目を逃れて、ジョゼフとペペ、そしてロボットのバニーは、 ひたすら首都スワンプ・シティをめざして進んでいた。 だが、脳にうけた損傷によって制限されたジョゼフの悟性でも、 ある可能性に気づかずにはいられなかった。 なぜ、スワンプ・シティは沈黙しているのか? この数週、バニーは人間による何らの活動も探知できずにいる。 いっさいの通信波もなし。 あるいは、なにもかも手遅れなのか――? ) 彼らが墜落地点の一つに到着した時、 致命傷を負った<ジク=アー>の指揮官を発見した。 彼は3人の目前で指揮棒に似たフェケット(Fekett) を使って儀礼通りの自決を行った。 (訳注: 上空で爆音が轟いた。密林にさえぎられた不十分な視界を、 煙をひいて降下していくハリネズミ状の艦艇が横切っていった。 そして、チカチカと陽光を反射させる救命泡の群れ……。 最も近い落下点へと駆けつけたジョゼフらは、 底無し沼へと沈没していくカプセルをなすすべもなく見つめていた。 )
翌日、3人の避難民は墜落の第二の生存者、 ゲムバ(Gemba)という名を持つギャズカーと遭遇した。 (訳注: 惑星首府への道へもどりかけたとき、 バニーが岸にほど近い場所に落ち、軟泥に沈みゆくカプセルを発見した。 開かれていたカプセルの中で 弱々しくうごめいていた直立歩行する巨大なカブトムシ こそ、ギャラクティカーの前に初めて生きた姿を見せた タングラー、侵略者であった。 ) これは名前というよりはコードネームで ゲム=バ=アム=コル=ヴェク=トル(Gem-Ba-Am-Kor-Vech-Tol) を表していた。例えば、この名前から ゲムバが トルカンディア(Tolkander)銀河の レゾナンス(共鳴)種族ヴェカル人(resonance-giving Vecharer )の惑星アムクリル(Amkrir)で生まれた ことが分かる。 ゲムバは初陣で、スパイクは17個とも残っていた。 彼はボーソレイユと仲間達を脅威ではなく 「結合(association)」即ちニーザーに供給すべきレゾナンス物質と 見なした。(訳注:rlmdiではこれを「ボンド」と訳しているので、 以下ではその用語を使うことにする。) しかし、彼がグループを襲おうとしたとき捕らえられてしまった。
ブルザードと仲間達は捕虜と共にスワンプシティへの 旅を続けた。 捕虜は捕らえられたことを屈辱と感じ、 同族と引き離されて次第に苦しんでいた。 (訳注: ゲムバは、これが初陣だった。だが、かれの乗る戦艦は、 目標直前で現地種族の艦艇の強襲を受け、大破し、 惑星へと落下していった。 救命泡で脱出したゲムバたちギャズカーの戦士の降下していく先は、 底無しの沼沢地だった……。 救命泡には、最低限の装備すらなかった。 確保すべきエリアで果たすべき任務を遂行するはおろか、 失敗した戦士にふさわしく自害するためのナイフすらなかった。 使命を果たせぬ戦士! かれの名誉は無に帰した。しかも、ゲムバは異種族の虜となった。 くつがえしようのない不名誉だった。 だが……かれらは「ボンド」だ。ニーザーが確保しきれなかったボンドを、 その香網内部へと連れもどすことは、あるいは種のためになるかもしれない。 ゲムバは、当面、自らにそう言い聞かせた。 ) ロボットのバニーはこの時にはギャズカーの言葉の 大部分を通訳できる様になっており、彼らは ギャズカーとゲムバの民族共同体についてなにがしかを 学んだ。 (訳注: とは言え、 一種の共感状態で生活するギャズカーにとって、 指令以外の情報を知らせる必要がなかったため、 ゲムバ自身がほぼ何も知らないに等しかった。 それでも、侵略者たちのごく大まかな枠組みだけは理解できた。 卵型艇の偵察者ニーザー、ゲムバら確保を任務とする戦士ギャズカー、 技師アラザー、そして「ヴィヴォクを運ぶ」がゆえに聖なるエロウンダー。 4つの種族が共同体として働いているらしい。 これ以外に「ボンド」「レゾナンス」という、 どうやらギャラクティカーを示唆するらしい表現がくりかえし聞かれたものの、 その意味するところはジョセフにも理解できなかった。 ) 数日後、ギャズカーは一見すると死亡硬直のような状態に 陥った。 彼は一行がスワンプシティに近づくまで目覚めることは なかった。 (訳注:惑星首府が近づくにつれて、 ゲムバの発する不快なきしり声が 次第にその頻度をましていき、それが ジョセフの不安をよりいっそうかき立てた。 ) 都市はゲムバが知覚したニーザーの 香網(odor network)で囲まれていた。 これらの香網はギャズカーが一行を未知領域に誘き出すこと を可能にしたいることがわかった。(訳注:ジョセフらを 都市住民と同様に捕らえることか?) その後のギャズカーの逃走の試みは防ぐことができ、 避難民達は新銀河暦1289年1月9日にようやくスワンプシティに 到着した。
この文章は Perrypedia.comにあるドイツ語の要約から翻訳された。
1818 - テストケース・ラファイエット Testfall Lafayette
Test Case Lafayette
H.G. Francis
英訳(2008-10-24)
アトランとグッキーは最新の状況をイホ・トロトに伝えるため、 <リコ>でハルタ星系に飛んだ。 トロトは20年間もハルタに留まっていたのだ。 この間、彼は新しい宇宙船<ハルタII>を設計、製作していたのだ。 船は長さ290メートル、幅90メートル、高さ85メートルで、ハルト 技術の最新状態を体現していた。 しかし、彼の年齢のため、ハルト人は衝動洗濯のあらゆる兆し を示しており、彼は全力でそれを押さえようとしていた。 哲学者タロ・フォンテス(Taro Phontes)だけは 衝動洗濯は細胞活性装置保持者にもあてはまる ハルト人の生活習慣であることを彼に明らかにした。
トロトは二人の客から天の河のハロー領域にいる巨大ハリネズミ船団について 聞かされた。 さらに、この間にヴィパーディス(Viperides、訳注:タングラーのこと) は既に23個の惑星を占拠し、 タングルフィールド(Tangle fields)のため 着陸不能となっていた。 <リコ>とトロトとグッキーの乗った<ハルタII>は コロレ系のラファイエットに飛んだ。 (訳注: アルコン人がボーソレイユの惑星にやってきた理由は2つ。 ラファイエットを包むタングル・フィールドは、 斥候タイプのハリネズミ船が使用するタングル・スキャンと 同種のものらしい。では、それは惑星を包むバリアとして機能しているのか ……それとも、惑星それ自体が力場の影響下にあるのか。 そして、ラファイエットにあった人々の運命は――? ) 衝動洗濯のためハルト人は2隻のハリネズミ船を攻撃し、 タングルスキャンの影響範囲球に到達した。 (訳注:タングル・スキャンを持たない戦艦タイプであったことが ギャラクティカー側に幸いし、<ハルタ>の斉射が 侵略者の船を一瞬にして蒸発させた。) そこで、グッキーは本能的にトロトと共に ラファイエットにテレポートした。 ネズミビーバーはタングル放射の魔力に完全に屈したが、 ハルト人は計画脳によってその影響から 守られていた。 (訳注:銀河系最強を誇るハルト人の肉体は、 不協和音をともなうハイパー・フィールドをなんなく克服した。 密林と湿地帯の猛獣たちも、衝動洗濯中のハルト人の前には 何らの脅威ではなかったのだ。 ) 彼はタングルスキャンによって沼地から駆り出された 怪物的な動物との戦いで衝動洗濯を行うことが できた。その間、<ハルタII>は<リコ>の アトランによって回収された。
その間、ジョセフ・ブルザード・ジュニア、ペペ、そして、ロボットのバニー は捕らえたギャズカー、ゲムバと共に首都スワンプシティの外れに 到着した。バニーは都市のちょっとした偵察の間にギャズカーに 発見され、破壊された。 (訳注:ジョセフとペペは、ニーザーのパトロールに発見され、 かろうじて逃走に成功したものの、自らおとりとなったバニーを失う という手痛い打撃をうけた。 ジョセフは、ラファイエット唯一の都市はタングラーの手中にあることを 認識せざるをえなかった。) その直後、ゲムバが厳格な瞑想(rigor mortis)的状態に再び 陥った時、ボーソレイユは単身都市に乗り込み、 彼とぺぺのための食料を手にいれようとした。 (訳注: キャンプ・ミラージュから逃げ出した際に携行していた食糧が尽きて久しい。 ジャングルの強行軍も限界に近かった。 ゲムバはまるで死んだかのよう。意を決したかつてのボーソレイユは、 ペペをゲムバの監視に残し、沈黙したスワンプ・シティへと潜り込んだ。 ) 彼は都市の住民が巨大な建物の周りを巡回している様を観察した。 彼らは完全に無感動に振る舞い、 樹木型生物アラザーの近くでのみある種の熱望を示していた。 (訳注: そこここに、カブトムシのようなギャズカーの集団がうかがわれる街路に、 人間の姿はなかった。食糧にあたりをつけた後、ジョセフは無人と化した街を、 路地づたいに探っていった。 そして、かつては商業センターであった建物に達したとき、 朽木のような奇怪な生命体を目撃した。 ゲムバの話に出てきた第三の種族、アラザーの現われたと思われる部屋で、 ジョセフはまだ生存していた人間たちを発見した。 だが、かれらはジョセフの言葉に何の反応も示さなかった。 謎の不協和音に曝されつづけた悟性は完全に破壊されたのか。 時折、肉体が痙攣したかのように動き、周囲を見まわす。 まるで、何かの訪れるのを待望しているかのように――。 この人々には、もはや何も望めない。援助も、共闘も。 失望とともに、ボーソレイユはジャングルの隠れ家へと歩きだした。 ) ブルザードがペペの元に戻ったとき、 彼はトロトとグッキーに出くわした。 (訳注:ブルザードは前サイクルのアレズム遠征で 二人と知己となっていたのだ。 ) ネズミビーバーは「呼びかけ」に従わねばならないと話した。 その直後、ハルト人がそれを止める間もなく グッキーはスワンプシティにテレポートした。 イホ・トロトは彼を追跡し、建物の一つでグッキーを発見した。 (訳注: イルトを捜す途上、ある部屋で、奇妙な球体を発見したハルト人は、 芳香ガスを噴出するそれが「ニーザーの香網」と関係していると推測、 ひとつを持ち帰ることにした。 それからまもなく、商業センターの一室で発見したグッキーを、 トロトは無事隠れ家へと連れかえった。 ) 彼はネズミビーバーを麻痺させ、ボーソレイユとその仲間の所に 連れ戻すことができた。この時から彼は絶えずネズミビーバーを 無意識状態に保ち続けた。
その直後、トロトは難破した敵船から回収したガスを使って ゲムバを硬直状態から目覚めさせ、ギャズカーは 他のギャズカー、ニーザー、アラザーが今やエウロンダーと 彼らかもたらす希少物質ヴィヴォクを待っていると話した。 その時、ラファイエットのテストケースが成功か否か判明するだろう、と。
1819 - 満載のヴィヴォク Eine Ladung Vivoc
A Load of Vivoc
Arndt Ellmer
Denis Menard英訳(2010-01-27)
イホ・トロトとグッキーを援助するため、 アトランは10名の仲間と共にマイナーグローブ(Minor Globe)で ラファイエットに飛んだ。 (訳注: ボーソレイユの故郷に漂着した友ふたりを救出するために、 アルコン人アトランが ラファイエットを距離をたもって周回する<リコ>から タングル・フィールドに包まれた惑星に降下する決断を下していた。 搭載艇マイナー・グローブは全面的にシントロニクス操作に改装され、 乗員すべてがタングル・スキャンに冒された場合にも、 自動プログラムにそって帰還できるようになっていた。 ) この機会に、アルコン人が論理セクターのお陰で タングルスキャンに対してかなりの対抗性を持つことが分かった。 しかし、彼の仲間達は放射の完全な支配下に陥り、麻酔させねば ならなかった。 (訳注:フィールドは球殻状に惑星を包んでいるだけなのかもという仮説は やはり願望にすぎなかった。惑星圏に達したとき、アトラン以外のコマンドは全員パラライザーで行動不能にされ、反斥フィールド内に拘束された。 アトランだけは、かすかな不協和音以外の効果をすべてシャットアウトできた。 付帯脳がフィルターとして機能したのだ。 デフレクター・スクリーンに隠れて降下するさなか、 シントロニクスが惑星上での侵略者の活動を探知した。 ジャングル周辺で、人類のものではない飛行艇が何かを捜索するような 組織的移動をおこなっている。おそらく、トロトを追跡しているのだろう。 マイナー・グローブの針路をそちらへと向けたとき、タングラー追跡網に 奇妙な動きがあらわれる。かれらは何らかの手段で、搭載艇を感知したらしかった。 アトランはモジュール・ロボット部隊に行動不能なコマンドと転送機を託して、 マイナー・グローブを放棄することに決めた。 搭載艇自体をおとりとして侵略者を撹乱するしか、活路は見出せない。 ) 沼沢惑星に接近中、マイナーグローブは ハリネズミ船に破壊された。しかし、アルコン人はロボットの助けで ぎりぎりのところで意識を失った人々を助け、 トロト、グッキー、ジョセフ・ブルザード・ジュニア、ペペの 元に辿り着く事が出来た。小型転送機が持参した装備の一つに あったので、トロトとアトランは意識を失った人々、グッキー、 ギャズカーのゲムバ、そしてニーザーの臭気ガスをつめた 可搬容器を安全に<リコ>に届ることができた。 (訳注: ニーザーの卵型艇が上空にむけて発砲を開始するのを目撃したハルト人は、 <リコ>からの救援が訪れたことを知り、 計算脳の算出したポジションで、ひそかに着陸していたアルコン人に再会した。 当初、アトランはただちに転送機で脱出することを提案したが、トロトは拒否 した。衝動洗濯を求める内なる衝動は、もはや止めがたいところまできていたのだ。 侵略者たちの言う「テストケース」が何を意図しているのかを探りだすことは、 銀河系の運命に直結していることはアトランも認めざるを得なかった。 ジョセフがアラザーを目撃したという場所にこそ、 謎のテストケースの手がかりがあるはずだ。)
(<リコ>では騒然とした雰囲気に包まれた。 自動プログラムでは5日後に帰還するはずだった搭載艇が撃墜され、 それからまもなく、転送機から意識不明の人々が吐き出されたのだ。 11名のコマンド・メンバー、グッキー……そして、拘束された巨大なカブトムシ! しかし、アトランの姿はなかった。かれのセルンだけが送り込まれ、 そのシントロニクスを分析した科学チームは、 アトラン、イホ・トロト、それにジョセフとペペを加えた4人は、 ボーソレイユの案内のもと、 侵略者たちの支配するスワンプ・シティへむかったことを知った。 忠実なアルコン人たちにも、やがて意識をとりもどしたグッキーにも、 アトランを助けにいくことはできない。タングル・スキャンがそれを妨げるからだ。 )
その直ぐ後、アルコン人、ハルト人、ボーソレイユ、そしてペペは ディフレクターフィールドに隠れてスワンプシティへ侵入した。 そこに居る間に彼らは侵略者が都市をどのように変えたか を突き止めねばならない。 (訳注: 非力な植民者ふたりを街外れに残し、 シティ奥へと潜入したアルコン人とハルト人は、 まずギャズカーたちの奇妙な活動を目撃した。 未知のエネルギー線で、ある区画の植物の分子構造を変えている。 そして、播かれた種子からマングローブに似た植物が驚くべき速度で芽生え、 都市の景観を塗り変えていく。 トロトと手分けしての調査を開始したアトランは、 まもなく一群のラファイエットの人々に遭遇した。 かれらは、ジョセフの話にあったように、おとなしくはしていなかった。 せわしなく動きまわり、理解不可能な叫び声をあげる。 都市の変貌とともに、それがエロウンダーとヴィヴォクの到来が近い事を アルコン人に確信させた。 ) 彼らはアラザーの会話を盗み聞きし、 誰もが貴重なヴィヴォク物質をもたらすであろうエロウンダーを 待っていて、エボカッザ(Ebokazza)が成功すると確信している ことを知ることができた。 アラザーは身長2.5メートルの樹木生物である。 馬のような頭部には深く窪んだ白いボタンのような目が備わり、 後部側には多数の芋虫状の突起物があった。 彼らはそれぞれ6つの芋虫状の指を備えた2本の深緑色の腕を 持ち、それは数多くの軟骨のこぶを備えて変形した上体から 伸びている。身体の下部はほっそりとしており 何重にも縞模様が付いて、緑色の甲羅で支えられている。 全身は、もつれ合った根のように見える18個の花輪のような疑似さや の上に乗っていた。 アラザーは自由に動かせる棒状のカルゼン(Karzzen)を持ち、 それによって変調されたタングル信号を送り出していた。
アトランとトロトはディフレクターにもかかわらず、至る所をパトロールしている ニーザーの飛行物体に追跡されていることに気が付いた。 タングル放射の衝撃は集団の脳に共鳴し、ニーザーが容易に追跡できる 生贄に変えることが分かった。 このことからハルト人は銀河系人の共鳴する身体を操作することに よって侵略者にとって無用にするというアイディアを思いついた。 (訳注: アトランが盗み聞きしていた数体のアラザーが不意に、 見えないはずのアトランの方を見た。 タングル・スキャンは「異物の侵入」を排除するためにある。 ボンド――共鳴体とならずに、おのが意識を維持している者は、 それだけで異物であるから、共鳴エンジニアたるアラザーは、 アトランの存在を感知したのだと付帯脳が警告した。 同様の事実を確認したトロトと連絡をとりあいつつ、 アトランはボンド――自我をなくしたラファイエットの人々―― の間をかきわけて、逃げた。 )
その間、<リコ>船上では、グッキーがゲムバを尋問していた。 彼はニーザーの臭気ガスを使ってギャズカーが死に似た硬直状態に 逃げ込むことを防いだが、新しい情報を引き出すことは できなかった。 長さ800メートル、直径200メートルのエロウンダーの黄金色(goldish-red) の円筒船が20隻のハリネズミ船に護衛されてこの星系に飛来したとき、 ゲムバは非常に興奮した。 (訳注: ハリネズミ船の特徴である袋状の突起は確かに存在するが、 その色彩は他のものと異なっている黄金に輝く船について、 グッキーに確認を求められたゲムバは嬉々として答えた。 「聖なる者4名が到着した。 共鳴世界の介護者が、ボンドに至高の幸福をもたらすのだ!」 ) 彼はラファイエットに直ちに向かうことをを拒否された時、 自殺をはかった。 (訳注: グッキーはゲムバの思考にうずまく「ヴィヴォク」「エボカッザ」 という認識から情報を得ようと試みたが、むなしかった。 聖なるエロウンダーのために、ボンドを守るという使命から切り離された ギャズカーは、絶望のあまり悶死したのだ。 黄金の船は、ラファイエット唯一の宇宙港に着陸した。 駆けつけたアトランとトロトは、 ハッチから巨大なコンテナが吐き出されるのをなすすべもなく見守っていた。)
円筒船がスワンプシティに 着陸した後、ヴィヴォク(vivoc)を満載した差し渡し10メートルの 無数のフォームエネルギーからなる蜂巣型コンテナが荷揚げされた。 芋虫の様な繭から流れだし都市の住民に向かって動くのは ゼラチン質の物体であった。この種の人々は侵略者の繁殖に 使われるものであると、アトランは薄々感じた。 (訳注: ニーザーとギャズカーとに厳重に警護されて、 最初のコンテナがシティへの行進をはじめた。 共鳴体定数による探知を避けて、距離をおいてアトランとトロトもそれを追った。 フォームエネルギーからなるコンテナは、わずかに透明度があり、 内部に蠢く何かが視認できた。 ヴィヴォクが何であれ、それは……生きた物質だった。 幾百もあるコンテナのすべてを破壊はできないと、今後の行動を アルコン人が考えあぐねていたとき、 ヴィヴォクを待ち受ける群集の中に、ジョセフ・ブルサードとペペ の顔をみつけた。 )
( ジョセフは 脳髄に埋めこまれたチップのおかげでタングル・スキャンを全く感じないが、 生来スキャンに免疫であるらしいペペは、 その暗示内容はおぼろげにわかっていた。 「ボンドすべてに贈られる希有なる幸福」という概念に、 好奇心をおさえきれないペペは、ジョセフをひきずるようにして、 意志をなくした人々が何かを待ちうける場所にむかった。 そうして、ふたりは間近で見た。 フォームエネルギーからなる蜂巣型コンテナが、不意に消滅した。 ありとあらゆる方向へ、灰色をした芋虫様の繭がこぼれ出た。 そして、繭がはじけ、ゼリー状の物体が――。 ヴィヴォク! それは、タングル・スキャンによって意志を奪われた人々を呑み込んでいく。 ペペとジョセフは、嫌悪と恐怖に、絶叫した。 ミルク色のエネルギー泡が出現し、 ヴィヴォクを害する異物2名を排除するよう、ギャズカーに命じた。 銃口が掲げられ、戦士種族がふたりにむかって走り出した。 まさにその時、イホ・トロトが猛然と砲火を開いた。 衝動を抑える必要がなくなり、歓喜の笑声をあげるハルト人の照準は、 先刻のエネルギー泡に合わせられていた。 エネルギー泡がはじけ……黒い煙が四散した。 ニーザーとギャズカーたちの動きが、一瞬にして停止した。 トロトがエロウンダーを殺したことが、かれらには信じられなかったのだ。 )
荷降しの始めから、アトラン、トロト、ブルザード、そして ぺぺはギャズカー達にますます追跡されていた。 なぜなら、彼らは「破壊的な贈り物」としてヴィヴォクを 傷つけることができたから。 狩りの間に、ラファイエットの住民がヴィヴォクの「プシ食物( psychic food)」として提供される旨のメッセージを彼らは 受け取った。小型転送機で<リコ>に脱出する前に ボーソレイユは射殺された。 (訳注 侵略者たちがパニックに陥った間隙をぬって、 アルコン人たちはスワンプ・シティを脱出し、 沼沢地に隠した転送機で《リコ》への送路を発生させた。 錯綜するタングラーの概念が何を意味するのか、 アルコン人はあの恐怖の光景から、ようやく理解した。 ヴィヴォクは孵化するために「共鳴体」すなわち レゾナンスと呼ばれる知的生命体をを必要とする。 ギャラクティカーは「餌」として選ばれたのだ! ラファイエットは手遅れだった。おそらく、残る22の惑星でも ボンドと呼ばれる意志をうばわれた人々がヴィヴォクに提供 されているのであろう。 そして、エボカッザとは……? 答えを見いだせぬまま、アルコン人は非物質化フィールドへと踏みこんだ。 )
この文章は Perrypedia.comにあるドイツ語の要約から翻訳された。